苺の脳破壊展開が終わり、
それとなく俺のプライベートを死守した点は、「今の流れならいけんじゃね?」という勢いだ。
苺の曇り顔を見てテンションが上がっていたのかもしれない。よくヨン様相手に普通に言えたな、俺。
今振り返ってみても中々の度胸である。
これは、俺のメンタル強度も上がってきているのではなかろうか!
そんなルンルン気分で次の日を迎えたわけだが、
「藍染様、この者の処罰の許可を!!」
そういえば要っちは昨日の場にはいなかったな。
確か原作だとグリムジョーの片腕を消し飛ばしてたわ。忘れてた。テヘッ★
「彼の今回の行動は御し難いほどの忠誠心の表れだと、私は思っているよ」
「しかしっ!」
「それに、今後は那由他が彼を見るという」
「那由他様が……」
目は見えていないものの、眉間にシワを寄せ鋭い眼光をGJJJに向ける要っち。
このシーンの存在をすっかりと忘れていた俺だが、別にGJJJの腕が飛ばされようが構わない。
むしろ、そちらの方が原作展開に沿うし、一息にやちゃって下さい統括官殿!
あれ?
腕を切られないGJJJって、十刃落ちするのだろうか……?
流石に
おっと、ここにきて俺のガバがアップを始めたようですよ?
忘れた頃にやってくるガバとか、サブリミナルガバかよ。いわらんわ、永久に忘却させてくれ。
でも、ガバやってんのに気付かず破滅するのだけは勘弁な。そのタイミングは少なくとも今じゃないんだわ。
え、えっと、つまり……要さん、ヤッちゃって下さい! オナシャス!!
「けっ! 私情だなぁ。統括官様が俺を気に入らねぇだけじゃねえか」
「私は調和を乱す者を許すべきではないと考える。それだけだ」
「はっ! 大義を掲げるのがお上手なこった!」
「そうだ、大義だ。貴様の行いにはそれが無い。那由他様に庇われている、己の失態すら理解できていないらしい」
「んだと!?」
要っちとグリムジョーの煽り合戦を黙って聞く。
沸点低いんだから、GJJJには無理だと思うけど。
てか、このままだと要っちが渋々でも納得して矛を収めそうなんじゃが!?
収めてるのは刀だけどさ! それ抜き放ってもええのよ!? むしろ抜けよ! 俺の事を想って抜け! なんかエッチだな!
「大義なき正義は殺戮に過ぎない。だが、大義の下の殺戮は正義だ」
俺の想いは届かず、要っちは抜かなかった。その細くて長い物は鞘を被ったままだ。
ちくしょう!
俺の好感度が謎に高いせいで、要っちが俺で抜いてくれない!
違う。抜くだけじゃ意味がねーわ。
これじゃあ、GJJJの腕を切ってくれない!
と思ったが、ここで俺の灰色の脳細胞に電流が走る!
本物は変態が持ってるんだけど、電極でも刺されたのかしら。
GJJJの腕を切り落とす事が目的ではないじゃない!
そう。
両腕あるグリムジョーが次に苺へ会った時、どんな変化が起こるか分からんが、ルピくん不在よりかはええじゃろ。多分。
そもそも止めたの俺だし、意味もなく切るわけにもいかんし。
でも、代わりに第6位は剥奪ね!
ルピくん、カモン!
「……では、
「「えっ」」
え?
俺の背後から思わずといった声が複数上がる。
どの部分に対する「えっ」なのだろうか。もしかして俺、なんか変な事言っちゃった?
でも、昨日はヨン様に直接俺が面倒見るよって言ったし許可も貰った。
そこまで変な事は言ってない、よね?
何なんだい、この空気は……。
GJJJだって破面なんだから、仲間外れみたいな雰囲気は良くないよぉ。
「それで良いかい、要」
「……はっ」
この空気を物ともしないお兄様。
微妙な表情ながらも了承の返事をした要っちは、早々に踵を返しこの場を去っていった。
えっ、要っちもそういう反応なの。
「ちっ……」
要っちに少し遅れ、グリムジョーも出ていこうとする。
ちょちょちょ、ちょっと待ってよぉ。俺を置いてかないでぇ。
少しくらいは感謝してくれても良いのよ?
君の腕が無事なのは俺のおかげ。要っちが引いてくれたのも俺のおかげ。お兄様が何も言わないのも俺のおかげ。
そして、君は俺の下とはいえ、ある程度の自由を得られて苺と戦えるんだぞぉ!?
あれ? 言ってて思ったが、わしファインプレーじゃね?
もっと褒めてくれても良いのよ! (ドヤァ
「しかし、何回も自由に動かれては──私も君を許せなくなる」
瞬間、俺の肝がヒェってなった。
お兄様、急に喋るのは良くないからやめて。
少し滲み出している霊圧は、俺にとってはそよ風に等しいが周囲に待機している破面たちにとってはそうでも無いのだろう。ピリッとした緊張感が一気に場に満ちた。
「ウルキオラ」
「は、ここに」
「空いた
「かしこまりました」
「そのためのメンバーを選出しておきたまえ。なに、ほんの数人で構わないだろう」
お兄様の言葉にコクンと静かに首肯すると、ウルキオラは控えたまま何も喋らなくなった。
指令の内容を全く言っていないのに頷くとかスゲェな。やはり心を知るには織姫ちゃんが必要。
俺だったらビビって文句も言わず頷くことしか出来ねえな。あ、結果だけ見れば同じだ。
って、そうだ、織姫ちゃん!
またしても今後の展開をド忘れしていた俺はヨン様の指示で思い出す。
確か、このウルキオラへの指示は織姫ちゃんを拉致ってこいってやつだ! 今日の俺は冴えている!
調子に乗って、No.6の選考に口出しちゃおっかなー!
「No.6に適任と思われる者がいます」
「ほう」
チラリと俺をヨン様が見つめる。
その顔は面白いものを見つけたとばかりに微笑んでいた。テライケメンである。なお、俺は恐怖しか感じ取れない。
なんで調子に乗っちゃったの、俺? バカなの?
せめて少し考えてから思ったことを口にしてくれませんかね、無愛想先生。(責任転嫁
「ならば、その件は君に一任しよう」
結果オーライ! ナイス無愛想先生!
俺の意思を汲み取り、即座に反映させる有能!
「では、これで」
簡単な挨拶を行い、俺は充足感で胸を膨らませながら部屋を出ようとヨン様に背を向ける。
そこには俺の側近としてハリベルとネリエルがいた。その更に背後に
えっ、なんでそんな隊列作ってんの? 鋒矢の陣かな?
てかいつの間にかめっちゃ増えてんじゃん。俺はハリベルとネリエルとGJJJしかこの場には連れてきてないぞ。
流石にビビったが、そこは無表情先生である。
特に反応を示すこともなく、静静とその場を後にした。
「那由他様の下にいるというのなら、今後はあのような勝手は許さないから」
ヨン様から離れ歩き出し暫く経つと、俺の後ろでぞろぞろと大名行列のように連なり歩いていた集団の先頭、ネリエルがボソリと呟いた。
恐らく、グリムジョーに対する警告をしたのだろう。君ら仲悪いね。
「うるせぇ」
「未だ私は貴様の行動を認めてはいない。肝に銘じておくのだな」
今度はハリベルだ。君ら仲悪いね。
「そこまで邪険にする事もあるまい。吾輩は迎え入れよう! 元十刃という同じ肩書を持つ者同士、気が合うやもしれぬ!」
「うるせぇ……」
「なーによ、辛気臭い態度とって。いつもの傍若無人っぷりはどうした訳ぇ?」
「チルッチも煽ってやんなよ。いや、ドルドーニは素だろうけどさ……。ま、仲良くやろーや」
「うるせぇ……!」
プリバロンズは番号を剥奪されたGJJJの気持ちを汲んでいるのか、やけに馴れ馴れしい。君ら仲良いね。ガンテンバインは苦労しそうだけど。
さて、こっからは苺たちの修行と織姫ちゃんの拉致。
その後に遂に苺たちが虚圏に潜入してくる訳だけど……。
何か忘れてね?
うーん、なんか大事なことを忘れている気がすんだよなぁ。
「那由他様、どうかされましたか?」
俺の背中から、何か悩んでいる雰囲気でも感じ取ったのか。ネリエルが隣に来て真剣な顔で声をかけてきた。
まだ大人の姿だからか、俺とそう大差ない身長だ。他の子だと下から上目遣いに覗き込まれる事が多いのでちょっと嬉しい。
いや、ネリエルも
……ん?
あっ。(察し
ネリエルがネル・トゥになってない。
ネリエルがネル・トゥになってない!!??
誰のせいだ! 俺だ!
俺がノイトラから庇ったからだ!
ヤベェ、どうしよう!?
アホかな!? 正解だよ!
お久しぶりです。
更新は今後もマイペースですがやってきます。