ネタ短編集   作:龍牙

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推しの子×デジモン 小学生編 1

「ガンマモン!」

 

「ブレイククロー!」

 

俺の指示でガンマモンが次々と押し寄せる成熟期デジモンのバケモン達を薙ぎ払っていく。

成熟期の中でも比較的弱い部類に入るバケモンだが、流石に成長期のガンマモンに対して、こう数の差で押されるのは流石に不味い。

 

小学五年生になった俺達だが、今日は保護者であるミヤコさんの仕事の都合でアクア兄さんとルビーと一緒にお台場まで来た。

……そして、霧に包まれるお台場と、子供を捕まえるバケモンを始めとするデジモン達。これは……

 

 

ヴァンデモンとの決戦かよ!

 

 

と内心で叫んでしまった俺は悪くないと思いたい。実際、此処に本当にヴァンデモンが居ても驚きはしないし。

時折り聞こえる「選ばれし子供達」とか、「一人捕まえた」とか、「八人目と九人目」と言う言葉から、奴らが探している人間のうちの一人が自分だと確信を持った俺は、ガンマモンをリアライズさせてバケモン達からミヤコさんとアクア兄さん、ルビーを逃す為に俺はこうして一人囮になった訳だ。

 

「クリス、俺! 進化する!」

 

「ダメだ、ガンマモン! 今進化しても消耗が大きい!」

 

「うん……」

 

流石に進化せずに数を頼みに押してくる成熟期相手には不利とは思うが、この先にこいつらの上のボスがいるのだから、まだ少しでも力は温存しておきたい。

特に完全体のカノーヴァイスモンへの進化は消耗が大きいのだ。使うべきタイミングはなるべく選ぶに限る。

 

幸いなのはコイツらの頭があまり良くない事か? 俺が目標の一人と気が付いたら、兄妹のアクア兄さんとルビーも選ばれし子供と言う可能性を考えずに、俺だけを狙って動き出した。

若しくは、既に八人目と呼ばれた誰かは捕まってしまってるのかも知れないが、それは考えないことにしておく。

 

分かるのは、少なくとも、こいつらの狙いの一人は俺であるのは間違いなく、俺には対抗できる力があると言う事だ。

 

「ほらほら、こっちだ! こっちだ! 着いてこい!」

 

「待て!」

 

「待てと言われて待つバカが居るかよ、ヴィランさん!」

 

バケモン達を指揮する様に飛び回っている、大鎌を持ったバケモンの完全体のファントモンを含むバケモン達から、現在も逃走中と言う訳だ。

 

流石に何処かで巻く事を考えるよりは何処かで進化して纏めて撃退、その後でアクア兄さん達と合流するのがベストだが。

 

「「ホーンアタック!」」

 

そんな事を考えながら、素早くガンマモンと意識をリンクさせ、ホーンアタックを叩き込む。

相手は完全体だが、不意打ちの必殺技は成長期とは言え、吹き飛ばす程度には効いた様子だ。

 

「き〜さ〜ま〜」

 

恨みの困った声と共に起き上がるファントモンが怒りに任せて俺とガンマモンを追いかける様にバケモン達に命令する。

 

「ここ迄おいで〜」とガンマモンと共に挑発すると、狙い通り俺とガンマモンを追いかけて来た。

 

あと1〜2年もすればもっと体力もつくだろうし、前の様に金髪ゴリラと違法捜査官を二人纏めて相手にしても、場所さえ選べば勝てる程度の身体能力や体力も付けられるが、残念ながら現状は小学五年生の体だ。流石に体力の限界も早い。

 

(昔から鍛えてたけど、まだまだ鍛え足りないか!?)

 

その辺の物を倒して、即席の障害物にしてファントモン達の動きを妨害しながら逃げ回る。

 

(そろそろ迎え撃つか?)

 

体力が切れる前にコイツらを倒して、アクア兄さん達と合流する事を考える。

出来れば、奴らの言う、他の七人の選ばれし子供達と合流して、こいつらのボスとの戦いに加勢したいけど闇雲に探し回るのは危険だと考えた。

 

「ガンマモン、そろそろ迎え撃つぞ!」

 

「おう!」

 

パルクールの要領で障害物を飛び越えて、時に態と倒してファントモンとバケモン達に対する時間稼ぎにして、距離を離す。

 

ダメージは無いが逃走時間の確保に成功した様で、後ろからはファントモン達の悔しげな「待てー」と言う負け惜しみの声が聞こえて来た。

 

「誰が待つかよー!」

 

ファントモン達には逃げながらそう言ってやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「サイキョー、サイキョー」

 

一度、自分を追いかけるファントモン達の姿が見えなくなった後、適当な部屋を見つけて其処で一度休憩する。

 

そろそろ、本格的に迎え撃つと言う事で休憩の間に、ガンマモンにチョコをあげる。

手持ちのチョコはそれしか無いけど、これから頑張ってもらうんだからな。

 

「それにしても……七人か」

 

年代が違うから「彼等」では無いだろうが、七人と言う人数は、やはり一つの伝説を思い出すしか無い数字だ。

 

「良し、ガンマモン、こっからは反撃だ」

 

「おー! 反撃! 反撃!」

 

俺の言葉にガンマモンもやる気の様だ。

結構逃げ回るだけだったのには不満が溜まってた様子だ。

 

僅かな休息だが、疲れも取れたので先ずはドアに耳を当てて外に何か居ないか探る。

相手は空中にプカプカと浮いてる連中ばかりなので不安は残るが、あれだけ挑発したので何かしら声は聞こえると思っていた。

……幸いにも敵の話し声は聞こえない。音を立てない様に、外の様子を伺いながら、ゆっくりとドアを開けて再度外の様子を伺っても敵の姿は見えない。

 

反撃開始、とは言っても部屋から出て早々に敵とばったり会ってしまうのは、流石にごめんだ。

 

「行くぞ!」

 

そのまま勢い良く外に飛び出す。

休憩するために一度ファントモン達を巻いたのが良かったのか、暫く走っていたが敵の姿は見えない。

 

すると、曲がり角に何かの影が見える。明らかに人間とは思えないフードを被って鎌の様なもの持った、人の上半身が浮かんだ様な影だ。

 

(メタルファントモンか?)

 

その特徴的な姿から想像出来るデジモンの名前を思い出す。

この位置なら、敵に気が付かれる前に不意打ちも可能だと考えた以上、先手はもらう。他にも数体のバケモンの影も見えるのだし、ここは先手必勝。

 

「ガンマモン、進化だ!」

 

「おう!」

 

前に飛び出すガンマモンへとデジヴァイスをかざす。

 

 

 

 

 

「ガンマモン進化! ベテルガンマモン!」

 

燃える心の炎を表す様な赤と白のツートンカラーの人型のドラゴン。ガンマモンから進化出来る三種の成熟期の一つ、ベテルガンマモンに進化すると、

 

「ソルブロー!」

 

炎を纏った拳をメタルファントモンが見えると同時に、その横面に叩き込む。

バケモンを引き連れたメタルファントモンが味方な訳はないので、思いっきりやって良し!

 

ベテルガンマモンにはメタルファントモンを吹き飛ばした隙に、取り巻きのバケモン達を優先的に倒す様に指示を出しておいた。

弱いとは言えバケモンの数は多い。手間取るであろう完全体のメタルファントモンと戦うよりも先に、敵の頭数を減らすのは早めに済ましておきたい。

 

「ベテルガンマモン、メタルファントモンを……え?」

 

バケモン達と一緒に居たのは驚きと怯え……そして、安堵の籠った顔でこちらを見る。見覚えがある女の子。

 

「有馬?」

 

以前映画に共演した……と言うよりも子役の活動は後にも先にもあの時だけだが、あの時に共演して、バブリモンとセフィロトモンに襲われた女の子、有馬かな、の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お台場に出現したデジモン達に捕まった人達は大人と子供に分かられ、子供達は纏めて一つの部屋に閉じ込められていた。

他の部屋にも閉じ込められているかもしれないが、それはそこに閉じ込めれている子供達には分からない事だ。

 

有馬かな、彼女もそこに集められていた子供達の中に居た。

誰もが恐怖に震えているのに周りからは泣き声一つ聞こえて来ない。威嚇する様に飛び回る見張りのメタルファントモン達に怯えているからだ。

 

閉じ込められた子供は時折、一人ずつどこかに連れて行かれて……戻ってこない。

 

(……怖いよ……)

 

以前、同じ様な事に巻き込まれたかなもそう思うしか無いし、こんな経験など何度体験しても慣れることはないだろうし、こんな経験など慣れたくも無い。

だが、あの時の様に、あの時助けてくれた彼に、もう一度助けに来て欲しいと願わずには居られない。そう願いながら、何度も洗濯して今は色褪せた、あの時に彼から渡されたハンカチを握りしめていた。

 

また一人連れて行かれるが、もう誰も抵抗はしない。勇気を持って抵抗したり、逃げようとした者が最初の頃は居たが、抵抗しても無理やり連れて行かれるからだと分かったからだ。

これ以上恐ろしい思いをしたくなければ、大人しくついていくしかない。

 

「お前だ、来い」

 

いつの間にかかなの順番が来たのだろう。目の前に現れたメタルファントモンがそう告げる。メタルファントモンがかなの腕を掴んで無理やり立ち上がらせる。

 

(……痛い……)

 

乱暴に掴まれた腕は痛むが、相手はそんなことは考慮してはくれない。

 

メタルファントモンが先頭にたって、手下のバケモン達がかなの周りを取り囲む。どこに連れてかれるのか、此れからどんな目に遭うのか、不安ばかりが宿る中、

 

(……誰か、助けて……)

 

叶わないとわかっていても、そう願わずにはいられない。

 

だから、それは単なる偶然だったとしても、

 

 

 

『ガンマモン進化!』

 

 

 

 

あの時の光景を思い出すには、十分な光景。

 

あの時とは違う赤い人型のドラゴン、ベテルガンマモンがメタルファントモンも殴り飛ばす。

それにバケモン達が困惑している間に、ベテルガンマモンはかなを取り囲む残るバケモン達を殴り倒していく。

 

「ベテルガンマモン、メタルファントモンを……え?」

 

かなが見上げた先に有ったのは、助けてと願ったあの時よりも成長したクリスの姿。

 

例え、それが偶然だったとしても……かなにとっては運命を感じずにはいられない再会だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと……立てるか?」

 

クリスの言葉に頷くと差し出された手をとって立ち上がる。恐怖から解放されて、緊張が解けたら、目に涙が浮かびクリスの胸の中で泣き始める。

 

「貴様……」

 

最初に不意打ちで殴り飛ばされたメタルファントモンがフラフラと起き上がる。

 

「ベテルガンマモン、頼む!」

 

「ああ!」

 

その一言で状況を理解してベテルガンマモンはクリスとかなを抱えてメタルファントモンからの逃走を開始。

 

「ほら、もう大丈夫だから。泣き顔は演技だけで良いって前にも言っただろ?」

 

暫く泣いて落ち着いたのか、少しずつ状況を教えてくれた。かな以外にも連れてこられた子供達が一ヶ所に集められている事、一人ずつメタルファントモン達に何処かに連れて行かれて誰も戻って来ていない事。

 

(……まだ八人目を探してるって事か)

 

ベテルガンマモンに抱えられながら前を見ると、狙い通りの場所に着く。

逃げ回りながら迎え撃つのに丁度良い場所を探していた。だから、この近くに誘導する場所は把握している。

 

「ベテルガンマモン、スライドエボリューション!」

 

そこまで誘い込むとかなを連れてクリスがベテルガンマモンの腕から飛び降りると、ベテルガンマモンは光に包まれて翼を持つ姿とも、人形の姿とも違う姿に変わる。

 

それは火力特化の四足歩行の角竜の姿だ。頭には巨大な大砲が備えられている。

 

「行け! ヴェズンガンマモン!」

 

「セドナ!」

 

頭頂部の2本の角の長射程の大砲、鼻の角の高射砲、4つの足先の小型の機関砲からの一斉射撃が追いかけて来たファントモンとメタルファントモン、バケモン達を撃ち抜いていく。

完全体二体はダメージはある様子だが、バケモンの様に致命傷には至っていない。

 

だが、それで良い。最初の一撃は牽制目的。ベテルガンマモンからヴェズンガンマモンに進化する前に飛び降りたクリスはかなを連れてヴェズンガンマモンの後ろに隠れる。

 

尻尾を床に刺してエネルギーを吸収するヴェズンガンマモン。

 

「ターゲットは其処だ」

 

ヴェズンガンマモンの視界を通してメタルファントモンとファントモンを視界に捉える。

 

そして、意識をリンクさせたクリスの脳裏に映るデータの中、その技を選択、

 

「「アルビオン!!!」」

 

長砲身から放たれた陽電子砲がファントモンとメタルファントモンを飲み込み、跡形も無く消し去った。

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