超ロボット生命体トランスフォーマーMAGUS   作:雑草弁士

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第030話:反撃の狼煙

 ネギとガンドルフィーニが未来へ飛ばされた晩の翌日、『麻帆良祭』3日目の午前中の事である。麻帆良の魔法使いたちは必死に超の行方を捜索していた。だが一向にその行方は掴むことが出来ない。

 古などもまた、超が立ち寄りそうな場所を探し回り、そして何の収穫も無い事に肩を落とす。対策本部と化した学園長室へ悄然として戻って来た古に、バトルスーツ状態のサウザンドレインは声をかけた。

 

『あー、まあ超に頭の回転で対抗するのは難しいだろ。気を落とすな』

「謝謝アルよ、長谷が……」

『!?』

 

 サウザンドレインは、慌てて古の口を抑える。幸いに、学園長室の面々は自分たちの仕事に没頭していて気付かない。

 

『ちょ、おま、それは』

「あ、申し訳ないアルよ! 内緒だたアルね!?」

『まあ……。そうなんだけどよ。お前にわたしのこの姿、見せたこと無かったと思ったんだが? なんでわかった?』

 

 古は小さく頷いて言う。

 

「それはワタシが、貴殿の動きのクセを、多数の手合わせで知てた事が大きいアルよ」

『なるほど……』

「タダ、楓なんかは注意した方いいアルね。普段の動きのクセとかから、見破りかねないアルよ」

『げ……。本気で要注意だな』

 

 そこへ当の楓も戻ってくる。

 

「いやー、居ないでござるな。路地裏の自動販売機の裏から、道端の側溝の中まで探したんでござるが」

「いやお主、さすがにそんな所にはおらんじゃろうて」

「場を和ませるための冗談でござるよ、学園長先生。まあ冗談はさておき、超や葉加瀬はおろか、龍宮に五月、茶々丸まで姿を消しているでござれば」

「絡繰君もじゃと?」

「エヴァンジェリン殿に話を聞いたでござるが、『茶々丸を創ったときの約定で、今回に限り超に貸してやっている。そのときの約定でわたしは手出し無用と言われているのでな。今回は動かない。……どちらにも味方せんし、超のやる事については一切知らん』だとの事でござれば」

 

 どうやら忍者でも、超の情報は得られなかった模様だ。明日菜やのどか、小太郎と言ったネギの従者や、その仲間である木乃香と刹那もまた超たちの行方を捜して走り回っているのだが、この様子では望み薄だろう。

 サウザンドレインは、部屋の片隅でじっと動きを見せないサイコブラストの方へと歩み寄る。

 

『さて、わたしたちはどう動いたものかな』

『うむ。実は昨晩から色々調べていたんだがな。超たちが使っている時間移動技術なんだが。どうやらあの世界樹……『神木蟠桃』とその周辺魔力を必要としているんじゃないか、と言う予測が立った』

『それがどう影響して来るんだ?』

『まあ、その辺色々シミュレーションした結果なんだが。わたしにいい考えがある(I got an idea.)

 

 ちょっと微妙な空気が流れる。だが天丼は正義。サウザンドレインは頑張って持ちこたえ、その考えを聞いた。

 

『教えてくれるか? それと、わたしは何をすればいい?』

『一度、俺の地下基地に戻ろう。そこでまずは、2種類の装置の製作を手伝ってくれ。それを作りながら、詳しく説明する』

『わかった。じゃあ学園長に話を通して来よう』

 

 そして麻帆良学園本校女子中等部の校舎裏手から、人目を避けるようにして2機の宇宙戦闘機が飛び立った。当然の事ながらその正体は、サウザンドレインとサイコブラストである。2人は麻帆良の山中にある、サイコブラストの地下秘密基地へと急いだ。

 

 

 

 そして夕刻、18:00の鐘が鳴り響く。『麻帆良祭』の最終イベントである『学園全体かくれんぼ』は、佳境を迎えていた。ちょっと地味だ、と言う声もあったものの、まあそこはお祭り好きな麻帆良の連中である。けっこう楽しくイベントを進めていた。

 だがその最中、2,500体の量産型田中さん……ロボット兵器が出現する。更にはより大型の六脚大火力タイプのロボット兵器も登場。慌てる一般人たちを次々と脱げビームの餌食にしていった。まあ幸いな事に怪我人はおらず、一般の学園祭参加者たちや観光客たちは、これもまた突発イベントの1つだと受け取った様だが。

 そしてロボット兵器たちは、世界樹……『神木蟠桃』周辺の魔力溜まり六個を次々と占拠して行った。ここに至り、麻帆良学園の魔法使いたちは、これを超鈴音の攻撃だと判断。そして学園長である近右衛門は、超の狙いが『神木蟠桃』と六ヶ所の魔力溜まりで構成される魔法陣を使った、なんらかの儀式魔法ではないかと思い至った。

 残る魔力溜まりは二つ。近右衛門の命により、魔法先生や魔法生徒はその魔力溜まりを防衛するために奔走する。しかし一般の参加者や観光客の目がある事で、使用できる魔法が限定されている中での防衛線は至難を極める。更に、恐るべき魔弾の射手が魔法使いたちを襲った。

 

「弐集院先生! またやられました!」

「狙撃地点はおおかた予想がついた! 全員物陰へ……!?」

 

 物陰に隠れた魔法生徒の1人が、跳弾射撃によって黒い球体に飲まれ、その場から姿を消す。魔法先生である弐集院光は、その技に愕然とするしかない。

 

「何という技量……!」

「弐集院先生ーーー!!」

 

 弐集院に、相手の魔法障壁ごと飲み込んで何処かへ転移させる、謎の魔弾が襲いかかる。もはや逃れる術は無かった。

 

 

 

 魔法先生明石教授と、夏目萌以下の魔法生徒たちは、学園結界を維持するための電脳戦に、敗北しかけていた。学園警備システムメインコンピューターへのハッキングを仕掛けられ、そして圧倒的な能力差でシステムを乗っ取られそうになっていたのである。

 

「だ、だだだめです! 防衛システム中枢へのアクセスコード、既に下10桁、いえ14桁まで!」

「これが超鈴音の……」

「だめです! 電子精霊群、解凍を妨害されて出動不可!」

 

 そして学園結界がその機能を失う。それと同時に、全高30mはあろうかと言う、見た目は巨大ロボットに偽装されており、頭部に制御装置を埋め込まれて操られてはいるが、巨大な鬼神が6体出現する。そしてその鬼神6体は、1体ずつが『神木蟠桃』周辺の魔力溜まり1ヶ所ずつに陣取ろうと移動を開始した。

 

 

 

 鬼神が出現した際に葛葉刀子教諭は、同僚の魔法先生神多羅木と共にそれの撃破に動いていた。しかし鬼神と同時に出現した、バルカン砲を抱えた特殊仕様の田中さんたちに、動きを止められてしまう。刀子からすれば『神鳴流に飛び道具は効きません!』と言いたいところであったが、バルカン砲の弾丸は弐集院先生のチームを襲った、あの転移弾である。うかつに至近距離で切り払えば、そのまま転移空間に飲まれてしまうのだ。

 神鳴流奥義『斬空閃』や神多羅木の魔法による援護で、なんとか敵弾を防いでいる。だが敵のバルカン砲は、弾切れ等無いとでも言う勢いで弾丸を吐き出し続けている。刀子の『気』も神多羅木の魔力も、いい加減底が見えてきていた。

 

「神多羅木先生、ここは一時撤退も止む無しかと」

「そうだな、葛葉。……!!」

 

 突如神多羅木が、死角からの跳弾射撃で転移弾に何処かへ飛ばされた。弐集院を撃破したあの魔弾の射手が、こちらへと狙いを変えて来ていたのだ。

 

「神多羅木先生! くっ……」

 

 京都神鳴流剣士、葛葉刀子は苦渋の想いでその場を離脱、敗走した。

 

 

 

 高畑は、ピンチに陥っていた。彼の前では、刹那、明日菜、木乃香が気絶して倒れ伏している。それをやったのは、眼前にいる超鈴音ただ1人であった。彼はこの倒れている生徒たちと共に、鬼神を撃破するために前線に出て来ていたのだ。しかしそこに出現した超の謎の攻撃により、まず明日菜、次に木乃香が倒され、冷静さを失った刹那が撃破されたのである。

 しかし高畑は、それでも粘った。超の正体不明の攻撃を自分の死角を取る()()()()()()と仮定して、おそらく相手が出現すると見越した位置に攻撃を行うと言う手段で、一度ならず超に冷や汗をかかせていたのだ。

 ここで超は、高畑に語り掛ける。自分の計画により、救われる人々が多くいるであろう事を。今後起こりうる混乱に対し、それを制御し調整し管理する手段も財力も用意している事を。

 

「高畑先生……。貴方の様な仕事をしている方には理解できるハズ。この世界の不正と歪みと不均衡を正すには、私の様なやり方しか無いと」

「……」

「どうカナ高畑先生。私の仲間にならないカ?」

「断るよ」

「……即断ネ」

 

 超は意外そうな顔をする。彼女は高畑に問いかけた。

 

「何故に、カナ?」

「第一に、これはおそらくだが、君は時間移動系の技術を戦術的に、『気軽に』用いていないか? 時間移動系の技術は、世界を、いや宇宙を、時空連続体を滅ぼしかねない危険な技術だからね。『世界』を救うために、『世界』を含んだ『時空連続体』そのものを滅ぼしては本末転倒だよ」

「……コレは驚いたネ。そんな科学的切り口からの反対意見が高畑先生から出るとハ、思わなかたネ。

 でも大丈夫ヨ。安全性は重々確認して使てるネ」

「……その答えで分かった。君はわかってはいない。時間移動による危険性は、世界の『内側』からでは決して観測できない、と僕の友人が言っていた。安全性も、危険性も、君には『確認』できるハズが無いんだよ」

 

 その返しに、超は面食らう。そして何か言おうとした瞬間、それに被せるように高畑が言葉を続けた。

 

「高畑せ……」

「第二に!」

「!!」

「第二に、こちらの勝利があるかどうかは分からないが、敗北が決定している陣営に肩入れするメリットが無い」

「それはどう言ウ……」

 

 そして高畑は天を指さして言った。

 

「……ああ言う事さ」

 

 そこには上空を飛ぶ、1つの飛翔体……宇宙戦闘機の姿があった。

 

 

 

 千雨は……サウザンドレインは、麻帆良上空を宇宙戦闘機モードで翔んでいた。機体の胴体下面には、1発のミサイルが懸下されている。

 

『こいつが……』

 

 そして彼女は、そのミサイルの照準を合わせる。狙いは、麻帆良のシンボル、世界樹こと『神木蟠桃』の上空だ。更にそのはるか直上、地上4,000mには実は超一味の飛行船が浮かんでいるのだが、それには彼女は目もくれない。

 

『こいつが、反撃の……狼煙だあっ!!』

 

 千雨(サウザンドレイン)の叫びと共に、ミサイルが発射される。それは狙い過たず、世界樹の真上で炸裂した。




ちょっとした天丼があります。ごめんなさい。

さて、反撃の狼煙は上がりました。あのミサイルの正体は、次回にたぶんおそらくきっと明らかにされると思います。だといいなー。
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