超ロボット生命体トランスフォーマーMAGUS   作:雑草弁士

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注)今回もネタバレ回です。まあ、前回ほどじゃ無いかもですが、それでもけっこうな原作ネタバラシが。


第036話:魔法世界の事情いろいろ

 とりあえず一同は、地下深くの『造物主(ライフメーカー)』封印場所からクウネル(アルビレオ)の塔へと戻った。皆は、特に高畑あたりは苦悩と焦燥を表情に浮かべ、悄然としている。

 そしてクウネル(アルビレオ)が話を続ける。

 

「先ほども言った通りに、『造物主(ライフメーカー)』と『完全なる世界(コズモ・エンテレケイア)』は、ある意味では魔法世界(ムンドゥス・マギクス)を崩壊から救おうとしています。そのやり口は、ちょっと推奨できませんがねえ。

 魔法世界(ムンドゥス・マギクス)に大戦乱を引き起こして周囲の目を欺き、その陰で魔法世界(ムンドゥス・マギクス)をある意味では滅ぼし、もっと省エネの仕組みの世界に『書き換え(リライト)』しようとしたのですよ」

「省エネの世界、ですか? 師匠(マスター)

「ええ。『書き換え(リライト)』られたその世界では、万人が計算され尽した最高に幸せな夢を見ながら、ただ眠り続けると言うものでしてね。一切の生命活動が無いから、現状の魔法世界(ムンドゥス・マギクス)と比べて圧倒的に魔力の消費量が少ない。それ故に、現実世界(ムンドゥス・ウェトゥス)の火星に降り注ぐ太陽の魔力だけで、維持が可能です」

 

 その言葉に対し、若者連中は一斉に文句をつける。明日菜、木乃香などは特にその傾向が顕著だった。

 

「な、なにソレ! いくら省エネだったって、眠り続けるんじゃ意味ないじゃないの!」

「そや! 幸せな夢ゆーたかて、ほんとや無いんやろ!? そんなの押し付けて『救い』やー、なんて!」

「そうよそうよ! その『造物主(ライフメーカー)』、何様のつもりよ!」

「文字通り、『造物主(ライフメーカー)』のつもり、どころか『造物主(ライフメーカー)』そのものなんですよねえ、これが。魔法世界(ムンドゥス・マギクス)はかつて『造物主(ライフメーカー)』が創った、人造の異界なのです」

「「「「「「え゛」」」」」」

 

 そのクウネル(アルビレオ)の言葉に、一同は唖然とした。彼は続ける。

 

魔法世界(ムンドゥス・マギクス)の住人も、過去の時代にあちらへ移住した現実の人間の子孫以外は、魔力で構成された幻想の存在です。まあ、だからと言って現実の人間との違いは、魔力で出来ているか否か。それだけですがね。ちゃんと精神もあるし、自我もあるし、魂だってあります。

 まあ、自分が創った世界で、自分が創った人々だからって、いい様にできると考えるのはどうでしょうねえ。有象無象の魔法世界(ムンドゥス・マギクス)人ならいざしらず、わたしの友人も居ますし」

「アル……」

「タカミチ君、わたしの事はクウネルと」

「なんで、魔法世界(ムンドゥス・マギクス)のタイムリミットが10年無い事を教えてくれなかったんだい?」

 

 高畑のその言葉に、クウネル(アルビレオ)張り付いた笑み(アルカイックスマイル)のまま、溜息を吐く。

 

「わたしも知ったのが比較的最近の上、解決策が何も浮かびませんでしてね。そして、貴方がたに話してしまって、解決策を編み出せるとは思えませんでしたし。やるなら魔法世界(ムンドゥス・マギクス)の事を現実世界(ムンドゥス・ウェトゥス)全体に明かし、その総力を結集でもしなければならないでしょう。

 さすれば現実世界(ムンドゥス・ウェトゥス)には凄まじい混乱と下手をすれば大きな破壊が吹き荒れます。わたしでは……わたしたちでは、それを食い止められません。それは看過できない。現実世界(ムンドゥス・ウェトゥス)魔法世界(ムンドゥス・マギクス)を天秤にかけたなら、わたしは現実世界(ムンドゥス・ウェトゥス)を取ります」

「……!!」

「わたしに苦悩や苦痛、怒りや嘆きが無かった、などと思わないでいただきたい」

「済みません、アル……」

「フフフ、わたしの事はクウネルと」

 

 ここでネギが挙手して発言を求める。

 

師匠(マスター)、まだ思いつきでしか無いんですが……」

「何でしょうか? ネギ君」

「超さんの計画や思惑、そして原因となった魔法世界(ムンドゥス・マギクス)崩壊の事を知ってから、色々考えていたんです。現実の火星を、地球化(テラフォーミング)すればどうでしょう。魔力は生命活動から生成されるのが基本です。火星が生命溢れる惑星(ほし)になれば……」

 

 クウネル(アルビレオ)はだが、数秒の沈思の後に、それを否定する。

 

「時間が足りませんねえ、残念ですが。いえ、基本的な考え方は良いと思いますよ。ですが本来地球化(テラフォーミング)は数百年、数千年単位で行われる事業です。10年以内にある程度の形にしようと言うならば、現実世界(ムンドゥス・ウェトゥス)各国政府との折衝や交渉、利益誘導などなど……。

 それらの政権との交渉パイプを作るところからですと、到底間に合いませんね。まさか『各国政府首班と、なんら伝手も無くアポなしで飛び込みで面談できる』わけも無いでしょうし」

「……残念です」

「いえ、落ち込まないでくださいネギ君。色々とアイディアを出そうと言うその姿勢は、賞賛されてしかるべきですよ。それに、既にコノエモンやタカミチ君がその件については動いていますから」

 

 高畑が慌てる。その計画については未だ公開は時期尚早だとして、極秘になっているはずだったのだ。だがクウネル(アルビレオ)は、どうにかしてその事を知っていた模様だった。

 

「ちょ、アル! その事はまだ公開時期には……」

「タカミチ君、わたしの事はクウネルと。

 フフフ、ご安心を。これ以上の事は、例えばそちらの壊斗さんから提供された技術情報を超さんたちに検証させて、目的に必要な装置の開発が可能かどうか検討しようとしている、なんて事は口にしませんから」

「「「「「「言ってる、言ってる」」」」」」

「何故それを!? まだ学園長と僕、ガンドルフィーニ先生が口頭で話しただけのはずなのに!」

「「「「「「それ言ったら、肯定したも同じでは」」」」」」

 

 クウネル(アルビレオ)は胡散臭い笑みで言う。

 

「ネギ君にあまり負担をかけないで、教師としての修行に専念して欲しいと願っているのは、理解していますよ? ですが(わたし)としては、そろそろネギ君も慣れて来ましたのでね。負荷を増やしてもいい頃合いだと思うのです。

 それに超さんも、そちらの長谷川さんも、キティですらも」

「キティ言うな」

「キティですらも、ネギ君の生徒なのです。絡繰さんも。彼の従者たちの大半もまた。更には妹弟子である木乃香さん、先日めでたくその従者になった刹那さんも。ネギ君を蚊帳の外に置くには、ちょっと無理がありますし。

 タカミチ君、コノエモンにも伝えてくれませんか。どんどんネギ君を巻き込んでください。潰れてしまう様な鍛え方はしていませんからね」

「……学園長と相談してみるよ」

 

 背中が煤けている高畑とは対照的に、ネギたちは使命感に盛り上がっている。何故か茶々丸もその中で盛り上がっていたりした。やはり春の吸血鬼事件以来、ときどきネギたちと一緒に猫への餌やりをしていたため、絆が深まったのだろうか。

 その茶々丸の主であるエヴァンジェリンは、ネギたちの輪に入れずにちょっと寂し気だ。いや、口でそう言ったわけではないし、そのうすべったい胸を張り、傲然と構えているが。だがそれでも、少々寂しそうに見えるのは仕方あるまい。

 なので千雨は、生暖かい目をしてそのキティの肩を、ぽんと叩いてやった。

 

「なんだ長谷川千雨! その同情するような視線は何だと言うのだ!」

「……強く生きろ、マクダウェル」

「おのれはーーー!!」

 

 

 

 そして千雨と壊斗、その他の面々は地上に帰る途中である。ネギたちはまだこれから、クウネル(アルビレオ)師匠(マスター)の下で修行をするので、千雨たちを途中まで送ったらまた地下深くまでとんぼ返りする予定だ。

 そんな中、ネギたちが千雨に語りかける。

 

「でも知りませんでしたよ。長谷川さんが魔法関係者だったなんて」

「長谷川さんも、魔法使いなんですかー?」

「ああ、いえ。わたしと壊斗は魔法関係者じゃありません、ネギ先生たち。ちょっと体質が特殊でして。認識阻害とか人払いがほぼ効果を発揮しないんです。それで妖怪退治とかの現場に間違って踏み込んだりした事がありましてね……。

 それで、事情を知らないと逆に危険だからって、色々と教えてもらったり、便宜を図ってもらったりしてるんですよ」

「「「「「「なるほど」」」」」」

 

 まあ、だがそれだけの理由では説明がつかない事も多い。千雨はちょっとばかり付け加えた。

 

「そしてこっちの壊斗は、とんでもなく優秀な科学者です。表向きは投資家なんですけどね。わたしは今、壊斗の助手みたいな真似事をやらせてもらってます。将来はそっちの道に進むのも、悪く無いかなあ、なんて……。

 ……なんだ宮崎、神楽坂も。近衛に桜咲。なんでわたしをそんなキラキラした目で見る」

「いや、すっごい素敵だと思うわよ!? 好きな人の傍で、その人を支える働きをしたいんでしょ!?」

「素晴らしいと思います! 長谷川さん、応援しますね!」

「あー。正直まだ、友愛なのか親愛なのか恋愛感情なのか他の感情なのか、自分でも分かっちゃいないんだけどな。壊斗の傍に居られるのは、悪くねえかな」

「そう言ってもらえるのは、嬉しく思うな」

 

 千雨や壊斗の言葉を聞き、小太郎が、ぽつりと呟く。

 

「なるほどなあ……。恋愛かどうかは置いといて、愛の力は偉大なんやな。のどか姉ちゃんもネギのためなら、あれだけの力を振り絞れるもんなあ。修行始めてたいした時間経っとらんに。俺も考え直した方、ええんかな。

 確か、ネギの先生修行が一段落つく3-A卒業の後に、きっちり返事するんやったか? なあネギ」

「そのつもりだよ。待たせてる事に、忸怩たる想いはあるんだよね……。でも、先生と生徒って関係で、恋愛沙汰はマズいし……。ううっ、ガンドルフィーニ先生にも釘刺されちゃったし」

「そう言や宮崎。学園長がポロっと漏らしてたが、お前も魔法使いの修行してるんだよな?」

 

 その千雨の問い掛けに答えたのは、ネギである。

 

「のどかさんは凄いですよ。ちょっと体質的に魔法の行使に向かないと言う難関はありましたが、それを越えたら本当に一生懸命に鍛錬に鍛錬を重ねて。今は充分な力量の魔法剣士……と言うか魔法拳士ですね。明日菜さん小太郎君の前衛、最後衛の僕の間を埋める、中衛~後衛として頑張ってくれてます」

「それは凄いですね。……あ」

「「「「「「?」」」」」」

 

 千雨の言葉に、一同がその視線を追うと、本気で寂しそうに高畑が背中を煤けさせていた。高畑は、魔力こそ持っているものの、体質的な問題で呪文詠唱ができないのである。呪文詠唱をしても、魔法の精霊がそれを認識してくれないと言うか、そんな感じか。

 元生徒である宮崎のどかが体質的な問題を乗り越えて、魔法使い……魔法拳士としての道を歩き始めたと言うのは、彼にとっても喜ばしい。喜ばしい事だ。だが……。顧みて、己の事情を嘆くのは仕方のない事だろう。

 

「あ、いや……。うん。素晴らしいよ、頑張ったんだね宮崎君」

「タカミチ……。無理するな、うん」

 

 エヴァンジェリンの優しさが高畑に痛い。いや、これはわざとか? エヴァンジェリンの肩が、小さく震えている。笑いを(こら)えるかの様だ。何にせよ、微妙な空気のまま、一同は地上への道を歩いて行った。




原作ネギの計画って、よく間に合いましたよね。最低限の地球化(テラフォーミング)のために、大量に地球から自然環境とか移殖したんじゃないんでしょうか。地球と火星で自然環境が足りなくなった分は、遺伝子改造した藻類などを両方の惑星で大量に繁茂させたりとか。

で、オチは高畑先生。ごめんよタカミチ君。
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