ヨン様の妹…だと…!?   作:橘 ミコト

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数ヶ月前から作曲を始めようと思ってて、買ったは良いけど機材が腐り始めてます。ミコトです。
やっぱ曲作りが難しい。目標は本作のOPとED的な奴を作る。


重い…だと…!?

 

「隊長格が卍解してもこの程度……。極めて残念です」

「はぁ……はぁ……」

 

 私──シャウロン・クーファンは落胆していた。

 

 眼の前で肩を上下させるのが護廷における隊長だと言うのだから仕方ない。

 確か……十番隊でしたか? 

 彼の、護廷の力も底が知れた。無意味に戦いを引き延ばすのも慈悲が無いと言えましょう。

 

「せめてその姿のまま叩き潰して差し上げましょう」

「なに?」

 

 目尻を吊り上げて威嚇する様は子供のよう。

 いえ、正しく子供なのでしょう。

 

 その姿に、どこか私は苛立ちを覚えていた。

 

 

「こちらの最大戦力でね」

 

 

 だからだろうか。

 私は、少年に油断ではなく嫉妬のような感情をぶつけていた。

 “心”を持たないはずの私がだ。

 自身の事ながら滑稽だと笑ってしまう。

 

 しかし、譲れない何かが、私の胸中で渦巻いたのだ。

 

 

「“()て”──五鋏蟲(ティヘレタ)

 

 

 驚愕に目を見開いた少年を見る。

 どうして、私も平静を装おうとするのだろうか。

 

「フム。一応名を教えておきましょうか」

 

 ……私の帰刃(レスレクシオン)響歩(ソニード)に全く反応出来ていない。

 失望を改めて覚える。

 那由他様が危惧していた事に疑問しか浮かばない。

 

 まるで赤子を相手にするように容易くその胸を切り裂いた私にとって、何がそこまでの刺激を齎すのか分からなかった。

 

 

「破面No.11(ウンディシーモ)、『シャウロン・クーファン』だ」

 

 

「……一つ聞きたい」

「ほう、何かね?」

「てめぇは自分を指してNo.11と言った。てめぇの強さは破面の中で11番目って事か?」

「いいえ。我々の番号は“生まれた順番”です。ただし……NO.11(わたし)より下に限ってですが」

 

 そして、1から10の数を与えられた十刃が実力でも存在でも特別であると語る。

 私よりも強い存在であると、わかりやすく伝える。

 

 ただ、貴様の問いに苛立ちすら覚える。

 私は虚と死神の境を超え、“破面”となったのだ。

 

 ならば、なぜ今更になって()()()()()敵を問う

 

 そして、その破面について嬉々として答える私も私だ。

 

 なぜ、私を聞かない。

 ──お前の眼の前にいるのは私なのだ。赤子の手を(ひね)ると先ほど表現したではないか。

 なぜ、私は聞かない。

 ──お前の眼の前にいるのは私なのだ。自身が名乗ったから名乗ってくれるとでも思っていたのか。

 

 私は揺り動かされる感情に動揺していた。

 

「はっきり申し上げましょう。私達、従属官は『十刃』の下にある」

 

 八つ当たりでしょう。

 自身の言動を客観的に判断する自分に失笑する。

 ええ、それが何か? 

 

 私は、従属官(フラシオン)は、王が失った欠片(かんじょう)を現すのです。

 であれば、彼を王と変えるのも私たちなのです。

 

「藍染様に第6(セスタ)の数字を与えられし我が王

 

──“グリムジョー・ジャガージャック”

 

 この()()()は何なのだろうか。

 これが“心”だろうか。

 

 

 

「彼の強さは、従属官(我ら)のそれとは別次元です」

 

 

 

 

 だからこそ言おう。

 

 我が王の偉大さを。

 我が王の尊厳を!

 我が王の(ほまれ)を!

 

「それは魂の片割れ、それは“心”の全て」

 

 虚における“心”とは何か。

 足りない(うつ)ろ自らを“足す”事である。

 

 

「貴様ら死神には分かるまい、だがその生き様がここにある!」

 

 

 それを示唆して下さった女性を思考に浮かべ、失笑する。

 微笑ではない、失笑だ。

 嘲笑でもない、失笑だ。

 

 あの方は悲しむだろう。

 だが、それが、私の背負った、背負いたかった“心”なのです。

 

 貴方が有るといった、“心”なのだ!!! 

 

「虚と死神の境界を取り払ったのが“破面”であると貴様らは言う」

 

 ならば私はその“心”を以て対峙しよう! 

 我が“心”の赴くままに!! 

 

 

「ならば、その()()とは何だ? 無闇に人を襲う事もなく、自らの目的を自覚し、主を戴きそのルールを則る我らは。少なくない犠牲を出しつつ武力をふるい、大義名分という錦を掲げ、護廷という組織に属す貴様らと──どうして死神と違うと言える?」

 

 

「……」

 

 疑問に無言で以て返す死神は滑稽である。

 己のルーツに疑問すら抱かないのだろうか。

 

 しかし。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……限定霊印が解除された」

 

 

 

 静かに告げた少年の声は、どこか迷子の様であった。

 私が虚圏(ウェコムンド)という荒野に投げ出された時のような。

 

「……俺たち護廷の隊長格は現世への影響を考えて、力を1/5に引き下げる限定霊印という物を受ける」

 

 その事実は知っていた。

 だから、那由他様も私達が帰れないと申されたのだろう。

 

 分かっていた。

 

 だから、死神に何か刻みつけてやりたいと思ったのかもしれない、

 幼稚な考えだ。

 

「それが?」

「……てめぇに()()()モンが他にねぇ。だから、俺の卍解を、本当の実力をぶつける」

「滑稽ですね」

「足りないかどうか、それを判断するのはてめぇだ」

「なら、ええ、そうですね。受けましょう」

 

 返す、ではないのでしょうね。恐らく。

 私が無いと言った“心”でも()()()()()のでしょうか。

 

 それは、楽しみですね。

 

 

 

 ──竜霰架(りゅうせんか)

 

 

 

 その(ワザ)は、酷く美しく、そして、醜く鮮やかでした。

 

 

 だから。

 

 

「これが返答ですよ、十番隊隊長さん」

 

 

 相手が崩れ落ちるほどの傷を与えられた事に、満足してしまうのです。

 

 

 でも。

 

 

「日番谷、冬獅郎だ」

 

 

 

 

 今、名乗るのはズルイですねぇ──。

 

 

 

 

 自らの意識が失われるのを感じながら、一石を投じた自分の言葉に満足して。

 

 

 結局、私は赤に染まる視界を閉じました。

 

 

 ──あぁ、那由他様。

 

 

 私は、貴方の側に、少しでも寄れたでしょうか? 

 

 

 ──あぁ、グリムジョー。

 

 

 私は、貴方の側に、少しでも残せたでしょうか? 

 

 

 

 

 

 

 ならば、私を誰がどのように評価しようとも、私は私を“こう”言えるでしょう。

 

 

 

 

 

 

 悔いは、“無い”と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ▲▽▲

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──シャウロンの気持ち、おっも……。

 

 

 

 

 

 

 いや、なんか皆そうなんだけどね。

 

『なんか、破面の皆様に同情するわ。……これがガバか』

 

 ──ええっ!? そこは同情じゃなくて同調でしょオレ!? 

 

 オレの動揺に俺が動揺する。

 漫画で見れたら感動出来たけど、なんか俺に対する想いが重くてそれどころじゃないんだわ。

 別に無感動って訳でもないんだけど、何ていうの? 

 自分が対象になると思ってなかったから(くすぐ)ったいというか照れ隠し的な? 的な的な。

 

『いや、うん、第三者視点で見る自分って言うか? ここまでの影響を少し考えようぜえ、俺ぇ……』

 

 

 俺はヨン様ことお兄様の拠点である虚夜宮(ラスノーチェス)から鑑賞(感傷)していた場面に感想を漏らした。

 賛同者はいなさそうだが。

 

 

『そもそも、貴方様はなぜ精神世界(ここ)に?』

 

 “天輪”の呆れ混じりのツッコミも慣れたものである。

 あれ、これは慣れたらあかんやつちゃうかな? 

 気付いたら負け。働いたら負け。Tシャツにも書いてある(杏並感

 

 ─ー強さ(精神の安定)を求めてたら精神と時の部屋に来るのはOSRだろ? 

 

『全くOSRでは無いんだよなぁ……。DB(ドラゴ○ボール)から勉強し直してどうぞ』

 

 オレが冷たい。

 BLEACHもJ○MPじゃん……。この言い訳意味ある? 伏せ字意味ある? 

 

『メタい』

 

 心を読むのはオレのキャラ的にアリだけど、そういう意味じゃないんだよなぁ……。

 

『しかし、こちらよりも現実を見た方が良いかと。真面目に』

 

 ──ア、ハイ。

 

 

 

 △▽△

 

 

 

「面白い事になっているね、那由他」

 

 

 お兄様が目覚ましボイスは勘弁な。

 

 俺は女子だけどさ、求めているのが違うからか、このタイミングのハヤミさんボイスは好みが分かれるんよ。ハヤミさんは大好きだけど。

 おい、今「女子?」とか思ったやつ前に出ろ? 

 俺も自分が女か否かは疑問だから今なら和解できるぞ。良かったな!(謎上目線 

 

 

「それで?」

 

 

 こんな怖いフリあるぅ……? (震え声

 

 何かニコニコしてるのは良いんだけどさぁ。

 それは圧迫と変わらんのよね。

 

 

 

 

ハイ、現世中継の内容から現実逃避していました。

 

 

 

 

 え? ちょ、まっ! 

 ただ俺の時間をくれっていう悲鳴なだけなんだけど。

 分かったから、オラに時間を分けてくれ! (錯乱

 

 現状はお兄様と一緒に、二人きりで、何故か現世鑑賞会をしております。

 

 ほんとなんで?(白目

 

 

 

「君がグリムジョーを促したから見てみたのだけれど」

 

 

 

 これは処刑確定では? 

 アカン失敗したのでは? 

 俺が亡くなるなら双極の丘と思っていたが、運命はここだったか。

 受け入れよう、残念ながら! 

 

 

 

「面白いね」

 

 

 おっと、俺に都合の良い幻聴が聞こえた。

 ヨン様がそんなそんな……。

 

「初めに言っただろう、面白いと。君はどう考える?」

「承りました」

 

 無愛想先生は今日も良い仕事をしてくれます。どんなボールも受け取れる名キャッチャー! 

 ただこの先生、ポーカーフェイスは役に立ってないらしいんですけどね。

 俺に無愛想先生と無表情先生の違いは分かりませんが。

 

「お兄様が見過ごしているだけかと」

 

 おい、このキャッチャー素質ねぇぞ!?

 

 でも、「お兄様、これはガバっすわぁ」って見過ごしてもらってるのは俺だから責任擦り付ける意見すら俺っぽいですわ!

 自業自得で草も生えない。

 

「ほう、その見過ごしを重視している訳だね」

 

 デッドボールをストライクに持っていく技術は流石です。名キャッチャー! 

 先生は感情コントロールを度外視した顔面操作でも右に出る者はいない! 

 

『てのひらクルックルやん』

 ──だまらっしゃい! 

『インパクトドライバーと反転術式、どっちがイイ?』

 ──どっちも分かりにくくて草。しかも後者はクルクルとは意味違う。五条さん的にはクルクル出来そうなのが困るけど。

 

『いい加減にしなさい……?』

 

 ハイ。

 

 精神世界(会話)をシャットダウンするしか亡くなった、いや、無くなった人が俺です。オレにしたい。

 死覇仮面はありですか? ないですか? そうですね……。

 

 俺って何か、“俺”以外の意思多すぎ……? 

 

 

 

「──那由他は破面と護廷、ひいては現世にいる黒崎一護たちの具合を測ろうとしつつ、これを見せる事で十刃落ち(プリバロン・エスパーダ)の促進も見越していたのかな」

「……」

 

 

 ……ヨン様の話を何も聞いて無かったんじゃが、どうすれば良いのか。

 

「ドルドーニ、チルッチ」

「「ハッ!!!」」

 

 何かつい知ってる子を呼んでしまった。

 話についていけていないからスマンな。

 

「期待しています」

 

 

 

「「ハッ!!!」」

 

 

 

 無愛想先生、違う、そうじゃない。

 

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