THE IDOLM@STER The Story of Admiral Lescher   作:アレクサンデル・G・ゴリアス上級大将

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解説

アメリカ合衆国の元帥

各国によって歴とした階級であったり名誉称号であったり細分化されていたりと扱いが国によってまちまちな"元帥"。アメリカ合衆国では歴とした階級として扱われ、またアメリカ海軍において今までリーヒ、キング、ニミッツ、ハルゼーの4元帥のみ太平洋戦争時に任じられただけである。だが、従来元帥は戦時しか任命されず平時のアメリカ軍の最高階級は大将である。ローレン大統領は親友たるウィリアム·レッシャー大将を元帥にするに際し

『レッシャー大将の著しい功績に対して元帥に昇進させることで報いたいが元帥は戦時しか任命できないので元帥に"昇進"させるのではなく元帥の"称号"を与えることで報いる』形にしたのである。

着用する階級章はアメリカ海軍元帥のものだが給料は大将に準じる形で終身支払われる(ただしNATOにおける階級符号は元帥であるOF-10が適用されNATO加盟各国はレッシャーを元帥として扱う)栄誉をレッシャーは与えられる形になりアメリカ合衆国の歴史上5人目の海軍元帥となった。


激突
第84任務部隊編成式


「ウィリアム·レッシャー?彼のことはよく覚えている。私の最後にして最年少の弟子だったからな。彼は5歳にして全ての学校を飛び級で卒業し、私の下に学びに来た。教えたのは1年たらずだった。指揮者として食べていける程度には育ててやれた。のみ込みが異常に早かったから、手間は殆どかからなかったよ。だが、あと1年教えられたら、超一流にできた。惜しいことをした。だが彼は去る際に私に約束してくれた。『あなたの偉業と偉大なるクラシック音楽は残念ながらこれから衰退する。だが、せめてそのスピードを緩めるべく頑張る』とね。私ができることは全てやった。後は彼に任せよう···」

 

 

 

"楽壇の帝王"ヘルベルト·フォン·カラヤン 晩年に受けたインタビューより

 

 

 

 

 

 

 

「I hereby declare the launch of the Gerald R. Ford-class aircraft carrier No.12 William Lescher and the Arleigh Burk-class No.100 Shibuya Rin !!  (日訳:ここに、ジェラルド·R·フォード級航空母艦12番艦『ウィリアム·レッシャー』、及びアーレイ·バーク級駆逐艦100番艦『渋谷凛』の進水を宣言する!)」

 

 

 

セラス·ヴィクトリア·ローレン海軍長官の宣言

 

2059年8月10日 ニューポート·ニューズ造船所 建造ドック 進水式にて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レッシャー元帥のウワサ 24

 

通常は脱落率80%前後であるにもかかわらず、彼がアメリカ海軍特殊部隊NAVY SEALsの選抜訓練に参加した際、何故か同期の95%が合格するという快挙を遂げたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「結華ちゃん。」

 

 

 

「どしたのまののん?」

 

 

 

「その片眼鏡、いつも大切そうに身に付けてるだけで目にかけてないけど、何か理由があるんですか?」

 

 

 

「あーこれ?6年前の震災の時視察に来たアメリカの軍人さんから貰ったんだー。三峰が現場案内してあげてたら瓦礫が崩れてきてとっさに軍人さんを押して助けてあげたの。それで御礼ってことで。元気にしてるかな···ウィリー司令官···。」

 

 

 

三峰結華の営業前トークより

 

 

 

 

 

 

 

『ショーでしかない戦場。圧倒的な制空権。でも私には求めて止まなかった敵がいた。"ティーチャー"と我が軍で噂されていた鮮やかな機動を見せるMiG-29UB戦闘機。私は彼女と戦ってみたかった。スエズ運河を渡っていた頃の私の胸中にはその感情しかなかった。どんな敵なんだろう?私より強いのか?私を殺せるのか?何故新鋭機とはいえ安い機体でそこまで戦えるのか?疑問は尽きなかった。』

 

2035年出版 渋谷凛·如月千早 共著

 

『レッシャー提督の物語 1:湾岸戦争』 

 

第1章  「INNOCENT ACEs」 より

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2016年10月11日 池袋 第8艦隊司令部庁舎 2階 大会場

 

「The formation ceremony for the United States 8th Fleet CTF-84 will now take place. Fleet commander, chief of staff, and fleet advisor arriving.(日訳:これより、第8艦隊第84任務部隊編成式を執り行います。任務部隊司令官、艦隊司令官、参謀長、艦隊顧問 入場)」

 

 

 

「「「···。」」」敬礼

 

 

 

「Rear Admiral, United States Navy, Arriving.(日訳:任務部隊司令官、到着)」

 

 

 

「Good morning. I am Rear Admiral Toru Asakura, and as of today, I have been appointed Commander of the CTF-84. I will do my best to fulfill my responsibilities for the United States and my colleagues, and I look forward to working with you.(日訳:おはようございます。

 

本日付で第84任務部隊司令官を拝命しました浅倉透准将です。

 

合衆国と同僚の為奮励努力し職責を全うする所存ですので宜しくお願いします。)」

 

 

 

「Vice Admiral, United States Navy , Arriving.(日訳:艦隊司令官、到着)」

 

 

 

「Good morning, everyone.Vice AdmiralMizukiKawashima,commander of the U.S. 8th Fleet. I look forward to the efforts of all of you, the officers and men of the U.S. Navy, to further strengthen the friendship between the U.S. and Japan and the Japan-U.S. alliance, and as your commander in chief, I will strive to do my best.

 

(日訳: 皆さんおはようございます。第8艦隊司令官、川島瑞樹中将です。

 

アメリカ合衆国と日本国のより一層の友好と日米同盟の強化のため、将兵の皆さんの努力に期待し、また、皆さんの陣頭に立つ司令官として引き続き努力してまいりますので、どうかよろしくお願い致します。)」

 

 

 

パチパチパチ  拍手

 

 

 

 

 

「Chief of Staff。Arriving.(日訳:参謀長、到着。)」

 

「I've been appointed as Chief of Staff. Captain Rin Shibuya. I will work hard and fulfill the responsibilities of my position. I look forward to working with you. (日訳:参謀長、渋谷凛大佐です。引き続き奮励努力し、職責を全うします。よろしくお願いします。)」

 

 

 

 

 

「Fleet Admiral , United States Navy, arriving .(艦隊顧問、到着)」

 

 

 

「I am Lescher, fleet advisor. I am pleased to have the opportunity to contribute to the friendship between my country, the United States of America, and the country of my beloved grandfather, Japan. The primary mission of the Eighth Fleet is to promote and equip the United States Army, Navy, Air Force, and Marine Corps. At the same time, however, our mission is to provide information to the Japanese people, who have become careless about their security, and to alert them to the threats posed by the Democratic People's Republic of Korea and the People's Republic of China, and to remind them that they should be more proactive and determined against them. A situation in which democracy is overthrown by a dictatorship must be avoided at all costs. I hope that you will do your duty with a sense of the importance of your mission. Thank you.

 

(日訳:艦隊顧問のレッシャーである。我が祖国たる合衆国と、敬愛する 祖父の祖国である日本国の友好に貢献できる機会を与えられたことを嬉しく思う。我が第8艦隊の主任務は、我が合衆国陸海空軍、海兵隊の 宣伝や装備の解説である。しかし、同時に安全保障に対して無頓着になってしまった日本国民に対し情報を提供し、朝鮮民主主義人民共和国と中華人民共和国の脅威に対してもっと積極的にこれらに対して断固たる意志を持つべきであると注意喚起する任務も含まれている。民主主義が独裁制によって倒されるような事態は絶対に避けなければならない。任務に対する重要性を感じながら諸君には職務に精励してもらいたい。ありがとう。)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「提督。」

 

 

 

「ハジメ。今日はご苦労だった。」

 

 

 

「ありがとうございます。」

 

 

 

「私が『マルチロールなアイドル』を売りにしているのは既に知っていよう。今度はそのリストに『陶芸』を加えたい。そろそろ教えてくれるか?」

 

 

 

「わかりました。祖母に言って提督分の材料も取り寄せます。」

 

 

 

「助かる。納得できる出来の品ができたら、最初の作品はお前さえ良ければ師への礼品として呈しよう。お前が受け取ってくれるならの話だが。」

 

 

 

「出来上がったら謹んでいただきますね。」

 

 

 

「お兄さん。久しぶり。」

 

 

 

「また後でなハジメ。打ち合わせだ。」  

 

 

 

「はい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第8艦隊司令部庁舎 屋上のテラス

 

 

 

「お兄さん久しぶり。」

 

 

 

「うむ。トールご苦労だった。訓練·講習に加え些か面倒事を押し付けてしまったな。」

 

 

 

「ううん。私はそこまで苦労はしなかったけど、凛世ちゃんがその分ヤバかったからフォローしてあげてよ。」

 

 

 

「···よかろう。ところで、七草二等水兵、何故ここにいる?私はトールとゆったりしたかったのだが?」

 

 

 

「酒臭く絡んでくる美琴さんから逃げてきたんです提督さん。察して下さい!」

 

 

 

「···ふん。キルラインからの情報通り生意気な娘だ。」ワインを呷る

 

 

 

「気に障った?」

 

 

 

「いいや。生意気なヤツは嫌いじゃない。少なくとも情熱と正義で動く生意気な若者はむしろ私の好みだ。若い頃の大統領が正にそうだったようにな。」グラスを置く

 

 

 

「良かったじゃんにちかちゃん。お兄さんに気に入って貰えて。」

 

 

 

「私はアイドルしに283プロに入ったんですよ!なのに気付いたらアメリカ海軍に放り込まれて訳のわかんないトレーニングをやらされて!銃の訓練もセットで!アイドルになりに来た筈なのに!」むー

 

 

 

「その文句は大統領と国防長官に言ってくれ。アイツら人員集めの為に283プロダクションに脅迫紛いの勧誘をかけたらしいからな。『人員供出しないと連邦財務省の名において"有害企業"に認定する(=国際的な仕事が一切貰えなくなる。場合によっては国内の仕事も無くなる)』とな。」

 

 

 

「えー···。」

 

 

 

「だが私と大統領·国防長官は"家族"。『知らぬ存ぜぬ』とはなれん。せめての詫びに私の太股に座るが良い。老人だが男の上に今だけ座り放題だぞ?」太股をさする

 

 

 

「えー···。」

 

 

 

「ふふっ。流石のにちかちゃんもそんなこといきなり言われたら動揺しちゃうか。」

 

 

 

「お父様···。」

 

 

 

「リンゼ、我が友。さあ私の隣に座るが良い。」

 

 

 

「はい···。」隣に座る

 

 

 

「タカコは···元気にしておるか?」

 

 

 

「はい。もうまもなくお母様も海幕長(←海上自衛隊トップ。外国で唯一大将として扱われる海上自衛官)に昇られるかと。その際は付き添うつもりです。」

 

 

 

「そうか。なら私もタカコの晴れ舞台を見物してやるか。」

 

 

 

「はい。お母様も喜びます。」

 

 

 

「トール、CTF-84のメンバーを全員集めよ。話しておきたいことがある。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「CTF-84の諸君。いやこの言い方はここではやめよう。283プロダクションからやってきてくれた諸君、この度は我々に助力してくれること、深く感謝する。ユイカもご苦労だった。」

 

 

 

「ほーい。」

 

 

 

「諸君は私の指揮下に入った。それは諸君が私の命令に服従する義務を負い、引き換えて諸君のあらゆる行動が私の責任に帰することを意味する。くれぐれも無茶な行動は謹んで貰いたい。その辺のボーダーはリンゼに確認せよ。以上だ。解散してよろしい。」

 

 

 

「「「お疲れ様でしたー!」」」敬礼しワラワラと解散していく

 

 

 

「ユイカ、リンゼ、トールは残れ。」

 

 

 

「「「?」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とりあえずリンゼは私の上に座れ。」太ももをたたく

 

 

 

「···。」座る

 

 

 

「トールとユイカも座れ。」ソファを指す

 

 

 

「♪」ご機嫌

 

 

 

「ウィリー提督~、三峰も座らせて下さいよー。」

 

 

 

「今度やってやる。恐らくもう無い娘孝行の機会なのだ。許せ。」凛世の頭を撫でる

 

 

 

「お父様···暖かいです···。」ほっこり

 

 

 

「私も久しぶりに触れ合えて嬉しいよ。お前がいきいきと生きてくれてるだけでも···私の失態まみれの生涯にも意味があったというものだと感じられるからな。······それはそうと、トール、今回編成されたCTF-84は他の任務部隊に比して巨大だ。それ故に命じる任務も過酷を極めることになる。努々訓練を怠るべからず。良いな?」

 

 

 

「わかった。」

 

 

 

「ユイカとリンゼも、トールをよく支えるように。283プロダクションの諸君の手前あのように言ったが実際私は命令を第8艦隊司令官(川島瑞樹 中将)名義で下すだけだ。どうするか基本的にはお前達に任せる。責任については私単独で庇いきれる範囲で好きにやれ。私はお前達若者の可能性を縛ったりはせぬ。」

 

 

 

「ありがとうお兄さん。私、頑張るよ。」

 

 

 

「うむ。トール、これをやろう。」投擲用ナイフを渡す

 

 

 

「これは?」

 

 

 

「私の命を幾度も救ってくれた御守りだ。もう私には必要ない。リンゼとユイカにはこの簪をやろう。大伯母から引き継いだ物だが私よりお前達が持っていた方がよかろう。お前達の綺麗な髪を引き立ててくれる。」

 

 

 

「ありがとうウィリー提督。大事にしますよ。」

 

 

 

「ありがとうございます···お父様···。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

池袋 レッシャーの別荘 屋上テラス

 

 

 

「さて。相棒、ミナミ、アナスタシア、イマニシ、キョウコ、ナオ、今回はご苦労だった。」

 

 

 

「「「お疲れ様(でした)。」」」

 

 

 

「今回は私の昔話を兼ねた座談会をしようと思う。言うまでもなく私とイマニシは45を超えている。一部の先進国を除く普通の国ならもう死んでいてもおかしくない老人だ。だがこの中での最年長のミナミでさえやっと20。ジェネレーションギャップも著しく日本人とアメリカ人の違い故に価値観も全く異なる。今回はそれを互いに理解し埋める作業をしようと思う。まあ、私は皆の時代も生きているから、専ら私の時代を皆に理解してもらうことが大半になるだろうがな。」

 

 

 

「わかった。」

 

 

 

相棒(バディ)、聞くまでもなかろうが私はいつ生まれた?」

 

 

 

「1971年8月10日。」

 

 

 

「そう。1970年代は日本もアメリカも第二次世界大戦以前の価値観がまだまだ残っていた時代だ。そして人口における男女比は今よりもひどい1:35~40前後の時代だった。それこそ1910年代以前のように男が家畜のような扱いを受けることこそなかったものの、男には『御役目』という隠語の名の下に婚を通じた者以外の女何十人と交わることが強制され、祖父も父もそれを義務だと弁えていた世代だった。そんな祖父と父の下で育った私だ。流石に誰でもという訳ではないが、海軍に入り、同じ釜の飯を食った"家族"達には御役目を果たすことを躊躇しなかった。若かった頃の私は危険に自分から頭を突っ込む無鉄砲だった。あいつらはそんな幼い私を幾度もフォローしてくれた···その負い目もあっただろうがな。」

 

 

 

「提督の若い時代は今と全然違ったんだな···。」

 

 

 

「そうだナオ。そんな化石のような私だが、今時の女性の男の好みとは真反対の属性持ちだ。だが御役目は果たす。だからこそ今時の男は私を『醜男』だの『淫乱』だの『マゾ』だの『女に媚びを売る情夫』などと口汚く罵るのだろうな。愚か者共。奴らは一体誰のおかげで飯を食えているのか理解できぬ低能の集まりらしい。」

 

 

 

「こうやって聞いてると、外見こそ川島さんや楓さんと大差ないのに時代が違うって実感させられますね···。」

 

 

 

「そうだろうなアナスタシア。だが私の時代もそろそろ終わりだ。相棒の子かチハヤの子にレッシャー家を継がせたら、私も寿命だろう···皆を含むたくさんの"家族"と呼び愛すべき者達に出会い、好きに翔び続けた生涯だった。悲しみや後悔はいくらでもあれど、何の未練や有らん···。」

 

 

 

「ウィリアムが47なら私ももう52だからね。そろそろ引退したいんだが、上に引き留められ続けズルズルとここまで来てしまって···大変だよ。」

 

 

 

「皆、意外と知られていないことだが、イマニシは早稲田大学政治経済学部を卒業しハーバードの大学院であるケネディスクールで行政学修士号を取った秀才だ。かく言う私もイマニシと同じ時期に共にケネディスクールで一緒に行政学修士の称号を得ているが。お前ほどの切れ者を346プロダクションとてむざむざ手放したくはないだろうよ。」

 

 

 

「もう人材は育てるだけ育てた。もう出涸らしの昆布だよ私は?」

 

 

 

「出涸らし昆布も魚の昆布締めや塩釜焼きの皮に使える。最後までこき使われる未来が見えるぞ。」

 

 

 

「流石に死ぬまでというのは勘弁して欲しいよ···。」

 

 

 

「まあこんな感じでちょくちょく座談会をやっていくから、聞きたい奴は好きに聞きにきてくれ。では今回の座談会を終える。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「相棒、キョウコ、すまんがこの祠に手をあわせてくれ。やっと作れたからな。」合掌

 

 

 

「「···。」」合掌

 

 

 

「相棒、これは?」

 

 

 

「歴代相棒と私のせいで死んだ奴ら、そして嫡男だった信康(ノブヤス)を祀る為のものだ。キョウコ、お前とて無関係ではないからな。」

 

 

 

「はい···。」

 

 

 

「どういうこと?」

 

 

 

「キョウコの母親、"リス"ことアヤコ·イガラシ兵曹長は私がSEALsで働いていた時の部下だった。そして私の"家族"の中で今のところ唯一男を産んだ者でもあった。私はその赤ん坊に"信康"の名を与え、育ったらレッシャー家に養子として迎え後継ぎに据える予定だった。だが···。」

 

 

 

「原因不明の高熱を出して死んじゃったんです。信康兄さんと入れ違いのようなタイミングで生まれてきたのが···。」

 

 

 

「キョウコだったというわけだ。私はその知らせを聞いた時、歴代相棒を喪った時と同じような···心の一部が抜け落ちたような気がした。しばらく立ち直れなかったよ···。しかも信康が死んで半年後、リスもアフガンで戦死。私はリスの忘れ形見であったキョウコを引き取り、ミホもろとも私なりに頑張って育てたのだ。」

 

 

 

「じゃあ響子は凛世みたいに相棒の子なの?」

 

 

 

「いいや、おそらく違う。私はリスに一度しか御役目をしていない。その結果生まれたのは信康だ。キョウコの父親は他にいる筈だ。」

 

 

 

「なるほどね。」

 

 

 

「だが、私はキョウコを実の娘のように育てたつもりだ。私が持つ全ての技術を教え生き残り方と人の上の立ち方を学ばせた。それがリスへの鎮魂歌(レクイエム)になることを信じながらな。さて相棒、キョウコ、そろそろ寝よう。明日も予定が詰まってるからな。」

 

 

 

 

 

 

とりあえず第8艦隊関係の大仕事は終わった。マーリン(ユッコ)とサエの訓練も終わったことだしそろそろサバイバルをやって良い頃合いだ。ゲパードの納期を早めるとしよう···

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