X世(デーチモ)と哿(エネイブル)   作:凧の糸

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 アニメリボーンの一気見をして、久々にすげー、かっけーとなってました。基本的には漫画よりもアニメの方に比重が大きくなるかも。


武偵高来る!

 

「え!!武偵高校に転校!?」

 リボーンはいつもいつも突拍子の無いことを言う奴だが、学校まで転校させると言うとは思っていなかった。

 

「そうだぞ、ツナ。お前はネオ・ボンゴレ1世を継ぐには今までと違った経験をする必要があるんだぞ」

 

「でっ、でも!並高は?」

 

「ほら、転校届は出しといてやったぞ」

 書類には確かに並高の印鑑が押印されていた。ツナは自分の目を疑ったが、何度見ても『都立並盛高校から、東京武偵高校への転入を認める』としか書かれていない。顔はあっという間に真っ青になった。

 

 

「うわーーーーー!!!俺、絶対死んじゃうよーーー!!!」

 

「うるせえ」

 リボーンの踵が頭に入る。アルコバレーノ()の呪いが解けてから、彼らは少しずつ成長していた。あれから二年ほど経ち、二頭身の体は三頭身ほどに伸びている。勿論それは、蹴りにも体重が更に乗るようになった事をも意味する。要するに前よりもめちゃくちゃ痛い。

 

 

「ツっく〜ん、ちょっと来てぇ〜!」

 母さんだ。ツナは痛みが引くのを必死に待っているので、正直勝手にやってくれよ、と思ったが、目の前のリボーンがそれを許すはずも無い。

 

「おら、行け。ママンのお呼びだぞ」

 

「わ、分かったよ……」

 リボーンに蹴られない為にも、急いで階段を降りる。母さんは何か包み紙のようなものを開けている最中だった。

 

 

「届いたわよー、武偵高校の制服!カッコいいし、結構いい生地ねぇ……」

 

「母さん、それはリボーンが勝手に言ってるだけで……」

 

「まあいいじゃない。リボーンくんはあなたの家庭教師なのよ?」

 

「ま、まあ……そうだけどさ」

 受け入れ難い事実だが、リボーンはツナの家庭教師(かてきょー)。成績もまあまあ上がっていたり、色々とあるのでツナとしては認めるのは物凄く癪である。

 

「そういう事だ。それに、寮に入る準備もしておけよ」

 

「ちょっと、リボーン!!寮に入るって……」

 

「お前は自律の精神を身につけろ。ついでにコネでも作ってこい。マフィアにコネは欠かせないんだぞ」

 

「そ、そんなーーーーー!!」

 なんやかんやで、リボーンや母さんにも押し切られて俺は武偵高校へ行くことになった。転入の為の試験はいつしたのかを、リボーンに聞いたら「この前出したプリントが編入試験だ。簡単だっただろう?」

 

 もうめちゃくちゃだ。マフィアのボス候補みたいになってるツナにとって、逮捕する側の武装探偵になって大丈夫なのかと疑問が生じた。転入初日にしょっ引かれそうで、ぶるぶると震える日々が続いた。

 

 

 

 

 

# # # # #

 

 

 

 

 

「ど、どうも……並盛高校から転入した沢田綱吉です……」

 

 

 その日から、東京武偵高校には『ダメツナ』の渾名が広まった。

 

 

 曰く、突然倒れたと思ったら、パンイチで走り出した。

 

 曰く、拳銃は殆ど的から外れ、あり得ない方向に飛んでいた。

 

 曰く、薬莢運びを手伝ったら、飛び出した猫に驚いて薬莢を撒き散らし、立とうとしたら薬莢に足を滑らせた。

 

 

 

 曰く曰く……と二年生で一般高校から来た割に、救いようのないくらいにドジで、バカな奴が転入したと悪い意味で話題になっていた。

 

 

 そもそも、武偵高校は一般中学から入学する者もいるが、大半は武偵高付属中学から進学する者が多数派だ。二年で転入とは、イコール強者と言っても過言ではないのにも関わらず、その真逆の、寧ろ一般学生よりも弱そうなダメツナ(沢田綱吉)が現れたのだから、注目度はある意味異常な程あった。

 

 

「おい、ツナ。遅刻するぞ……」

 

「はあっ!!やべ、今何時……?」

 

「もう少しでバスだな、急げよ」

 目の前で呆れている男は遠山キンジ。ツナとはルームメイトとなった、何処となく根暗そうな男で彼の渾名は昼行灯。一部の心無い者は『ダメツナ』といいコンビだ、とコソコソ噂していた。

 

 

 

「あ……もう出てる?」

 ツナは階段をトントンとリズミカルに駆け降りたが、バス停にバスは無い。だが、ツナ自身はギリギリ間に合うように行動したはずだった。

 

 

「あれ?時計は合ってるはず……」

 ボンゴレが開発したあらゆる環境に対応し、GPSや通信機能すら付いているハイパー腕時計が万一にも間違う訳が無い。ジャンニーニやスパナ、正一君が太鼓判を押していたからだ。

 

 

 

「そんなぁ……」

 遅刻は確定したので、仕方なく自転車置き場から自分の自転車を動かした。

 

 

 

 

 

# # # # #

 

 

 

「キンジ、まだ来てないの?」

 あの後、ツナは遅刻しかけたが、滑り込みで着く事が出来た。先に寮から出たはずのキンジは未だに来ていなかった。そこで、最近友人になった武藤君にキンジの事を尋ねた。

 

 

「ああ、アイツと来なかったのか?」

 

「え、バスに乗ってないの!?」

 

「「え?」」

 ツナと武藤の間には大きなズレがあるようだ。しかし、それを擦り合わせようとする前に担任である高天原ゆとりがクラスに入ってきた。

 

 

「今日は昨年度の三学期から来ていた転入生がきてまーす!」

 ゆとり先生の言葉とともに、1人の少女がやって来た。

 

 

「神崎・H・アリア。宜しく」

 ピンクのような髪色に、高校二年生にしてはやけに低い背丈。武偵高校の女子制服と合わせてとても赤々としている。

 

 

「それじゃあ席はーー」

 その時、運が良いのか悪いのか、タイミングよくキンジが項垂れた様子でのそのそと入ってきた。

 

 

「先生、わたしはアイツの隣がいい」

 その人差し指の皆が辿っていくとキンジへとぶつかった。

 

 

「よ……良かったなキンジ!なんか知らんがお前にも春が来たみたいだぞ!先生、オレ、転校生さんと席代わりますよ!」

 この状況を面白がっている武藤君はノリノリで手を挙げて先生に提案して、席を変更した。先生自身もあっさりと変更を認めたが、うふふと笑っている所を見るに、そういうことなのだろう。周囲のクラスメイトも手を叩いたり、囃し立てたりと朝の空気はちょっとしたお祭り気分一色に染まった。

 

 

「キンジ、これさっきのベルト」

 件の神崎さんは煽てや囃し立てを気にせず、キンジにベルトを投げ渡した。

 

 

「理子分かった、分かっちゃた!これ、フラグばっきばきに立ってるよ!」

 お祭り気分をいっそう上げたのは彼女、峰理子だった。まあ、男と女、ベルトとくれば鈍いツナでも察しはつく。

 

 理子はそのまま益々ボルテージを上昇させ、「おい、キンジお前には……」「そんな……あの昼行灯にホントに春が……」と一層クラスは喧騒の勢いを増す。

 

 

「お、お前らなぁ……」

 

「キンジも災難だね……」

 二人で顔を見合わせて苦笑いしていると、突然の銃声。

 

 

 パンッ!パンッ!!

 

 

 音源は神崎さん。自前の二丁拳銃を抜いて発砲したらしい。これには銃声になんか慣れっこの彼らも顔を青くして、クラスは静寂に包まれる。そして、神崎さんは顔を真っ赤にしてこう言った。

 

 

 

「れ、恋愛なんて…………くだらないッ!!!!」

 

 

 一応だが、武偵を育成する武偵高校では銃弾を意味も無く撃つことは禁じられているが、必要であるならば発砲すら止むなしとされている。それでも、比較的一般人なツナの神崎アリアへの第一印象は『拳銃をバカスカ撃つやべー女』と刻まれてしまった。

 

 

 

「全員覚えておきなさい!そんなバカな事をいつ奴はーー」

 

 

「風穴空けるわよ!!!」

 

 

(ひぃいいいーーやっぱコエぇーーー!!!)

 リボーンくらいの怖さは無いものの、基本的に肝の小さいツナは震え上がった。

 

 

 

 

 

 

# # # # #

 

 

 

「にしてもなぁ……」

 

「何?ツナ、言いたいことがあるなら言いなさいよ」

 

「いっ、いえ。何でもないです……」

 転校生の神崎さんはツナたちの部屋に転がり込んだ。「キンジ、わたしのドレイになりなさい!!」の言葉付きで。あの朝、キンジが武偵殺しにチャリジャックを仕掛けられている時、彼女がパラシュートで降りてきたそうだ。そこで神崎さんに目をつけられたらしく、こうしてキンジはパートナーになる様に迫られているらしい。

 

 迷惑極まりないが、この手のタイプはリボーンで散々経験しているからか、幾らか楽だった。同時にリボーンの蛮行に慣れていると気づいて悲しくなりもした。

 

 

 

「どうだ、ツナ。寮には慣れたか?」

 

「まあ、少しは……って、リボーンッ!!!!」

 

「なあ、この子供はツナの所のか?」

 キンジの呑気そうな言葉と対照的に、神崎さんの顔は険しくなり、彼女の特徴的なコルト・ガバメントの二丁拳銃を突きつけた。

 

「アンタ……何者?」

 

「お前たちが遠山キンジと神崎アリアか。チャオっす、俺はリボーン。ツナの家庭教師(かてきょー)だぞ」

 

「……」

 神崎さんとキンジは黙り込み、神崎さんはリボーンと向かい合い、キンジは神崎さんの方とリボーンの方を交互に見ている。

 

 

「……分かったわ、リボーン。よろしく、神崎・H・アリアよ」

 

 

「試すような真似をしてすまねぇな。それで、こいつが遠山キンジか。へなちょこだが、初めて会った時のツナよりは見込みがあるな」

 

 

「そりゃどうも」

 キンジはツナの知り合いらしい子供から一方的に言われ、喜んでいいのか分からない微妙な気分になった。

 

 

 

 こうして、遠山キンジと神崎アリアはダメダメ少年、沢田綱吉とツナの家庭教師(かてきょー)、リボーンとの出会いを果たすのだった。

 

 

 

 

 

__________________________________________

 

 

 

 

「どうしました?蘭豹先生」

 蘭豹は家族にさえあまり見せた事が無いような深刻な表情をしていた。校長の緑松武尊は相変わらず認識出来ない顔であるが、薄らと笑っているように彼女は感じた。

 

 

「おい……校長先生……何故ボンゴレ10代目が武偵に?」

 貴蘭會(グイランフィ)という香港マフィアのボスの令嬢である彼女は、伝統・格式・規模・勢力の全てに於いて別格であるイタリアで最大級のマフィア、ボンゴレファミリーの恐ろしさをよく聞かされたし、知ってもいた。

 

「まあ、古い先輩からの『お願い』ですかね」

 

「冗談じゃあ済まされませんよ、ボンゴレは……」

 青い顔でいると、蘭豹は突然現れた別の気配に反応した。

 

「……ッ!」

 M500を撃ちかけた蘭豹はすんでの所で止まった。校長の傍らに、ボルサリーノのソフト帽に黒スーツの小さな子供が居た。彼女はこの何の脅威も無さそうなただの子供1人に、校長以上の深い恐れを抱いた。

 

 

 

「チャオっす、おめぇが蘭豹だな」

 

「あ、アンタは……まさか、リボーン」

 裏社会では伝説のヒットマン。凡ゆることに通じ、銃で狙った獲物は必ず逃がさないボルサリーノと黒スーツの出立ちをしたなぞの人物という都市伝説程度の話。

 

 蘭豹が生まれるかなり前に行方不明になったらしく、噂くらいにしか知らなかったが、彼女の祖父に聞いた時、彼の顔は真っ青になり、「アレは、もはや人外の域だ……」とだけ語ったのは記憶に強く刻まれていた。

 

 

 

「俺の生徒を入れるように武尊にお願いしたんだぞ」

 

「は、はは……冗談にも程がある……」

 生徒達や、今までボコボコにしてきた連中、そして自分自身でさえも驚くような乾いた笑いが溢れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




Xバーナーめちゃくちゃ好き

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