火星基地、マースベースαの本部棟は中枢コンピューター前で、千雨は思わず歯噛みをしていた。壊斗が計算しシミュレートした結果が、今その大型ディスプレイに表示されている。
「これが奴らが目論んでいた事か……!」
「
今はまだそこまでではないが……。徐々にオスティアの廃棄ゲート周辺に、強烈、強大な魔力溜まりが構成されつつあるな。間違いなく近い内、
「さあて……。どうする?」
「まずは、ネギ少年や高畑先生、そして惑星間通信で近衛学園長と、
「了解だ。あと他の連中でも、何かしらアイディアはあるかも知れんから一緒に呼ぼう。特に超と葉加瀬。まあ、全員に招集をかける」
千雨は、今現在
マースベースαの中央会議室には、火星基地にいる全ての人員が集まっていた。更には大型のディスプレイが運び込まれて、そこに近右衛門と
『よおネギ! ヤバくなってんじゃねえか。まだちょっと身体は上手く動かねえが、魔法とかは大丈夫だからよ。何かあったら、後衛の魔法使い役としてでも出張るぞ?』
「いえ、お気持ちはありがたく。ですが今無理をして、後々に響いたら大変です」
『そ、そうか……。情けねえなあ。親として、何もしてやれてな……』
「父さん。父さんは、まだ『
……父さんは、僕の自慢の父親ですよ」
『……済まねえ、ネギ。いや、違う。ありがとう、ネギ』
いったん落ち込みかけたナギは、息子の激励に気力を取り戻す。周囲の面々は、ニヤニヤしたり、感涙に
「皆さんのところに渡った資料に書かれている通り、『
「はい。良い考えと言う程の事でもないのですが、
ネギの言葉に、明日菜まで含めた全員が頷く。流石に明日菜は、護られるだけになりそうな事に、かすかに不満を表情に浮かべた。だが不服と言うわけでも無さそうだ。現状をちゃんと理解しているのだろう。やっぱり頭の回転と物分かりが良くなったよなあ、と千雨は思う。
そして
『ですが、それだけでは解決にならないでしょう。護りの姿勢だけではなく、攻めも何かしら考えなくては』
『敵の根拠地は、わかっておるのかの?』
『コノエモン、おそらくはと言うレベルですが……。
「じゃあ、そこに攻め込んで叩きのめしてしまうのは、どうアルか?」
「古、それは無謀ネ。今現在の敵が、どれだけ居るかわかってないヨ。話に聞くアーウェルンクス級が10人20人居たら、コッチが叩きのめされるネ」
「残念アル……」
能天気な古の台詞を、超が
ここでナギが資料を見ながらブツクサと愚痴を吐く。
『しかしなあ……。この半ば自然発生した魔法障壁も曲者だよなあ。これで、外からは転移魔法も無理って、なんだよそりゃ。更に奴らの儀式の魔力源にもなるんだろ? 反則だろ、この魔力溜まり。いっそ、これを力任せにバーーーッと消しちまえればな。
……い、いや冗談だ。気にすんな……。え゛?』
『その手があったか! 私が惚れただけの事はある!』
「魔力溜まりが消え去れば、
『驚きましたよ、ナギ。貴方がその様な理に適った発想をするとは、フフフ』
「問題は、どうやって行くかですが……。問題の地点の、
「ふ……む。ハセガワ、それならば充分可能だ。あちら側では空間の乱れにより、『外部から』『魔力溜まりの中へ』の移動はできない様だが。逆に科学技術による転移を、世界を超えて行うのならば問題は無い」
『え? え? ええ?』
エヴァンジェリン、ネギ、
そして超もまた何がしか理解した様で、一瞬遅れて理解に至った葉加瀬と共に、周囲の面々にその内容を解説している。
「……と言うわけネ。間違いなく、相手の本拠地である『墓守り人の宮殿』よりかハ、防御が薄いネ。それにコチラは乾坤一擲で目的を達しさえすれバ、後は野となれで即座に撤退してもいいヨ。
「「「「「「おおーーー!!」」」」」」
その場の一同は、更に作戦を詰めるべく、相談を始めた。ナギはちょっと唖然としたままだったりするが。
フェイトは麻帆良の地下にあるゲートを抜け、地上へとひた走っていた。だが彼は、何の妨害も無い事に不信を抱く。
(いやな『予感』がするね。いや、人形である僕が『予感』か……。ここの地下にはあのアルビレオ・イマが居るであろう事は、高い確率で推測されている。なのに何の妨害も無い……)
そして地上に出た彼は、麻帆良学園本校女子中等部の寮へと急ぐ。やがて彼は、目標を発見する。
(……買い物帰りか。ネギ・スプリングフィールドと神楽坂明日菜。いっしょに居るのは、近衛木乃香と桜咲刹那、だったか?
だが……。第1目標であるネギ君と、第2目標の神楽坂明日菜が共にいるのは好都合……)
フェイトは刹那さえ誤魔化せれば、どうにかなると判断。可能な限り気配を消して、4人の後ろに近づいていく。だが彼は、ある事に気付くと急ぎ踵を返した。
(しまった。あの4人、あれは
「気付きましたか。けれど遅いです! 神鳴流奥義! 斬空閃!!」
わざわざ必殺技の名前を叫んでくれたおかげで、フェイトはぎりぎりで攻撃を躱す事ができる。まあ神鳴流剣士は基本、敵対するのは魔物や妖物だ。技名を叫べば気合も入るし、魔物や妖物は大半がそんな事を気にしない。この事で剣士……美人教師、葛葉刀子を責めるのは無粋だろう。
そして刀子に続き、フェイトを取り巻く様に2人の魔法先生が現れる。ガンドルフィーニに神多羅木だ。ガンドルフィーニは語る。
「ネギ先生は出張中でね。神楽坂君、近衛君、桜咲君も、その用事に付き合って今は麻帆良には居ないんだよ。それは申し訳ないのでね。わたしたちが、お相手しよう」
「ヴィシュ・タル・リ・シュタル・ヴァンゲイト……!?」
フェイトは呪文の始動キーを唱え、魔法を使おうとするが、瞬時に判断を切り替えて跳び
躱された銃弾は、フェイトの脇腹を
「……!?」
その銃弾は、小型ミサイルか何かかと思う様な威力で、フェイトの脇腹に大ダメージを与える。そしてそれはそのまま、大地にめり込み大きなクレーターを穿った。
ガンドルフィーニは眉を顰める。
「しまった……。この銃弾を使う時は、狙いを外してはいけないと言われていたのに」
「魔力を喰らって威力に変換した? 今の銃弾は……。京都で? あの神主姿、いや、あの彼と貴方は、体躯が違い過ぎる」
「……君たち『アーウェルンクス』と戦うには、手段を選んでいられなくてね。この銃弾は、借り物だ」
フェイトはガンドルフィーニの脅威度を、用いている武器から3人中最低に見積もっていた。しかし彼はそれを、3人中最高の脅威だと変更する。
(まずい。ここは撤退だ。黒人の彼……と言うよりも、あの銃弾の脅威度からすれば、他の2人は居ないに等しい。なんとか彼の隙をついて、逃走しなければ)
フェイトの孤独な戦いが始まった。
3人の魔法先生は、
なお、出動したのは実はもう1人いまして、瀬流彦先生が人払いの結界を張ってます。目立たないけど、大事な役目です。目立たないけど。大事な事なので二度(ry
ちなみにフェイトか誰か分からないけれど、『
そしてナギの愚痴から千雨たちが考え付いた策ですが……。おわかりの方も多いと思いますが、拙作の二次小説で使った策の二番煎じです。私ではあれ以上の物はなかなか思いつかないと言いますか、『