転生したら殺人鬼ポジだった件 作:クリーニング黒兎
こっから割とドロドロしてる感じが続きます。隙を見てギャグも入れるけど。
思えば親父って声千葉さんで、主人公は「おやおやおや…」なんだよな。あの作者は女児トルソー置いてんだよな…。
彼女を作るという行為に、父は否定的ではない。
ぼくが小学校時代、もっと言えば、その前から異性との付き合いを控えてきたのは、母の
母が過去に口に出して言ったことはないが、ぼくが異性といることを良しとしない。その心中はぼくにはわからないし、わかりたくもない。
ただ初めは確かに「息子」に対して向ける感情だったはずだ。しかし、今は違う。
鈴美を送り帰ってきた息子を心配する母に、ぼくは「恋人ができた」と告げた。
母の返事は意外にも「あら、そうなのね」と、穏やかなものだった。
その時、今まで自分が考え過ぎていたのかと思った。
しかし意図的に逸らしていた母の顔に視線を向ければ、目が笑っていなかった。その視線は鈴美がぼくに向けていたのものと似ていて、それ以上にドス黒い何かでできていた。
その日の夕食は両親の前で表情をつくろい無理をして食べ、夜中に食後からマトモに働かない胃が不調を来して、嘔吐した。
中身がなくなっても続く吐き気は、一種の拷問のように感じられた。
◻︎◻︎◻︎
図書館で調べてから、「少年K」に関わりのある警察官について、後日アクションを起こそうと考えていた。
ただ多少は良くなったものの、連日の体の不調が思考を鈍らせる。表面を作るのは慣れているので、疑問に思われることは早々ない。
しかし鈴美と付き合ってから、母以外に他にも
時にその視線は悪意を交えて、我が身に降りかかる。
「吉良くぅーん、ちょっといいかなぁ」
「…何ですか?」
あの時────彼女と付き合うことを決めたぼくは、手の欲望と「普通」への望みを前に、失念していた。
鈴美は容姿も性格(多少難はあるが)も良く、学年を問わず彼女を狙う輩がいた、ということを。
“彼氏”という座をモブの
またこの学校の不良率が異様に高いことも、忘れてはならなかった。
彼女は言いふらしてはいない。しかし学生の中には、恋愛ダウジングセンサーを身に付けている奴がいる。
距離の近くなった二人に、必然と勘づいたのだろう。
隠しておきたい気持ちはあったが、コソコソするのはずっと好きだったらしい彼女に悪いと、周囲の目を気にしないよう伝えてある。
絡まれるのは大抵人の目がない時だ。
前もって荒事を避けることには慣れているので、遭遇率は低い。数えて今回で六回目。
塾のため部活を休み帰ろうとした駐輪場で、突然茂みから出てくるゲームのモンスターよろしく、襟足三人衆が現れた。
しかも初めての高等部連中。そのまま囲まれた状態で、テンプレの体育館裏へ密猟されたぼく。
言葉は選び方次第で武器になる。一回目から五回目は、それで穏便に済ませた。
しかし今日は体調の悪さが祟って、保健室で嘔吐もしている。脳が上手く回らない。
あの空気を読めない保健医が気を遣い、寝ようとするぼくの手を黙って握っていたほどだ。
…いや、にぎにぎしていた。生殺しである。
「キミみたいなネクラ優等生くんがさ、杉本ちゃんと付き合ってるとかマジなワケ?」
「純情そうに見えて意外に
「いや、オメェの顔じゃ無理だって。おら、カバン寄越せよメガネくーん」
いつもは向こうが話す前に言葉で負かせているが、こうして聞いてみると想像以上にあることないこと噂されているらしい。
「…っ」
喉の渇きと胃が痙攣したような動きに、口元を抑える。落ち着け、こんなところでリバースしたらそれこそ格好のネタにされる。
まったく…次からは癪だが、体調の悪い時は父に迎えに来てもらおう。
「財布は……うおっ!教科書ちゃんと持ち帰ってるよ、さっすが優等生くんだわー…」
「ハハッ、おい見てみろよ、コイツ泣きそうだぜ!」
「おい、一人一発ずつ腹に入れようぜ」
暴力は「普通」の対極にあるから好かない。無論ぼくの平穏な生活を邪魔するというのなら、黙らせるために一つの手段として利用したことはある。
だがあくまでやむなしの手段で、平和的に解決するならそれに越したことはない。
「ごめんなさい…もう、やめてください……」
強者である奴らが弱者であるぼくにこれでやめるなら、巻き取られた金はくれてやろう。
しかしやめないと言うのなら、仕方がない。
「ギャッハハ!!聞いたかよ、さっきの震えた声!!」
「あークソダッサ、本当に彼氏なのかよ?コイツが自分で出まかせ言ってんじゃねェの」
「はーい、ボクちゃん一発いっきまーす」
男の一人が宣言通り、腹めがけて殴ってくる。場合によっては暴力も受けるが、今はムリだ。
相手の拳を掴み、驚いている隙に拳を眼球に向けて、殴りつける。
人間は普段視覚に頼って生きているため、そこに痛みを与えると途端に戦意を失う。
失明しないよう加減はしているから大丈夫だろう。
「ぎぃっ…!ああぁぁぁぁ、め、目がッッ!!!!」
「テメェこのクソガキ!!!」
「死ねッ、ボケカスがぁぁ!!!」
目を抑えて転げ回る男は滑稽で、清々しい気分になる。
続けざまに殴って来た二人は後ろに避けてから懐に入り、一人は腹に膝で蹴りつけ、もう一人は脛を蹴って倒れたところを、派手な髪をつかんで地面に数度ぶつける。
「がっ、あ゛」
「フフ…」
サディストの気でもあったのか。血を流して醜態を晒す連中を見ていたら、背筋に一瞬、痺れが走った。
妙な多幸感に、思わず口角が上がる。
人間の血は赤く生温い。その熱が妙に、肌に焼き付いた。もっとこの熱を感じていたい。
だが加減が利かなくなりそうなので、一旦頭をつかんでいた手を離した。
「ぼくの不良のイメージは鉄パイプで殴ったりとか、そんなイメージだったんだが…普通はこんな感じなんだね」
「ヒッ」
「大丈夫かい?…あぁ、鼻血……出ているね。ぼくがティッシュを持っているから、あげるよ」
「う、うっ、あ…」
見たところ目が充血している人間は恐怖で動けなくなっており、腹を蹴った人間はダンゴムシのように蹲っている。
鼻血を垂らしている人間は、無様にも失禁していた。
「あぁ…最悪だ」
地面に落ちたカバンが汚れてしまった。幸い、中身はぶちまけられていなかったので良しとしよう。
コイツは洗うから明日はリュックだ、仕方ないね。
ティッシュで男の鼻血を拭ってやり、シャツのボタンが掛け間違えていることにも気付いて、無性に腹が立ちながら直す。
汚れた手をよく洗ってから帰ろうと、立ち上がって視線を下に向けた時、自分の制服にも血が付いていることに気づいた。
「も、もう、ゆるひ、ゆるひて……」
「………」
「おねが、おねがいします、もう関わりませんから、だから……」
血で顔中を汚した男が空気を求める魚のような顔をして、足にしがみついてくる。ジャケットだけじゃあなく、スラックスにまで血が付いた。
「ぎっ、いっ」
下に転がっていた頭を足で踏みつけじっくりと、ゆっくりと、脳の軋みを体感させてやる。
「死」の恐怖に染まった人間の顔は、感慨深いものがある。何と言えばいいのだろうか、
「……君たち知ってるとは思うけど、ここの中等部の制服は紺の高等部と違って、緑の色が強いんだよね。だからシミが一度付くと
「……あ、あ……ぁ」
「よかったね、ここは土だ。頭を打ち付けても、コンクリートよりは痛くない」
「や、やだ、やめ…」
「う、あああぁぁぁぁぁ」
逃げた目を負傷している男に向かって、拾った石を投げる。とっさの運動神経であらぬ方向に行ったが、男の傍をすり抜けて、フェンスにぶち当たった。
男はそれを見て、力を無くしたようにへたり込む。ボールの音など部活動の体育館の騒音に混じって、悲鳴は虚しくもかき消された。
「一人ずつ、順番だ。もしこの事を
そも教師に告げられたところで不良のヤツらと、普段真面目に取り組んでいるぼくとでは、どちらの言い分を信じるかなど目に見えている。
逆にケガから仲間内で暴力を行ったのだと疑われ、停学にでもなるだけだ。
連中をしつけし終えたのは20分後で、建物に顔をぶつけ鼻血を出してから手を洗いに行った。
嬲っている際に人の視線は感じなかったので、見られていた、ということもあるまい。そもそもここは学校内でも人目が付きにくい。それゆえの、校舎裏なんだが。
鼻血を抑えているぼくに、すれ違うほとんどの人は気付かずスルーしていく。
そして帰って転んだ旨を伝えれば、いつものように心配された。
その後、噂で高等部の数名が自主退学したらしいと聞いたが、ぼくには関係のない話だった。
ましてや鈴美が知ることのない話で、ぼくが絡まれていることも彼女は知らない話。
時間が経つにつれて絡まれる回数も減り、冬休みを挟んで一ヶ月も経てば、視線も徐々に減っていった。
「君のかわいさも中々罪だね、鈴美」
半ば本気で言った昼食時のぼくの発言に、「冗談にしてもひどい!」と、彼女は顔を真っ赤にして殴ってきた。
自分も何か変われたかと思ったが、相変わらず気付けば彼女の手を見てしまうため、ぼくも中々罪深いと思ったのは余談である。
・主人公の恋愛に対する鈍感さ
母親の自分に向く
・小学校の頃の脅し
「ぼくのこの30cm定規が火を吹くけど…いいのかな?」
(ヒュン、ヒュンと勢いよく鳴る定規、実際に子供には当てたことはない)
・襟足たち
窪谷須の、襟足を、見習いたまえッ!主人公トラウマで退場、精神ガタガタになりました。まぁモブだからこの扱いはしょうがない。でもすまねぇ。