転生したら殺人鬼ポジだった件   作:クリーニング黒兎

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いただきましたリクエストから、「バイツァした世界での二人のその後」のお話。ついでにプッチ戦とか、その他いただいていた質問については後書きで。

あぁ…6部楽しみだァ…(切腹覚悟)……やった!露伴がまた動かないぜ!(語弊)


77話 心音は、さざ波と共に流るる

 鈴美と図書室で出会ってから、数ヶ月経った。

 

 ジメジメとした季節が過ぎ、迎えたサマーシーズン。彼女と再会して早々訪れる受験勉強に、嫌気がさす。

 

 

 他の奴らと比べ、わたしには前の記憶(恐らく己の身体もろとも過去にタイムスリップしたと思われる)があるし、地の頭が悪いわけではない。

 殆どの教科は問題ないのだが、しかし唯一、専攻した日本史にダメージを削られていた。

 

 他の教科とは違い、とにかく覚えることが重要な科目。一度やったことはあるのだから、他人よりも覚えやすいと思うことなかれ。

 

 過去の三十数年の記憶と今の十数年の記憶を足すと、それなりにいい歳になる。

 

 精神年齢…というより()()()()()()は変わっていないが、それでも物覚えは前より悪くなった。

 身体は若いというのに、奇妙な話である。また、精神状態も過去の脆弱さを引きずっていた。

 

 

 しかし本当に巻き戻った直後は驚いた。赤ん坊の頃の鮮明な記憶など、最初の一回で十分だった。

 

 そして同時に、乳児の頃の記憶があるという共通点から考えたのは、遡る前が()()()の人生ではなく、()()()──あるいは、さらに数を重ねている可能性。

 まぁ遡ったのか、はたまた「前世」なんて笑止千万なものがあったのかはわからない。知る術がないから殊更である。

 

 

 わたしはわたし、「吉良吉影」だ。

 

 依然変わりなく、その事実が自分の生き方を導いている。

 

 

 

「何か上の空だね?」

 

「……ちょっと過去に、想いを馳せていただけだよ」

 

「過去って、吉影くんの中学生時代?それとも………()()()()の方?」

 

「さぁね。それより勉強を進めたらどうだ」

 

 

 高校の夏休み、今わたしと彼女がいるのは図書館である。

 

 学校の図書室よりこちらの方が長い時間利用できる。

 カップルで勉強する状況は一見人目につきそうだが、上手く受験生に紛れていた。

 

 心配しそうな親──特に母親は、前の時より束縛が減った。まず“時が巻き戻った”と自覚した上で、初めに行動に移したのが母に関してだ。

 

 とにかく親の言うことをよく聞き、反抗期などなかったわたしは「No」と言える人間を演じた。絶賛反抗期扱いである。

 

 だがその結果、苦労の甲斐あり多少の自由がある。

 それでも母の執着があるのは仕方あるまい。わたしが拒絶反応を起こす視線ではなくなっただけマシだ。

 

 

 ちなみに鈴美には、わたしが「()()()()()()()()()()()()()()だった」と話してある。

 

 

 実際は前世ではなく、「時間が遡る前の世界」だ。

 

 しかしうろ覚えではあるが、彼女は姿形のわからぬ相手(=わたし)を探していた──という記憶を有しており、そこからその不思議な感覚が自分の「前世」の記憶である…と解釈していたので、それで話を合わせた。

 

 

「あぁ、ほんとイヤだわ。夏休みだからせっかくパァーっと二人で遊べると思ってたのに、何で高校ってこんなに課題多いのよ…」

 

「ぼくが受験生ってこと覚えてるかい、鈴美」

 

「えぇー、でも今の段階で第一志望のD学院は【A】判定でしょ?日本史だけ他と比べたら微妙な点数だったけど」

 

「そうだよ。だから一夏の思い出を、共に勉強にしようじゃあないか。旅は道連れだ」

 

「嫌よッ!!しかも「世は情け」の部分が消えてるじゃない!?水着を買った意味がなくなっちゃうなぁ…」

 

「水着?」

 

 前の話から察して、わたしと行くつもりだったのだろう。

 

 彼女はこちらが性的な意味で食いついたと思ったのか、シャーペンを持った手でニヤける口元を隠す。

 

「やだなぁ。私でやらしいこと考えたでしょ?」

 

「いや、女子力のなかった君が、ここ数ヶ月でよく成長できたと思ってね」

 

「なっ──私は麗しき乙女じゃない!どこからどう見ても!」

 

「まぁ…君の水着姿は確かに、興味があるよ」

 

「ほら、やっぱり」

 

 貧相な胸に合う水着が売ってた事実は、純粋に感心す────、

 

「痛ッッ!!!」

 

「じゃあ誰かさんのお望み通り、勉強の続きしよっか」

 

 人の手にシャーペンの先を突き刺した彼女は、それは綺麗に笑っていた。何故女は人の心を読むのが上手いのだろう。

 

 

「どうしたの、急に笑って?」

 

 

 小首を傾げる鈴美に、何でもない、と返す。

 彼女と過ごす些細な時間の中にも「幸福」があり、ぼくの心をとかす。

 

 今この一瞬が夢ではないのだと、手の痛みが主張していた。

 

 

 

 

 

 

 

 ⚪︎⚪︎⚪︎

 

 

 ザザァと響く、波の音。

 

 

 一面に広がるのは青白い闇世の世界。その天上には無数の煌めきが点在し、それそれが輝きを誇示し合っている。

 

 その中でも我が物顔で中央を陣取るのは十三夜月。左が二割ほど欠けている月だ。

 あと二日もすれば満月を拝めただろう。風景に心を奪われるほど、わたしの心はお安くないが。

 

「うわぁ〜夜の海って綺麗だね!」

 

 だがあくまでわたしに限った話で、あと一時間もすれば明日になる時間に連れてきた鈴美は、夜景に感嘆している。

 月明かりに照らされる彼女の横顔の方が、よっぽど目を奪われるだろうに。

 

 

「遊びに行かないとか言いながら、何だかんだで連れて来てくれるんだから」

 

「まぁ、この時間帯は人がいないからね」

 

 サマーシーズンとは言っても、夜の海を楽しむ人間は中々いない。陽が出ている時間はともかく、夜は不気味さが増すのだ。

 

 それは()()()因縁をもたらす、この土地柄が原因なのかもしれない。

 水難事故の数も全国平均の五倍以上だ。夜にハメを外して、そのまま沖へ攫われた連中もいたらしい。

 

 そのため、夜に浜辺へ侵入するのは禁止されている。

 

 

 つまりわたしたちがこの場にいるということは、設置された柵と看板を無視してきたということに他ならない。

 鈴美は優等生のわたしがルールを破るとは思わず驚いていた。それを言ったら彼女も同じ括りだ。

 

「結構ドキドキしちゃうね、こういうのって」

 

「とんだデンジャラスガールだな」

 

「そういう吉影くんが乗ってたバイクは、盗んだものでしょ?」

 

「そんなわけないだろ。ネタは尾崎豊か」

 

「そうそう、パパが好きでね。カセットテープでよく聞いてるの」

 

 

 体感で二度目の人生ともなれば、既に経験したことを繰り返す状態になる。リアルコナンくんだぞ、彼はよく小一の苦行を耐えたと思う。

 

 他の子供がひらがなを覚えている中で、わたしは一人字体を崩すのに苦労した。

 集団の中で別のものと戦っていた自分に拍手を送りたい。本当に、色々大変だった。

 

 これまで「絶対に大人ってことバレるだろ?」と冷ややかな目で見てきたコナンくんには、今や敬意しかない。

 

 ちなみにバイクについては暇な時間を使って取得した。

 狭い行動範囲を広げるには、有用な手段であると判断したからだ。

 

 

「お昼はショッピングに付き合ってもらったし、一日中デートって楽しいね」

 

「…ん?今日が初めてだったか?今まで何度も……」

 

「初めてだよ。ずっと、ってのはね」

 

「……あぁ、そうだった、そうだったね」

 

 大学時代にしょっちゅう付き合わされていたが、アレは()の話だ。()じゃない。

 時折誤作動を起こす脳は、きっと血中の酸素が足りていないのだ。それもこれも、肺が真面目に働かないせいである。恥を知れ。

 

「でもパパから奪っ……もらったお小遣い、ほぼ使っちゃったよ」

 

「フフ…ぼくが稼いだら、好きなもの何でも買ってあげるよ」

 

「わーい、貢がれる風俗嬢になった気分!」

 

「言葉に反して嬉しそうじゃないな」

 

「そう?だってさ」

 

 

 浜辺に隣り合わせで座っていた彼女の手が、わたしの手を握る。白く、たおやかな()()

 胃が勝手にムカムカし出し、溜飲が上ってきた。しかし実際に胃酸は上がっていない。

 

 無理やり唾を飲み込んで、激流のようなその感情を押し込む。

 ガチッ、と鳴った音は彼女に聞こえこそすれ、こちらが俯き気味だったことから表情を見られることはなかった。

 君の彼氏はどうしようもなく、イかれているヤツだ。

 

 

 

「私の欲しいヒト(もの)は、もう既にあるもの」

 

 

 

 わたしの肩に小さな顔を乗せて、鈴美は瞳を閉じた。垂れた横髪に、その表情はすぐに隠されてしまう。

 先程まで荒ぶっていた鼓動が嘘のように緩やかになる。

 

「…夜は少し、寒いね」

 

「うん。でももう少し、ここにいよう?私の………誕生日になるまで」

 

「……あぁ」

 

 

 一度目は保健医の事件に巻き込まれ、波乱の時を過ごした。

 しかし二度目の今は、わたしの前に嘘つきの女が現れることはなかった。それが何故かはわからない。

 

 もしかしたら彼女はわたしと同じようにすべての記憶があり、意図的にこちらと接触を避けたのかもしれない。もしくは単純に、別の職に就いているだけなのかもしれない。

 ただ恐らくは、わたしと鈴美の出会う時期が大幅にズレたように、前回と()()()同じではないのが“今回”なのだろう。

 願わくば海で腐乱死体にならず、平穏に過ごせていることを望んでやろう。

 

 

 だがそれでも、鈴美の誕生日に起こった佐藤の一件や、片桐安十郎の『S一家殺人事件』。あまつさえ自分の“死”を体感したこちらとしては、警戒せざるを得ない。

 

 杉本鈴美が歳を重ねる日である明日、わたしたちの「運命」に禍をもたらす出来事が起こるかもしれない。

 

 だからこそ、誕生日である前後を含めて彼女の側にいる。この後はホテルに泊まる予定だ。

 もちろん手は出さない。流石に前回の分を踏まえた年齢差がある。子供のようにはしゃいでいる彼女にも、恐らくその気はない。

 

 

「どこにも、行くなよ」

 

「ん?うん、一緒にいるよ?」

 

「……ずっと、ずっとだ」

 

「うん、いいよ。ずっとね」

 

「……ぜったいだぞ」

 

 

 ゆったりと流れる彼女の心音が、耳に届く。それに合わせてさざなみが聞こえ。瞼が重くなる。

 そのまま睡魔に手を引かれ、意識が段々と落ちていく。

 

「起こしてあげるから、ちょっと寝てもいいよ」

 

「…ダメだ」

 

「じゃあ、眠くなくなるようにしてあげます」

 

 直後、頬に柔らかいものが押しつけられた。

 

 いつものあどけなさや、愛らしさが何処へやら。あの女のように、()()()笑う彼女がいた。

 

 

「ハァー………煽ったのは君だからな。この後どうなっても知らないぞ」

 

「…うん」

 

 

 横目で見た彼女の耳は、真っ赤になっていた。

 それにこちらまで、何故か顔に熱が上る気がする。

 

 

 彼女に誘われたら、わたしだって断れない。

 

 偶にじゃれつく姿は子猫のようで、しかしよく噛みつかれる。

 

 ワガママな一面のある彼女に、わたしは魅了されているのだ。

 

 

 

 そんな彼女はぼくの、キラークイーンだ。

 

 

 




【は?】


 吉良が「鈴美=キラークイーン」と思った瞬間、相棒が現れた。彼の二回目の人生の最初からいる、この巻き戻った世界を作った張本(にん)である。

『ニャー』

「………」

『ニャー』

「………」

 後ろから彼の顔を覗いて、「ハ?お前の相棒(キラークイーン)はわいやろ?」とでも言いたげな視線を送るスタンドに、吉良はそっと視線を逸らした。

 せっかくの雰囲気が、秒で台無しにされた瞬間である。鈴美はこの間、首を傾げていた。





 ーこっから後書きー


 プッチ戦についてですが、正直詳しくは考えてません(正直)

 ただ、プッチは予定調和でDIOに会うとは思います。そんでD様からもらった矢で自分を射ますが、「うわっ…私のスタンド、目覚めなさすぎ…?」案件が発生。死にはしません。だって自分のスタンドはあるしね。この世界でバラバラになってるけど(ただし人間の()()()の領域にある)

 その後、プッチは「人類が幸福になる」方法を求め、暗躍しながら事を進めていくと思われ。DIOを殺した承太郎がいるので殊更慎重に動く。

 本来ならプッチが緑の赤ちゃんとフュージョンすることで、その中に流れるDIOの存在の「引力」を受けて神父と出会うことになるDIOズソンたちは、世界の修正力たる「運命」により、無事にプッチと出会ってスタンド使いにさせられます。さすがディズニ…じゃなくてディスティニーだ!最高に正義側をディスってくれるぜ!

 で、プッチ戦。

 承太郎が殺されかけ、「ジョースター()」の覚悟を決め、オヤジからもらってた矢の破片でスタンド使いになった徐倫が、仲間と共にプッチの作ったスタンド使いと戦い、最終的にたどり着いたのがスタンド使いでもない()()()()()という事実に、驚愕するとかなんとか。

 とりあえずオラ親子生存√を望むがゆえに見出した話なので、軽く流してください。



 ー質問コーナー?ー


 Q.本編のその後、重ちーと同じく「運命」によって辻綾先生死んでしまったの?

<生きてる。辻綾先生は吉良が殺人鬼じゃなかったので死ななかった。対し重ちーは仗助たちがラスボス(この場合「影犬」)に立ち向かうキーとなる存在だったので、死亡しました。スマンネ…。これもまた運命の修正力が働いた結果です。
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