「ディ・ロイ……」
俺──グリムジョー・ジャガージャックは呟いた。
今まで知らなかった臣下の姿を見て。
今まで知らなかった仲間の想いを見て。
行動どころか、言葉すら発する事が出来なかった。
その想いとは"心”なのだろうか。
それすら分からない俺に取れる行動は一つしか無かった。
「死神」
「……なんだよ」
俺よりも先にこの場へ、ディ・ロイと人間が争う場へと辿り着いていた死神に俺は言葉を述べる。
そこには二人の死神がいた。俺よりも弱そうではあるが、この場へ水を差さず静観しているだけで気に入りそうだ。
「──ありがとよ」
相手の反応を伺う余裕すらない俺は、ディ・ロイが消えゆく光景を目に焼き付ける。
冷静に言葉をこぼせても胸中は別だ。
誰が奴にこんな姿を晒した。
誰が奴にこんな醜態を晒させた。
誰が奴にこんな惨めを齎した。
誰が奴にこんな、想いを抱かさせた!
俺だ!
俺を『王』と信じさせた!
だからこそ、俺はこいつらの『王』でなければならない!!
「てめぇら死神のおかげで、俺は『王』を背負う意味を知った」
だからこそ、俺は言う。
「名前の意味なんてクソ食らえだ! 俺は、もっと強い道を──!」
そこまで言って、はたと気づく。
俺が今まで見ていた奴らは、俺が今まで見ようとしていた奴らは何だったのか、ってな。
俺は、魅せていた、のか?
知った事か!
でもよぉ、
「俺の
「……たりめぇだ」
「あ?」
「当たり前だって言ったんだ! その姿を見て、”心”が
その通りだった。
霊圧の変化で知っていた。奴らが去っていったことを。
だからこそ、分かったように言われる事が癪に障った。
俺は表面的な部分での、触れた気になったような”感情”というモノに左右されただけなのかもしれない。
「そうかよ」
だが、それでも!
「俺が『王』だと、死神共にも見せつけなきゃならねぇな」
この願いだけは変えられない!!
俺は一足飛びに二人立つ死神の片側へと寄ると手刀を放つ。
男女でペアのように立つ二人の死神、その女の方へ向けてだ。
自身の昂ぶった”心”という何かを抑えつけたくて、無意識に無駄な牽制をしてしまった。
「ぐっ……!?」
それを眼の前の女死神は防ぎやがった!
ハハッ!
実力は大した事なさそうな霊圧してる癖にやるじゃねぇか!
「なろ!?」
俺の行動に反応した男死神も大したことねぇ。
嬉々とした顔のままに迎えた男の顔。
そこには、必死に女死神を守ろうとする意志が見えた。
俺と戦うよりも、護る確かな目的があった。
その中に眠る力すらも使わずに。
いや、使わせずに。
─────は?
もっと実力があんだろ、もっと俺に見せてみろよ。
何で出し惜しみしてやがんだ?
意味がわからねぇ。
俺よりも強いと思ってんのか?
実力を出す条件でもあんのか?
誰でも守れると思ってんのか?
─────は?
ナメてんのか……?
その思考に至った瞬間、俺は抑えきれなくなった。
「
「そこまでです」
そこで、撤退の合図とも言うべき声が聞こえたのは幸いなのかもしれない。
今思えばだが、俺が五体満足で帰れてた時点で。
▲▽▲
「そこまでです」
チャドと破面の激闘を見守った後に、その親玉っぽい奴と戦端を開いた直後。
俺──黒崎一護は見知った声を聞いて体が凍った。
破面が止まってくれて助かったと素直に言える。
それくらいヤバい硬直だった。
「許可はしましたが、
「……ッ」
舌打ちだけを返して反抗する様子のない破面に困惑する。
この叱責する姿や、困ったような雰囲気を出しているのは、その姿は……!?
「なゆ、ねぇ……?」
こんがらがったままの思考で言葉を発する。
それに対して、困ったように返す口調は『那由姉』だ。
理解できるからこそ困惑する。
俺の知ってる那由姉だ。
幼い頃から可愛がってくれた、そんな人なのだ。
母ちゃんが亡くなった時も、側にいてくれた人なのだ。
どんな時も、側にいてくれた、姉なのだ……。そして。
「いつでも、一護は可愛いですね」
口調だけで苦笑している姉。
顔が無表情のままだ。
しかし、今のままでも、その表情からで感情を読み取れた。
ただ今では、その表情から以上の隠された想いは読み取れないが。
「グリムジョー」
「……はい」
「学べましたね? 強さというものを」
「……くそ」
「よきです」
うっすらと笑顔を浮かべる姿を認められない。
なぜ、その人が破面の側にいるのか、という意味が分からない。
短くてスマン
冒頭の曲は単純なオススメ系で。ステマですら無いので、気にしないで下さい