ドラゴンクエスト9 AngelsTale2   作:彩波風衣

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セントシュタイン王家のストーリークエスト、完結へ行きます。


10「真相への道」

 

 それは、ルディアノ会合の翌日に起きた出来事であった。 その日もセントシュタインの宿屋で一泊していたフィリス達は、国王に呼ばれて城へ招かれた。

 

「ただいま参りました、セントシュタイン王様」

「よくきてくれたな、フィリス達よ」

 

 玉座の間に訪れたフィリス達を、国王は歓迎した。 そういえば、こうして国王に会うのはあの薬を渡して以来だ。 あれから彼に、変化はあったのだろうかと思いそのことを問いかけてみる。

 

「そういえば、あのドリマイザーどうでした?」

「ああ……そのことでは世話になったな。 あの後、あれのもの凄いニオイに耐えて、がんばって眠ってみたぞ」

「ホントに寝たんですか」

 

 ドリマイザーとは、悪夢に悩まされているという国王のためにフィリス達が見つけだした薬のことだ。 その薬を開発した者によれば、そのフタを開けて側に置いておくだけで悪夢が去るというものらしいがそれを口にしたら命がないだけでなく、なんともいえないニオイが漂うという、とんでもないシロモノである。

 そんな怪しいものの側と奇妙なニオイの中で眠れたとは、国王も一国を治めているだけあって肝がかなり座っているのかもしれない。 そんなことをフィリス達が考えている目の前で、国王は首を横に振った。

 

「…………実は……まったく、効力がなかったのだ………」

「えっ!?」

「そんな、あたし達も……あれで効果があると言われたから………持ってきたんですけど?!」

「うむ、わしも……そなたらがウソを言っているとはおもえん。 このドリマイザーこそが、悪夢をはねのけると………そなたらも信じておったのだろう………」

 

 あのドリマイザーが効力を発揮しなかった。 その事実にフィリス達は驚き、セルフィスがなにかを考え込むような顔になっていた。

 

「………だが、効かなかった。 わしはまた……悪夢をみたのだ……」

「確か、以前に話してくださった悪夢の内容って………誰かが王様のことを呼んでいる人影………というものでしたよね? 全く同じ内容なんですか?」

「そう、同じだ………が、少し変化が現れた………」

「………変化………」

 

 国王は、悪夢の内容をフィリス達に打ち明ける。

 

「大きな棺のようなものが、どこかの地下室にあるのが見えてな………。 そこから恐ろしい魔物が現れ………わしにこう呼びかけるのじゃ。 封印をとけば、帝国から守ってやる………とな………」

「………帝国………」

 

 やはり、帝国というワードが引っかかる。 まさかと思った国王は、自分の中に浮かんだある説を打ち明けようとした、そのときだった。

 

「国王様にご報告申し上げます!」

「なんだ!?」

「城の井戸の奥にて、怪しげな部屋と……巨大な棺のようなものが発見されました!! ちょうど、この城の真下にあたる空間だと思われます!」

「棺!?」

「な、なんじゃと!? それはまことか!」

「はっ!」

 

 国王の夢に出てきたという棺が、このタイミングで見つかった。 これは、偶然ではない。

 

 

「…………このことは、誰にも漏らしておらぬだろうな?」

「はっ………」

 

 いつものように頷こうとした兵士だったが、そこでふとあることを思い出しそのことを告げる。

 

「い、いえ! 先程姫様に何かあったのかと聞かれたもので………ついうっかりと…………」

「フィオーネ様!?」

「………フィオーネ……か………。 まぁよかろう。 そんなことよりも、だ」

 

 フィオーネ姫が棺のことを知ったことも気にはなるが、国王はフィリス達の方を向いて、話をした。

 

「フィリス達よ」

「はい」

「棺が見つかったとなれば……もはや、あれをただの悪夢と、片づけるわけにはいくまい。 城の地下で見つかった棺と、わしの夢に出てきた棺が同じものかはわからぬ………。 そこで……頼みがある」

 

 そして、国王は彼女達に依頼を申し出る。

 

「これより、城の地下で見つかった巨大な棺の様子を………見に行ってはもらえぬか?」

「王様……」

「本来はそなたらには、ドリマイザーが効かなかったことを報告し相談するだけのつもりで呼び出したのだが………このような事態になってしまった以上…………そなたらの手を借りなければならない。 そんな予感がしたのだ。 ………すまぬが、よろしく頼む………」

 

 国王の依頼となれば引き受けないわけにはいかないし、ここまできたら、謎を解明しないと自分達もスッキリしない。 そう思ったフィリスは仲間の顔を見て、全員で顔を見て頷きあうと、国王の依頼を引き受けることにした。

 

「お任せください! その謎………あたし達で解明してみせましょう!」

「わしも少しばかり所用があるので遅れるが、すぐに追いかけよう。 そなたらは、一足先に向かってくれ。 十分に……気をつけてな」

「はい!」

 

 フィリス達が依頼を受けてくれるのを知った国王は、フィリス達にそう約束をして仕事にでた。 まず動いたのは、王妃の身を守ることである。

 

「王妃は、ここに。 そなたらは王妃の護衛を務めてくれ」

「はっ!」

「あなた………どうか、無事で………うっう………」

 

 王妃はそんな国王を心配しているらしい、涙ぐみはじめた。 ホントに涙腺がゆるいなぁ、とそんな王妃をみて苦笑しつつ、フィリス達は行動を開始する。

 

「あたしらも行こうぜ!」

「ああ!」

「ええ!」

「はい!」

 

 そう言って4人は、棺が見つかったという洞窟を目指して走り出した。 その洞窟があるのは、井戸の中であるという情報を知ったとき、クルーヤはふとあることを思い出した。

 

「そういえばあの井戸の洞窟って、前に黄金のツルハシを渡したあの人が開通しようとしていた、トンネルのことじゃないの?」

「あの、井戸の中にできた割れ目が気になるとか言ってた、あの荒くれのことか?」

「ええ」

 

 もしや、あのツルハシをあげた荒くれが、棺を見つけたのだろうか。 そう思っている間に井戸の洞窟にたどり着いてみると、そこには例の荒くれがいた。

 

「あ、あんたらは! あのツルハシをくれた旅人さんじゃねーか!」

「やっぱりあの荒くれだ!」

 

 フィリス達に気付いた荒くれが声をかけてきて、さらに話をしてきた。

 

「実は……あんたのくれたツルハシにより、洞窟を発見したんだが………」

「その奥には棺桶があったんだろ?」

「城の兵士に聞いたわ」

「そ、そうか……。 んで、オレはあっさりと追い返されちまったんだよ。 さらに先には、お城の姫さんがここを勢いよく通っていったんだ。 いったい、なんの用だろうな?」

「……………」

 

 やはりフィオーネ姫が、ここにきたのだろう。 発見された棺も、それがおさめられている部屋も、詳しいことは何一つわかっていない。 そんな中に彼女を一人いかせるのは、危険だ。

 

「……姫様が心配です、急ぎましょう」

「うん」

 

 そう仲間達で声を掛け合い、フィリス達は洞窟をさらに奥へと進んでいく。 その途中で、その身をふるわせている兵士を発見する。

 

「どうしたの!?」

「突然、フィオーネ姫がやってきて、棺を調べさせろと言ってきたんです。 キケンかもしれないと言って止めたかったんですが…………ものすごい怖い顔で……睨まれてしまって…………」

「え、えぇ!?」

「…………もう、どうしたらいいやら…………」

 

 よっぽど、フィオーネ姫が怖かったのだろう。 そもそも彼女は、兵士を怖い顔で睨むようなキャラクターではないはずだ。 それだけで、今彼女の様子があまりにもおかしすぎると悟ることができる。

 

「兵士にガンとばすとか、マジヤバじゃね今のお姫様!?」

「ああっ」

 

 さすがのサンディも、兵士の証言にたいし戸惑っているようだ。 やがて洞窟の奥広い空間にたどり着くとそこには祭壇があり、その祭壇にはいくつもの包帯のような布にくるまれた、大きな棺のようなものが存在していた。

 

「………あれ……ほんとに、棺……だわ………」

「………なにか、まがまがしい力を感じます……」

 

 魔力に敏感なクルーヤとセルフィスは怯えているようであり、イアンとフィリスもただならぬ気配に警戒をし身構えていた。 そして、祭壇の上の棺の前に、探していた相手フィオーネ姫の姿があることに気付く。

 

「………フィオーネ姫様………」

 

 そこに立っていたフィオーネ姫に、フィリスは声をかける。 直後、フィオーネ姫は不気味な笑い声をあげはじめた。

 

「うふふ………ふふ………ふふふふふっ!」

「ひ、ひめさま?」

「…………なにもかもが、あの本に、あった通りですわ…………。 すべて………真実だった………。 信じたくなかったのに…………!」

 

 正直、棺よりもこの地下室よりも、今の姫の姿の方が異質で恐怖を感じる。 戸惑いを隠せないフィリス達に、フィオーネ姫は告げる。

 

「フィリス様、皆様。 なにも聞かず、今すぐに……ここから離れてくださいませ………」

「へっ?」

「もうじき…………この場所………このセントシュタインは………………」

 

 

 

「フィオーネ!」

 

 フィオーネ姫がフィリス達に何かを告げようとしたとき、所用を終わらせてきた国王がこの空間に入ってきた。

 

「王様!」

「何故ここにいる!? その棺にはなにが入っているのか……わからないのだぞ!?」

「…………いいえ、私には、わかっているのです。 ここには、魔神が封印されているのですわ………お父様…………」

 

 フィオーネ姫は首を横に振って、国王を見つめながら口を開く。 いつもより、強い声で。

 

「いいえ、セントシュタイン国王!」

「!?」

「………な、なんじゃその物言いは………。 魔神……だと………? なぜ、そんなことを知っている………?」

 

 国王は、娘の豹変ぶりについていけていないようだ。 戸惑う国王に、姫は厳しい顔つきで、厳しい声で、話をする。 自分の知った真相を、彼らに解説するために。

 

「すべては………すべては、カギのかかったあの本に………書かれておりました…………」

「あの本?」

「……………魔神の封印は弱まってますが、放っておいても………解けることはないでしょう。 でも私は、真実を知り…………この、指輪を手に入れてしまった…………」

 

 そう言ってフィオーネ姫は自分の指にはめられた、指輪を見つめた。 彼女の持つその指輪は、彼女がルディアノ城跡でメリア姫の幽霊から受け取ったものだ。

 

「フィオーネ姫、様?」

「さっきから何を言っている……? その指輪が……なんだというのだ………!?」

「……………本当に、なにも知らないのですね…………」

 

 フィオーネ姫は、顔を上げると国王に怒鳴るかのように告げた。

 

「無知は罪であることを、あなたは知るべきです!!」

 

 そういい、フィオーネ姫は祭壇の上にある棺と向かい合い、指輪を高く掲げた。

 

「姫様!?」

「眠れる魔神よ! この指輪をもちて、今こそその封を解き放たんっ!!」

「ーッ!!」

 

 フィオーネ姫がそう声を上げると、指輪は強い光を放つ。 すると、指輪の光と彼女の言葉に反応したかのように棺は妖しい光を放ち、棺をまとっていた布も光が引火でもしたかのように消滅していった。 棺は大きく揺れている。

 

「……煙が……!?」

「みて、棺のふたが開くわ!」

「ッ!」

 

 周囲には煙が立ちこめ、その中で棺のふたは大きく開く。 さらに煙は濃くなり、地下室は一瞬で煙の中におちた。

 

「………クッ………」

「…………フゥゥゥ……………」

 

 やがて、煙は吹き飛ばされ、その場にいた全員の視界が開かれる。 するとそこには、国王とフィオーネ姫、そしてフィリス達とは別の存在が姿を現していた。

 

「…………この棺に閉じこめられて、どのくらいの時がすぎたか………」

 

 金色の肌に鋭い目と爪、ツノに尾を持ち、口元にはヒゲや牙をはやした存在。

 

「こ、こいつはなんだ……!?」

「…………まもの………なの……か……?」

 

 驚く一同の顔を見たその存在は国王に気付くと、また口を開いた。

 

「そこのお前が、今の国王だな。 我の呼びかけをさんざん、無視してくれおって………」

「えっ?」

 

 その魔物の姿を見た国王は、あることを思い出す。

 

「…………お、お前は………た、確かに………わしの悪夢に出てきた魔神……………!」

「なんだって!?」

「こいつが!?」

「お前はいったい、何者なのだ!」

 

 この魔物こそが、国王に悪夢を見せていた魔神なのだと知った一同。 やはり国王がずっと見ていたあの悪夢は、架空のものではなかったのだ。 何者だ、という問いに対し、魔神は答える。

 

「我に呼ぶ名などはない。 生け贄をくらい……人の願いを叶える魔神よ………」

「そ、そんなヤバイもんが………なんでこんな地下に……封印をされていたんだ? しかも、誰にも………知られないまま…………」

 

 フィリスが疑問を並べていると、今度はフィオーネ姫が口を開いた。

 

「そこは、私が語りましょう」

「フィオーネ姫様?」

 

 

「………これこそは、かつてのセントシュタイン国王が、ガナン帝国の侵略から逃れるために呼び出した………いにしえの魔神ですわ…………」

「…………いにしえの、魔神………」

 

 そしてフィオーネ姫は、衝撃の真実を打ち明ける。

 

「国王は自分たちのために、この魔神に、生け贄を捧げた………そう、ルディアノの民の命を!!」

「!?」

「な、なんじゃと………!? そんなことは信じられぬ………」

 

 自分の国の歴史、そして自分の血族の真実を聞かされた国王は驚く。 その話を信用できない国王に対し、魔神はフィオーネ姫の話を肯定してきた。

 

「それは真実だ。 我がお前達の目の前にいること、それがその証だ」

「…………魔神がルディアノを滅ぼしその民の命を糧とし、セントシュタインはガナンの侵略を逃れて……今も国として存続を続けている。 そうしている間にガナンはガナンで、謎の力により滅んだ………。 そしてセントシュタインは………自分達が助かったのはルディアノの犠牲によるものであるという事実を隠蔽し続けた………ということ、なのですか………」

「そういうことですわ」

 

 セルフィスは冷静に、魔神とセントシュタイン、そしてルディアノの関係を整理し語る。 そんなセルフィスにたいしフィオーネ姫は頷くと、激昂する。

 

「自分たちが助かるためにほかのものの命を差し出すなど、あってはならないことです! そしてそれをなかったことにしようなど……断じて許されることではありません!! ゆえに……私たちは、その償いをしなくてはなりません!!」

「ひ、姫様………おちつこーよ………?」

 

 フィリスがフィオーネ姫を説得しようとするが、フィオーネ姫は聞く耳を持たず魔神に向かって言う。

 

「さぁ魔神よ! 我々の命と引き替えに、ルディアノをよみがえらせなさい!!」

「ちょ………まっ………!!」

 

 フィオーネのもくろみは、自分達ごとこのセントシュタインの人々を生け贄に捧げルディアノを再興させることだったのだ。 さすがにそれはマズイと、フィリス達は彼女を止めようとする。 そんなフィオーネ姫にたいし魔神は、高らかに笑い声をあげていた。

 

「フハハハハハ!! 同じことを繰り返すというのか! ニンゲンとはなんと愚かなものよ!!」

「…………」

「だが、断る!」

 

 自分の要求を断られたフィオーネ姫は、目を丸くした。

 

「な、何故です!?」

「あの国王は、我をだまして………ここに閉じこめたのだ! その業を許すわけにはいかぬ………。 この国そのものを………いや、ニンゲンすべてをな………!!」

「うわぁ、憎しみの典型的パターンじゃねーか」

「ゆえに我は、このセントシュタインを………そして、この世界のニンゲンをすべて、滅ぼす!!」

 

 魔神が自分の願いを叶えようとしないばかりか、すべてを滅ぼしてしまおうとしていることを知ったフィオーネ姫は、絶望した。

 

「そ、そんな!?」

 

 絶望をするフィオーネ姫に対し、魔神は衝撃の事実を口にする。

 

「そもそも…………ルディアノも…………我がつかわした魔女が………本来は滅ぼすはずだったのが、あの魔女は、黒騎士を欲したが故に………我が直に滅ぼさねばならなくなったのだ………!!」

「魔女………黒騎士………!?」

 

 それらのワードに心当たりのあるフィリス達は、前にでた。 それぞれ、戦う体制に入って。

 

「あの魔女は………お前のシモベだったわけかよ………」

「つまり、あの魔神が……メリア姫とレオコーンを引き離した、真の黒幕だったというわけか!」

「そ、そんな………!」

 

 その真相を知ったフィオーネ姫は、さらに絶望に身を震わせた。 自分がルディアノを再建させたかったのは2人のためだったはずなのに、その2人を引き離したのがかの存在だったとは知らなかったのだ。 そんなフィオーネ姫を、国王はさがるようにいい腕を引いていく。

 

「フィオーネ姫様、国王様………さがっててください!」

「こいつはオレ達じゃねぇと、相手できやせんぜ!」

「わ、わかった………ここは、そなたらに任せたぞ………!」

「任せてください!」

 

 国王と姫を後方に下げた後、4人は魔神の前にでて武器を手に取り魔神とにらみ合う。 そんな4人をみた魔神は高らかに笑い声をあげた。

 

「フハハハハ! ニンゲンごときに我を止めることなどできぬわ! 我をおそれよ、逃げまとえ!」

「生憎、あたしはただの人間じゃねぇんでね! お前なんかに、びびるわけがないんだよ!」

 

 そう言ってフィリスは、星屑の剣を鞘から抜き取り、切っ先を魔神に向けて、叫ぶ。

 

「このセントシュタイン城に、この国に……手出しはさせない!!」

 




正直魔神より姫のほうが怖いってなった人…どのくらいいるんだろうか。
それはさておき、次回はボス戦から歴史の真相へいきます。
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