どうしてかは分からない。
けれど、あたしの足はすでに囚われていた。
「旅禍の一人を確保!」
「連絡を急げ!」
あたしは、囚われの身となった。
「随分と安い檻だね。壊せそう」
「いやいや、これでも瀞霊廷が誇る牢獄だからね? そんな簡単に壊されたら困っちゃうよ」
あたしの前には、ピンクの色が目立つ羽織を肩にかけた伊達男が笑っている。
妙にムカつく。意味はない。
「君は侵入者として捕まったわけだけど、暴れた理由とか話してくれない?」
「そんな尋問で話すと思ってんの?」
「話さなくても分かる事はあるからねー」
その瞬間、あたしは情報を渡さない事に徹した。
師匠から教わった無視・無表情・無感動だ。
師匠は言っていた。こういったタイプをどう言うか。
こいつ、クソみたいに嫌らしいやつだ……!
「なんか不当な名称を与えられた気がするけど、どうしよっか」
ヘラヘラとした顔がなんとなく昔の一護を思い出す。
最近は見なかったが、見覚えがあった。
ただ、こいつは一護みたいに素直じゃない。腹を見せてない面倒なタイプだ。
「僕は京楽春水っていう、まあ、それなりの立場の人なんだけど」
「だから?」
「返答してくれてありがと。だから君の友達がどうなってるか気になってるかなって」
「……」
「大柄な男の子は捕まったね。あと、細身のメガネの子も」
動揺させようとしている。
それくらいは、あたしでも分かる。
ただ、この後どうしたら良いのか分からない……。
「あと、そうだ」
少し勿体ぶるように男は人差し指を立てて笑った。
「素敵な女性は、一人いたよ?」
「織姫に何しやがったぁ!!!」
「そっか、彼女は織姫ちゃんって言うんだね。これはオレンジ頭くんにも使えるかなぁ」
本当に、あたしは交渉とか舌戦はしたらダメなんだろうな。
「こいつ!? 織姫に何かしたらタダじゃおかないから!!」
「君がどうするって?」
「……!?」
「僕は何をするとも言っていないから、君が何をしたいのかも分からないな」
とんだ、とんだクサレ道化師だ!!
「……あたしは、大切な人を守りたいから強くなったんだ」
「素敵な事だ」
「それを守れてないのが現状だ」
「悔しいねぇ」
「だったら、テメェを倒すには何かが知りたいよ。今のあたしじゃぁ、倒せないからねぇ」
「……そっか、それだけ大切な人だった訳だ」
「理解できなかったか? クソ野郎?」
「いいや、理解できたよ」
「だったら一発殴らせろ!!」
「残念ながら、それはできない」
額に当てられた指先から霊圧が迸り、あたしは意識を手放した。
一話長い? こんなもん
-
今まで通りで
-
短くて良いからもっと更新
-
遅くなっても良いからもっと長く