まぁ別のところからの再掲だしな(いうな)
というわけで今回は、宝の地図攻略編です。
エルシオン学園にて、忘れ物を届けるついでに宝の地図の情報を求め調べ物をしたフィリス一行は、再び旅立つことにした。
「次の地図へいこうぜ」
「カルバドの集落でもらったやつだな」
実はあの戦いの後、フィリス達は集落の人々からお礼として一枚の宝の地図をもらっていたのだ。 彼らは当初なにを礼として差し出そうか迷っていたそうなのだが、彼らの持ち物の中にそれがあったので、金品はいらないからそれをくれと言ったのである。
「がめつかったかな、あの時のあたし達の態度」
「問題はなかったんじゃない? あの人達もこんなものでいいのかと戸惑うほどだったし、安いほうっしょ」
「さ、サンディ……」
サンディはそうハッキリ言った後、あのとき目撃した現場を思い出してニヤニヤと笑いながら口を開く。
「それに、フィリスってばあの後族長と2人きりになって……」
「し、しぃ!!」
「むごぉ」
フィリスは素早くサンディをおさえこみ、口をふさいでそのまま荷物袋に押し込んだ。 首を傾げる3人にたいしフィリスはなんでもない、と返してごまかした。
「なんでもないなら、さっさといくぞ」
「わ、わかってる!」
そう声を掛け合い、4人で学園を旅立とうとしたそのときだった。 彼らに、一人の少年が駆け寄ってきた。
「おい、お前達!」
「?」
そこにいたのは、金髪でフィリスと年の変わらないような少年。 かつて不良としてこの学園で好き放題をしていたものの、今は更正しこの学校の生徒会長にまでなった、モザイオだった。
「モザイオ!」
「お前達……調べ物をするって言ってたけど……もう終わって旅立つのか?」
「ああ」
モザイオとは図書室を借りる前に少し挨拶をしただけだ。 だが、モザイオとしては授業が始まる前にどうしても、彼らと会話をしたかったらしい。 チャイムが鳴ったにも関わらず、モザイオは彼らと向かい合う。
「どうかしたの?」
「いや、ちょっと残念に思っただけだ。 思い出話とか、お前達が学園の外でどんなことをしているのか……お前達の口から直に聞きたかったんだ」
「そっか」
モザイオが自分達に心を許していることが、その言葉だけで伝わってくる。 かつて事件に巻き込まれたところを、フィリス達に助けられたこともあるのだろう。 そんなモザイオにたいし、イアンが代表して伝える。
「じゃ、また次会ったときにでも話してやるよ」
「……約束しろよ」
「おう、するぜ! オレはお前の先輩なんだからよ!」
そう言葉を交わし、イアンを筆頭に4人はエルシオン学園を出ていった。 モザイオは彼らの姿を、自分が教師に見つかるまでずっと見送っていた。
「よし、次の洞窟も攻略するぜ」
「ああ!」
「はい!」
「ええ!」
イアンの言葉にたいし、フィリス達は堂々と頷いた。
その宝の地図の洞窟が存在していたのは、ベクセリア近辺だった。 地図を開いたらその場に洞窟が現れたのでそこに入ってみると、そこは溶岩が流れる灼熱の洞窟だった。
「はぁ……ここ、やっぱあついわね」
「フィリス、間違っても脱ぐなよ」
「ぬがねーよ!」
以前に口にしたジョークを掘り返され、フィリスは羞恥心にかられながらツッコミをいれる。 そんなとき、彼らに灼熱の炎が襲いかかってきた。
「うわぁ!」
「あちっ! なんだ!?」
幸いにも、とっさに回避したおかげで誰一人としてダメージを負うことはなかった。 すぐに4人は自分達に炎を吹きかけた相手を捜すと、相手の方から姿を見せてきた。 そして、4人はその姿にはしっかりと見覚えがある。
「こいつ、ルディアノ城で戦ったヤツだわ!」
「本来はこう言うところにいる魔物なんだな!」
そう声を掛け合い、フィリス達も戦う体制に入る。 エビルフレイムの群は自分の目玉を操り、フィリス達に攻撃を繰り出す。 それをイアンとフィリスは武器ではじいていき、クルーヤは魔法を放つ体制に入る。
「これでいいかしら、マヒャド!」
クルーヤはエビルフレイム全体にマヒャドを放ち、一気に大ダメージを与える。 そこにフィリスとイアンが突っ込んでいき、攻撃を加えていく。
「はぁっ!」
「氷結らんげきっ!!」
その連続攻撃に敵のエビルフレイムは次々に倒れていくが、最後の一匹が現れてフィリス達に炎を吹きかけ動きを封じた。
「ッチ、しぶとい……」
「ドルマドンッ!」
そのとき、強大な闇の力が飛んできてエビルフレイムを包み込んだ。 それによりエビルフレイムは跡形もなく消滅し、一同はあの魔法を放った張本人であるセルフィスをみた。 セルフィスはその掌に闇の力を宿しつつ、冷ややかな目を閉じた。
「失礼しました。 あの姿を見るとつい……」
「そ、そっか」
そう冷静に言い放つセルフィスに対し、フィリス達はなにも言及はしなかった。 ではいきましょうと彼が言うので、フィリス達はついていく。
「この洞窟のボスってどんなヤツなんだろうな?」
「マジ気になるね、いままで戦ってきたヤツらとカブったらまじ萎えるって感じだけど」
「あんまり期待はしないでおくか」
そうサンディと短い会話をしつつ、フィリスは自分に襲いかかってきたようがんまじんの攻撃を盾で受け止めつつ剣で斬って倒した。 そのとき、サンディはフィリスが持っていた盾に気がつく。
「あれ、フィリスのその盾って今までのとちがくない?」
「ああ。 この間ブラッドナイトを倒したときに手に入れたヤツなんだ。 今までのはそいつに壊されたからな、新しい盾にちょうどいいんだよ」
そう、翼の装飾に蛇を描いた不思議な盾をサンディに見せつつ、フィリスはそう説明をする。 それにたいしサンディはふーんと返した。
「まぁ使いやすいんならいいんじゃね? ジャンジャン使っちゃえば」
「ああ、ジャンジャン使っちゃうぜ……おぉっと!」
サンディの言葉に対しそう返事をすると、巨大な赤い戦車に乗った魔物が突っ込んできた。 フィリスがそれを間一髪のところで回避すると、真上からイアンが降ってきてその魔物にかかと落としを食らわせ動きを止める。 そのかかと落としに脳天をやられたらしい魔物の亡骸の上に立ちつつ、イアンはフィリスに注意を呼びかける。
「おーい、おしゃべりもいいけどここは敵陣のまっただ中だってことを忘れてんじゃねぇぞー」
「はは、わかってるって!」
そう返しつつ、フィリスは剣を抜いて自分に飛びかかってきたにじくじゃくを一刀両断する。 立て続けにれんごくまちょうが現れたが、それはセルフィスの矢とクルーヤの魔法に一掃された。
「2人とも、大丈夫!?」
「奥に次の階層への階段を発見しました、急いでそちらへ向かいましょう」
「わかった!」
そう声を掛け合い、4人はセルフィスが見つけたという階段を下りていく。 だがその部屋は、ある理由から異臭がたちこめていた。
「なんだ、こいつぁ」
「うぇ……お酒臭いです……」
「やべぇレベルだな、こりゃあ……」
「……ただでさえ熱すぎて気が狂いそうなのに、追い打ちがかかるなんて……」
階段を降りたその先の部屋は、酒のにおいで満ちていた。
「うぅぅ……このにおいの正体はなんなのでしょうか……」
「セルフィス、平気か?」
彼は聖職の身ゆえに禁酒をしているのだろう、だがだからといって酒のにおいだけでここまで気分に弊害をもたらすことがありえるだろうか。 単純に、セルフィスは根本から酒が苦手なのだと悟る。
「まぁ、飲めるオレでもこのにおいはきついんだ……むりねぇ……ぜ?」
そうイアンが口にしたときだった。 イアンは自分達の目の前に、見慣れない魔物の姿があることに気付く。 巨大な鉄球を持っていて甲冑を纏った魔物だ。 イアンはひくりと鼻を動かしつつにおいをたどり、あることに気がつく。
「まさか、この悪臭の根元ってこいつか!?」
「まじ!?」
「あぁ~~~なんだぁ、おまえたちはぁ~~~~?」
魔物はイアン達に気付くと、口を開く。
「このイボイノスになにか用なのかぁ?」
「イボイノス……?」
「あぁ、もうよぉ~~~~ヒッック! いまじゃこんなところに、封じ込められているけどよぉ……昔は天空のキレイなところで過ごしていたえらい神様だったんだぜ、おれさまはよぉ」
「え」
「なんだろ、妄想なのか真実なのかわかんねぇ……」
このイボイノスは自らを神だと語りだし、4人は戸惑う。
「あぁ、おまえ等信じてねぇな!? 俺様もこんなところいなけりゃ、いなけりゃ……チクショー!! ぶっとばしてやるぅぅぅ!!」
「しかも八つ当たりしてきたわよ!!」
「これじゃ神だの魔物だのの前に、ただの酒癖の悪い暴君親父じゃねーか!!」
そう言ってイボイノスが振り回してきた鉄球を回避し、フィリスは剣を抜いて自らにバイキルトをかけ、イボイノスにきりかかった。
「ぬんっ!」
「わぁ!」
だがフィリスの剣はイボイノスの鎧の一部にひびを入れただけであり、そのままイボイノスに振り払われてしまった。 吹っ飛ばされながらも体制を整えたおかげでダメージは軽減された。
「くそっなんてパワーだよ!」
「パワーなら、オレもまけねぇよ!」
そういってイアンはイボイノスの振り回していた鉄球の鎖をつかんで逆に振り回し、その鉄球をイボイノスにぶつけた。 相手に食らわせるはずだった一撃を腹部にくらい、イボイノスは苦しそうなうめき声を上げた。
「いまだ、攻撃するぜ!」
「はい! ドルマドン!」
「いくわよ、イオナズン!」
イアンのかけ声にあわせて、セルフィスとクルーヤがそれぞれ攻撃魔法を放つ。 2人の魔法がヒットした直後にフィリスはイボイノスにはやぶさ斬りを繰り出した。
「ぬぉぉぉおお!!」
「うわぁぁっ!!」
「セルフィス!」
体勢を立て直したイボイノスは鉄球を振り回してセルフィスを吹っ飛ばした。 彼は壁にたたきつけられ、助けにいこうとしたフィリスたちをイボイノスはけたたましい雄叫びをあげて、動きを封じる。
「ぐぉぉぉお!!」
「うぐ!」
「きゃっ!」
その雄叫びの迫力におされたフィリスとクルーヤはしりもちをついてしまった。 そんな2人に対しイボイノスは鉄球を振り回して攻撃を加えようとしてくる。
「フィリス、クルーヤ!」
イアンが2人を助けようとした、そのときだった。 どこからか矢が飛んできてそれがイボイノスの目に命中したのだ。 目をやられたイボイノスはその痛みに絶叫をあげる。
「うおぉぉぉ……いでぇぇ!」
「甘く見ないでいただきたいものです」
矢を放ったのは、立ち上がったセルフィスだった。 そのすきにフィリスは立ち上がりクルーヤも立ち上がらせる。
「ここは、大技で一気にけりをつけようぜ」
「ええ!」
まずはイアンが敵の鉄球を捕まえ、鎖をしっかりとつかんで攻撃の手段を封じ込める。 そこにセルフィスはドルモーアを放ち、それがヒットした直後にフィリスが突っ込んでいってはやぶさ斬りを繰り出した。 そして、イアンは鉄球を振り回しもう一度イボイノスに自分の鉄球を命中させる。
「マヒャデドス!」
そこにクルーヤが氷の最上級魔法を放ったことにより、イボイノスは倒れた。 どうやら、氷の属性が弱点だったらしい。 イボイノスは氷に包まれながら、口にする。
「俺様は……神様、だった……」
「でしたら神よ、安らかにおねむりを……あと、お酒はひかえてください。 臭くてたまりませんので」
「なにげにキツイことをいってね?」
そうしてこの地図の洞窟も攻略したフィリスたちは、イボイノスが持っていたあるものを拾ってから洞窟をでて地図を閉じた。 するといつものように洞窟は消えた。
「あいつもかけらを持ってたんだな」
そういいながら、イボイノスが持っていたとされるものを見つめる。 それは、例の宝石…女神の祈りの一部だったのだ。 フィリスは宝石の本体を取り出してそれに近づけると、かけらはその本体にくっついてひとつの宝石になった。
「うん、だいぶ大きくなってるわね」
「もう少しで、その女神の祈りは完成するようだ」
「!」
全員で今の宝石の状態を確認していた、そのときだった。 バサッ、と大きな翼が羽ばたく音がしたのでそちらをみてみると、そこには例の天使…ラヴィエルの姿があった。
「ラヴィエルさん!」
「その様子……女神の祈りのかけらはあとひとつというところまで集まってきたな」
「ああ……まぁ、この通り」
そういってフィリスはラヴィエルにその宝石を見せた。 それをみてラヴィエルは頷き、フィリス達にある情報を伝えた。
「あと、宝石を持つ魔物は一体……そして、そのかけらをもつものはここにいる」
そういってラヴィエルはフィリス達に、一枚の地図を見せた。 それは、今まで何度も見てきた、洞窟をしめす宝の地図だった。
「地図?」
「その地図の最奥にひそむ魔物……魔剣神レパルド」
「レパルド?」
「その魔物が、最後のかけらを持っている。 だが、この魔物は今まで君たちが戦ってきた奴らとは比にならん強さを持っている……心してかかるといい」
宝石のかけらを持つ魔物の情報を持っていながら、その強さを知っているために手を出さなかった。 自分達に宝石のアドバイスを送っていた。 それまでに起きていたことをつなげてある答えを見つけたイアンは、それを直接ラヴィエルにぶつけてくる。
「さしずめ、オレ達がそのレパルド、てヤツと対等に戦えるかどうかを高みの見物をして確かめていたということか?」
「イアンッ」
「そんなところだ。 私は戦うことは不得意であるため……ヤツと戦えるものを探しいていた。 そして、君達はその条件を満たしている。 だから、頼みたい……宝石を完成させるためにも」
そう必死になって、宝石の完成を頼むラヴィエルにフィリスは耐えきれなくなったらしい、彼女の正体に対する疑問をそのまま打ち明けた。
「なぁ、ラヴィエルさん……あなたは本当に何者なんだ!?」
「……」
「フィリス?」
「ずっとずっと、気になってたんだよ! なんで……天使であるはずのあなたがここにいるのか、なんで、あたしのことを……知ってるのか! なんで、みんなと同じ星にならないでここにとどまってるのか……! あたしには、わけがわからねぇよ!」
そう投げかけてくるフィリスに仲間達も口を閉ざし、ラヴィエルもしばらく黙り込んでいた。 だがやがて、フィリスの持っているあるものに目を向け、それにたいすることで口を開いてく。
「その剣……」
「この剣?」
ここにある、目立つ剣と言えば、自分の持つ彗星の剣しかない。 そう思いフィリスは剣を手に取った。
「それはかつて、天使エルギオスだったものだな? エルギオスからその弟子に受け継がれ、今は君に受け継がれたものだな」
「あ、ああ……そうだけど……」
何故唐突にこの剣に注目をしたのだ、と疑問を抱いたフィリスに対しラヴィエルは口を開いた。
「私も、その候補だった」
「えっ!?」
「だが、私は戦いが不得意であったため……剣を受け取れなかった。 その剣は別の天使に継承された。 もっとも、本人がそれを手にとって戦う姿は私は見たことがなかったがな……」
そうラヴィエルから説明を受け、フィリスは驚く。 この剣を受け取ったのは自分の師匠だった、だがこれを受け取るもう一つの可能性の存在を知ったのだ。 その相手は、今目の前にいる。
「……すべての真相は、そのレパルドを倒し女神の祈りを完成させたときに打ち明けよう」
「……約束、してくれる?」
「もちろん」
フィリスは、女神の祈りが完成したらラヴィエルの知る秘密と正体をすべえ打ち明けるよう、彼女に約束をさせた。 それにたいし、ラヴィエルは迷わずうなずく。
「……わかった」
「フィリス」
「みんな、宝石の完成まであと一歩だ。 そうしたらすべての真実にたどり着ける。 だから、一緒にがんばろう」
そう声をかけられたイアンとクルーヤとセルフィスは、うなずく。 フィリスとともに戦うという意志はずっと変わらないのだ。
「まぁその地図は攻略するけど、まずはさっきの戦いの疲労をとっぱらおうぜ」
「いそがはまわれ。 十分な成果を得るには十分な休息が必要です。 心配せずとも、僕達は貴女とともに戦いますよ」
「これからもいっしょに、がんばりましょう!」
「ああ、わかったぜ!」
そう和気藹々と、4人は休息のために近くの町へと向かった。 そんな4人をみたラヴィエルは翼を大きくはためかせ天高く飛んでいった。
「………すまない…………」
という、謎の謝罪の言葉を残して。
前書きでもかいたように、もう最終回が近いです。
もっと語りたいことも多いですが、最終回のあとがきまでとっておきたいですね。