超ロボット生命体トランスフォーマーMAGUS   作:雑草弁士

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第045話:対処は万全に

 火星基地、マースベースαの本部棟は中枢コンピューター前で、千雨は思わず歯噛みをしていた。壊斗が計算しシミュレートした結果が、今その大型ディスプレイに表示されている。

 

「これが奴らが目論んでいた事か……!」

現実世界(ムンドゥス・ウェトゥス)魔法世界(ムンドゥス・マギクス)を結ぶゲートが多数破壊された事で、残るゲートはオスティアと言う場所にある廃棄ゲートだけになった。そして二つの世界の間に存在する、魔力の圧の差によって、魔法世界(ムンドゥス・マギクス)側に存在する魔力がそこに流れ込んでいる。

 今はまだそこまでではないが……。徐々にオスティアの廃棄ゲート周辺に、強烈、強大な魔力溜まりが構成されつつあるな。間違いなく近い内、あちらの世界(ムンドゥス・マギクス)再編(リライト)するための、とっかかりになるだけの魔力が集まるはずだ」

 

 魔法世界(ムンドゥス・マギクス)に送り込んだ偵察ドロイドからの情報を集約し分析し、出たその結果を前に、しかし壊斗は冷静さを失っていなかった。それを見て、千雨もまた気を落ち着かせる。

 

「さあて……。どうする?」

「まずは、ネギ少年や高畑先生、そして惑星間通信で近衛学園長と、アルビレオ(クウネル)にも相談しよう。魔法について詳しいのは、彼等の方だ。それに『三人寄れば文殊の知恵』と言う言葉もあるからな」

「了解だ。あと他の連中でも、何かしらアイディアはあるかも知れんから一緒に呼ぼう。特に超と葉加瀬。まあ、全員に招集をかける」

 

 千雨は、今現在火星基地(マースベースα)にいる人員全てに招集をかける。壊斗もまた、地球との超光速通信回線を用意した。

 

 

 

 マースベースαの中央会議室には、火星基地にいる全ての人員が集まっていた。更には大型のディスプレイが運び込まれて、そこに近右衛門とアルビレオ・イマ(クウネル・サンダース)、そしてナギ・スプリングフィールドとエヴァンジェリン・アタナシア・キティ・マクダウェル女史まで映っていたりする。ナギは車椅子に座り、それをエヴァンジェリンが押しているのだが。

 

『よおネギ! ヤバくなってんじゃねえか。まだちょっと身体は上手く動かねえが、魔法とかは大丈夫だからよ。何かあったら、後衛の魔法使い役としてでも出張るぞ?』

「いえ、お気持ちはありがたく。ですが今無理をして、後々に響いたら大変です」

『そ、そうか……。情けねえなあ。親として、何もしてやれてな……』

「父さん。父さんは、まだ『造物主(ライフメーカー)』に憑かれてた6年前のあの時に、無理をしてでも僕を助けに来てくれました。何もしてくれてない、なんて事は無いです。自信を持ってください。

 ……父さんは、僕の自慢の父親ですよ」

『……済まねえ、ネギ。いや、違う。ありがとう、ネギ』

 

 いったん落ち込みかけたナギは、息子の激励に気力を取り戻す。周囲の面々は、ニヤニヤしたり、感涙に(むせぶ)ぶ者もいる。とりあえず千雨はのどかにハンカチを貸しつつ、声を上げた。

 

「皆さんのところに渡った資料に書かれている通り、『完全なる世界(コズモ・エンテレケイア)』の連中がいよいよ行動を開始しました。これを阻止しなければ、今までわたしたちがやって来た事が、全て無駄になります。

 (コズモ・エンテレケイア)の行動を阻止するために、作戦会議を行います。何か良い意見のある方は、発言をお願い致します」

「はい。良い考えと言う程の事でもないのですが、(コズモ・エンテレケイア)はその儀式に必要な明日菜さん(たそがれのひめみこ)を未だその手にしていません。基本戦略として、明日菜さんを護る事が最重要ではないでしょうか」

 

 ネギの言葉に、明日菜まで含めた全員が頷く。流石に明日菜は、護られるだけになりそうな事に、かすかに不満を表情に浮かべた。だが不服と言うわけでも無さそうだ。現状をちゃんと理解しているのだろう。やっぱり頭の回転と物分かりが良くなったよなあ、と千雨は思う。

 そしてアルビレオ(クウネル)が顎に手をあてて、考えながら言う。

 

『ですが、それだけでは解決にならないでしょう。護りの姿勢だけではなく、攻めも何かしら考えなくては』

『敵の根拠地は、わかっておるのかの?』

『コノエモン、おそらくはと言うレベルですが……。魔法世界(ムンドゥス・マギクス)の魔力が集積されているのがオスティアの跡地である以上は、あそこにある『墓守り人の宮殿』が根拠地を兼ねた儀式場ではないかと』

「じゃあ、そこに攻め込んで叩きのめしてしまうのは、どうアルか?」

「古、それは無謀ネ。今現在の敵が、どれだけ居るかわかってないヨ。話に聞くアーウェルンクス級が10人20人居たら、コッチが叩きのめされるネ」

「残念アル……」

 

 能天気な古の台詞を、超が(たしな)める。古はちょっとがっかりした風情で、手元の日本茶を啜った。

 ここでナギが資料を見ながらブツクサと愚痴を吐く。

 

『しかしなあ……。この半ば自然発生した魔法障壁も曲者だよなあ。これで、外からは転移魔法も無理って、なんだよそりゃ。更に奴らの儀式の魔力源にもなるんだろ? 反則だろ、この魔力溜まり。いっそ、これを力任せにバーーーッと消しちまえればな。

 ……い、いや冗談だ。気にすんな……。え゛?』

『その手があったか! 私が惚れただけの事はある!』

「魔力溜まりが消え去れば、奴ら(コズモ・エンテレケイア)の儀式も発動できなくなります。見事です、父さん」

『驚きましたよ、ナギ。貴方がその様な理に適った発想をするとは、フフフ』

「問題は、どうやって行くかですが……。問題の地点の、現実世界(ムンドゥス・ウェトゥス)の火星側。あちら(ムンドゥス・マギクス)のオスティア近隣、魔力溜まりの内側に、わたしたちの原理の『科学技術によるゲート』を設置しましょう」

「ふ……む。ハセガワ、それならば充分可能だ。あちら側では空間の乱れにより、『外部から』『魔力溜まりの中へ』の移動はできない様だが。逆に科学技術による転移を、世界を超えて行うのならば問題は無い」

『え? え? ええ?』

 

 エヴァンジェリン、ネギ、アルビレオ(クウネル)、千雨、壊斗はおそらく同一の見解に達した様だった。千雨と壊斗は、急ぎ頭の中での計算を開始する。当のナギは、唖然としていた。

 そして超もまた何がしか理解した様で、一瞬遅れて理解に至った葉加瀬と共に、周囲の面々にその内容を解説している。

 

「……と言うわけネ。間違いなく、相手の本拠地である『墓守り人の宮殿』よりかハ、防御が薄いネ。それにコチラは乾坤一擲で目的を達しさえすれバ、後は野となれで即座に撤退してもいいヨ。アチラ(コズモ・エンテレケイア)が精鋭であっても、コチラの攻撃を一撃たりとも目標に通さないのハ、困難だろネ」

「「「「「「おおーーー!!」」」」」」

 

 その場の一同は、更に作戦を詰めるべく、相談を始めた。ナギはちょっと唖然としたままだったりするが。

 

 

 

 フェイトは麻帆良の地下にあるゲートを抜け、地上へとひた走っていた。だが彼は、何の妨害も無い事に不信を抱く。

 

(いやな『予感』がするね。いや、人形である僕が『予感』か……。ここの地下にはあのアルビレオ・イマが居るであろう事は、高い確率で推測されている。なのに何の妨害も無い……)

 

 そして地上に出た彼は、麻帆良学園本校女子中等部の寮へと急ぐ。やがて彼は、目標を発見する。

 

(……買い物帰りか。ネギ・スプリングフィールドと神楽坂明日菜。いっしょに居るのは、近衛木乃香と桜咲刹那、だったか?

 だが……。第1目標であるネギ君と、第2目標の神楽坂明日菜が共にいるのは好都合……)

 

 フェイトは刹那さえ誤魔化せれば、どうにかなると判断。可能な限り気配を消して、4人の後ろに近づいていく。だが彼は、ある事に気付くと急ぎ踵を返した。

 

(しまった。あの4人、あれは人形(ゴーレム)。しかも人払いの結界。これは罠だ)

「気付きましたか。けれど遅いです! 神鳴流奥義! 斬空閃!!」

 

 わざわざ必殺技の名前を叫んでくれたおかげで、フェイトはぎりぎりで攻撃を躱す事ができる。まあ神鳴流剣士は基本、敵対するのは魔物や妖物だ。技名を叫べば気合も入るし、魔物や妖物は大半がそんな事を気にしない。この事で剣士……美人教師、葛葉刀子を責めるのは無粋だろう。

 そして刀子に続き、フェイトを取り巻く様に2人の魔法先生が現れる。ガンドルフィーニに神多羅木だ。ガンドルフィーニは語る。

 

「ネギ先生は出張中でね。神楽坂君、近衛君、桜咲君も、その用事に付き合って今は麻帆良には居ないんだよ。それは申し訳ないのでね。わたしたちが、お相手しよう」

「ヴィシュ・タル・リ・シュタル・ヴァンゲイト……!?」

 

 フェイトは呪文の始動キーを唱え、魔法を使おうとするが、瞬時に判断を切り替えて跳び退(すさ)る。ガンドルフィーニが、拳銃を撃ったのだ。普通であれば拳銃弾程度、曼陀羅の障壁で防御できるはずだ。そう、『はず』であったのだ。だがフェイトは、嫌な『予感』に従ってその銃弾を避けた。

 躱された銃弾は、フェイトの脇腹を(かす)る様な形で通り抜ける。それは、フェイトの曼陀羅障壁にかろうじて引っ掛かった。そしてその銃弾が、フェイトの障壁を()()()。魔力を奪われる異様な感触が、フェイトの背筋を這い上った。

 

「……!?」

 

 その銃弾は、小型ミサイルか何かかと思う様な威力で、フェイトの脇腹に大ダメージを与える。そしてそれはそのまま、大地にめり込み大きなクレーターを穿った。

 ガンドルフィーニは眉を顰める。

 

「しまった……。この銃弾を使う時は、狙いを外してはいけないと言われていたのに」

「魔力を喰らって威力に変換した? 今の銃弾は……。京都で? あの神主姿、いや、あの彼と貴方は、体躯が違い過ぎる」

「……君たち『アーウェルンクス』と戦うには、手段を選んでいられなくてね。この銃弾は、借り物だ」

 

 フェイトはガンドルフィーニの脅威度を、用いている武器から3人中最低に見積もっていた。しかし彼はそれを、3人中最高の脅威だと変更する。

 

(まずい。ここは撤退だ。黒人の彼……と言うよりも、あの銃弾の脅威度からすれば、他の2人は居ないに等しい。なんとか彼の隙をついて、逃走しなければ)

 

 フェイトの孤独な戦いが始まった。




3人の魔法先生は、アルビレオ(クウネル)から連絡を受けた近右衛門の命令で出動してます。ネギたちを模した人形(ゴーレム)も、フェイトが地下のゲートから出現したと言う情報により、目立つように動かしました。

なお、出動したのは実はもう1人いまして、瀬流彦先生が人払いの結界を張ってます。目立たないけど、大事な役目です。目立たないけど。大事な事なので二度(ry

ちなみにフェイトか誰か分からないけれど、『完全なる世界(コズモ・エンテレケイア)』の誰かが地下ゲートから襲って来る可能性は、超鈴音かネギあたりが指摘したと思ってください。ただ麻帆良や火星の面々からすれば、狙いは明日菜だと思い込んでます。ネギが狙われてるとは、思ってませんです。

そしてナギの愚痴から千雨たちが考え付いた策ですが……。おわかりの方も多いと思いますが、拙作の二次小説で使った策の二番煎じです。私ではあれ以上の物はなかなか思いつかないと言いますか、『完全なる世界(コズモ・エンテレケイア)』の作戦を制止()めるには、あれが楽じゃないのかなあと。そして、拙作の他の二次で使っているからと言って使わなかったら、やっぱり不自然かな、とも思いましたし。
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