ドラゴンクエスト9 AngelsTale2   作:彩波風衣

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色々考えた結果、もうひとつの連載作の準備が整うまではこれをできるだけ多く更新していくことにしました。
というわけで、配信クエスト編です。


02「リッカと夢の宝物」

 

 ツォの浜でオリガとともにぬしさまを探し出したフィリス達。 そこでフィリスは女神の果実を手に入れ、それを口にする。

 

「まさか………またサンディと一緒に旅ができるようになるなんて、おもわなかったよ」

「でも、また見えるようになった力を得たって、フィリスがあたしやテンチョーと会いたいと願ってくれなかったら、意味ないヨッ!」

「そう、だからこれは女神の果実の力だけじゃない……フィリスの本当の願いが生んだ結果なのよ」

 

 その結果、フィリスはかつて旅路をともにしていたサンディと、天の箱船の運転手である男・アギロと再会をすることができた。 彼らの姿が再び見えるようになり、天の箱船を操り今までより広い場所を旅できるようになったのだ。 それはフィリスだけではなく、仲間達も同じことだった。

 

「それがわかって……あたし今、すっごく嬉しいよ………」

「フィリスさん……」

 

 もう彼女は同族である天使と会うこともなければ、彼らとともに星になることもなかった。 そして、彼女に翼と輪が戻ってくることもない。 しかし、それでも彼女は暗い顔をしない。 その理由はもっとも会えたらいいと思っていた者達との再会が叶ったからだろう。 そして、その願いは自分の中で強いものだったと知れば、嬉しさもますというものだ。

 

「とりあえず、リッカの宿屋にかえって、あの手紙を無事に届けたことを報告しようぜ。 ついでにそこで休んだり、次の依頼をさがせばいいさ」

「そうですね………そうすればアギロさんの仰ってた、地図の秘密もわかると思いますし。 それに……あの宿屋には酒場も搭載されています」

「そっか! 酒場なら情報が入ってくること、間違いなしよね」

 

 一旦、リッカのまつ宿屋に帰ろうということでこの話はまとまった。 そこで一晩やすんだ後に、フィリスと仲間達の新しい旅はまた始まるのだ。 そのためにも、親友のいる宿屋で鋭気を養いたいところである。

 

「よし、そうしたらまた守り人としての再出発だな!」

「ああ」

 

 そう声を掛け合い、彼らはセントシュタイン城へ帰って行った。

 

 

 そうして4人はセントシュタイン城にある、リッカの宿屋に帰ってきた。

 

「やぁリッカ!」

「…………」

「リッカ?」

 

 フィリスはいつものように挨拶をしながら宿に入ったのだが、リッカは顔をうつむかせて黙っていた。 そのかわり、隣にいたルイーダがフィリス達に気付き、リッカの肩を軽く叩いて姿勢をしっかりとさせる。 ルイーダに肩を叩かれたリッカは背筋を伸ばして我に返り、訪れた客に接客をしようとする。

 

「あ、いらっしゃいませ………って、フィリス! おかえりなさい!」

「あ、ああ………ただいま。 とりあえず、リッカから預かった手紙はトトに送り届けたぜ」

「そうなんだ……ありがとう」

 

 そうお礼を言って笑いかけてくれたが、やはり元気がない。 いつもの元気が感じられないことからフィリスはリッカのことが心配になり、彼女に問いかける。

 

「どうしたんだ、リッカ?」

「………え………」

「なんか元気ないぜ? 悩みでもあるのか?」

 

 リッカはそう問いかけてくるフィリスにたいし、大丈夫だよと返すが、その横でルイーダが咳払いをする。

 

「る、ルイーダさん……」

「このままため息を何度もつかれちゃ、宿の仕事どころじゃないでしょ。 ここは思い切って、フィリスに話をしなさい」

「…………」

「リッカ」

 

 話をしていいものか、と迷いを見せるリッカにフィリスは微笑みかけながら彼女の名前を口にした。 それを見たリッカは意を決し、自分がなにを悩んでいるのかを打ち明けることにした。

 

「…………ねぇ、フィリスは……今も旅をしていて……満足してるの?」

「ん?」

「私………最近思うんだ。 今のままでいいのかなー……って………」

 

 リッカの言葉を聞いたフィリスは首を傾げる。

 

「ほら、私って……今はこの宿屋を切り盛りしているでしょ?」

「ああ」

「宿屋の仕事は、朝から晩までお客様の相手をして、掃除や洗濯に追われる日々なんだ……」

「だろうな」

「今の宿屋のお仕事も好きだけど……私と同じ年頃の女の子はおしゃれしたり遊んだりしているのに………私はホントに、このままずーっと宿屋の仕事を続けるだけでいいのかなって、思っちゃったんだ……」

「うーん……そういうの気にしたりするんだな……? あたしもリッカとそうかわんないハズなんだけど……まわりの女の子を見ても、あまり気にしてなかったな………」

「フィリスは普通じゃないもんね」

「おい、それはどういう意味だ?」

 

 クルーヤの言葉に対しフィリスがツッコミを入れると、リッカは話を続けた。

 

「そんなとき………倉庫の整理をしていたら、お母さんの手紙が入った箱が出てきたんだ」

「手紙?」

「うん、読んでみるね」

 

 そういってリッカは例の手紙を取り出し、彼女たちにも読んで聞かせた。

 

「親愛なる娘 リッカへ。

今は病に伏せか弱い貴女ですが、いずれ立派な女性になると母は信じています。

そんな願いを込めて母は、同封していた地図の洞窟に、貴女へのささやかなプレゼントを用意しました。

もしも貴女が何か息詰まることがあったら、そこへいってみてください。

でもくれぐれも、ムリはしないでくださいね。

母より」

 

 それが、手紙に綴られていた母の言葉の全文らしい。 その手紙に書いてあった地図も、リッカが持っているようだ。

 

「実はね……お母さんの手紙と一緒にこの地図が入ってたの」

「地図?」

「うん、これなんだけど……」

 

 そういい、リッカは手紙に同封されていたという地図を見せる。 そこには、ある町の近くにバッテン印が打たれているものだった。

 

「手紙に書いてあった地図、て……これのことだよな……」

「それは間違いないですね」

 

 その地図を見て、イアンはふとあることを思い、フィリスに確認をするかのようにこっそり話しかける。

 

「……まさか、例の地図か……?」

「わかんねぇ……」

 

 これが、アギロが語っていたという地図の一枚なのだろうか。 そんな疑問を抱きつつ、あまり公にしないためにリッカの話に引き続き耳を傾ける。

 

「私、その地図の真相と、お母さんのプレゼントを確かめにいきたいんだけど……さすがに一人じゃムリかなーって思ったんだ」

「そういうことなら、あたしらの出番じゃねーか?」

「うん、だからフィリスとみんなに、一緒にきてほしいんだ」

 

 これが次の依頼だ、と確信を得たフィリス達は、彼女とともにこの地図にある母の贈り物の真相を確かめることにした。

 

「よし、一緒に冒険にいこうぜ、リッカ!」

「あなたのことはしっかりと、わたし達が守るよ!」

「貴女には指一本ふれさせません」

「オレ達がいれば、大丈夫だぜ!」

 

「ありがとう……フィリス、みんな! あなた達がいてくれれば怖いものナシだわ!」

 

 

「行ってもいいけど、今日はもう遅いし………フィリス達も帰ってきたばかりで疲れているでしょ? 明日、決行したらどうかしら」

「そうと決まれば、なんだかやる気出てきたかも! 精一杯もてなすね!」

「ああ!」

 

 

 そう話をまとめた翌日のこと。 フィリス達はリッカと共に、彼女の持っていた地図のポイントに向かい、そこに入り口を発見し入った。 ちなみに発見した場所は、エラフィタ村の近くだ。

 

「まさか、こんなところにあったなんて………」

「ああ、オレも知らなかったぜ」

「さぁ、洞窟探検のスタートよっ!」

「おう!」

 

 世界を旅してきた一行も、ここにまさか洞窟が存在するなど知らなかったことだ。 一度みたことが、通ったことがある道でも視点を変えれば新しい発見があるということなのだろうか。 そう思いつつ洞窟の中にはいるとそこは、遺跡のような構造をしており迷宮のようだった。

 

「とはいえ、不安だなぁ……」

「心配いらねーよ」

 

 こういう探検をしたことがないため不安を覚えるリッカの頭に、イアンは手をおきながら彼女に笑いかける。

 

「どんな魔物に襲われようとも、オレのそばにいれば大丈夫だから…安心してオレ達についてきな」

「い、イアンさん……」

「ふふ、頼もしいわねイアン!」

「からかうな」

 

 クルーヤにたいしそう返すイアンを横目に、フィリスはリッカに笑いかけた。

 

「とにかく、あたしらからはぐれるなよ。 魔物がきたら隠れろ……いいな?」

「……うんっ!」

「さて、参りましょう」

「ああ」

 

 そうして4人はリッカを守りながら、洞窟を奥へ進むこととする。 途中ではやはりというべきか、魔物が何度もおそってくるがフィリス達はそれに全力で立ち向かい、戦えないリッカを守っていた。

 

「イオナズン!」

「マヒャド!」

 

 先ほども、目の前に出現したアイアンブルドーの群を魔法攻撃で一掃したところである。 周囲にいた魔法攻撃がいっさい効かないスライムマデュラという魔物は、物理攻撃が得意なフィリスとイアンが倒した。

 

「なんか………この洞窟にいる魔物、地上のよりやたらと強くない!?」

「ホントだな………」

 

 ここまで戦ってきた魔物は、今まで相手してきた野良の魔物とはケタ違いである。 自分達は戦いにたいしては手だれていると思っていたのだが、それは自惚れでしかないのかもしれない……そう思ってしまうほどだった。 こうして戦い、生き残れているだけでも運がいい。

 

「けど、あたしらはここでくたばれねーぞ」

「わかっていますよ。 受けた仕事は最後までやるべきですし……僕達が倒れたら、あの子を守れる人はいなくなります。 さぁ……そのためにも今、回復しますよ」

「お願いね」

 

 そういってセルフィスは仲間達にベホマラーをかけ、全員の疲労や傷をいやしていく。 だが、その直後。

 

「きゃああ!?」

「リッカ!?」

 

 リッカに今、飛び出してきた魔物が襲いかかろうとしていた。

 

「あぶねぇ!」

 

 イアンはすぐにリッカと魔物の間に割って入り彼女を庇うと、片腕で魔物の攻撃を受け止めてそこからけりを入れて吹っ飛ばし、壁にたたきつける。

 

「ばくれつ拳!」

 

 さらにそこにばくれつ拳をたたき込み、魔物を倒した。 自分のことを守りながら目の前で魔物を倒してみせたイアンに、リッカは呆然としていた。

 

「ケガはねぇか?」

「う、うん……ありがとう」

「無事でよかったぜ」

 

 リッカが無傷であることを確認したイアンは安心したようであり、白い歯を見せてにかっと笑った。 そのイアンの顔に対しリッカはきょとんとしていたが、すぐに笑ってうなずき返した。 そんなとき、フィリス達が二人に駆け寄ってくる。

 

「リッカ、イアン! 大丈夫か!?」

「うん……イアンさんが助けてくれたから平気だよ」

「そっか、よかった!」

 

 二人にけががないとわかったフィリスとセルフィスとクルーヤは笑顔になり、先へ進もうと促す。

 

「よし、さっきみたいな危ない目にあわないように……とっととこんな洞窟を攻略して、捜し物を見つけるぜ!」

「うん」

 

 イアンもリッカも、フィリスを筆頭に歩き出していた。

 

「………なんか、怪しいんですけど……あの二人」

 

 そんな二人に対し、サンディは曰くありげに笑っていた。

 

 

 そうして洞窟の奥にたどり着いたフィリス達だったが、そこには衝撃の魔物が待っていた。

 

「ハァァッ!」

 

 そこに待っていたのは、複数の生物の姿が合体したような、奇抜な姿の魔物。 彼らはその魔物の姿をしばし凝視していたが、魔物に気配を気づかれた瞬間におそわれ、戦いを余儀なくされた。

 

「びっくりしたぁぁ! 洞窟の奥にはあんなバケモノがいるのねっ!?」

「ああ、洞窟の奥で宝を守る番人………ってか? ありがちパターンってワケかよ…………」

 

 なんとかその魔物は倒したものの、まさか洞窟の奥であんな魔物と戦うとは思っていなかった4人は、勝利してもなお心臓がバクバクと音を鳴らしていた。

 

「リッカ、大丈夫か!?」

「うん、私は無事だよ!」

「よし!」

 

 フィリスは戦いが始まってからずっと物陰に隠れていたリッカに呼びかけ、こちらへくるようにうながす。 彼女達の目の前には、あの魔物が敗れ消滅したら出てきた宝箱が置かれていた。

 

「さて………多分これが、リッカのおふくろさんが用意してたプレゼントってヤツだな」

「そうですね………あけてみてください。 貴女の手で」

「あ、うん!」

 

 フィリスとセルフィスに促され、発見された宝箱に手を伸ばし、あける。 するとそこには、しっかりと編まれたセーターが一着、入っていた。

 

「これって……手編みのセーターだ………今の私にぴったり…………」

 

 リッカは母のプレゼントの正体を知り、その話題をフィリスにも降る。

 

「ねぇ、フィリス見て! このセーター……わたしにぴったりなサイズなの!」

「みたいだな………でも、なんでそのセーターがこんなところに……?」

「これが、リッカちゃんのお母さんのプレゼント、ということなの?」

「きっと、そうなのでしょう……」

「あ、待って!」

 

 全員が、リッカの母の贈り物の正体にたいし首を傾げていると、そこでリッカがあるものに気付く。

 

「どうしたの?」

「手紙も入っていたんだ。 さっそく読んでみるね」

 

 そういってリッカは、セーターと共に入っていた手紙に気がつき、それを読み上げる。

 

「親愛なる娘 リッカへ。

貴女がすくすくと育っていく姿を想いながら、このセーターを編みました。

思わせぶりな手紙の割に、こんなみすぼらしいものでごめんなさい。

病にふせっていた私には、こんなことしかできなかったのです……。

病弱な母を…許してください。

でも………貴女がここまでたどり着けるようになるなんて、母はとても嬉しいです……。

何か不安を抱えている貴女に、母からいえることはただひとつ。

失敗をおそれずに、自分のやりたいことをやりなさい。

母はいつだって、貴女の味方ですよ。

直接話を聞くことができず…心苦しいけど、母はいつまでも……天国で貴女を見守っています…。

リッカ………そばにいてあげられなくて、ごめんね。

母親らしいことを何一つ出来なかった………私を、許してください…………」

 

 最後の方は、リッカは鼻声になって言葉が途切れ途切れになっていた。

 

「う、うぅぅ…………」

 

 その理由は、リッカが涙を流しているから。 手紙とセーターに込められた亡き母の思いを知ったから。 その愛情の深さにふれたから。

 

「……………ありがと、ありがとう…………お母さん…………」

「………リッカ………」

「………そう、そうだね…………私、なんで宿屋を継いだのか、忘れかけてたよ………」

 

 リッカは、自分の夢を改めて確認した。 何故その夢を持ったのか、何故今も宿屋を続けていたのかを。

 

「私の夢は……私のために全てをなげうったお父さんと………こんなに私を愛してくれたお母さんの思い出が詰まった、あの宿屋を守っていくこと…………」

 

 そう語るとリッカは立ち上がり涙を必死に拭うと、顔を上げた。

 

「…………私、もう悩まない。 お父さんとお母さんの宿屋を……きっと、世界一にしてみせるわ………それが、私の幸せのためだから」

「そっか、吹っ切れたならいいよ」

「貴女が立ち直れたのであれば、僕達も嬉しくなりますしね」

 

 気持ちを吹っ切り、改めて立ち上がったリッカをみて、フィリスは笑って彼女にいう。 自分はいつまでもリッカの親友であり、味方であると。

 

「またなにかあったら、いっつでもあたしらを頼れよ! あたし達はリッカの夢を応援したり、助けたりしたいんだからな!」

「ありがとう、頼もしいよ……フィリスは!」

「………けどさ、たまには年頃の女の子みたいに、おしゃれしたっていいと思うぜ。 平和な世の中なんだし……誰も止めるまねはしねーよ」

「………ふふ、なんだかフィリスがそれを言うのってヘンだね」

「………うっさいな……あたしはいいんだよ」

 

 そう女子同士で盛り上がっているのを、イアンとセルフィスは見守っていた。

 

「とりあえず、リッカの依頼の達成と……最初の地図攻略成功だな!」

「そうですね…!」

 

 地図の攻略、ひとつの依頼達成を感じた一同は、ここに長居は無用と判断して、帰ることにした。

 

「さ、帰ろうぜ。 宿屋でみんなが待っているだろうし……さ!」

「うん!」

 

 そう呼びかけるフィリスに、リッカは笑顔で答えて。

 




メタ的な内容をできるだけ回避しながら話を完成させるのって難しいなぁ…。
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