というかそれじゃ、配信クエストがないと永遠に謎が解けないままか?
だとしたら不完全燃焼になりかねない。
仲間たちとともに久しぶりにベクセリアに帰郷したセルフィスは、そのとき義兄であるルーフィンから、驚きの事実を聞かされた。 それは、かつてこのベクセリアこそが、本来のガナン王国であること…国王の暗殺により城の場所は移動させられたということ。
「改めて町をみてみると、面影はあるといえばあるな……」
「………」
「……っと、わりぃ。 不謹慎だったか?」
「……いえ、そういうわけではないのです……」
その真実を知ったときから、セルフィスの表情が暗い。 自分が愛する町が、にくき国の城だったことが、彼にとってはショックだったせいだろう。 セルフィスは、そのことにたいしフィリス達に、真相をおいたいと願い出ていた。
「……むしろ、謝るべきは僕のほうです」
「……」
「ベクセリアがガナンだったことは、既に過去の話……それも、かつてここにあったときはまだ、あの国が安定して平和だった頃のこと……だから、かのガナン帝国とは関係があるようでない……」
ぐ、とセルフィスは自分の手に力を入れた。
「なのに、僕は……そのつながりにたいし、心の奥で渦巻く気持ちを、おさえきれないのです。 憎みたくても憎めない……その憎悪の念。 晴らすには、どうしても……双方のつながりに関するナゾを追わねばなりません。 そして、僕は……それにあなた達を……巻き込もうとしています……。 このことに、あなた達は無関係なのに……」
そういった次の瞬間、イアンはセルフィスの頭に手を伸ばして上から帽子を押し込んで深くかぶせてきた。
「い、イアンさんっ……」
「お前が関わってるなら、オレ達が無関係なわけがねーだろ」
「そうそう」
そこに、クルーヤも話題にはいってくる。
「セルフィスっていつも、自分のことより……私達やみんなのことばかり考えて動いているでしょう? だから、たまには自分のために動いたっていいのよ。 私達も、あなたに助けたいもの」
「それに、あたし達も気になるしさ……まだまだ、ガナンが関わっている以上、徹底的に突き止めないと、あたし自身も気が済まないんだよ」
クルーヤに続いてフィリスもそう口に出したことで、イアンとクルーヤとフィリスは、セルフィスとともにベクセリアとガナンの関係を追い求めることをしめした。
「みなさん……」
「さ、封印のほこらになにかあるっていうんなら、探しに行こうぜ」
「……はい……!」
その仲間達の励ましを受けたセルフィスに、笑顔が戻ってきた。
一方ここは、封印のほこらの地下室。 そこに、さまよえる魂が一つ。
『おぉぉぉ……ここで眠り続けて、もうどれだけの歳月が過ぎ去っただろうか……だれか、だれか、おらぬのか』
立派な外套と王冠をかぶった、年老いた男の霊はそうブツブツとつぶやきながら地下室を徘徊していた。 時折頭を抱えて立ち止まり、眉間にしわを寄せるが、それでもその地下室を出ることがなかった。 否、でることができなかったというのが、正解だったかもしれない。
『…………』
この霊は、すべての記憶を失っていた。 なぜ自分がここに眠っているのか、自分が何者なのか……なにもわからなかった。 わかるのは、自分は既に死者であり、数百年という途方もないほど長い時間さまよい続けていること。 そして、記憶がないことを悩んでいることで未練がはれず、昇天することができないことであった。
「ここには、例の病魔を封印して以来、ですね」
「そうなるな」
そんな男が地下室でさまよっていることなどつゆ知らず、フィリス達がその封印のほこらに足を踏み入れていた。
「もしかして、あの病魔も……ガナンが生み出したものなんでしょうか」
「……可能性は高いけど、今は優先するものが違うぜ、セルフィス」
「……わかっています」
もし病魔がガナンの生み出したものであれば、セルフィスにとってあの国は姉のカタキということになるだろう。 既にガナンは討ち取ったので、カタキを討ったも同然なのだが。 とはいえ、今は別の目的がある。
「んで、これが例の病魔を封印したツボね。 ……封印はしっかりされてるわ」
「さわらないでおこうぜ」
「うん」
かつて病魔の魔物と対峙した場所にたどり着いた一行は、ツボの封印が未だに続いていることを確認しつつ、その奥に地下へと続く階段を発見した。
「地下へと続く階段だな」
「前にきたとき、あんなのあったかしら?」
「覚えがないですね」
そう疑問を抱きつつ、4人は階段を下り地下室に足を踏み入れた。 そこには石碑がひとつあるだけの部屋だが、そんなものがこのほこらの中に存在していたことを知らなかった一同は驚く。
「ここは……」
「知りませんでした……。 まさかこのほこらに、こんな地下室があるなんて……」
『だれか、だれかおるのか……』
「!」
全員がその地下室を見渡していたとき、どこからか声が聞こえてきたので一斉に警戒してそちらを向く。
「幽霊……!」
そこにいたものを、フィリスは率直にそう言った。 それに反応した霊は、彼女達に問いかける。
『キサマら……余が、みえるのか?』
「……ああ、みえるけど」
『そうか……余は、なにものなのか……自分で自分がわからぬのだ………』
「えっ」
『命を落とし、途方もない時間が過ぎていった……余は、その長い時間、記憶を探している……そして、ひとつでも思い出せぬ限り、ここから動けぬ……』
「なんと……では、成仏もできないでしょう」
セルフィスの言葉に霊はうむ、と頷くと、4人の顔を見てなにかを決めたように告げる。
『みたところキサマらは、腕がたちそうだ……どうだ、余の姿がみえるというならばひとつ……余の頼みをきいてはくれぬか』
「頼み? まさか、記憶を取り戻す手助けをしてほしいとか……か?」
『ほぅ? 随分と察しがよいな』
「まぁな」
すでに、亡き者の未練をはらすことは慣れっこなフィリスはそう答えた。 説得力がある、と仲間達がうんうん頷いていると、霊はあるものを取り出してフィリス達にみせる。
「……この地図は……」
『この地図に存在する潜む、Sキラーマシンなる魔物が……余の記憶の手がかりを持っているに違いないのだ……。 それを持ち帰り、余の記憶が戻ったときには……キサマに褒美をつかわそう』
そうして、霊から受け取った地図の場所へ向かったフィリス達。 その地図のポイントは、封印のほこらの近く…このベクセリア地方の西側だったのだ。
「まさか、ここに洞窟が隠されていただなんて……びっくりです」
「この地図があんなところにあったのにも、ビックリだけどな……」
洞窟の中は、土と氷で覆われていた。 肌に直接冷気がささってくる。 クルーヤはその冷気に対し身を震わせつつ、皆に告げる。
「うぅ……さっむ……氷の洞窟だけあって、冷えるわね……」
「サンディにいたっては、冷えるからやだってついて行くのを放棄したしな」
「放棄して正解よ、これは……私たちもはやいところこの洞窟をクリアして抜けちゃいましょう」
「そうだな」
道中には多くの宝箱があり、多くの魔物がいた。 たった今も宝箱だと思ってあけてみたらそれはミミックだったので戦闘し、イアンが倒したところである。
「なんであんなところにミミックの宝箱があるんだよ、クソがっ!!」
「危うくイアン、ザキの魔法にかかりそうになっていたもんね」
「反撃で会心の一撃を繰り出して、倒して見せましたね」
「ったりめーだ! オレの命をねらうヤツはぶっとばすだけだからよ! んで、お前達の命をねらうヤツはその上……ぶっ殺すだけだぜ!」
そう声を上げるイアンを筆頭に先へ進むと、今までより長い階段が存在していた。 今までの地図の洞窟の経験から、このさきに大物と呼べる魔物が存在するはず。 4人は顔を見合わせて頷くと、階段を下りてその先の広い部屋……そして、そこに存在していた巨大な機械の魔物に目を向けた。
「これが、Sキラーマシン!」
「ギギギギギギギ……ショブン、ショブン……フヨウナモノハ、ショブンセヨ……ショブン……ハッケン、ショブンスルッ」
「なにをブツブツ言ってるのかしら!?」
「わかんねぇけど……やるぞ!」
目の前のSキラーマシンにたいし、フィリス達は武器を手に取ると戦闘を開始する。 まずはセルフィスがスクルトを、クルーヤがピオリムを使って仲間の動きをサポートする体制に入り、フィリスがイアンにバイキルトの魔法をかけると、イアンはSキラーマシンに向かって氷結らんげきを放った。
「きゃーっ!!」
「ぐっ…!」
その攻撃を受けたSキラーマシンは天高く弓をはなち矢の雨を降らせて、4人に同時に攻撃を仕掛けてきた。 そして武器を振り回し攻撃を仕掛けてくる。
「っち!」
「このやろう!」
イアンはそれを棍で受け止めるとフィリスがはやぶさ斬りで切りかかり、直後にセルフィスとクルーヤが同時にイオナズンを放ってSキラーマシンを追いつめる。
「ギギギィィィ!」
「うわぁぁぁっ!」
するとSキラーマシンは今度は、強力な剣術である、ギガスラッシュを放ってきた。 それは全員で防御して防いだものの、大ダメージを受けてしまったことにかわりはない。
「だったら、同じ技でかえしてやるよっ!!」
その中でフィリスはすぐに立ち上がり、自分の剣に電撃をまとい、大きくふるった。
「ギラスラッシュッ!!」
その技は先程Sキラーマシンが放ったものと同じ技だった。 その一撃を受けたSキラーマシンは上下まっぷたつにわかれた。
「いまだ! ばくれつ拳!」
「イオナズン!」
そしてイアンがばくれつ拳、クルーヤがイオナズンを放ったことでSキラーマシンは崩壊した。
「やった!」
「僕達の勝利です」
「決まったな」
「ああ!」
そうして4人は勝利を確信したが、そこでフィリスはSキラーマシンの残骸がなにかを言っていることに気づいた。
「ショ……ブン……テンシ……ニンゲン……セレ、シア……」
「えっ……?」
その単語を出したSキラーマシンに、フィリスは驚く。 洞窟の地下に潜む魔物がなぜ、天使やセレシアを知っているのだろうか。 その疑問を抱いたフィリスは、さらにその残骸を調べようとする。
「おい、こいつをみてみろよ」
だがそのとき、イアンが別の残骸から、あるものを見つけだした。 もう一度確認してもSキラーマシンはなにもいわないので、フィリスはイアンの元に駆け寄る。
「どうしたんだ、イアン?」
「これみてみろよ、この残骸から見つけたんだ」
そういってイアンはフィリスに、その金色のものをみせた。 それは何かが彫られており、それをみたフィリスはみたままの印象を口に出す。
「それって、ハンコ……か?」
「まぁそういうほうがわかりやすいな。 金色の印章なんて、オレははじめてみたぜ」
「それなりの階級の人が、使用しているものでしょうか……」
それをみたセルフィスは、あることに気がついた。
「もしや、かの霊の探していたものって……これなのでしょうか?」
「わかんないけど、とりあえず持って行ってみようぜ」
「ほかに手がかりも、なさそうだものね」
とりあえず一旦、この金色の印章をあの霊にみせてみたほうがいいかもしれない。 そう思った4人は洞窟をでることにした。
「とりあえずでる前に戦いのキズを回復させますね」
「ああ、頼む」
洞窟をでたのは、セルフィスによって全員のキズをいやした後だった。 フィリスは、Sキラーマシンのいた部屋を見つめ、ふとあることを思った。
「にしても、ガナサダイのやつ……こんなヤツのいるところにこんなお宝を隠して、いったいなんのつもりだったんだ?」
「それ、なんかつっこんじゃいけないポイントな気がするんだけど」
封印のほこらの地下室。 そこで例の幽霊はまだ、さまよいつぶやいていた。
『………うぅ……余は、余は……だ、れなのだ……』
「おーい」
そこに、フィリス達が戻ってきた。 声と気配でそれに気付いた霊は、フィリス達の方をみる。
『……キサマら、か……どうだ、余の記憶の手がかりになりそうなものは、見つかったのか?』
「ああ、それっぽいものならあったぜ」
「これなんだけど、どうだ?」
そう言ってフィリスは、Sキラーマシンの残骸の中から発見した、金色の印章を見せた。 霊はそれを受け取ると、印章は強い光を放つ。
「ひかった!」
『お……おお……そうだ、これだ……これこそが、余の記憶……わしの、すべての記憶……だ』
その印章をみて、光を浴びた霊は、記憶が自分の中によみがえっていくのを感じた。 まだ断片的なものではあるが、記憶のない時間の長さに比べれば、それだけで自分のすべてがよみがえっていくような感覚に陥った。
『そうだ、余は国王……ガナンの、国王であったな……』
「ガナン……!?」
『褒美はそこにある……勝手に持って行くがよい』
「いいんですか?」
『わしは、ゆかねばならぬのだ……あやつの元へ』
そうして、フィリス達に依頼の報酬の入った宝箱のことを告げると、霊は消えた。 成仏と言うよりは、どこかへワープしたかのように。
「行っちゃった」
「とりあえず、報酬でもみようぜ」
イアンはそういって、宝箱をあける。 そこには、青いオーブが一個、入っていた。
「これって、オーブ、かしら……」
「2コ目だな」
希少価値の高い宝。 そんな立派なものを報酬として出すとは、やはりあの霊はガナンの王だったのだろう。
「にしてもあの王様のユーレイ、どこいっちゃったんだろ?」
「………」
その王の幽霊がどこにいったのだと疑問を抱いていた一同。 そこでセルフィスは義兄が解読した古文書の一文を思い出し、王がガナンの王であるなら…と考え、王の霊の行方についてある説を持ち上げる。
「もしかして、彼はガナン帝国城に向かったのではないのでしょうか!?」
「ありえそうだな!」
たとえ場所を移っても、国王は自分の国へゆくはずだ。 そう思ったフィリス達はセルフィスの案に乗り、彼に手を伸ばす。
「いこうぜ、セルフィス! あの王様の幽霊を追いかけに!」
「はい!」
ベクセリアとガナンのつながり、そのすべてを知り関係を受け止められるまで、あと一歩だろうか。 その一歩のため、4人はガナン帝国城へ向かったのだった。
次回はガナン帝国城に足を運びます。
根強く絡んでくるよね、この国。