愚痴ってもしょうがないので、小説を投稿することで気分だけ覚えるのであった。
フィリス達はリッカの依頼を受けたことにより、ツォの浜を訪れていた。 一度訪れたことがある場所であるため、ルーラの魔法で一瞬でくることができた。
「お手紙をありがとう、フィリスさん」
「無事に届けられて、よかったよ」
リッカの依頼それは、ツォの浜にいる少年トトに宛てた手紙を預かったから、それを自分の代わりに届けてほしいというものだった。 前途の通りフィリス達はツォの浜には行ったこともあるし、トトという少年のことも知っているから、その依頼を引き受け、そして今、その手紙をその少年に届けたところなのである。
「この手紙の内容あまり大きな声でいえないし、パパにも教えてあげられないけど………でも、大事にするよ」
「……そうか……」
その手紙を見たトトはそれだけを言った。 フィリス達は自分達は役目を果たしたこともあって、それ以上は深くは関わらなかった。
「そうだ、オリガに会ってあげてよ。 きっとフィリスさんの顔を見たら
、喜ぶと思うよ」
「ああ。 せっかくだから、オリガのところにも寄っていくよ」
「またね!」
「またな」
そう言葉を交わし、トトと別れたフィリス達はある少女の元へ向かった。 彼女の家に向かうとそこには、その少女の姿があった。
「やぁ、オリガ」
「あ、あなた達は……あのときの……!」
その少女は、オリガ。 フィリス達は旅のさなかで彼女と出会い、このツォの浜での出来事を解決させたのだ。 その後オリガはこのツォの浜で、漁師として生きることを決めたのである。
「お久しぶりです、みなさんお元気そうですね」
「へへ、まぁな。 オリガも元気にしてたか?」
「はい、まだ見習いで失敗ばかりですけど………あたし、みんなと一緒に漁にでるようになったんですよ!」
「へぇ!? そいつはすげぇや!」
自分達と別れてからオリガがどうしていたか、今はなにをしているのかを知ったフィリス達。 そうして懐かしさ故に思い出話をしていた一同だったが、そこでオリガはふとある話をフィリス達に持ちかけてくる。
「それで、フィリスさん達に聞いてほしい話があるんです……」
「話?」
「はい」
オリガは真剣な顔をしながら、海にでたときに見かけた、あるものについて話し始めた。
「実はあたし………漁にでたとき……海の中に大きなカゲをみたんです」
「大きな、カゲ?」
「あれはきっと、本物のぬしさまだと思うんです。 もしそれが本物ならあたし、どうしても……その本物のぬしさまに会ってみたいんです!」
本物、とわざわざ言っているのは、彼女達は以前にぬしさまと出会ったときのことがあるからだ。 だがそれは、女神の果実の力によりぬしさまと化した、オリガの亡き父だったのだ。 その時のことを話を聞いて思い出し話をする。
「前のぬしさまは確か、オリガちゃんのお父さんだったのよね………」
「うん」
「………もしかして……話っていうのは、あたしにそのぬしさまを探す手伝いをしてほしい………というわけなんだな?」
そうフィリスがオリガが自分達になにをはなしたかったのかを悟り、そのことを問いかけると、オリガは眉を下げる。
「…………すみません、その通りなんです」
「そっか、ならいいぜ! 引き受けてやるよ!」
そうしてフィリス達は、ぬしさまにオリガを会わせるという依頼を引き受けることにした。 そのためにも、まずはどうすればぬしさまに会えるのかその方法を探し出す必要がある。
「なんとかして、ぬしさまに会う方法を見つけましょう」
「お願いします」
「まかせときな!」
そして、数時間後。
「ぬしさまを呼ぶスタイルって、こんな感じでいいのよね?」
「ああ、そしてそれを身につけるに相応しいのは……クルーヤだな」
「確かに似合ってますものね……」
様々な情報を集めていった結果、かつてこの村でぬしさまの巫女をつとめていたという老婆の霊から、ぬしさまを呼べるかもしれないと、呼び方を教わった。
「旅の間でも思ったけど、お前……幽霊はふつうに見えるんだな」
「みたいだな………あたしって天使とか人間の前に………元々そっちの力が強かったのかもしれねぇ」
その老婆の霊から話を聞けたのは、フィリスだけだった。 彼女はもう天使ではないが、死した魂をその目に見たり話を聞いたりすることができるようだ。 事情を知っているイアン達は、その情報や話を聞いているフィリスの様子を見てもすんなりと信じられるし受け入れられる。 だがなにも知らない人が見たら引く光景だろう。
「ここで、いいんだよな?」
「ああ、見晴らしもいいことだしな」
とりあえず、呼ぶ方法として教わったことといえば、みずのはごろもにうみなりの杖、そしてみかがみの盾を身につけて、見晴らしのいい場所で祈れというものである。 それらの装備はクルーヤが身につけることとなった。 そして、ぬしさまを呼ぶ場所としては村長のプライベートビーチが選ばれた。
「じゃあ、あたし………ぬしさまを呼んでみます」
「わたしは、そのそばに立ってみるわ」
そこにフィリス達とオリガが集まり、ぬしさまを呼ぶ体制に入る。 まずはオリガが全員の前にでて、膝を折り祈りの言葉を口にする。
「…………ぬしさま。 もしおられるのなら……お姿をお見せください………」
オリガがそうつげ、クルーヤも祈りの体制に入った直後のこと。 大きな水しぶきがたち、大きな魚のようなものが海から飛び出した。
「うぉぉぉ!?」
「まじで出てきたかっ!」
その姿にはハッキリと見覚えがある。 以前に遭遇したぬしさまと同じだ。 ということはこのぬしさまは本物だろう。 彼らがそう確信を得たその時だった。
「グルル……………グルルルルル……………」
「な、なんだ!?」
「こ、これは……少し危ないかも……?」
目の前にいるぬしさまはうなり声をあげており、こちらに今にも飛びかかりそうな勢いが伝わってくる。 それで一同は身の危険を感じた。
「グルァァァーーッ!」
「「きゃあああ!!」」
「「「うわぁぁぁぁ!?」」」
うなり声をあげながらぬしさまは飛びかかってきた。 それにたいし一同は驚きの声を上げつつも、オリガを守るようにしながら戦闘態勢に入る。
「スクルト!」
先頭に立ったフィリスがぬしさまの攻撃を盾で防いでいる間に、セルフィスはスクルトで仲間達を包み込み防御力をあげる。 そしてイアンはぬしさまに突っ込むと拳をたたき込んだ。
「ぐぇ、かた!?」
その皮膚はかたく、イアンも驚く。 その一撃はぬしさまにはさほど効いていないようであり、ぬしさまは平然とした様子でイアンにタックルをしかけて吹っ飛ばしてしまう。
「うぉぉぉ!!」
「イアーン!」
すぐにイアンはフィリスが受け止め、セルフィスとクルーヤがその隙にイオナズンを放ってぬしさまを攻撃する。
「ぐはっ!?」
だが、反撃で津波が襲いかかってきて、彼らは水圧にのまれ水浸しになってしまった。
「ぐっ! この一撃を決める、しかねぇ!! フィリス!」
「ああ!」
そこでイアンはフィリスに声をかけると、フィリスは一直線にぬしさまに突っ込んでいき、はやぶさ斬りを繰り出す。 イアンもそれに続いてぬしさまに突っ込むと、氷結らんげきを繰り出してぬしさまに大ダメージを与えた。
「必殺の連続攻撃、だぜ!」
その連続攻撃がいい感じに決まったようだ、ぬしさまはその場に倒れた。
「ぜぇ………はぁ…………!」
荒い呼吸を繰り返しているのは、今も突然として襲いかかってきた衝撃が彼らの中に残っているからだ。
「い、いきなり襲いかかってきて……ビックリして、戦ってしまいましたが……………」
「だ、大丈夫よね?」
「オリガ、無事か?」
「…………は、はい…………」
とりあえずオリガは無事なようだ、と一同が安心したとき、ぬしさまが起きあがってきた。
「ほぎゃあぁぁ!」
「おきたわっ……もしかして……仕返しされるかも!?」
「あうぅ………どうかお許しを、お許しをぉぉぉ!」
突然起きあがったぬしさまに驚いた一同は、必死に命乞いをはじめる。
「ぬぁぁ? わしゃ~なんで、こんなところにおるんかいのぉ?」
「へ?」
「おかしいの~気持ちよう寝てたのにのう~」
ぬしさまから聞こえてきたのは、なんとも脳天気で気の抜けた声。 そして間の延びた台詞。 そんなギャップに戸惑いながら、オリガはそのぬしさまに問いかける。
「あ、あの、ぬしさま?」
「そうじゃあ、わしゃぬしさまじゃ~。 いやぁ、いじめたりしてすまんの~…わしゃちょっと寝ぼけとったわぁ~~」
「寝ぼけてたぁ!?」
「ええカンジのかっこうをしとるもんで、ついジャレついてしもうたんじゃ~~」
なんと、あの攻撃は寝ぼけていたぬしさまの寝相というべきものだったのだ。 衝撃の事実に対し、必死に戦っていた4人は呆然としていたが、その一方でオリガはぬしさまの前にでて話しかけた。
「あの漁で大きなカゲを見て、もしかしてぬしさまかなと思ったので、あたしがお呼びしました」
「おおう、そうじゃったか~。 実はわしも、おまえさんを探しとったんじゃよ~」
「え、あたしをですか?」
「うむ、これじゃ。 これをおまえさんに渡そうとおもっとったんじゃ~」
そう言ってぬしさまはその大きな口の中から、光る小さなものを取り出した。 オリガはそれを拾い上げる。
「それは?」
「これ………漁師のお守り………?」
「そうじゃ、おまえさんの父親が……大事にもっとったやつじゃ。 これを渡せなかったことを、おまえさんの父親は…最後まで気にかけておったからの~」
そのお守りは、オリガの父の形見だった。 それをぬしさまはずっと持っていたのだ。
「その想いがわしを動かしたんじゃ。 確かにわたしたぞ~」
「そうですか、お父さんが…………。 ありがとうございます、ぬしさま」
オリガが礼を言うとぬしさまはうむうむとうなずいたように動いた後、思い出したように話を続けた。
「そうそう、迷惑かけたお詫びにこいつもやるわぁ。 海の中で見つけた、こいつもやるぞぉ~~」
そういってぬしさまはさらに、あるものを取り出す。 それは金色に光る果実だった。
「これは……!」
「それじゃあ、わしゃあ海の底へ帰るとするかの~」
「あ、ども……」
その金色の果実は、かつて自分達が集めていた女神の果実だった。 フィリス達はこれをくれたぬしさまに礼を言うと、オリガは果実を見てフィリスに告げる。
「その金色の果実は、あなたにあげます。 あたしには必要のないものですから……」
「あ、ありがとう」
「でも、よろしいんですか?」
セルフィスは確認の意味を込めてオリガにそう問いかけると、オリガはうなずいた。
「あたしは大丈夫。 このお守りがあるから………」
「……オリガ……」
「じゃあ、先に帰ってますね!」
「あ、ああ」
そう言ってオリガは一足先に帰り、フィリス達はその女神の果実を見つめた。
「女神の果実……」
それはいつ作られたのだろうか、その果実が実るはずの樹は真の姿を取り戻し存在しないはず。 だがそれは間違いなく、女神の果実だ。 その女神の果実を見つめて戸惑うフィリスに、仲間達は言う。
「フィリス、それは貴女が食べてみて」
「え……でも……」
「いいからいいから」
「願い事を言ってみろよ」
「……………………」
3人はフィリスに、女神の果実を口にすることを勧めていた。 それはきっと、フィリスのことを気にかけ続けていたからだろう。 その女神の果実の力で、彼女に少しでも楽な思いをしてほしいのだ。
「……………あたしの、願い……か…………」
「誰か、会いたい人とか……思い浮かべたら? わたし達は………それがあなたの願いだと読んでるもの………」
「……………」
イアンも、セルフィスも、クルーヤも、すべてフィリスの思うがままにしようとしている。 それを感じたフィリスは、女神の果実を見つめた。
「あたしは………あたしは…………!」
フィリスは自分の願いに、正直になったかのように、女神の果実にかじりついた。 その次の瞬間、女神の果実は光を放ち、フィリスを包み込んだ。
「……………!」
「………え…………?」
その光がやんだ瞬間、彼女の耳にある声が入ってくる。 その声を聞いたフィリスは、現状に追いつけず戸惑う。
「ハロー、フィリス。 アタシが見えてる? アタシの声が聞こえてる?」
そして、目の前にいる、金髪に小麦色の肌の、羽の生えた女の子の存在に気づく。
「え、あ……さ………サンディ………?」
フィリスは、目の前にいるその存在の名前を口にした。 その名前に対しその存在はにっこりと笑って頷くと、彼女に告げる。
「フィリス、おっかえりー!」
「………………」
「あ、おかえりってのはヘン? まぁいいや。 とにかくまた会えて嬉しい……ってことで」
「………………」
「………って、フィリスだいじょぶ?」
サンディはフィリスの顔をのぞき込んだり手を振ったり、声をかけ続けていた。 と、次の瞬間。
「さ、サンディー!」
「うわっ!」
気付けばフィリスは、サンディに抱きついていた。 フィリスに抱きつかれているサンディは、どこかまんざらでもなさそうだった。
「やっぱり、会いたかったのは彼女なんですね」
「ああ」
その様子を仲間達はみていたが、直後にあることに気付く。
「あれ、というかわたし達にも……サンディが見えてるし……声も聞こえる?!」
「あの世界樹の朝露の効果が、蘇ったんだな。 フィリスが女神の果実を食べたことで、あの朝露の効果がまた、オレ達の中に復活したんだろう………」
「女神の果実の奇跡、なんでしょうか……?」
クルーヤが驚き、イアンが仮説を立て、セルフィスは首を傾げる。
そうして再会を味わっていたが、やがてサンディはフィリスの腕から解放され、話を盛り上げていく。
「あれからずっと、うしろをつけてたのにさっぱり気付かないしさ。 フィリスってばにぶすぎ!」
「え、マジ!?」
「マジマジ!」
あれから半年間、サンディはずっとフィリスの後をついてきていたのだろう。 それに気付かないままフィリスは、ずっと天使の時代を断ち切り人間として生きているんだと、感じていたのだ。 自分の天使だった証を知る存在が、そんなに近くにいたとは知らずに。
「ほら、こっちこっち!」
「待てよサンディ、なにがあるってんだ?!」
そんなことを感じながら、4人はサンディについていった。 そしてたどり着いたのは、仄かに光を放つあの木の元でありサンディが呼ぶとそこにあの金色の乗り物天の箱船が、空から現れる。
「て、天の箱船だ!」
「じゃあ………まさか………」
「そのまさか」
サンディはフィリスらにウィンクをすると、着地をした天の箱船の扉を開けてそこにフィリスらを入れる。 そのとき視界に入ったのは、ある人物。
「よう、フィリスにそのご一行。 久しぶりだな」
「アギロさん!」
「アギロの旦那!」
そこにいたのは、天の箱船の運転手である男性・アギロだった。 彼との再会にはフィリスだけでなく、イアンも喜んでいた。
「女神の果実でオレに会いたいと思うなんて………泣かせるねぇ」
「ちょっとテンチョー! フィリスはアタシに会いたいって言ってたんですけど!」
「ははっ、どっちでもいいじゃねぇか。 こうしてまたフィリス達と会えて、オレは嬉しいぜ!」
「ああ、あたしも二人に会えて嬉しいよ!」
アギロもまた、フィリス達とこうして再会できたことを喜んでいるようだった。 そうして再会を喜び合っていた一同だったが、そこでアギロはある使命のことを思いだし口にする。
「なぁ、フィリス。 お前は人間の世界の守り人になれ……と女神セレシアから言われたんだったな」
「うん」
「守り人の使命を授かり、そしてお前に少し天使の力が帰ってきた………。 だから今、お前やオレの姿が見えるようになった………」
アギロは、フィリスのほうをむいて話を続ける。 それは、自分達の姿が見え天の箱船に乗れるようになったと知ったときに決めたことを、彼女に告げるために。
「こうなったからには、オレもお前の守り人の使命のために、なにかしてやりたいと思った。 そこで、オレはこの天の箱船を…お前にも任せることを決めた!」
「へっ!?」
「ちょ、マジすかテンチョー!」
「ああ、マジだ」
天の箱船のこともアギロはフィリスにまかせるといいつつ、ある話を持ちかけてきた。
「世界をねらうヤツは、まだどこかに潜んでいるってハナシだ。 そして、本当の神も………」
「それは、グランゼニスのことか?」
「ああ」
女神セレシアがいうには、グランゼニスは死んではいない、この世界のどこかにいるとのこと。 その真相は分からないままだが、その真相にも少しは近づけるだろうかとフィリスは思った。 そんなフィリスに対しアギロは話を続ける。
「そして、世界をねらうヤツを探し出すには、地図が必要だってハナシだ」
「地図?」
「ああ。 その地図で世界を巡り、世界をねらうヤツを倒すのが…………フィリスの守り人としての使命だ」
アギロの言葉に対し、フィリスは使命…と呟いた。 天使達は星空の、自分は人間の、それぞれの守り人となったその意味を、果たすときがきたのだと悟ったかのように。
「おっと、オレ達を忘れるなよ!」
「フィリスにばっかり、守り人との使命を押しつけさせないわ!」
「僕達も、彼女とともにその使命を背負い……ともに果たします」
「イアン、セルフィス、クルーヤ………」
そんなフィリスの気持ちを読んだのだろうか。 これからの冒険にも、3人は彼女の旅に同行するつもりのようだ。 その気持ちが、フィリスにとってはとても嬉しいことであり、そして心強いものだった。
「おう、もちろんお前達にも期待しているぜ!」
アギロも、彼らがこの守り人としての使命に関わることを受け止めているようだ。 そうして一同の気持ちがうまくまとまったところでフィリスは中心にたち、号令をかける。
「よし、じゃあ守り人として再出発だ!」
「「「おーっ!!」」」
小説のつじつま合わせとかメタを入れないようにするのは大変ですね…。