ドラゴンクエスト9 AngelsTale2   作:彩波風衣

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今回は特にストクエではない話を進めます。
クリア後に出番がなくなったキャラにてこを少し入れたい。


18「宝石のチカラ」

 

 翌日、宝の地図の洞窟を探索した疲れをカルバドの集落で休むことで取り払った4人は、そこを旅立とうとした。

 

「昨日はゴメン、急に取り乱したりして、そんで、勝手に帰っちゃって………」

「いや大丈夫だ、こちらこそ失礼なことを口に出していたようで……すまなかった」

「ナムジンさんは悪くないよ、あたしが勝手に行動しただけだし!」

 

 そう、ナムジンに昨晩の非礼を詫びたフィリスは、カルバドの集落を出た後も少し後悔をしていた。 思わず自分が翼を持つ人間というワードに対し過敏に反応したことや、彼があの濃霧と自分達に関係があることに気付いたのは不信感を抱いたからではないのかと、彼を疑ってしまったことに、たいしてである。

 

「あーあ……なんかあたし不審者丸出しだったかもしんねぇ……あの人、絶対にあたしのことを不審に思ってるよ」

「大丈夫だと思うわよ? 私達はなんも悪いことをしてないし、するような人と思われていないもの。 それに彼だって、あまり追求しなかったでしょ?」

「おそらく、ワケありだと思って聞かなかったんだろうよ……」

「その方がよいと判断なさったのでしょう……であれば、僕達は彼のご厚意を受けましょう」

「そうよ、ちゃんとあなたもあの人も謝ったんだし、その話はそこまで、にしましょ!」

「………うん」

 

 そう仲間達にはげまされ、フィリスは本来の元気を取り戻した。 それを確認したイアン達も笑顔を浮かべつつ、イアンは次の依頼を彼女に言う。

 

「そういや、集落の人から手紙を預かってるぜ」

「誰宛?」

「うーん……サンマロウの宿屋で働いている友人に届けてほしい、とだけ聞いたな。 これを次の依頼としようぜ」

「いいよ、引き受けた!」

 

 フィリスはイアンが持ち込んできた依頼を、そのまま引き受けることにした。 サンマロウならルーラで一発だと話をし、早速そのルーラの魔法を使って、サンマロウへ転移した。

 

「………」

 

 その様子を、誰かがみていることには気付かずに。

 

 

 そうしてサンマロウに手紙を届けた4人。

 

「あ、フィリスさんだ!」

「ティル」

 

 そこで彼らはナザム村で出会った少年・ティルと再会した。 彼は今、このサンマロウに里帰りし、もう一人の叔父のところでしばらく世話になっていたのだという。 フィリス達との再会が嬉しいティルは、彼女達がここにいる理由を知り、自分と叔父の家で食事をとることを提案してきた。

 

「みんなで、ボクの実家でご飯を食べていって!」

「あはは、じゃここはティルのお言葉に甘えるとしようか!」

 

 フィリスも、元々人間には好意的な性格だったが、特にリッカやティルにはその性格が全面にでる。 やはり、命の恩人としての一面が強くでるからだろうか。 フィリスの案に全員が同意し、彼らはティルの叔父の家に向かった。 その叔父は突然の来客に驚きこそしたものの、前に会ったことがあることや、ティルからよく話を聞いていたと言って、4人を歓迎してくれた。

 

「……」

 

 しばらくの思い出話に花を咲かせ、昼食を手伝った上でご馳走になったあとのこと。 荷物の整理をしていたフィリスはふと、自分が持っていたあるものの変化に気づき、それを手に取った。

 

「今、この宝石のかけらが光ったような気がしたんだけど……」

 

 それは、最近彼女達が集めている不思議な宝石のことだった。 太陽の光に当てたわけでもないのに、自らその色と同じ光を放ったその宝石にたいし、フィリスはますます疑問を抱き、それを手にとってみていたのだ。

 

「フィリスさん、どうしたの?」

「ティル」

 

 そんなとき、フィリスの姿に気付いたティルが歩み寄ってきた。 他の仲間達は今それぞれで自由時間を過ごしているようだ。 そんなとき、ティルはフィリスの持っていた宝石に気付く。

 

「ねぇねぇ、それキレイだね! フィリスさんのものなの?」

「ああ、とりあえず……今の所有者はあたしだよ」

「そうなんだぁ……でも、不思議な色と光だよね。 なんだか壊れかけみたい」

「ああ。 しかもこの宝石、同じのがいっぱいあるみたいでさ……カケラを集めるのも、あたしの目的みたいなものだよ」

「そうなんだぁ……」

 

 そう話をしていき、ティルは寂しそうな顔をしていったのに気付いたフィリスは、彼にどうしたんだと問いかける。

 

「……ボクがもっと大きくて強かったら、フィリスさんのお手伝いができたはずなのになぁ……」

「気にするなよ、あたしは好きで集めようって決めただけなんだ。 あんたは関係ないさ」

「でも……」

「でも、じゃない。 たとえあんたがどんな人間でも、あたしはあんたが助けてくれた恩も忘れないし、今の関係を変えたりはしない。 どうあっても、あたしはティルの味方だよ」

 

 そう微笑みかけながら語るフィリスに、ティルも自信を取り戻したようであり、笑顔を浮かべる。 その表情にフィリスも安堵した、そのとき、高い鳴き声のようなものが聞こえてきた。

 

「な、なに!?」

「ひぇ、魔物!?」

 

 そこに現れたのは、背中に大きな翼をつけた赤紫色の竜の魔物だった。 その魔物は同じ姿のものが数体おり、うち一体がフィリスに牙をむいてくる。 フィリスは咄嗟に剣を抜いて魔物と対峙する。

 

「くぅっ!」

「フィリスさん!」

「ティル、にげろっ……」

 

 自分が魔物の注意を引いている間に、なんとしてでもティルだけでも苦そうと呼びかける。 だが直後、別の魔物がティルに飛びかかり、彼を捕まえた。

 

「わぁぁぁぁーーーっ!?」

「ティルーーーーッ!!」

 

 その魔物はティルを捕まえると、そのままとび去っていってしまった。 フィリスはそこで自分と対峙していた一体の魔物を倒したが、すでに飛び去っていってしまった後だった。 そこで、悲鳴を聞いてきたイアン達が集結してくる。

 

「なにがあった、フィリス!?」

「てぃ、ティルが……突然飛んできた魔物に連れ去られた!」

「なんだって!?」

 

 町の中で小さな騒ぎが起きていた原因を聞いて、イアン達は驚く。 そこでセルフィスは、本来町は魔物除けが施されていることを思い出し、セルフィスはその魔除けのチカラの気配を探る。

 

「普通こういう領域は魔物は進入できないはず……」

 

 だが、直後に異変に気付き、セルフィスは目を見開かせる。

 

「これは!?」

「どうした、セルフィス!?」

「この町……魔を退けるチカラが弱まっています……! この近辺の魔物は寄せ付けないですが、それ以上に強いものには通じません……!」

「さり気にこの辺の魔物をディスってるんですけど!」

 

 サンディのツッコミを受けつつも、セルフィスは今、この町魔物を退けるための魔除けのチカラが弱まってきていることを告げた。 それにより、ある程度の強さを持つ魔物なら簡単に町に入ってこれること、このままチカラが弱まれば、周囲の魔物もこの町には行ってくることができてしまうことを告げられる。 これは、再び魔除けを強化しなければならない。

 

「とにかく、ティルくんを助けなきゃ!」

「ああ……!」

「あの方角だったら、あの洞窟だよな」

 

 だが今最優先にすべきは、魔物に連れ去られたティルの救出だ。 魔物が飛んでいった方向、そして魔物が身を隠すのにうってつけな場所が近くにあることから、魔物はティルをどこに連れ去ったのかを推測する。

 

「待ってろ、ティル!」

 

 フィリスは少年を助けるため、走り出した。

 

 

 

 サンマロウの北の洞窟に足を踏み入れたのは、恐らくマキナもといマウリヤを救出するために乗り込んで以来だろうか。

 

「はぁっ!」

 

 だがそこは今、以前に訪れたときとはまた別の魔物に占領されていた。あの頃と比べて自分達も強くなったとは思うのだが、ここの魔物もあの頃とは比にならないほどに強い。

 

「みなさん、下がってください! ……イオナズン!」

 

 今目の前に出現しているのは、しゃくねつのほのおをはくピンク色に輝くキメラ、赤と黒の怪しい模様が描かれた仮面の魔物の集団。 全体にたいしセルフィスはイオナズンの魔法を放ち、そこで統率が崩れたところにイアンとフィリスが攻撃を加え、クルーヤがマヒャドを放ってトドメをさした。

 

「にしても、前回と違って魔物のレパートリー増えすぎだぜ! この前の草原での濃霧事件といい、変なことがふえてねーか?」

「そうですね……あのときとはまた、別の脅威でもあるのでしょうか……宝の地図のことも、ありますし……」

「……そうだったら、絶対に防がないとな。 前は一歩間違えれば、ナムジンさんが巻き込まれそうになったし……今回は、ティルが……」

「フィリス……」

 

 フィリスは、剣を握りしめながら、ティルにたいする思いを打ち明ける。

 

「あたしにとって、ティルは弟のようなものなんだ……純粋で、優しくて……周りになんと言われようと自分の気持ちをしっかりともって、行動もできる……そんなところが、あたしは好きだ」

「………」

「あいつはまだ小さく、弱いかもしれない……でも、いつかは絶対に強くなれる! その強さをうむために、あたしが守らなきゃいけない……守りたいんだ! だから、今回だって助けてみせる!」

 

 そう、ティル救出に対する強い思いを口に出すフィリス。 その思いを聞いたイアンは、腕を組んでうなずく。

 

「そうだな。 どうあっても若い芽は、つむもんじゃねぇ……育てるもんだ」

「そのためにも、守るべきものは守らなきゃね。 たとえ、どれほどの苦労を背負ってでも、当然の役目は果たすべきだもの」

「そして、僕達は……今、その役目を果たさねばなりません。 だから、急ぎましょう」

「うん!」

 

 そう声をかけあいながら、4人は洞窟の奥に向かう。 その先にはかつてマウリヤが閉じこめられていた小さながあり、中には気を失っているティルがいた。 そして牢の前には、ティルを連れ去ったあの魔物がいた。

 

「グゥルルルル……」

「いた、ヤツらだ!」

 

 その魔物達をみたフィリス達は、一旦物陰に隠れ様子をうかがう。 そして、そのうちの一体がなにかをブツブツと呟いていたので、そろって耳を傾ける。

 

「ホーセキ、ホーセキだ……」

「宝石?」

「ホーセキをてにいれる……そのチカラ、てにいれれば、われらアンドレアルが、サイキョーのマモノになれる………」

 

 そう口にしながら、アンドレアルは同族の群に言った。

 

「そのタメニモ、ダ。 このコゾウは、そしてあのマチは、だいじなホゾンショク。 ホウセキをサガスための。 もっともっとアツめるぞ………」

「保存食、だと……!」

 

 彼らは連れ去ったティルのみならず、あのサンマロウの人々も自分達の食料にしようとしていたのだ。 そのたくらみを阻止しなければ、彼らの命がない。 これはすぐにでもあの魔物達を討たねば、と身構えたそのときだった。

 

「グォォォ!」

「うわぁっ!!」

「フィリス!」

 

 別の場所から別のアンドレアルが現れ、フィリス達に襲いかかってきた。 フィリスはその不意打ちを受けて腕をかすめてしまうが、すぐにイアンが受け止めクルーヤがマヒャドを放ち、アンドレアルを氷で串刺しにした。 それでもまだ息が残っていたので、イアンが氷結らんげきをヒットさせてトドメをさした。

 

「大丈夫ですか」

「ああ、サンキュ」

 

 フィリスはセルフィスにより傷を回復させられる。 だがこの戦闘により、牢の前に集まっていたアンドレアルの群に自分達の存在がバレてしまった。

 

「ニンゲン? まさか、われらのショクリョウになりにきたのか……この、コゾウのように!」

「っへん、誰もお前達の食料になんか、なりたかねーよ!」

「その通り、だからお前達も全部ぶっ殺して、その子を助け出してやるぜ!」

「にんげんが、ナマイキを……ここでコロして、くいつくしてヤルゥゥゥゥ!!!」

 

 そう雄叫びをあげて、アンドレアルの群は全員でフィリス達に牙をむいてきた。 それにたいし4人は臆することなく武器を握りしめ、それぞれで戦い始める。 フィリスは自分にバイキルトをかけ、そこからドラゴン斬りを繰り出す。

 

「ここで、最近覚え立ての一撃、かましてあげるわっ!!」

 

 そう言ってクルーヤは杖の先端に魔力をためる。 そこには強い冷気が宿っており、クルーヤはその呪文をさけぶ。

 

「マヒャデドス!!」

 

 クルーヤの放ったマヒャデドスは、アンドレアルの集団に突き刺さる。 おまけに氷によって動きも大体封じられているようであり、クルーヤはそれに気付いて仲間達に今よ、と声をかけた。 それにたいしフィリス達はうなずき、確実に一体ずつしとめていく。

 

「てめぇが最後の一体だな、さぁ……この剣の錆になってもらおう!」

「シネェェェ!」

「くっ!」

 

 最後の一体に対し剣を向けると、アンドレアルはしっぽを大きく振り回してフィリスに襲いかかってきた。 それをフィリスは盾で受け止めると、すぐにアンドレアルの懐に飛び込み、剣を振るう。

 

「はぁぁっ!!」

「ウゴォォアアアッ……!」

 

 そうしてアンドレアルは、全滅をした。

 

 

 

「ティルッ!!」

 

 アンドレアルをすべて倒したフィリス達は、本来ここに足を踏み入れ魔物を全滅に追い込んだ理由である、少年の元へ向かった。 その少年…ティルはあの牢屋の中にいたのは気付いていたので、フィリスは急いで彼に駆け寄り、抱き起こして名前を呼ぶ。

 

「ティル、ティル……!」

「………うぅん………フィリ、ス……さん……?」

 

 フィリスが必死に名前を呼ぶと、ティルはゆっくり目を開けてフィリスを認識した。 彼が意識を取り戻したことで、フィリスは安堵する。

 

「よかった、本当に無事で……よかった……」

「……よかったなフィリス」

「ああ……。 なぁティル、大丈夫か? ケガしたりしてないよな?」

「うん、ボクここにいれられてそのまま気を失っちゃったけど……見ての通り、全然大丈夫だよ!」

 

 そういってティルは、にっこりと笑って見せた。 そこには外傷のみならず、心の傷もないようだった。 ティルは、引き続きフィリスにたいし話を続ける。

 

「それに、連れ去られてる間……ボク、フィリスさんなら助けにきてくれるって信じてたもの! ボクをナザム村のあの空気から助けてくれたみたいに……悪いヤツを倒して、助けにきてくれるって……! だから、だから……全然平気だよっ!」

「……ティル……」

「それにね、それにね!」

 

 ティルは必死になって、フィリスを見てて思ったことをそのまま打ち明けてきた。 そこにあるのは、フィリスに対する羨望だ。

 

「ボク、今度は……助けられる側じゃなくて、助ける側になるんだ。 魔物に対しても勇敢に立ち向かっていく……そんな強さを手に入れたいな。 フィリスさんたちを見てて、そう思ったよ」

「……ああ。 ティルなら大丈夫だ。 強くなる理由を、絶対に見失わないと、約束できるなら……あたしも、これからさらに強くなれる」

「うん、ボク約束する! 大事な人を助けるために、強くなるって!」

 

 かつて自分を救ってくれたから、信頼して正しい道を歩んでくれる。 そう信じるからこそ、フィリスはそう約束をした。 ティルは迷いなくそれを受け入れ、いつかは強くなることを宣言した。

 

「やれやれ、一件落着だな」

「ああ、もう大丈夫だ」

「うん!」

 

 そんな光景をあたたかく見守っていたイアン達は、今は町に帰ることを二人に提案する。

 

「さぁ、帰りましょう。 みんなが待ってるはずよ」

「あの町の魔除けも、強化しなければなりませんしね」

「そうだな。 いこうぜ」

「うん」

 

 そうしてフィリス達は、救出したティルとともに、アンドレアルの死体を飛び越えつつ洞窟を出て行った。

 

「にしても……なんであの魔物達……。 オレ達の持っていた宝石をねらっていたんだ?」

 

 その帰路でイアンは、魔物達があの宝石をねらっていたことに対し、疑問を抱いていた。

 




あの宝石の正体は、まだ公開しません。
まぁこの長編の重要アイテムだから、ちゃんと正体を明かしますけどね。
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