人の手も届かない超高高度の世界。そこでは一体の古龍が彗星の尾を引きながら飛翔していた。古龍の名は天慧龍バルファルク。赤き凶星と呼ばれ、災厄の象徴として人類から恐れられている古龍である。
「まーったく……祖龍様はいったい何考えてんだか」
だが別に彼は災厄の二文字とは縁もゆかりもないほど穏やかな性格をしていた。
そのため、祖龍ミラボレアスの使いとして(ようは使い走りである)様々な任務をこなしていた。今回も彼はミラボレアスに呼ばれ、彼女のもとへと向かっていた。
・・・
「んで?今回は何の御用で?」
バルファルクは祖龍ミラボレアスのもとを訪ねるなり、めんどくさそうに言う。すると、ミラボレアスはこう言った。
「んーちょっとほかの世界に行ってあることを阻止してほしいのよ。」
あっけからんとミラボレアスは言う。だが、バルファルクはポカンと口を開けた。一瞬呆然としていたが、すぐに瘴気を取り戻し
「いやいやいやいや無理ですよ!ほかの世界??なんで?」
と、ミラボレアスに問いただす。すると、ミラボレアスはこう言った。
「いやー、なんかこのままいくと、その世界は人間どころか生物まで死滅してしまって、世界が滅ぶらしいのよ。というかほとんど滅びかけているの。で、そうなると世界のバランスが取れなくなるからあなたに行ってもらって阻止してほしいのよ。」
「ならアンタが行けばいいじゃないですか……」
「この世界のバランスを保っている私が行ったらこの世界滅ぶけどいいの?」
「い、行かしていただきます……」
バルファルクはため息をつくと、ミラボレアスからの586回のお願いの中で最も無茶なお願いを了承した。
「よし、いい子ね!じゃあはいこれ。」
そういってミラボレアスはバルファルクの頭に赤く輝く雷球を押し込む。すると、バルファルクの頭にその世界の知識、その世界で何が起ころうとしているのか、何をすればいいのか、という情報が流れ込んできた。
「了解いたしましたっと。……しっかしまあ、なんて救いのない世界だ。子供たちがかわいそうだ。」
「彼らを救うこともあなたの仕事よ。……いえ、あなたなら仕事関係なく救っているでしょうね。」
「ご想像におまかせしますよっと。そいじゃ行ってきます。」
「はいはーい。それじゃあフォースの後。彼等の真上に送るわ。くれぐれも人間たちと巨人たちと仲良くしなさいよ。あと、私の方で彼を鍛えておくわ。それと、近いうちに貴方のお友達も送るからがんばってねー」
そういってミラボレアスはパチンとフィンガースナップを鳴らす。すると天から赤雷が降り注ぎ、次の瞬間には天慧龍バルファルクはこの世界からいなくなっていた。
誰もいなくなったところで祖龍ミラボレアスは呟く。
「使徒…エヴァンゲリオン…人類補完計画…SEELE…そして子供たち。頼んだわよバルファルク。さて、私も頑張らないとね。」