ヨン様の妹…だと…!?   作:橘 ミコト

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壊した…だと…!?

 

 

 今、現世へとグリムジョーを止めに来た俺の両隣には、十刃落ち(プリバロン・エスパーダ)がそれぞれ控えている。(白目

 

 

 

 控えてた子を引き連れているのは、俺は悪くない。

 

 

 

 最初は、俺がグリムジョー鑑賞会へ呼んだんだもん。

 ヨン様とのタイマンよりも教え子の顔を見たかったんじゃ。でもいつの間にかヨン様が乱入して現世に突入しただけなんじゃ。

 個人的にグリムジョーを見ようとしたら、「面白いじゃないか」みたいなノリでヨン様にキャンセルされましたが。

 

 現世へ来た理由? 

 

 そら、DJ・KANAMEに突入されないためだYO! 

 

 

 

 ヨン様のところで胃痛と戦っていたが、もちろん観察という監視をしていたので現状も把握済み。

 何故か知らんが各所で好戦している胸熱バトルも、原作というフィルターを通して見ている俺から見ればハラハラものである。

 

 ”お願いだから勝敗は覆るなよ? ” という感じの。

 

 なんか超強化されている両陣営に対して、祈りの姿勢を見せる事しかできない無力な俺です。

 

「なゆ、ねぇ……?」

 

 あ、苺が脳破壊されてーら。

 

 以前とは違って死覇破面(アランカル・パルカ)もしていない。

 そんな俺を見て、苺が信じられない顔をしている。

 色々な疑問を俺にぶつけたいよりも、単純に衝撃が大きい感じだろうか。

 

 

 愛しいなぁ。

 

 

 のほほんとした感想を脳内で漏らす。

 まあ、脳は持って無いんですけどね! (ギャグ

 

「いつでも、苺は可愛いですね」

 

 おっと、俺の本音がだだ漏れした。

 更に悲壮な顔になった彼にゾクゾクとしてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 いや、ちょい待ち。

 

 

 

 

 

 

 

 なんで俺の思考は今こんななの? 

 

 もうちょっと平和的ではあったと思うんですが! 

 そこんとこ、どうなの、おいオレ!! 

 

『なんでもかんでもオレのせいにするの、いくない』

 

 大体がキミのせいでしょ。

 

『否定できない悲しみが辛いわ』

 

 ってことで、言い訳どうぞ。

 

『単純に同化が進んだ』

 

 産業すら要らない、だと!? 

 

『三行な。今北産業が伝わる人って、どれくらいいるんやろな』

 

 ケラケラと笑うオレに戦慄する。

 ジェネレーションギャップで驚いているのではない。それもあるが。

 

 

 ──え、オレとの同化って現在進行形なの? 

 

 

 これである。

 

『だって、オレは虚だもん』

 

 至極明快な回答に吐き気すら覚えるが、笑えてくるのも不思議である。

 

『“俺”を主と認めてるけど、別にオレの自我がある訳だし。そらモチのロン、下剋上は狙うでしょ。”天輪”にバレない範囲で』

 

 既にバレてる件について──、いや。

 そうか、俺に伝えてる時点で既に”天輪”にバレた後の事後処理なんだな。

 

『ご名答~』

 

 そんな状況でここまで気楽に接する事ができるオレに畏怖すら覚えるわ。

 

 

 ただ、俺はオレに負けない、負けないんだから! (フラグ

 

 

 

「どういう事だよ、那由姉ぇ!」

 

 

 

 話題転換は別として、苺の叫びに愉悦を感じている俺は、ああ、“オレ”なんだと深く感じた。

 

 ここに来る過程やらを噛み締めて、そんな俺を大事な家族と信じてる姿! 

 あぁ……、生きててよかった。

 

 

「分からないでしょうね」

 

 

 俺は万感の想いを込めて。

 

 

「それが、理由です」

 

 

 言葉足らずの、一方通行の想いを呟く。

 

 

「分かんねぇよ! なんの想いだよ!?」

 

 

 苺が可愛い。ルキアが可愛い。

 冬獅郎きゅんが、恋次が、乱菊さんが、一角さんが。

 

 

 全てが愛しい。

 

 

 だからこそ言う。

 

 

 

 

 

「足りません」

 

 

 

 

「……は?」

 

 

 

 

 苺の呆けた声に夢想する。

 この想いが、どこまで高みに届くのかと。

 

 

 

「愛すべき(キャラ)の、行く末を見届けます」

 

 

 

「わっかんねぇよ!? 何で那由姉がそこにいんだよ!!」

 

 

 

 しかし、苺の想いを断つように。グリムジョーが静かに恫喝する。

 

 

「うるせえよ」

 

 

 この想いを汲み取れないが、俺の愉悦は捗るだろう。

 

 

 

 

 

 ……え? 

 

 俺は周囲を巻き込んだ愉悦をしたいんだっけ? 

 あれ? 

 なんかオカシイ。

 俺は、オレは、俺は……? 

 

 

 

 

 

番外(フエラ)はお前たちと並び立つ存在じゃねぇんだ。そのチンケな自尊心を抱いて喰われてろ」

 

 

 グリムジョーの言葉に瞠目する。

 え、キミってそんな俺のことを評価してくれてたん? 

 

 頭を振り、意識を保とうとする。

 そうだ、俺は苺とルキアの曇る顔を見たいだけ……。

 グリムジョーの言葉やら、今まで見た従属官(フラシオン)に意識を左右された訳ではない。

 

 

 ──意識を左右された? 

 

 

 俺の感情による混乱が起きる。

 

 俺は俺だよね? 

 あれ、いつの間にか変に影響を受けてる? 

 

 

 

 

 

 思考のドツボに陥っている俺。

 なにが正解かも分からぬまま、何かを掴み取ろうとしている姿は滑稽だ。

 ただ、何かを掴みたいと藻掻く様が滑稽だ。

 そんな姿はピエロでしかない。

 

 それでも、

 

 

 

 

 

「ふざけんな!!」

 

 

 

 

 一護は吠えた。

 

 俺のために、その全霊を燃やしてくれた。

 

 

 

「俺の想いが誰を見て生まれたと思ってんだ、俺の想いを誰に伝えたいと思ってんだ!!」

 

 

 

 その魂を燃やしていた。

 

 

 

 

「ここで、那由姉の姿を見て、誰が引き下がれるかよぉ!!!!」

 

 

 

 

 一護が吠えた。

 俺のために、その全霊を燃やしてくれた。

 

 そこに大きな疑問もあるだろう。

 

 なぜ、破面と一緒なのか。

 なぜ、無事なら連絡してくれなかったのか。

 なぜ、一護と共にいられなかったか。

 

 笑うほどに純粋な想い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だからこそ、曇らせたくなるって──“俺”の想いを察せずままに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一護、もう良いのです」

 

「は?」

 

 グリムジョーへと振るわれた義憤の刀を、俺は止める。

 天輪は憐憫の情を深め、オレは喜悦の花を咲かせた。

 そこに宿るのは「愉悦」なのだろう。

 しかし、俺は苺の、いや、一護の顔に恍惚としてしまった。

 

 

 

 

 

「なん、で、だよ」

 

 

 

 

 

 全てを、打ち砕かれたように。

 

 

 

 そこには絶望が宿っていた。

 

 

 

 全ての希望が朽ち果てたように。

 全ての望みが折られたように。

 全ての未来が願望であったかのように。

 全ての理想が夢であったかのように。

 全ての歩みが無駄であったかのように。

 全ての言葉が欲望であったかのように。

 全ての理想が独善であったかのように。

 全ての情が独りよがりであったかのように。

 全ての気持ちが、

 

 ──自己満足であったかのように。

 

 

「うそ、だろ……?」

 

 

 苺の曇り顔でしか摂取できない栄養素があります、なんて思っている俺である。

 ほんまにクソ野郎やな。草も生えない。

 

 苺の顔を見てニヤケ顔を晒すのはマズイと思ってはいるんだ。

 ただ、予想以上のモノをぶつけられてて困惑してる。

 

 

 ニチャリたいけど、出来ない!? 

 

 

 だって、まだ原作的には中盤も中盤! 

 俺がここでヨン様のシナリオを崩す訳にもいかん。殺されたくないし。

 

 あれ? 

 オレの影響ってどこまで? 

 

『それはもう、混ざりすぎてて分からない件について』

 

 いやぁ~、分かっててよぉ。

 俺の原作知識がガバだから、今後の対応はマジで分からん。

 

『お、おう……。こんな場面でも客観的に自分を見れるって、割と精神が人外やぞ』

 

 おろ? 

 俺の感性がバグってる? 

 

(オレ)から、あえて言おう。バグってると』

 

 Oh……、苺が可愛いとだけ言っておこう。

 

 

 

 

 そんな、「訳わからんままでスマンな!」感で出てきた俺に脳破壊されている苺を愛しいと思いつつ、俺は微笑みを浮かべている事しか出来ていなかった。

 

 なんか、マジで苺に対して罪悪感が芽生えている。

 

 

 

 

 だって、この後は何も考えてないのよ……? 

 ほんとなのよ? 

 

 

 

「まるでショコラテのように甘いな、ニーニョ」

「うざったいにも程があるんだけど?」

「立ち向かうならば潰そう」

 

 

 

 ドルドーニ、チルッチ、ガンテンバインという側にいた強者が零す。

 己の矜持に沿わない出来事と、自らが成したい明日を。

 

 本当に脳破壊展開すぎて草すら生えない。

 

 せめて草は生えさせてヨン様ぁ。

 

 

 

 

 

 あ、これは俺のせいだわ。(草

 

 

 

 

 

 

 ▲▽▲

 

 

 

 

 

 

「あそこで、那由他さんがああやったら……分かってはったんでしょ?」

 

 ギンが問う。

 私──藍染惣右介の名に懸けて言おう。

 

 

分かっていたと。

 

 

「破面も結構な数が消えてもうたし」

 

 ヘラヘラと言葉を紡ぐギンに焦りや困惑は見られない。

 当然だ。彼は私の隙を生みたいのだからね。

 

「所詮は、元、最下級(ギリアン)だ」

 

 純粋な笑みを彼に魅せたつもりだが、おや、何か強張っているね。

 まだまだ人間を捨てられていない証左だ。

 

「言うたかて、那由他さんの鍛錬で相当な数が壁を超えましたで。……最大級大虚(ヴァストローデ)って形で」

 

 余裕の感じられない声を面白いと感じる。

 きっと、那由他の目によって予定が狂ったのだろう。

 そして、私の予定との齟齬を感じ取っただろう。

 

「それを、キミはどう判断するんだい? 他者の支配を受けたくないと言ったキミが」

「……」

 

 私の皮肉にも気付いているのだろう。

 やはり思考が早い。

 

 ボクは、ギンが5番隊へ入る際に聞いた。

『何を成したい?』と。

 そして、ギンは意趣返しとして言った。

 

 

 ──『ボクらを支配しようとする人には負けたないですね』

 

 

 それは支配を前提とした考えに対抗する意見であった。そして、支配を否定してもいなかった。

 

 ただ、自分の大切な存在を護る行為であった。

 

 

「他者と身内を明確に区分するなら、その境界線は感情だろう。虚に求めるものではないね」

 

 

 面白いと思う。

 その感情の境界線も分からぬまま、他人の情動を評価している。

 客観的に見ておかしいだろう。

 しかし、その情動こそが、私を導く(しるべ)となった。

 

「誰が示した、その頂の道を。誰が(さと)した、その頂への道を」

 

 私の口角は上がっているだろう。

 この光景を魅せた人物に対して。

 

「誰が示した、その過程を。誰が諭した、その苦労を」

 

 私は、自らの(おご)った精神を叩き直されているのだ。

 

 

 

 

 

「那由他の示す未来を、どうして見られずにいられようか……!!」

 

 

 

 

 

 彼女が示す未来を知りたいとは思わない。

 なぜなら、知った時点で、「彼女の描く未来」に行き着くからだ。

 

 私の望む未来は違う。

 私の描く未来は違う。

 私の抱く未来は違う。

 

 私の嫌う未来は違う。

 私の拒む未来は違う。

 私の(おと)す未来は違う。

 

 私の。

 

 私の果ての未来は、違う。

 

 

 そんな自己否定と欲求を理解してもらおうとは思わない。

 ただ、彼女が成したい事を、こう評しよう。

 

 面白い、と。

 

 

 

「面白いよ、那由他」

 

 

 

 彼女はグリムジョーを伴って私に頭を下げている。

 十刃(エスパーダ)がいる場でだ。

 

「独断専行でした」

 

 端的に告げる姿はいつもと変わらない。彼女だ。

 

「いや、面白かったよ。君の姿にどのような反応をするかも含めてね」

 

 私は紅茶を飲む。どうやらダージリンのようだ。個人的にはアッサムの気分だったが言うまい。

 

「君よりも配下の虚が踊りそうだ。しっかりとリードしてあげるんだよ。一人で勇んでは相手にも恥をかかせるからね」

 

 グリムジョーではないが、先走りそうな者に牽制をかける。

 あくまで、私の目の届かない部分だが。

 しかし、

 

「お兄様の手を煩わせる事はないでしょう」

「ほぅ」

 

 彼女の、妹の進言はいつも心を踊らせる。

 

「見えていないならば、見える目を置いておけばよいだけです」

「君が?」

「不満でも?」

「ないさ」

 

 まるで、黒崎一護だけでなく現世、ひいては十刃を含めた破面すら監視下に置くという発言だ。

 試しをしてみても、

 

「お兄様、私のプライベートは見ないでくださいね、本当に」

 

 なんて、釘を刺されてしまった。

 

 

 そんな彼女を信じよう。

 

 

 

 なにせ、彼女は数百年前からボクの側にいたのだから。




こんな時間ばっかりの更新で申し訳ねえ
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