今回はルディアノに関わるお話です。
この日フィリス達はセントシュタインで新装開店したという、よろず屋を訪れていた。
「うん、オレこいつを買ってくぜ」
「僕も、こちらにしようと思います」
そこでイアンとセルフィスが、武器を新調していた。 彼らが普段利用している武器はそれぞれ、棍と弓なのだが、今装備しているものにガタがきていたようだ。 新しいメイン武器とサブで使う武器をそれぞれ購入した2人は、外で待っているフィリスとクルーヤの元に戻ってきた。
「よう、待たせたな」
「どうだ、いい武器手に入った?」
「はい、大丈夫ですよ」
これで、宝の地図に潜んでいるような魔物がいつ出てこようとも対等に戦えるはず。 それができれば、もっといろんな依頼を引き受けられるだろう。
「よし! じゃあ次の依頼主を探すために、出発しようぜ!」
「ああ!」
そう言葉を交わし準備が整ったところで4人は、再び旅にでようとしていた。 そのときだった。
「あんたが、黒騎士騒ぎを解決したという、ウワサの傭兵4人組かい?」
「へっ?」
そこに現れたのは、赤く長い髪にローブをまとった女性だった。 そばには武道家の男性もいる。
「失礼ですが、あなた方は?」
「おっと、これは失礼。 オレは武道家のリューマで、彼女は魔法使いのマリッサ。 オレ達はコンビをくんで、各地を旅しているんだ」
「んで、今回はどんな依頼も完璧にこなす実力派揃いの傭兵4人組の話を聞いて、あんたらに依頼をしようって思ったから、声をかけたってわけさ」
武道家はリューマ、魔法使いはマリッサというらしい。 とりあえず2人の正体はわかり、自分達に声をかけてきたということは依頼主のようだ。
「わたし達って、傭兵って思われてるの!?」
「多分……」
自分達がどう思われているかを知ったクルーヤはセルフィスにそうヒソヒソと話しかける横で、2人は事情を説明する。
「実はアタシ達で、ルディアノに帰ろう団というグループを結成することにしたのさ」
「る、ルディアノに帰ろう団?」
「ルディアノに帰ろう団ってのは、滅びたルディアノ王国をよみがえらせよう……という集まりさ」
ルディアノ王国といえば、黒騎士騒ぎの最中で訪れた廃墟に存在していたという大昔の王国だ。 確か黒騎士であるレオコーンが婚約者のメリア姫を待たせていたはず。 だが今となっては先述の通り、滅びて廃墟と化してしまっている。 それをよみがえらせようという働きがあったとは、初耳だ。 一同はマリッサの話に引き続き耳を傾ける。
「黒騎士騒ぎの結果、北にある荒れ地はルディアノっていう国の跡地らしいってことがわかってね。 それで、気になって詳しく調べたら、このセントシュタインとルディアノの間には、なにかがありそうなんだ」
「その謎を追いかけてみようってのも、団の目的のひとつなんだよ」
「へぇ、おもしろそうじゃん」
「だろ? 今メンバーは、そんなルディアノの人間の末裔である……アタシとこいつだけなんだけどね。 でもルディアノの人間の子孫が見つかれば、団のメンバーとして勧誘していく方針さ」
ルディアノに帰ろう団、という組織の存在意義や目的は理解できたフィリスは、依頼の内容を確認する。
「……それで、あたし達に依頼っていうのは?」
「実は……ルディアノ城へ様子を見に行ってみたんだけど……そこにちょっとヤバイ魔物がいてねぇ。 とてもじゃないけど、アタシらじゃ少し歯が立ちそうにないんだよ」
「もしかして、依頼の内容っていうのは……その魔物退治ってわけか?」
フィリスがそう問いかけると、マリッサはその通りだと頷いた。 難しい話をされたら自分ではついていけないが、やっかいな魔物を倒すだけなら朝飯前なフィリスは、頷いた。
「まぁいいぜ、引き受けてやるよ!」
「魔物退治は得意分野だしな」
そういってフィリス達は、ルディアノに帰ろう団の依頼を引き受けることにしたのであった。
「お、引き受けてくれるか! さすがだねぇ!」
「魔物は確か、真っ赤で……でかい奴だな。 それを3体見かけた。 とりあえずその魔物を3体倒してくれ」
「情報がおおざっぱだけど、了解したぜ」
そうして4人は、ルディアノ王国の跡地に再び足を踏み入れたのだった。 ここにきたのはいつ以来だろう、そう不意に振り返ったイアンは、ポツリと語る。
「思えばあのとき、オレ達って………ハッキリとはパーティーくもうって決めてなかったんだよな。 ルイーダさんのススメに乗っかって……そのままなんだよな」
「そうね、気付いたら目の前の問題から目をそらせなくて………力を合わせるのが当たり前みたいになってたわ………」
「まさか、あれがキッカケで常識はずれの旅にでることになるとは……思っていませんでした……」
「……偶然の力って、今思えばパネェね」
「……うん」
初めてここを訪れたときは、想像していなかったこと。 それが現実となり、既に過ぎた時間の記憶である。 そんな数奇な運命を改めて感じ取りながらも、一同は今の依頼を完遂させるためにまずは、ルディアノ王国後津を隅々まで調べてみることにした。
「あれから時間がそれなりに経過しているから………荒廃がさらに進んでいますね………」
そっと、セルフィスは城の外壁に触れながら、ルディアノの今の状態を口にする。 触ってみるだけでわかるのかよ、とイアンは苦笑しながらつっこむ一方で、セルフィスは冷静に今の状態にたいする感想を率直に口に出す。
「………ルディアノ王国の再建は、難しいかもしれません」
「そりゃそうだ。 国を作ることじたい、難しい話だもんな。 元から形が残っていたとしても……ラクじゃねーだろうぜ」
「それでもやろうってなら、あの人達も覚悟はできているんじゃないか?」
「今はまだ2人だけど………人数増やす気、満々だったものね」
案外、この国の再建に本格的に挑むことになったときには、大人数になっていそうな気がする。 そう3人が明るく楽しげにはなしている一方、城の様子を確かめていたセルフィスだけは、眉間にしわを寄せていた。
「…………にしても………この外壁の感触……まるで…………」
セルフィスがその先に言葉を口に出そうとした、そのときだった。
「グギュアァァァッ!!」
「うわぁ!?」
「セルフィス!」
彼のそばに突如魔物が出現し、襲いかかってきたのだ。 間一髪のところでセルフィスは魔物の攻撃を回避したものの、それは赤く燃えるような体にギョロリと動く目玉を持つ不気味な魔物だった。 その魔物を、4人は初めて目の当たりにする。
「なんだこいつは!?」
「えっと……あ、あった! エビルフレイムっていうらしいよ!」
「エビルフレイム?」
「前来たときはこんな魔物、いなかったわよ!?」
サンディの情報からこの魔物がエビルフレイムであることを知ったフィリス達。 前にこのルディアノを訪れていなかったときは姿を見かけなかった魔物がいま、ここに現れているのだ。 何故だろうと彼らは戸惑いを見せつつも、これが今回のターゲットであると特徴などをみて認識する。
「きっと、こいつらだな………あの人達が退治をしてくれって依頼をしていた魔物は!」
「あの魔物は確かに、並大抵の人間じゃ歯がたたねぇな。 あたしらの出番ってのもわかるぜ!」
そういってフィリス達は一斉に武器を手に取り、戦闘態勢に入った。 まずはフィリスがきりかかり、エビルフレイムの体を切り裂く。 そのとき、魔物から発せられる強い熱を肌で感じ取る。 それはフィリスに続いて攻撃を繰り出したイアンも、同じようだ。
「クッ……やっぱあっちぃな……!」
「炎をまとったような熱い魔物………だったら……これでどう!?」
そういってクルーヤは魔力を覚醒させ、杖の先端に凍てつく魔力を集めて放った。
「マヒャド!」
マヒャドの冷気はエビルフレイムを包み込み、大ダメージを与えた。 直後に炎をはいてきたが、クルーヤは再びマヒャドを放ってそれを相殺する。 その背後でセルフィスは弓矢を構え、ねらいを定めている。
「これで、とどめだっ!」
そういってセルフィスが矢を放つと、矢はエビルフレイムのもつもっとも大きな目玉、その中心に刺さる。 その一撃が効いたのかエビルフレイムは不気味な断末魔をあげながら消滅していった。
「………ビュ……ビュァァァ………」
「よし!」
これでエビルフレイムを倒すことが出来たが、まだ終わりではない。 マリッサやリューマの話によれば、エビルフレイムはまだいるはずだ。
「確か3体ほど見かけたって話ですね」
「ということはまだ2体、潜んでいるんだね」
「よし、探しにいこー!」
「ブシュゥアアァァ………」
「よし、これで2体目ぇぇっ!」
2体目のエビルフレイムはすんなりと見つかり、たった今倒したところである。 これでルディアノに出没したエビルフレイムは、あと1体だ。
「最後の1体はどこだ?」
「慎重に探すぞ」
そう語り合いつつ、4人はエビルフレイムを探す。 途中で発見しているのは、メーダやしにがみなど、もはや襲いかかってくるどころか向こうがフィリス達に近づこうとせずむしろ逃げていく魔物ばかりだ。
「あれ、あんな地下室……あったっけ?」
「前きたときは、気付かなかったな……」
そんな時、城の内部に地下への階段を発見した。 以前ここを訪れたときには気付かなかった階段4人は、その階段を下ろうとしていた。
「グゥル……グバァ……」
その階段を下った先。 そこには確かにエビルフレイムは存在していた。 だが、そこにいるのはエビルフレイムだけではなかった。
「けがらわしきケモノよ……。 ここから、立ち去りなさい……ここは………」
そこには、純白のドレスを身にまとった美しい女性が立っていたのだ。 女性は厳しい表情でその魔物に立ち去るように告げるのだが、魔物は聞く耳を持たなかった。
「グァァァーーッ!!」
「…………」
魔物エビルフレイムは叫び声をあげながら女性に襲いかかるものの、その体はすり抜けていく。 何故攻撃が通じないのだと混乱するエビルフレイムを、女性は冷たい目で見る。
「誰か襲われてる!」
「急いで助けましょう!」
その直後、フィリス達がその部屋に入ってきた。 フィリス達の目線からすればエビルフレイムが女性に襲われているように見えた。 このままでは女性がエビルフレイムのエサになってしまうと思ったフィリス達は彼女助けるために駆け寄ると、フィリス達の存在に気付いたエビルフレイムは、今度はフィリス達に敵意を向けてきた。
「グブゥルゥゥ……? ブッシャァァァッ!」
「こっちにきたわよ!」
「上等だ、かかってこい!」
そう言ってフィリス達はエビルフレイムの注意を自分達に向けさせ、先ほどまでと同じ戦い方でエビルフレイムと戦い、倒した。 これによりルディアノで目撃されたエビルフレイムは、3体すべて倒したことになる。
「大丈夫!? ケガは………」
だが今は、あの女性の安否が重要だ。 そう思いフィリスは女性に声をかけたが、直後にサンディがある違和感に気付く。
「………って、よく見たらこの人……ユーレーじゃね?」
「……あ、ホントだ………あの………」
その女性は、サンディの言うとおり幽霊だったのだ。 だからエビルフレイムの攻撃はいっさい通用しなかった。 エビルフレイムが消えたことで女性の幽霊は安堵したらしい、ほほえみながらフィリスに礼の言葉をつげる。
「………ありが……とう………」
それだけを言い残して、女性の幽霊は消えた。 成仏をしたわけではないので、一度立ち去ったような感覚だろう。 そんなとき、クルーヤは驚いた顔のまま、女性の幽霊をみたときの感想をそのまま口に出す。
「にしても今の人、フィオーネ姫様に似てなかった!?」
「………だ………だよな!?」
「ホントにクリソツじゃね!?」
その女性の姿は、確かにフィオーネ姫にうり二つだった。 それは全員が感じていたことであったらしい、クルーヤの感想に賛同していた。 そんなことを考えながらも、この部屋がどんな部屋なのかを見渡す。
「ここ、誰かの個室みたいね」
「今の人の部屋、かもしれませんね」
あのフィオーネ姫にそっくりな女性が生前に個室として利用していた部屋だろう。
「いやぁ、かっこいいねぇ、強いねぇ! ホレボレしちゃう! ルディアノへ帰ろう団の力になってくれたこと……心からお礼を言わせてもらうよ!」
実は同時に、ある依頼も引き受けていたのでそちらも達成させていたのだ。 それは、セントシュタイン城に仕えているメイドの一人が実は、ルディアノの人間の血を引くものであると判明したので勧誘してほしいというものだった。 勧誘にはある条件があったものの、フィリス達はその条件を見事クリアし、彼女をメンバーに引き入れることに成功したのである。
「あんたのおかげでメンバーも一人増えたし、安心してルディアノをじっくりと見に行くことができそうだよ! そのうち、ルディアノへ行こうツアーでもやってみようかね?」
「そのためには、現場をしっかり押さえて……魔物も撃退して行かなきゃいけないけど………でも、なんとかなりそうだ!」
そうして今回の依頼はここまでとし、また何か頼みたいことがあったら再び依頼をすると言うことで話はまとまった。 気付けば自分達はルディアノの人間の血を引いているわけではないのだが、ルディアノへ帰ろう団の一員ということになっていたのだが、まぁ特別気にする必要はなさそうなのでないことにする。
「………それにしても、フルムーンアックスで喜ぶメイドさんって、滅多にいないわよね………」
「……うん……」
実はメイドがルディアノへ帰ろう団に入団する条件というのは、自分にフルムーンアックスという武器をプレゼントしてくれることだったのだ。 なんとか入手してプレゼントすることは出来たものの、ふつうのメイドがそんなものを欲しがるとはとうてい思えない。 そのメイドは何者なんだと疑問が浮かびつつも、もう一つ彼らにとって驚くべきことが起きていた。
「おまけに、フィオーネ姫様が自ら参加を申し出るなんてな……」
「ああ。 なんだかルディアノに……すっげー肩入れをしているように見えたな………」
実はこの話を偶然にも耳に入れたフィオーネ姫が、自ら参加を申し出たいと言い出したのだ。 それに反対しようにもハッキリとした理由が見つからないため、マリッサにも話を通したところ最初は驚きこそしたものの心強いメンバーとして受け入れられた。 だが、そんな行動をとったら姫としての立場が危うくなってしまうのではないかという不安もあるのもまた事実。
「身分とか立場とかでかたくるしいことはいうつもりはないけどさ、一国のお姫様がそんなことしちゃっていいわけ?」
「だ、大丈夫だろ………今世界は……一応平和なはずだし。 犯罪に手を染めようってわけでもないから」
「そ、そうそう! そうだよな!」
何故フィオーネ姫は、そこまでルディアノに関心を示し力になりたいと望むのか。 そんな疑問を抱きながらも、公になれば国中が大騒ぎになるのは一目瞭然なので、今はひっそりと様子を見てみることにした。
「…………うーん…………何事もなければ……よいのですが………」
「……そうね………」
そうして一抹の不安を覚えながらも、彼らはしばらくルディアノに帰ろう団に手を貸すことにしたのであった。
「とはいえまずは、この団の名前もう少しひねった方がよくネ?」
「サンディ、しーっ!」
やっぱりこうしてかいてると、配信クエストをもう一回やりたくなってしまいますよね。
でも、少し我慢ですね。