転生したら殺人鬼ポジだった件 作:クリーニング黒兎
ついでに三章は構想はありますがまだ手付かずなので、更新遅くなると思います。このキャラと絡ませて___とかできればいいんだが、方法が思いつかん。ワンチャン投票…?
あと色々人の地雷ぶち抜いてる気しかしないので、少しタグなど編集すると思います。性癖ヤベェやつとしか思われてなさそう(否定はしない)
東方仗助は東方朋子とアメリカの不動産王、ジョセフ・ジョースターの不倫がきっかけで生まれた子供である。いわゆる妾の子だ。
「わしは生涯妻しか愛さない」と宣っていたジョセフにはスージーQという妻がおり、彼女との間にホリーという一人娘、さらには孫の空条承太郎までいる。
複雑な家庭事情から仗助は母と母方の祖父、良平と三人で暮らしていた。
平穏に暮らしていた家族にしかし、突如悲劇が訪れる。
その日朋子は仕事が忙しく、良平が勤務のパトロールがてら保育園へ迎えに来る予定だった。
すでに他の子供は帰ってしまった。
仗助は時折窓から顔を覗かせて、オモチャを持ったまま教室をうろうろと歩き回った。保母がそんな仗助を宥める中、園に連絡が入った。時刻は午後六時を回ろうという頃。
「仗助くんのおじいさんが…!?」
電話を取った保母の顔色が変わる。
内容は良平が道端で胸から血を流し倒れていた所を発見され、病院に搬送されたというものだった。
続けに朋子から急いで迎えに行く、という旨の連絡が来た。
「仗助くん、お母さんが迎えに来るって──」
保母が振り返ると同時に聞こえた「ドサッ」という音。
なんと先ほどまで元気だった仗助が倒れており、剰え高熱を出していたのである。
その場には散らかったおもちゃの他に“矢”が転がっていた。
しかし保母の女はその存在に気づかず、彼女が別の保母を呼びに行った時にはすでに矢は消えていた。
また、
仗助が目覚めたのは、それから一ヶ月後のこと。
その間高熱でうなされ、仕事合間に毎日息子の看病に付き添っていた朋子は疲労しきっていた。
「仗助……本当によかった…!!」
「うわ、なんだよかあちゃん!」
意識がなかったのが嘘のように仗助はケロっとしており、看護婦や医者の開いた口が塞がらなかったほどだ。
ただ念のため、もう少し様子を見ることになった。
「やだッ!!おれじいちゃんとゆうえんちにいくってやくそくしてんだ!」
「ワガママ言うんじゃないの!……それに、お父さんは…」
「?」
仗助は良平の訃報を聞いた。
遺体には胸から心臓をえぐり背中へ貫通した痕があり、警察に恨みを持つ暴力団関係による他殺ではないかと考えられた。
理由としては使われた凶器が銃と考えられたことが大きい。その点暴力団関係なら、取り扱っている可能性が高い。
「じいちゃん…もういないの?」
「…そうよ」
「なんで?じいちゃんいつもげんきだったのに…」
仕事終わりの一杯だと、おつまみと一緒に缶ビールを飲んでいた良平。
いない。豪快に笑い仗助を肩車してくれた祖父がいない?
「うそだッ!!!」
幼い少年にとって人の死はまだあまりにも重すぎた。
「じいちゃん……じいちゃん…」
「仗助……」
シーツを握りしめ涙を溢す息子を朋子は強く抱きしめた。
⚪︎⚪︎⚪︎
「君はやっぱり、あの警官と血の繋がりがあったのか…」
「うん」
屋上のベンチに座り話す青年と幼児。
仗助の手には飛行機のオモチャが握られている。小さい足は地面につかず、バタバタと動いている。
「なぁなぁ、じいちゃんとあったことあるんだろ?おれのじいちゃんはやさしくてカッコよかっただろ?」
「ま、まぁ…優しくはあったかな」
祖父に甘やかされたのだろう、仗助はかなりのおじいちゃん子だった。
吉良は中学生だった当時良平に本人の名前を聞いていたので、スムーズに仗助に確認を取ることができた。
息子ではなく孫だとは思いもしなかったが。
「なんであんたはおっこちそうになってたの?」
「町の景色がよく見たかったからかな。この杜王町は海があり森があり、美しい町だから」
「そりゃあそーよ!だってじいちゃんがまもろうとしたまちだもん!」
良平は自分がこの町の平和を守るために働いているのだと、よく仗助に言い聞かせていた。
将来はおれも警察官になりたい────。そんな正義に満ちた感情が、まだ幼い少年の中で熱く燃えたぎっている。
その、仗助のまっすぐな表情は吉良にとってはあまりにも眩しすぎた。
「じいちゃんはもういない。だからおれがこのまちを………この「もりおうちょう」をまもるってきめたんだ!!」
不思議な少年だ。
空の瞳を持つ反面、まるで星のような輝きを持つ。
少なくとも血の川を溺れかけながら進んでいる男とは正反対だ。
「君は大切な人が亡くなって辛くはないのか?」
東方良平は片桐に殺されたのだろう、と吉良は判断した。
片桐の逮捕に関わったことのある良平は恨みを持たれていてもおかしくない。
幸いにも娘の朋子や孫の仗助は殺されなかった。
実際に片桐の獲物はあくまで吉良であり、良平は
だから朋子や仗助の存在までは知らなかったし、矢を使った子供がまさか良平の孫だとも知らなかった。
「…すげぇつらいし、かなしいよ」
吉良の問いにしばし俯いていた仗助が顔を上げる。
「でもかあちゃんが「人はいつかお空に行くの」って、いってたんだ。じいちゃんもおそらにいっちゃった。だったらいまもうえからじいちゃんはおれのことみてる。……ずっとないてたら、カッコわるいだろ」
この町を守るなら強い男で在らなくてはならない。
そんな少年の眩しさを感じていた吉良の口からは、いつの間にかするりと言葉が出ていた。
「…わたしにも、大切な人がいたんだ」
「うん」
「でも君のおじいさんのようにもういない。命とは存外儚いものだ」
殺人欲求を持つ吉良は
それでもなお殺人鬼としての性が消えることがないのだから、人間として破綻している。
「ぼくは…どうしたらいいんだろう」
迷子の子供のように紫目がゆらゆらと揺らぐ。
仗助は空を見つめるその視線に例えようのない不安を抱いた。まだ子供の仗助が自殺の意味を正確に理解しているわけではない。
何か言葉をかけなければならない気がして、仗助は「うーん」と必死に考えた。
人が元気になるもの。そこでハッと思いつく。
「じゃあ“たいいん”したら、おれのかあちゃんのメシくいにこいよ!」
「……え?」
思いもよらぶ言葉に吉良は素っ頓狂な声を上げた。
「何でそうなるんだ…?」
何故飯を一緒に食べる流れになったのか全くわからない。
当時四歳のランドセル
「だってよ、おなかいっぱいになったらしあわせになるだろ?あといーっぱいたべて、いーっぱいねて、いーっぱいあそぶ!」
「…どうかな、わたしは子供じゃないから」
「でもはらへったままじゃげんきになれないよ。かあちゃんのメシうまいしこいよ!」
「……退院したらね」
「うん!…あ、かあちゃんくどくのはナシだぞ」
おこるとこえーのよ、と大袈裟に体を震わせる仗助。
東方朋子は年齢こそ吉良に近いが今なおジョセフにゾッコンであり、吉良もまたメンヘラ女の「もうマジ無理・・・飛び降りょ」ぐらいには鈴美への思いを引きずっている。
しかし子供相手に亡くなった彼女の話を出すのも重すぎる。ゆえに吉良は苦笑するに留めた。
「そういえばわたしが落ちそうになった時
「ん?…あぁ、おれの「あいぼう」がやったんだ!」
“矢”と東方仗助は関わりがある。そう踏んだ吉良は仗助の分身が見えていたことは隠し話を切り出した。仗助はどうやら分身の存在を相棒兼、友だちとして認識しているようだ。
自分以外の人間に分身が見えないことも自覚していた。
「なんでかあちゃんやかんごしさんにはみえないんだろうなぁ…」
仗助の背後に青とピンクの二色で構成された、一見するとサイボーグのような出立ちを持つ「相棒」が現れる。サイズはキラークイーンと比べると大人と子供の差がある。能力の持ち主である仗助がまだ幼いからだろう。その能力についてはまだ自覚していないときた。
「かあちゃんいがいはしんじてくれなかったけど、おじさんはしんじてくれるの?」
「おじさ……あぁ、信じるよ。人の理解外のことはよく起こるものだからね」
「そっか!よかったな、あいぼう!!」
すると相棒は「ドラァ!」と伝説の承太郎のニッコリ笑顔のように笑う。輝くスマイルだ、推せる。
キラークイーンは喋らずじっと吉良を見つめるだけだというのに、何だろうかこの差は。
「ところで君の相棒は生まれた時から一緒にいるのかい?」
「ううん、ちがうよ。あんまおぼえてねーけど、ねつでたおれるまえはいなかった」
「…そうか」
仗助が能力に目覚めたのは矢で傷付いた影響とみていい。
片桐は能力を試すついでに、吉廣が一度検証しようと考えていたことを行った。それで多くの犠牲者が出たはずだが、吉良としてはその過程で死んだ人間についてはどうでもいい。
問題は彼や仗助のように能力に目覚めてしまった者たちだ。
人数は不確定だが、この杜王町に能力を持ってしまった奴らがいるはずだ。吉良も植物のように平穏な人生を邪魔してこない限りは関わるつもりはないが、影響が出た時は
殺しは──「殺人鬼」にはならない。
杉本鈴美が自分の手を汚してまで願った思いであり、吉良の人生の根幹にある「普通」を生きる上で犯してはならない
ひとまずは休学中に「矢」を探すべきだ────。
そこでふと吉良は自分の思考がこれからの算段、つまり「生」に向いていることに気付く。
「フフ……ハハハ!」
「うわっ、なんだよきゅうにわらって」
「いやぁ…ハハッ、なんだか自分がおかしくてね」
先ほどまでは死のうとしていた。
行き先は鈴美とは違うだろう、とそんなことまで考えて。
いや、天国や地獄があるわけがないと思った。死ねばそれで終わりだ。
幽霊の父もいるが、あれは例えるならゲームのバグの産物。「息子がもう大丈夫」と思えば、成仏するだろう(まぁ吉良が割と本気で念仏を唱えても消えないので、息子が死ぬまでは居座り続けそうだが)。
しかしそれが、それがどうだ。
今は鈴美への想いを引きずりながらそれでも吉良は生きようとしている。人生の平穏を求め、この世に這いつくばって生きている。
吉良の「死」を止めたのは仗助である。子供の強い「生」の気配や、その夢や輝きに影響されたのも大きいだろう。
しかし恐るべきは吉良の「普通」への執着だ。絶望の中で異常に働いていた頭が仗助との回顧が衝撃となり、正常を取り戻させた。
そして正常に戻った頭は、
これがおかしいと言わずして何と言うのか。余りにも滑稽で、笑わずにはいられない。
自分のぶっ壊れ具合など幼少期から理解していたが、改めて感じた自身の歪みに吉良は涙さえ溢す。
これだったら佐藤と一緒に死んだ方がまだ、幸せだったかもしれない────。
吉良は自分が疫病神に近い存在であると皮肉げに思う。
異常な彼は意図的に、或いは本人の知らず知らずのうちに相手に厄を与え、不幸に落としているのだろう。
そんな中で彼は一人、「普通」を繕って生きているのだ。
「ご飯…そうだね、退院したら行ってもいいが、君やお母さんが危ない目に遭うかもしれないよ。それでもいいかい?」
「あぶないめ?ンなもんよー、あったらおれとあいぼうでやっつけるからだいじょうぶだぜ!」
『ドラァ!』
腕を上に掲げる仗助とその相棒の姿を見た吉良はじっと観察する。
不思議とこの二人は毒されない
【仗助くんのアイデンティティ】
「ちょっと、嘘でしょ!?」
高熱を出した仗助を車に乗せ、朋子が運転していた最中に車がパンクした。途方に暮れていた彼女の前に偶然通りかかったのは、バイクに乗った学ラン姿のヘルメットを被った男。
青年は朋子から事情を聞くと、仗助に自分のつけていたヘルメットを被せ後ろに乗せた。
「かあ、ちゃん…?」
朧げな意識の中、仗助は広い背中と特徴的な髪型を見た。それが俗に言う「リーゼント」だと知ったのは、目覚めた後のことになる。
男の顔はわからず、また明子が探しても見つかることはなかったが、それでも仗助の中には青年のあの日の後ろ姿が脳裏に焼き付いていた。
「にしてもいったいどうやってリーゼントをヘルメットの中に収めてたのか、今でも謎なんだよなぁ〜」
そして時は流れ、東方仗助、16歳。
朝からテーブルの上にバイクのカタログを広げながら朝食をとる息子に、朋子はため息をついた。
「食べるなら食べる。読むなら読む。チンタラしてっと遅刻するわよ」
「へーい」
「へーいじゃない、「はい」でしょ!!」
「イテッ!!殴ることはねーだろ、殴ることはよぉ!!」
騒がしい東方家の朝の日常。仏壇に供えられた線香の灰が落ちる。
その後ろに覗く警官服を着た写真の男は豪快に笑っていた。