フィリスたちの冒険がどういうラストを迎えるのか、お読みくださいませ。
破壊神フォロボスはフィリスたちにより倒され、本の中に再び封印された。 大賢者はそのときにまた力を使ったらしく眠ってしまったが、もうしばらくは目覚めることはないだろう。 大賢者の本は、セルフィスがこれからベクセリアの町と共に守ることを決めた。
「ラヴィエルさん!
「みんな、無事だったようだな……よかった」
洞窟をでたフィリス達は、ラヴィエルの元に帰ってきた。 ラヴィエルは、若干戦いの痕跡を残し消耗をしていながらも、フィリス達が無事に全員そろって帰ってきたことにたいし、喜びつつも彼女達の体を心配した。
「ひどい傷を負ったようだが……大丈夫か」
「ああ、ここにいる賢者さんのおかげだぜ!」
「そ、そんな」
セルフィスが仲間達の傷が癒えるまで必死に回復魔法をかけたおかげで動けると言うことを、フィリスは素直に告げた。 それにたいしセルフィスは照れ、イアンとクルーヤが笑いながら彼をからかう。 そんな3人を横目に、フィリスはフォロボスから奪い返した例の宝石を彼女に手渡す。
「女神の祈りも、無事に取り戻したぜ!」
「……ああ……。 この輝きはまごうことなく、女神の祈り。 取り返してくれて、ありがとう」
女神の祈りを手にしたラヴィエルは微笑みかけると、その宝石の力を使うことを決める。
「さて……早速で悪いが、私の願いをこの宝石でかなえることとしよう」
「ラヴィエルさんの、お願い?」
確かにその宝石は天使の願いだけを叶える力があるらしいし、この世界を探してみてもその願いを叶える権利がありそうなのは、ここにいるラヴィエルくらいのものだ。
「かまわないな」
「まぁ、いいけど……」
フィリス達は息をのんだ。 果たしてラヴィエルはこの宝石になにを願うつもりなのだろうと。 4人は彼女が願いを叶える様子を最後まで見届けることを決め、じっくりとラヴィエルをみる。
「……女神の祈りよ……私の願いを聞き入れて……」
そう、ラヴィエルは女神の祈りをその胸にだき、自分の中にある願い事を思い描いた。 すると女神の祈りは強い光を放ち、その光は天にのぼっていった。
「え?」
その光がやんだと思ったら、今度は天から光が柱となって降りてきた。 そして、その光の中から一人の翼を持った男性が現れ、一同は驚く。 中でも特に驚きが大きかったのは、その男性をよく知っているフィリスだった。 フィリスは、男性の名前を口にする。
「い……イザヤール、様!?」
「フィリス」
「げ、幻影じゃない……!? 会話もできてて肉眼で見えてる!? なんで!? あたしだけ!?」
「オレ達も見えるぜ、どうなってんだ!?」
フィリスの声に返事をしたことで、ここにいるのはイザヤール本人であることを悟るフィリスは戸惑う。 その姿は、やはりイアン達にも見えているようだ。 そんな4人に対し、ラヴィエルは解説をする。
「いくら女神の祈りを使えども、死した存在をよみがえらせるのは不可能……天使もまた、例外ではない。 だが、せめて……もう一目だけでも、君と彼を会わせてあげたかったのだ。 私も、彼と話したかった……だから、一時的に魂を、ここに呼び寄せたのだ……」
「……ラヴィエルさん……あなたは、いったい……」
ラヴィエルにたいし抱いていたそもそもの疑問を本人にぶつけてみると、彼女は話す約束をしていたことを思い出し、自分の正体をフィリス達にはなし聞かせた。
「私は、運命を見守る役目を与えられ地上に残された、天使の一人。 そして、大天使エルギオスのもう一人の弟子にして、この天使……イザヤールは時を同じくして生まれた兄妹である」
「きょ、きょーだい!?」
その発言に対し、フィリス達はさらに驚く。 特にフィリスは、天使の中のきょうだいの概念に対しある話をきいていたので、それも口にした。
「え、でも天使のきょうだいはレアケースって100年くらい前に聞いたことがあるんだけどぉっ!」
「そうなの?」
「うん! しかもあたし、イザヤール様から少しも聞いたことなかったし! 兄妹の存在なんて……今が初耳だ!」
「当然だ……お前には話さなかったからな……」
イザヤールは、かつて自分が彼女と共にエルギオスに師事していたときのことを思い出し、兄妹がなぜ別々の道を進んだのかを説明する。
「かつて我らが師・エルギオスは……人を愛し、人を間近で守るため、地上に降りていく決断をした。 私は、それに異を申し立て天使界に残り」
「私はエルギオス様の教えに従い、ともに地上に降りた……あとは、君達がしる通りだ」
「…………」
エルギオスの悲劇の前に、そのようなことがあったとは。 フィリス達は呆然とし、突然明らかになった真実を受け入れるしかないと思わざるを得なかった。 その傍ら、イザヤールはラヴィエルと、会話をする。 もう何百年ぶりかの、兄妹の会話だ。
「まさか、お前が私とフィリスを再会させるとは思わなかったぞ……ラヴィエル。 お前とも、また会えるとは思っていなかった」
「ふふっ……イザヤールこそ、フィリスが己の願いを叶えてくれていることを知りながらも、心残りがあっただろう。 私は星をみて、知っているのだぞ」
「……確かにな……」
そのとき、イザヤールの心残りに関する話題が出てきたので、フィリスは首を傾げる。
「師匠の、心残り?」
「なんだ?」
フィリス達がイザヤールの心残りにたいして疑問を抱いていると、イザヤールは剣を手に取りその辺の草をなぎ払った。
「一時的ではあるが、ものにふれれるようにもなっている……私も長いことはここにはいられんだろう。 その前に、どうしてもやりたいことがある」
そういって、イザヤールはフィリスの方を向いた。
「フィリス」
「はい」
「私と、一騎打ちをしてほしい」
「!?」
イザヤールの申し出に対し、フィリスは驚く。 彼の願いというのは自分と剣をあわせることだったのだ。 イザヤールは、フィリスに話を続ける。
「お前があのときから、どれほど強くなったのか……私は我が身をもってして、確かめたい。 お前から感じた戦いの才、それが正しく導かれたのかを知りたい。 私の未練は、お前が確かに成長したのかどうかが気がかり……といったところだろう」
「……」
「守護天使フィリスよ、このイザヤールの未練をはらし成仏させてみよ!」
「望むところです! あたし、全力でいきますよ!」
さまよえる魂の未練をはらし、成仏させることもまた天使の役目だと、フィリスは教わっていた。 そして、今ここにいる魂は目の前のイザヤールのみだ。 役目を果たす以上に、師匠に自分の強さをみせたいと感じたフィリスは、彼の申し出を受けるために剣を抜いた。
「みんな、みていてくれ!」
「おう、バッチリ見守るぜ!」
「貴女達の強さ、僕もこの目で見て心に刻みます」
「いつもの強さ、全力を見せちゃって!」
フィリスはこの一騎打ちを見届けてほしいと、仲間達に伝える。 すると彼らは笑顔で、フィリスに激励を送り出した。 それにフィリスも笑顔でこたえる。
「彼らにも見せるのか」
「あたしが強くなって、いくつもの戦いをかいくぐり……世界を、人々を守ることができたのは、一緒にいてくれた彼らのおかげなんです! だから……共に戦ってきたからこそ、今! あたしの強さを改めてみてほしいんです!」
そう、仲間達にたいする素直な思いを真剣に語るフィリスにたいし、イザヤールは少しだけ口角をあげて
「ではいくぞ!」
「はい!」
この一騎打ちのルールとしては、相手の剣をその手から離させた方が勝ち、らしい。 フィリスは素早く動いてイザヤールに剣を突き立てようとしたがイザヤールは自分の剣でそれを防ぎ、唾競り合いの末にフィリスをはじきとばした。 だがフィリスはすぐに体制を立て直し再びイザヤールにつっこんでいき、彼の剣に激しい一撃を入れた。 イザヤールは耐えるが、受け止めるのが精一杯と言った様子だった。
「激しい剣のうちあい、ですね」
「ああ……スピードも攻撃力もハンパなもんじゃねぇ……二人とも本気の全力だぜ」
「でもなによりも……二人とも、とっても楽しそう」
セルフィスもイアンもクルーヤも、2人の剣試合に釘付けになっていた。 以前に聞いた話によれば、天使は自分より格上の相手には逆らえないのが掟であり理であるそうだ。 だから、天使だった頃はこんな風に剣を打ち合わせる試合形式の稽古すらできなかったのかもしれない。 だから、この瞬間はまさに双方が待ち望んだものなのだろう。
「そこだぁぁーーー!!」
「はっ!」
そして、今。 その一騎打ちには終止符が打たれようとしていた。 イザヤールの強い一撃に弾き飛ばされそうになったフィリスだったが、そこでふんばりをきかせ剣を大きく逆手もちでふり、イザヤールの剣に命中させた。 その一撃は大きく、彼の手から剣が離れていき、その剣は地面に刺さった。
「フィリスが勝った!」
「勝負があったな」
イアン達はフィリスが勝ったことに対しまるで自分のことのように喜び、ラヴィエルも静かに笑う。 一方、イザヤールも自分の敗北を素直に認め、達成感に満ちたフィリスに声をかける。
「見事だ、フィリス……お前は、この師をまことに、越えた」
「イザヤール……様……!」
「七つの果実を集め女神を目覚めさせ、我が師・エルギオスを堕天使の呪縛から救い……さらに幾多もの邪悪なる存在から世界を救った……まさに、守り人にふさわしい存在になったな」
イザヤールの言葉にたいし、フィリスは額の汗を拭いつつ思っていたことをそのまま口に出した。
「あの時間……あたし、ずっと続けばいい、終わらせたくないなんて考えてしまいました。 それほどまでにあの試合は、あたしを満たしたんです」
「……やはりお前は、天使と言うよりは戦士だな」
彼女を弟子にとることを決め、以降教育していたときのことを思い出し、イザヤールはずっと感じていたことをそのまま口に出した。 彼女は天使としての生を授かるよりは人間として生まれ、戦士として弱き者を守るものになったほうが幸福ではないかと思っていたことを。
「だが、私も同じことを考えていた……お前の強さを、あの距離で感じられたらからな。 力だけでなく、心も……強くなった」
「ははっ」
そしてイザヤールは改めて、彼女が握っている剣にも目を向けた。 一度も振るったことはなかったが、それでもかつての所有者は自分だったからだ。
「かつて私がエルギオス様よりたくされた剣を、今私の弟子であったフィリスが引き継ぎ……進化させている。 大切に、してくれていたのだな」
「当たり前です。 この髪飾り同様、あなたの形見ですから。 簡単には手放したりなんてしません」
フィリスは、当たり前のようにイザヤールにそう告げた。
「フィリス!」
「わっ」
2人で語り合っていたフィリスの元に仲間達が駆けつけた。 3人ともフィリスに賞賛の言葉を贈り、ともに笑いあっていた。 そんな彼らの姿をしばらく見守っていたラヴィエルも、彼らの輪の中にはいってきた。
「君達がわかりあえてよかった」
「ラヴィエルさん」
「……私はただみているだけだった。 エルギオス様の時も、先の件の時も、今までただただこの世界のすべての運命を、役目に従ってみているだけで、なにも出来なかった……」
そう語るラヴィエルは、寂しげだった。 今までの後悔が募っていたのだろう。 自分は干渉できなかったのではない、干渉しようとしなかっただけなのだといいたいようだ。 そして、今回この願いを叶えたのは、兄や師匠、そして生き残りの天使に対する贖罪のつもりだったようだ。 そして、ひとつの選択をフィリスに与えようとする。
「……君も……君が望むのであれば女神様に願い、ほかの天使と同じように今からでも星となれる。 もう残された天使でなくてもいい……救済を得られる。 孤独でなくなるはずだ」
「え、だけどそれじゃあ……!」
「いや、その申し出はあたしは受けないよ」
「?」
仲間達がラヴィエルの言葉に対しある予感を覚え反発をしようとしたとき、フィリスがすぐに口を開いて彼女の提案を否定した。
「もうあたしは、天使にも神にもなれなくていいんだよ。 今すぐ星にもならない。 人間としての生を授かったことを後悔していないし、する必要もない……孤独も感じないしな」
フィリスは、ほかの天使が星となった夜…あの、ほしふぶきの夜を思い出しそのときから胸に秘めていたものを口に出した。
「星になるのはあたしが、人間として最後の一瞬まで生きたあと……そのあとでいい。 あたしは、今生きているこの意味を無駄にしたくない。 だから、みんなにはあたしが星になる時まで……その星の一つになれるかどうかを、見守っていてほしいんだ」
「……」
「そして、人として精一杯生きて、生まれ変わって星になれたら……世界を見守っていきたい」
自分が羽と翼を失い地上に落とされ、世界を救うために旅立ち戦ったこと。 そして人間になったこと。 フィリスはそれが悪かったなんて少しも感じていない。 一緒に戦ってきた仲間をみて、改めてそうおもう。
「そのおかげで、彼らと出会えた。 これを無駄にするわけにはいかないよ」
「フィリス……」
「だからさ、あたしは人となれてよかったと思うよ。 生きてほしいというのがイザヤール様の真の望みなら、あたしはずっと生きることでかなえてあげたい。 それこそが、あたしが今できる……星になって天使達や、イザヤール様にできる、一番の恩返しなんだと信じるよ」
「そうか……それが、君にとってもっともな救済なんだな」
ラヴィエルは、彼女の気持ちを尊重し穏やかに笑う。 そして、イザヤールの方をみた。
「……フィリス……」
「イザヤール、様」
「確かにお前に生きろと言ったのは私だ。 だから、お前が私の願いを聞き入れるというのなら……私はお前を見守ろう。 エルギオス様やオムイ様、ラフェット……多くの星々となり、いつまでも……お前の生涯を見届ける」
「……はい」
「だから、遠くに感じる心配はない。 私達はあの天に輝く星なのだから。 いつだって、フィリスのすぐ近くにいる」
「はい!」
「そして……私の力をいま、お前に託そう。 守り人としての力を……」
そういうと、イザヤールは自分が持っていた剣に手をかざす。 すると剣は光となり粒子となり、フィリスの持っていた彗星の剣をまとう。
「剣が……」
すると、彗星の剣はその色を徐々に変えていった。 青かった刀身は深い夜空の色となりその中を光の粒子が星屑のように舞い、刃の部分も鋭い銀色となり、宝石も穏やかな緑色から鮮やかな真紅の色となる。
「今までより、ずっとずっと美しい剣だわ!」
「このような剣、どのような書でもみたことがありません」
「ああ、切れ味も抜群なのがみただけでわかるぜ」
その剣の変化には、仲間達も驚いていた。 フィリスはまじまじと自分の剣を見つめ、イザヤールが剣についての説明をする。
「それこそ、星空の守り人にふさわしき剣……銀河の剣だ」
「銀河の剣……!」
彼女の剣には新しい名前が、与えられた。
自分の剣が師匠の手により最後の姿になったことにより、フィリスは自分が守り人として認められたことに喜びを覚えていた。
「……あ……からだが……!」
「……そうか、もう時間切れのようだな……」
そのとき、イザヤールの体が透けてきてその体から光が散っていっていることに気付いた。 女神の祈りの効力がきれてきて、彼はまた星に還るのだろう。 ガナン帝国城での光景を思い出し、それを悟る。
「お別れなのですね……」
「ああ……だが、あの時よりはずっといい……志半ばで倒れ、悲しい顔をさせるより、ずっといい……平和で、穏やかな最期だ」
あのときイザヤールは、フィリスに悲しい顔をさせたことを覚えていた。 自分の遺志を継ごうと、無念をはらそうと必死になっていたことにも気付いていた。 だから、今こうしてなんの柵もなく互いの思いを確認しあい認め合った…そのような最期をおくることが、イザヤールにとって幸福であった。 そして、消えゆく中でイザヤールはフィリスに告げる。
「フィリス、私はお前に同じことを願い続ける。 お前が自分で願ったことをかなえてほしいと思っている。 最後まで、人としての天命を生きろ……」
「もちろんです」
「星となり輝き続け、お前が我々と同じ星となった……その先のずっとずっと未来で、皆と共に人として生まれ変われればいい……私は、そう願おう」
「はい! あたしもそう思います! ……今までご指導いただき、ありがとうございました!」
そうフィリスはしっかりとイザヤールに礼をした。 仲間達も、フィリスと同じ行動をとる。 それをみてイザヤールは、彼らはなにも言わなくても問題はないと悟り、目を閉じる。
「お前が私の弟子で、よかった………」
それだけを言い残し、イザヤールはほほえみながら光の粒子となって消え、天にのぼっていった。
「いっちゃったな……」
「ああ……」
その様子を、フィリス達は空を仰いで眺めていた。 これでもう、本当に2度と会うことはないと感じた。 そこに、ラヴィエルは話を続けてくる。
「……本当なら天使は、人間の霊のように魂が帰ってくることはない……だから、星になった後は誰とも言葉を交わしたり姿を見ることはできない。 女神の祈りなら、短時間とはいえそれを可能にできるんだ。 本当に奇跡の出来事といえる」
「うん、そうだね……」
ラヴィエルは自分のためでありながら、フィリスやイザヤールのためにあの宝石の力を使ったのだ。 役目を終えた女神の祈りは再び砕け散ったらしい。 もう、そこにはなかった。
「ありがとう、ラヴィエルさん。 あなたのおかげであたしは、もう一度……大切な人に出会えた」
「……満たされたのなら、よかった」
フィリスが笑顔でそう礼を告げると、ラヴィエルも満足げに微笑みながら翼を広げて旅立とうとする。
「ラヴィエルさんはどうするの?」
「……私は、これからも多くの運命を見つめ、見守り続ける。 ……独りになろうとも、変わらない」
「………」
そう語るラヴィエルにたいし、フィリスは告げる。
「あたしでいいなら、いつでも対話の相手になるよ! さみしがらなくていいよ!」
「……ありがとう……」
その言葉を受けたラヴィエルは、小さく笑ってそう告げてから、旅立っていった。 ラヴィエルの姿が見えなくなった後、フィリスは座り込んで息を吐く。
「……はぁぁぁ~~~~~! 色々なことがゴリ押しでくるから、疲れたぁぁ~~~~!」
「そうだよなぁ……宝石がそろったと思ったら復活した破壊神に奪われて、城に行って手がかりつかんで洞窟はいって、そのままその破壊神と戦うし、さいごに天使達とやりとり!」
「疲れない方がどうかしているわね……私達、よくやったわよ!」
「僕に至っては、まだやるべきこともありますし……」
セルフィスのやるべきことというのは、大賢者の本をひとまずベクセリアまで持って帰りそこにおさめることだ。 まだ仕事はあるが、今はイベント目白押しの修羅場をかいくぐった達成感を、4人は味わっていた。
「おーい!」
「ん?」
そんなとき、真上から声がしたと思ったら、天の箱船がこちらに向かってくるのが見えた。 そして自分達の目の前で停車すると、そこからサンディとアギロが姿を見せた。
「サンディ、アギロさん」
「わぁい! 全員無事に破壊神ぶちのめして、生還したねーっ! 嬉しくてテンションアゲアゲで、むかえにきたよ!」
「ああ! 当然だろ!」
サンディは、フィリス達が破壊神との戦いに生き残り帰ってくるのをアギロとともに待っていたようだ。 そして、天の箱船を操っているときに4人の姿を見かけ、迎えにきたらしい。 フィリスはサンディを抱き留めつつ、歩み寄ってきたアギロに声をかける。
「ひとつ、山場を越えたと言うべきか……やるべきことは終わったな?」
「うん」
「そうか。 じゃまずは天の箱船にのりな! 行きたい場所に連れて行くついでに、食堂席でお祝いだ!」
「やった!」
そういえば戦い続けの疲労により、空腹を覚えていたのだ。 また新しい冒険にいく前に、思い切り食卓で食事をして元気を回復した方がいいだろう。
「さぁ、いこうか」
「ああ」
「はい」
「ええ」
フィリスの言葉に対し、イアンもセルフィスもクルーヤも頷いた。 3人とも、これからの旅路をフィリスと共に歩むために、天の箱船に乗りこんだ。
この日もまた、夜空で星はひとつひつ輝いていた。
まるで、地上にいきる人々の命の輝きを、鏡のようにうつしているかのように。
星は、いまもこの世界でまたたいているのである。
さて、終わりましたね。
ラストでイザヤールを生き返らせなかったのは、私がそういう展開にしたくなかったからです。
生き返らせるよりも、もっと大事なことがある…この2人の場合は特に。
そうおもい、生き返らせるのではなく、つかの間の再会にさせました。
この結果のほうが、フィリス達やこの物語には合うと考えました。
というわけで、この物語は終わりです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
また別の長編でお会いしましょう。
では!