ネタ短編集   作:龍牙

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仮面ライダー響鬼と転生学園 月光録のクロスオーバーです。


仮面ライダー響鬼〜神鬼の指針〜 序章

日本には、古来二種類の『鬼』と呼ばれる者たちがいた。

 

 

一つは人間でありながら超人的な能力を持ち、『魔化魍(まかもう)』と呼ばれる妖怪の類から人々を守っていた。そして戦国時代に端を発すると言われている『鬼』をサポートする人々の体系は何時しか組織へ発展し、『猛士(たけし)』と呼ばれるようになった。

 

 

そして、『魔化魍(まかもう)』と呼ばれる妖怪と戦う『守護者たる鬼』とは対極に立つもう一つの鬼、邪悪なる鬼『鬼王』の存在。

 

 

 

 

 

日本には古来より存在する『天照郷(てんしょうごう)』と呼ばれる土地が有る。そこは『天に仇なす闇のモノ達』、世に様々な災厄をもたらす天魔と呼ばれる存在に対抗しうる験力と呼ばれる才能に恵まれた者を見出し、育て、組織する為の場所という顔を持つ。

 

 

 

人知れず、憑かれたモノを祓い、乱れるモノを鎮め、怒れるモノを屠る『鎮守人(しずもり)』。

 

 

 

 

 

 

 

これは、若くして鎮守人としての宿命を受け入れ、天魔との戦いに身を投じた者たちの物語から数えて五年の後…そして、善なる鬼達が伝説に謳われる最悪の魔化魍(まかもう)と同じ名を持つ大災害『オロチ現象』を鎮めた時から数えて二年後の物語。

 

 

東京を舞台に、日本と言う国に住む人々を守る二つの存在『鬼』と『鎮守人』、その間に立つ事となり、戦う宿命を与えられた一人の少年とその仲間となる少年少女の物語である。

 

 

 

 

 

 

深夜

 

 

本来、眠るという事を知らないような街の灯りが落ちる。『日本』と言う狭い島国の中で、もっとも活発に活動しているはずの都市の一角がだ。

 

 

その日が終わるまで残された時間はまだ一時間も残している。それはまだ十分に『活動時間』のはずなのに。

 

 

騒がしくサイレンが鳴る中、道路を封鎖している職員に春らしい薄紫のスーツを着た女が近寄っていく。

 

 

「状況を。」

 

 

その女性の冷静でいて簡潔な声が空気を引き締める。年齢はまだ20代前半の様に見えるが、目の前に立つ黒いスーツの男よりも年上に見える程に達観して、落ち着いていた。

 

 

「道路封鎖はあと15分程で終了します。近隣のビル街にはガス漏れ事故として、避難誘導を行っています」

 

 

女性の言葉に男も努めて冷静に答えるが、それは事務的過ぎる言葉と文字通りの『状況報告』しかできていない。

 

 

「15分はかかりすぎだ。5分でやらせろ。報道の方は?」

 

 

男に厳しい目を向け、そう言い切る。女性の指示した言葉は最初に男の言った時間の三分の一。だが、かなりの人数が出ているのだ、『かかると言ったら、かかる』と言った所で『五分でも、かかり過ぎだ』と言う言葉が返ってくることは目に見えている。

 

 

「大きな事故ではないので、ヘリを出す所もないでしょうが飛行規制はかけています。今日は他に事件もありませんし、時間が掛かりすぎると多少、厄介です。」

 

 

そこまで言った後、『失礼しました』と男は頭を下げる。自分の言葉で自覚したのだろう、自分たちの対応している事態は一刻を争うと言う事に。

 

 

それから五分とかからずに『道路封鎖完了』の報告が入る。

 

 

「あとは、『彼等』の到着を待つだけだな。」

 

 

『彼等』……その女性の言葉の中には何処か懐かしい思い出を思い出すような、そんな響きが合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少年が荷物の整理を行っている。彼は明日から自分の通う学校『天照館高等学校』の姉妹校『月読学園』に交歓学生として行く事に成っている。

 

 

天照(アマテラス)の姉妹に月読(ツクヨミ)と、もう一つ『スサノオ』とでも言う名前の学校での有るんじゃないのかと思わず考えてしまう様な名前である。実際、何度か考えてしまっているが、そんな訳は無いし、そんな学園は散在していない。

 

 

「手荷物に入れとく必要が有るのは、後は…。」

 

 

一年という短い期間ではあるが、幼い頃から慣れ親しんだ部屋に対して名残を惜しみつつも、荷物を纏めながら、少年は荷物の中に一緒に入れてあった物の一つを取り出す。

 

 

「これは手荷物…いや、着けていくか。」

 

 

それは鎖の付いた鬼の顔を模した独特のカバーを持つリストバンドだった。大事な品物であるが、残念ながらこの土地の土地柄から異質な品物なので普段からは着けてはいないが。

 

 

「…ぼくの知る鬼は『邪悪』じゃないのに…。」

 

 

そもそも、彼自身、彼が暮らす『天照郷』においては少し複雑な立場にある。

 

 

元々彼は『猛士』と呼ばれる組織に所属する鬼とそのサポーターだった両親を持っていたが、現在では共に魔化魍との戦いが元で死亡している。本来なら彼は代々『猛士』の中核である名家の『和泉家』に預けられるはずだった。

 

 

彼の名は『草凪 八雲』…彼の『草凪家』は『和泉家』に順ずる程の名家で有ったのだ。故に彼の両親が亡くなった時には和泉家の養子になるはずだった。

 

 

だが、彼は天魔と呼ばれる存在から日本を守る鎮守人を育成する場所である『天照郷』に表向きには新たな血脈を入れるための制度、苗子として引き取られることとなった。

 

 

その真実としては、以前から進んでいた一つの計画、共に日本に住む人々を異形の存在から守る組織として連携して行こうと言う話し合いの元、その協力関係を示す一つの形として、天照郷へと引き取られる形になった。もちろん、天照郷からも一人、同じ様な境遇の子供が猛士側に引取られたのでした。

 

 

真実を話すとすると、その存在を知らなかった為に『鎮守人』の幾人かが魔化魍に遭遇し、戦闘に入り犠牲になる事が数年前から増えていたのである(特に二年前にはその被害が最大になっていたが)。

 

 

その過程での話し合いの結果、互いの組織の交流も兼ねて、互いが引取った子供には『鬼』と『鎮守人』の二つの訓練を受けさせる方向となり、現在に至る。

 

 

まあ、今まで関係の無かった二つの組織が交流する事における一種の理由付け、切欠として彼等が選ばれたのだ。

 

 

余談では有るが、猛士の方に引取られた子供は鬼としても鎮守人としても共に才能が無かった様であり、現在では立派にサポーターの一人としてかんばっている。

 

 

 

 

閑話休題(それはさておき)

 

 

 

 

「…明日からか…少し楽しみなんだよなぁ。イブキ兄さんや、トドロキさん、ヒビキさんにも久しぶりに会えそうだし。」

 

 

天井を見上げながらそう呟く。東京葛飾区にある関東支部には時々、以前から組織間の交流として時々会っていたが、これからはある程度自由に会えることができるのだ。

 

 

そもそも、それが原因と言う事もあり、現在の彼はまだ鬼としては半人前、いや、やっと変身できるようになったと言うレベルである。

 

 

「やれやれ…。どちらかを選ぶとしたら、迷わず『鬼』を選ぶのに。」

 

 

外からやって来る『鬼』の師との交流もあり、この『天照郷』と言う土地の中にあって、この土地の外を知っている。その為に頭の硬い人間には疎まれていたが、最近は特にその傾向が強くなっている。

 

 

彼はこの土地は好きであり、周りにいる人達も好きと言えるのは間違い無い。だが…彼自身、その土地の制度や風習だけは馴染めなかった。

 

 

『鎮守人』と言う存在になるには『験力』と言う一種の才能を要求される。そして、それの多くは天照郷で先祖代々由緒正しい家系として根付いている『名門一族』に多く排出され、八雲のような偶発的な験力発現者は寧ろ少数派と言える。

 

 

多くの場合、験力の素養を持つ者は鎮守人の近親者から輩出されるものなのだ。故に、この土地の異常とも言える閉鎖的な所、血統に拘る所にはそう言った理由がある。

 

 

もっとも、現在の様子を風聞で聞く限りは『血統に拘る所』は現在進行形で悪い方に向かっていっていると言えるだろう。

 

 

更にその極稀な少数派の中でも、特に八雲の場合は更に極少数派…どころか、たった一人の『例外』と言うべきだろう。

 

 

「…荷物はこんな所でいいか…さっ、早く寝よ。」

 

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