「おい、アル」
「……」
「アルビレオ・イマ!」
「…………」
「……クウネル」
「なんでしょう、キティ?」
その名で呼ぶなと、がーーーっと
ちなみに必死で真面目っぷりをアピールしつつテーブル上の配置を整えている――それしかできない――カモは、まあ無視だ。本当に真面目にやっているのであれば、ネギたちか、あるいは
そして始まったお茶会で、とりあえず美味な茶と茶菓子を堪能する一同であった。
茶会は未だ続いていた。だが、ふと
「ふむ、そろそろいいでしょう。ネギ君たち、給仕はもう良いですから、貴方たちも座ってください。ネギ君にも話がありますから、必然的に貴方たち全員に関わりがある話になります」
「あ、はい
「わかりましたー」
「あ、はい」
「わかったえー」
「はい……」
そして更にクウネルは、テーブル上でがんばってますアピールをしているオコジョにも声をかける。
「アルベール・カモミール……。あなたは関わりの無い話ですから、しばしの間、退出していなさい。なんなら魔法で送ってあげますよ?」
「あ、い、いえ! 自分で歩きますぜ! そ、そ、それでは!」
「……行ってしまいましたね。随分と奥ゆかしくなりましたねえ」
あのオコジョにコイツ何やったんだ、と言う様な視線を、千雨と壊斗は当人である
「ネギ君」
「はい
「一応謝っておきます。すみません」
「は、え、えっ? な、何の事ですか?」
「ネギ君。以前わたしは言いました。貴方の父、ナギ・スプリングフィールドは、彼とわたしの
……それは嘘です。本当は、もっと多くの事をわたしは知っています」
「!!」
「な、アル! 貴様!! 詳しく話せ!!」
「キティ……エヴァンジェリン、貴女も聞いてください。ナギ・スプリングフィールドは、生きています。そして居場所も分かっている……どころか、実は彼はここの更なる地下に、封じられているのですよ。……案内します。付いて来てください。長谷川さんたちも、タカミチ君も、どうか一緒に来ていただきたい」
そして
「ああ、でもお茶が勿体ないですね。とりあえず飲んでからにしますか」
不作法にも立ったまま茶を啜る
彼らは麻帆良学園地下空洞の最奥部、世界樹の根に絡めとられる様になっている、巨大な氷らしき透明な塊の前にやって来た。その透明な塊の中心には、黒いローブの魔法使いらしき人間が封じられている。顔はローブのフードに隠れて、ほとんど見えない。
「本当は、これはナギをリーダーとする一団……我々『紅き翼』のメンバーでも、ごく一部しか知らない事でした。タカミチ君も、これは知りません。ですが、わたしはその秘密をあえて開示します。
ネギ君、そしてエヴァンジェリン。あそこに封じられているのが、貴方たちの求めていた人物です。特にエヴァンジェリンに取っては、2重の意味で求めていた人物でしょう」
「……父さん!!」
「ナギ……?」
「そうです。そしてそうでは無いのです。あれは『始まりの魔法使い』……『
「「「「「「!?」」」」」」
全員が驚愕する。特にネギは何かを必死に
「……
「……見事です、我が弟子よ。エヴァンジェリン、あれはナギであると同時に、貴女を魔法実験で吸血鬼に仕立て上げた元凶です。そう言う意味で、わたしはアレが、貴女が求めている人物だと言ったのです」
「な……!? 馬鹿な! 奴は死んだ! わたしが復讐で殺した! 死体も確認してある! 確実に……殺したんだ!」
「いえ、貴方が殺したのは、取り憑かれて操られていた憐れな操り人形に過ぎません。アレは、不滅の霊的存在。本来であれば、自身を殺した相手に乗り移り、憑依して己が肉体として使うのですよ。貴女の場合は、何故か憑依されなかったみたいですけれどね」
「!!」
愕然と立ち尽くしたエヴァンジェリンに構わず、
「そしてアレは魔法使いとしての力量も凄まじく、我々『紅き翼』も何度かギリギリの死線を潜り、その上で幾度かの『敗北に等しい勝利』を掴まされた事もあります。
そう、その最後の『敗北に等しい勝利』は10年前……。ナギ自らが憑依される事を覚悟の上で先代の『
「まさか父さんは……」
「そうです。自分自身をここに封印する事で、『
ただ『
歯を食いしばり怒りと憤りに耐えているネギ、悲痛な眼で封印中の想い人を見つめるエヴァンジェリンを、他の面々はどう慰めて良いか分からずにただ見ていた。そんな中で千雨はなんとなく、むかっ腹が立って来る。彼女はそっと音を立てずにのどかの傍らまで移動すると、その肩を叩く。
「あ……?」
「しっ」
千雨は振り向いたのどかに向かい、唇に人差し指をあてた。何か言い掛けて黙ったのどかの背を、千雨はそっとネギの方に押してやる。のどかは頷いた。そして彼女は震えるネギの身体を、優しく……そして力いっぱい、抱きしめる。
「あ……。のどか、さん……」
「……」
「……はい。わかってます。もう少ししたら、落ち着きますから。だから、もうちょっとだけ、甘えさせてください」
泣きそうなネギの言葉に、のどかはそっと頷く。一方のエヴァンジェリンの方は、どうしようかと千雨は悩む。しかし世話を焼く必要も無かった。エヴァンジェリンは自分で立ち直ったのだ。彼女は自分の両頬を、両手で挟む様に『パン!』と叩く。
「ええい! アル! アルビレオ・イマ! クウネル! なんでもいい! ちゃっちゃと吐け! 貴様がこうして秘中の秘を明かしたと言う事は、何らかの対策があると言う事だろう!」
「まあそうですね。『
「そんな事よりも、ナギだ! ナギから『
だが
「いえ、あなたの持つ魔法的手段では無理でしょう。今後、なんらかの画期的なブレイクスルーでも無ければね。超古代の魔法的な仕組みか超自然現象、あるいは本物の神の加護か何かで不死不滅になっている『
それともエヴァンジェリン。貴女には魔法以外の手段は、何かありますか?」
「!! く……。魔法以外、か。いや、待て。超ならば……。いや、奴にはもはや貸しも借りも無い状態。しかも奴にはしばし自由が無いも同然。あげくに、超の科学の分野は超自然的な物は……。やつらは、そう言った部分を魔法とまでは言わないが魔力に頼っている様だしな……」
「超さんでは、無理かと思いますよ。ですがこの麻帆良学園には、超さんを文字通り超える超科学の使い手が居るのです」
「水谷壊斗さん……。以前の貴方がたとの会話で、貴方が心霊工学に関してもプロフェッショナルであると確信いたしました。伏してお願い申し上げます。どうかわが友を救うため、ご助力願えませんでしょうか。」
「……幾つか、良いか?まず1つ。俺は今、ハセガワのために生きている。これが友愛であるのか、親愛であるのか、恋愛であるのか、はたまた別の何がしかの感情であるのか、それは自分でもわからん。だがこれは嘘偽りなど無く、俺の本心だ。
そのナギ氏を救う事がハセガワのためになるのであれば、頼まれなくても力を貸すさ。そうでなくとも、ハセガワの害にならずハセガワがソレに同意したなら、その時も同様だ。だが万一ハセガワの害になるようなら……」
「……」
「そして2つ。酷な様だが、俺でも手に負えない場合であった場合だ。残念ながら、その可能性は少なくないと思う。その場合、『手術は成功したが患者は死んだ』などと言う事になりかねない」
その台詞を聞き、
「それでも、わたしはわが友のため、貴方に願うでしょう。『手術は成功したが患者は死んだ』であっても、それならばわが友も納得した死に様を得るでしょうからね。『
わたしが願うのは、友の幸せであって、それの邪魔になるのであれば友の命ですらも度外視します。妙な言い方ですけれどねえ」
「「!!」」
その台詞に、ネギとエヴァンジェリンは目を見開く。だがネギは唇を噛むと、俯いた。理解したくはなさそうだが、
「そして、最初の件に関しては……。わたしとしては、貴女にも頭を下げるしかありません。長谷川さん。どうかわが友の尊厳を守り、『
「ここで断ったら、わたし悪い奴じゃないかよ。それにネギ先生の件もある。いくらなんでも10歳の子供が巻き込まれていい話じゃねえだろ。放置したら、寝覚めが悪いっての。エヴァンジェリンは見た目ともかくいい大人っぽいが、それでもクラスメートだしな。
ただし! 壊斗が危険になる様ならば、話は別だ。壊斗は凄え強いから、下手な事じゃ危険にはならねえけどな。だけど……。わたしも友愛か、親愛なのか、もしかしたら恋愛かもしれない、それとも他の何かの感情かもしれないけれど、壊斗を大事に思ってるんだ。壊斗が危険に陥る様なら、全てを見捨てる覚悟がわたしにはあるぞ」
「……了解いたしました。万が一の場合、わたしの全てを賭けて壊斗さんをお守りします」
「なら、いいぜ。」
「ハセガワがいいなら、俺も了承しよう」
その言葉に、
うちの
ちなみにネギ君や『紅き翼』の仲間、そしてその縁者が不幸になるのは、これもナギや他の友にとっての不幸に繋がるので、それも看過しません。自分でおちょくったり騙したりするのは許容範囲ですが。
本作でのアルビレオを縛るには、彼に認められて彼の庇護下あるいは強固な交友関係を結ぶかすれば良いです。まあ、彼に取ってお気に入りの玩具にされてしまう危険とセット商品ですがね。でもそうなれば、彼の力が及ぶ範囲で、全力で護ってくれます。思い切り遊ばれますが。矛盾する様ですが、下手すると尊厳を失いかねないレベルで遊ばれます。と言うか、そのナイフエッジを渡る様なギリギリを見極める感じで。不幸と、そうでないのとの、ギリギリ境界を攻める感じで。