今回は後日談編……その1になります。
それではどうぞ。
「ふふっ……この写真もいい感じ。こっちは……あー、これはちょっと他の人には見せられないかも……」
アイドル事務所にて。
とある写真を彩は眺めていた。
「おはよう、彩ちゃん。なんだか楽しそうね」
「あ、おはよう千聖ちゃん」
ちょうど千聖が入ってきた。
何してるの?と訊かれたので、この間海に行った時の写真を見てたと彩は答えた。
「彩ちゃんったら、何かある度に、写真を撮っていたものね。それで、いい写真はあったかしら?」
「たっくさんあったよ! ほら、これとか! 浅瀬で泳いでいる魚を麻弥ちゃんが眺めてるの!」
素敵じゃない?と言いながら、千聖に写真を見せる彩。
「これは……いつもの麻弥ちゃんとは違った雰囲気ね。表情も、普段とは違う大人っぽさがあるわ」
「やっぱり千聖ちゃんもそう思う? 写真撮る時、なんだか緊張しちゃったよ」
「こっちは……ふふっ、日菜ちゃんらしい1枚ね。びしょ濡れだけど凄くいい笑顔だわ」
次に見つけたのは、びしょ濡れになりながらも楽しそうな日菜の写真。
「日菜ちゃんの自由な感じがすっごく出てるよね! 汐里くんの前だと大人しいけど……ほら、こんな写真みたいに」
彩が見せたのは、日菜が汐里と一緒にシロイルカに乗って、汐里と密着したせいか、顔を真っ赤にしてる写真だった。
「……た、確かに。それにしても日菜ちゃん、随分幸せそうな表情してるわね」
「だよねー。この写真を見て、ようやく日菜ちゃんが一目惚れしたんだなーって納得したよ……」
さっきの写真と違って、汐里といる時の写真の日菜は完全に恋する乙女の表情である。
「あ! そうそう! このイヴちゃんがすっごく綺麗なの!」
「濡れた髪をかき上げながら、大きな瞳でこっちを見つめて……それにしても、本当によく撮れてるわね」
「えへへ、スマホの撮影なら任せてよ! 自撮りで鍛えたテクニックがあるからね」
千聖にそう言われ、少し得意げになる彩。
「ふふっ、雑誌で自撮りテクニックの紹介なんてしたら、結構人気が出るかもしれないわね?」
「それいいかも! 今度雑誌の取材の時にでも話してみようかな。私のSNSを見てもられば、実力は証明できると思うし!」
「そういえば、みんなで行った海の事、SNSにはあげなかったのね」
彩の言葉を聞いて、思い出したのか、海に行った事をSNSにあげなかった事を訊く千聖。
「私も最初はアップしようかなーって思ってたんだけどね。なんだかもったいない気がしてきちゃって」
ファンの人は喜んでくれると思うんだけど、あの日の事は私達だけの思い出にしたいなって思ったんだと言う彩。
「その気持ち……今なら、分かる気がするわ」
「え、千聖ちゃん、今何か言った?」
彩に訊かれたので、なんでもないと答える千聖。
「はー、海、楽しかったな~。またみんなで、どこかに遊びに行きたいね」
「ええ、また行きましょう。夏休みはまだまだこれからなんだし、オフの調整もできるでしょうから」
尤も、オフの調整については、ティアが楽しみにしててと意味深な表情で言ってたのが気になったが。
「次はどこがいいかなぁ……海は行ったし、やっぱり山? 避暑地でキャンプ! ……は準備が大変かなぁ」
グランピングとか、山の幸を求めて登山とかもいいよね~と次に行ってみたい所を言う彩。
「彩ちゃん。遊びに行きたい気持ちは分かるけど、その為にも、やるべき事はちゃんと済ませておかないとね?」
「もちろん、お仕事だってしっかりやるよ! じゃないと、楽しめないもんね!」
「えっと……お仕事だけじゃなくて、私達、高校生にはもうひとつ大事な事があるでしょう?」
千聖の言葉を聞いて彩は最初、首を傾げていたが、徐々に千聖が何を言いたいのかを思い出した。
「それってもしかして……」
「夏休みの宿題。お仕事で時間を取られてしまうとはいえ、オフもあったのだし、当然終わってるわよね?」
そう。夏休みの宿題である。
遊ぶのも大事だが、そもそも学生の本業は勉強なのも忘れてはならないのである。
「え、えーっと……」
「……終わってるわよね?」
「あ、あはは……はぁ……まだ終わってないです……」
笑ってるが目が笑ってない千聖を見て、彩は正直に終わってないと白状した。
「…失礼しますっと。やほー……」
「あ! 悠里くん!」
「ゆ、悠里!?」
タイミングが良いのか悪いのか、悠里が入ってきた。
笑顔で手を振る彩に対して、千聖は逆に驚きの表情になっていた。
「……2人が今日は事務所にいるから、ティアちゃんに頼まれて、スケジュール表を持って来たんだ」
「そうなんだ~……(やった~♪ ティアちゃん、ありがとー♪)」
「そ、そう……(こ、こういう事だったのね……今度ティアちゃんにお礼をしないと……)」
千聖の表情を見て、察したのか、自分が
それを聞いた彩と千聖は、悠里にバレないように、心の中でティアに感謝をしていた……
「…ところで彩ちゃんは、夏休みの宿題どんな感じ?」
「うっ……悠里くんにも言われるなんて……」
「千聖ちゃん。もしかして、ちょうどその話してたの?」
「そうなの。彩ちゃん、まだ終わってないみたいで……」
悠里にも千聖と同じ事を訊かれ、彩はがっくりと肩を落とす。
「話を戻すけど、あとどのくらい残っているの?」
「全体の半分……あ、いや、3分の1くらい……しか終わってません……」
「……3分の1、ね……」
「つまり、まだかなりの量が残っているって事ね……」
それを聞いた悠里と千聖はお互いに顔を合わせながら、そう呟いた。
「やろうとは思ってたんだよ! 思ってたんだけど……数学が……」
「手が付けられなかった……と」
「仰る通りです……」
悠里がそう締めくくると、仰る通りですと答えた彩。
「はあ……手伝いましょうか?」
「……僕も手伝おうか?」
「ホントに!? 宿題の範囲が特に苦手なところで……どうしたらいいのかって頭を抱えてたんだよぉ……」
2人のありがたい申し出に、彩は大喜び。
「あっ、でも……千聖ちゃんと悠里くんも忙しいのに……私の宿題に付き合ってもらうのも……」
「いいのよ、気にしないで。海に行った時、彩ちゃんが私の苦手だったものを克服させてくれたでしょ? そのお返しだと思って」
「僕もどうせこの後は、事務所近くのカフェでお茶する予定だけだったし。気にしないで?」
尤も、僕が教えられそうな箇所なんて微々たる所だけかもしれないけどと悠里は付け足す。
「けど、やるからには、とことん教えてあげるわ。数式を見ても怯えないくらい、徹底的にね?」
「えっ……あっ、あの、その……お、お手柔らかに、お願いします……あはは」
「それは……彩ちゃん次第ね。ね、悠里?」
「そうだね。でも、彩ちゃんは頑張り屋さんだから、その辺は大丈夫じゃない?」
「が、頑張ります……」
ちなみに彩が悠里は夏休みの宿題は終わったのかと訊くと……
「僕? 夏休みに入った時に全部終わらせたよ? まあ後は、
「そ、そうなんだ……(そういえば、2年前もそんな表情をしてた気が……)」
「……(悠里? そういう昔からのギャップはズルいと私は思うのよ。でも……そういうところも含めて好きなのよね)」
彩と千聖から見て、悠里は少し楽しそうな表情で答えたそうな。
読んでいただきありがとうございます。
次回で後日談編は最後になります。
頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。