転生した男がイレギュラーとして過ごすお話し。   作:神領千鶴

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皆さんこんにちは作者です。今回で凜祢編最後ですZOY☆あとリーフの苗字を来光から闇蝕に変えます。理由は髪がロングの方がいいから。

[陽牙]
「よく続いたな。」

[士道]
「でも少し短い気もするな。」

[作者]
「まあ文字数が多かったりすると必然的に話数も少なくなるからな。あ、因みに今回久々の戦闘回です。」

[陽牙]
「本当に久々だな。」


第12話

━━新天宮タワー前━━

 

[ルシア]

「あ!ヨー君!」

 

[陽牙]

「おう、お待たせ。」

 

[魁斗]

「にしても、本当に起こったな。あ、リーフはもうちょいで来るらしいぞ。どうやら結果外に家があるらしいんだとよ。」

 

 

 

『リーフ』本名 闇蝕リーフ

 

前世でルシアの幼馴染の女の子。訳あってこの世界に来たらしい。因みにルシアのライバルらしい。(色んな意味で。)

 

武器『天龍ノ風』

 

天使無し

 

霊装無し

 

身長165cm 体重48kg 年齢32 誕生日8月10日 血液型O型

 

 

 

[琴里]

「とりあえずこうなった原因を説明して欲しいわね。」

 

こうして士道による説明が始まった。ルーラーに関する情報を琴里だけでなく他の人にも共有した。1部の情報を除いて……

 

[琴里]

「凜祢が、いなくなった……?」

 

[士道]

「ああ、はぐれてからそれっきりだ。まあ流石に避難してるだろうけど。」

 

[琴里]

「他には?」

 

[士道]

「う〜ん……強いて言うなら向こうはサシでの話し合いを望んでるっぽいぞ。」

 

[琴里]

「まあアンタ達なら平気で戻ってきそうだけどね。」

 

[十香]

「にしても、そのルーラーとやらは何が目的なのだ?」

 

[士道]

「向こうの話を聞いた限り、どうやら俺の為らしいな。この結界の中では俺が思った事を夢の様な形で起きるらしいぞ。まあ陽牙達がいたから詳しくは起きなかったけどな。」

 

[琴里]

「そう、わかったわ。それで本題に入るんだけど、このタワーの周りに結界が張られていて、侵入をさせないようにしてるのよね。」

 

[狂三]

「なので結界の要を壊す必要がありますわ。」

 

[士道]

「結界の要……それってあのモニュメント、給水塔、神社か?」

 

その言葉に十香、折紙、狂三は頷く。

 

[士道]

「でも、陽牙の能力で壊せないのか?」

 

[陽牙]

「出来ないことは無いんだろうけど、ちゃんとイメージ出来ないと不完全なんだよ。まあ別の方法を使えば行けるんだろうけど、時間が少しかかるから壊しに行った方が早いと思うぞ。」

 

[士道]

「なら大人しく壊しに行くか。」

 

そうみんなで別れようとした時……

 

[???]

「ねえねえ曲、あのタワー変じゃない?」

 

[曲]

「これで変じゃないって言う方がおかしいでしょ。」

 

一部の人間には聞いたことのある声。分からないやつからしたら一般人が入ってきたと思う。

 

[陽牙]

「げっ……やばっ……。」

 

[士道]

「ん?どうした陽牙?」

 

[???]

「あ、陽牙。お姉ちゃんに内緒で何してるのかな?」

 

[陽牙]

「……瀬里奈姉さん、精霊に会いに行くんだよ。」

 

そう。陽牙の姉で、結界を壊した張本人である。それもセットで。

 

[魁斗]

「この人が陽牙の姉か。」

 

[瀬里奈]

「ん?誰?」

 

[魁斗]

「陽牙の学校の担任をしてる望月魁斗だ。んでこっちが長野裕成だ。」

 

[瀬里奈]

「これはご丁寧に。私は陽牙の義姉の嵐音瀬里奈です。んでこっちが雀翎曲です。それで陽牙、何してるのかな?」

 

[陽牙]

「瀬里奈姉さん、1つ頼みがある。」

 

[瀬里奈]

「対価は?」

 

[陽牙]

「んじゃ1つお願いを聞く。」

 

[瀬里奈]

「おっけ〜それで何かな〜?」

 

[陽牙]

「この結界を壊して欲しい。」

 

[知らない組]

「なっ?!」

 

普通なら出来ない、出来なくて当然なのだが事情を知らない人達が声を上げる。

 

[琴里]

「無理よ、精霊の力でやっても壊せなかったわ。」

 

[陽牙]

「い、いいから早くどいた方がいいぞぞぞ……。」((((;°Д°;))))カタカタカタカ

 

[全員]

(ただでさえ規格外のやつがどうしてここまでに震えてるんだよ……。)

 

全員同じ事を思っていた。陽牙の能力はイメージさえ出来れば何でもできる。それに加えて剣術も身体能力もずば抜けてる。そんな男?がここまでに怯えているのには訳があった。

 

[瀬里奈]

「それじゃあみんな、私の後ろ一直線に絶対はいらないでね♪」

 

そう言われて、一瞬で空いた。

 

[瀬里奈]

「ふ〜……グッ」

 

息を吐き、拳を握り、右腕を後ろに引いて殴る構えをとる。

 

すると瀬里奈の後ろに魔法陣が何個も浮き上がり列の様になる。

 

[瀬里奈]

「はぁ!!」

 

ドゴオオオオオオオォォォォォォォォンッ!!!!

 

凄まじい音が鳴り、地面が激しく揺れる。

 

[瀬里奈]

「はい終わり。それじゃあお願いよろしくね♪」

 

[陽牙(引き気味)]

「わかったけど、姉さんやりすぎだって。」

 

[全員(引いてる)]

(絶対怒らせないようにしよ……。)

 

そう決めた知らない組だった。

 

[琴里]

「ま、まあこれで中に入れるわね。瀬里奈さんありがとうございます。」

 

[瀬里奈]

「全然いいよ〜。それじゃあ曲帰ろ〜。」

 

[曲]

「はいはい。それじゃあみんな頑張ってね。」

 

そう言い2人は帰っていく。

 

[アクセラレータ]

「……あれはやべェな。」

 

[美琴]

「気にしちゃダメよ。」

 

[天使]

「……。」

 

そうこうしてるとタワーの上から天使らしき者が降りてくる。

 

[士道]

「あれが……ルーラーの天使か。」

 

[陽牙]

「アイツの名前は……確かガーディアンだったっけな。」

 

[士道]

「確かに護るようにしてる感じだな。」

 

[裕成]

「ここは僕たちに任せて、君達は上に行きな!!」

 

[陽牙]

「助かるぜ先生!!」

 

[士道]

「真穂達も頼んだぞ!!」

 

[使い魔3人]

「「「勿論(じゃ)。」」」

 

陽牙達はタワーに向けて走る。目の前にはまだ敵が残っていた。

 

[陽牙]

「みんな、絶対に前に出るなよ。死んでも知らんからな。」

 

そして再び走り出す。目の前に天使が現れる度に、一閃で仕留める。彼の抜刀術は、目に見えないほど早い。僅かだが長刀を引き抜き、相手が目の前に現れては一瞬で消えるの繰り返し。斬る度に『ザクッ』っと言う音ではなく『サッ』っと言った風を斬る音が聞こえる。

 

ササササササッ

 

[士道]

「目に見えない速さの抜刀はヤバいな。」

 

[琴里]

「もう彼一人でいいんじゃないかしら……。」

 

[十香]

「うう……怖いのだ……。」

 

[折紙]

「神領陽牙は危険人物……これに変わりはない……。」

 

[狂三]

「今回ばかりは貴方に賛成しますわ。」

 

[ルシア]

「安心して瀬里奈さん達の方がヤバいから。」

 

[6人]

((((((安心出来ない!!!!))))))

 

と、進みながら絶叫する6人。天使を倒しながら進み、奥へ走る。

 

[陽牙]

「Oh……。」

 

[士道]

「なんだこれ……。」

 

新天宮タワーの中は、外の見た目と反して氷結のようなもので作られていた。様々なオブジェクトがあり、真ん中には螺旋階段が置かれている。

 

[士道]

「さて……」

 

士道は振り向き、精霊たちを見る。

 

[士道]

「ここから先は……俺と陽牙達だけで行く。」

 

[琴里]

「はぁ?!」

 

[十香]

「なっ?!どうしてだシドー?!」

 

[士道]

「こうなったのは……全部俺のせいだ。それに関係してるのも陽牙達だ。だから━━━」

 

そう言って士道は頭を下げる。

 

[士道]

「この通りだ。頼む。」

 

[陽牙]

「士道……。」

 

[ルシア]

「……。」

 

[カムイ]

「俺はここに残るぞ。」

 

[リー]

「俺も残るかな。」

 

[陽牙]

「なんでだ?」

 

[カムイ]

「備えだ備え。アイツらがここに来るかもしれないだろ?」

 

[琴里]

「………はぁ、わかったわ。」

 

琴里は何かを察したみたいな表情をしていた。だが、十香は不安そうだ。

 

[琴里]

「十香、士道が自分なりの問題を片付けるって言ってるのよ。それに、士道の目は真っ直ぐに真剣に問題と向き合ってる。これを邪魔するなんて無粋だと思うわ。」

 

[十香]

「しかし……。」

 

[琴里]

「士道!」

 

[士道]

「何だ?」

 

[琴里]

「……約束しなさい。必ず戻ってくること。いいわね?」

 

[士道]

「約束する。行くぞ陽牙!!」

 

[陽牙]

「おう。ルシア達は?」

 

[ルシア]

「私は一緒に行くよ。」

 

[ルナ]

「私は残るわ。」

 

[アン]

「一緒に行きます。」

 

[陽牙]

「わかった。それじゃあ行くぞ。」

 

4人は最上階を目指して螺旋階段を上っていく。

 

[狂三]

「良かったですの?」

 

[琴里]

「いいのよ。士道達がやられることはないし、それに━━」

 

振り返ると、逃げてきたのかタワーを護っていた天使達がいた。

 

[琴里]

「私達にもやる事があるらしいしね。」

 

[カムイ]

「全部打ち砕いていいか?」

 

[リー]

「僕の計算した弾道から逃げられると思うな。」

 

[ルナ]

「殲滅開始。」

 

[狂三]

「あらあら、温存しといたのはこの為ですの?」

 

[折紙]

「士道の邪魔させない。」

 

[よしのん]

「ここから先は通さないよー!」

 

[四糸乃]

「頑張ります……!」

 

[十香]

「シドーやヨーガ達は、私が守る!!」

 

 

 

 

 

━━???━━

 

陽牙達は螺旋階段を上り最上階へ着く。階段が終わった時、広い空間へ出た。

 

[士道]

「へー広いな。」

 

[陽牙]

「中々綺麗じゃないか。」

 

[凜祢]

「あはは……来ちゃったんだね、士道。」

 

[士道]

「会いに来たぜ凜祢……いやルーラー。」

 

士道の言葉に凜祢は少しびっくりするが、何時も通りの顔へと戻る。

 

[凜祢]

「ふふ……気付いていたんだね。全部……士道やみんなが考えている通りだよ。ルーラーは私。」

 

[士道]

「やっぱりな。まあここまで来るのには陽牙達のおかげだけどな。」

 

[凜祢]

「へぇ……どうして気付いたのかな?」

 

[士道]

「まず1つ目、陽牙達は俺の両親に会った事がない。そして家にある写真、言わばアルバムと言っておこう。もし凜祢が本当に幼馴染だったら、家にあるアルバムに1回は絶対に写ってる筈だ。だけど探したけどいなかったぞ。それに━━」

 

[凜祢]

「まだあるのかな?」

 

[士道]

「ああ。2つ目だが、陽牙達は凜祢と一緒で存在しない筈の人間だ。」

 

[凜祢]

「……それはどういう意味かな?」

 

[士道]

「まず凜祢は精霊の霊力が意志を持った存在ってのは少し前に知った。んで陽牙は1度死んだ人間だ。」

 

[凜祢]

「……そうなんだ。」

 

[士道]

「あとこれ落としただろ。」

 

シュッ

 

士道は凜祢の足元に合鍵を投げる。凜祢はその合鍵を急いで拾い上げる。

 

[凜祢]

「あっ……!何時の間に落としていたんだ……。」

 

[士道]

「んで、何時までその姿でいるつもりだ?」

 

[凜祢]

「それもそうだね……。」

 

そうして凜祢は精霊本来の姿に戻る。

 

[士道]

「それで、どうしてこんなことをしたんだ?」

 

[ルーラー]

「どうしてもこうしてもきっと無い。全ては私が生まれた瞬間から決まっていたの……私は凶禍楽園の支配者。そして、五河士道……あなたをこの世界に閉じ込めたのは、私。」

 

[士道]

「それは知ってる。その理由を聞かせてくれ。」

 

[陽牙/ルシア/アン]

(((突っ込んじゃダメでしょ……。)))

 

流石に3人もちょっと可哀想だと思った。

 

[ルーラー]

「私は最初から……幼馴染なんかじゃなかった。全ては偽り。私は自分の存在をみんなの意識に割り込ませていた。でも、あなた達4人は最初から気付いてしまっていた……どうして?」

 

[士道]

「俺は、最初は普通にベッドに寝る筈だった。けど、何かデジャヴを感じて、そこから記憶が何処からか流れて来てどんどん思い出してな……けど、何でそうなったのかは分からない。」

 

ある程度の事を言ってぼかす。まだある真実は隠して。

 

[ルーラー]

「そう……気づかなければよかった。そうすれば、永遠に楽園の中にいられたのに……幸せで優しい世界……ねえ、士道?貴方も、そんな世界を求めていたんでしょう?」

 

[士道]

「……誰だってそういう世界があったら欲しいさ。だがな、自分がそれを得ている時に他人が不幸になってたらそれは幸せじゃない。」

 

[ルシア]

「どうしてこんな事をしたの?」

 

今まで口を開かなかったルシア達が喋る。

 

[ルーラー]

「その答えは……貴方達には関係ない。」

 

ルーラーは再び弾を形成していく。完全に殺る気モードだ。

 

[アン]

「待ってください!せめて話だけでも!!」

 

[ルーラー]

「……話した所で、理解してはくれな━━」

 

ズンッ!!

 

[全員]

「っ?!」

 

急に思い空気が流れる。その原因を探すと、そこには今まで1度も喋らなかった陽牙が怒った表情でいた。

 

[陽牙]

「さっきから黙って聞いてりゃ何だその答えは?理解しれくれないだァ?んなもんテメェが正直にハッキリと誰にも助けを言わねェからだろうがぁァ!!」

 

トコ、トコと歩いてルーラーに寄って行く。

 

[ルーラー]

「はぁ!!」

 

ヒュンヒュンヒュンヒュン!!!

 

キンキンキンキンッ!!

 

[ルーラー]

「バカな?!」

 

[陽牙]

「なあ凜祢、お前は偽りの幼馴染かもしれねぇけど、今まで一緒に過ごしてきた時間は嘘偽りか?」

 

[凜祢]

「それは……。」

 

[陽牙]

「俺はそうじゃないと思う。俺はお前と過ごした日々は楽しかったと思ってるぞ。」

 

[ルシア]

「私も同じね。正直まだ混乱してるけど、凜祢と過ごした時間は楽しかったわ。」

 

[アン]

「だから1人で抱え込まないでください。私達がいます。常識なんて破って、またみんなで居ましょう。」

 

その言葉を聞いて、凜祢は嬉しく感じていた。

 

[凜祢]

「みんな優しいね……みんなの言葉を聞いてると、段々その方が良いかもって思っちゃう……でもごめんね。あなた達の望む未来は、存在し得ないの―――」

 

[士道]

「おい……。」

 

士道が何時もより低い声で話す。

 

[凜祢]

「士道……?」

 

[士道]

「なんで勝手に諦めてんだ?誰が諦めていいって言った?ないなら作ればいいだけじゃねえか。だから逃げるな、生きることから逃げるなこれは命令だ。」

 

[陽牙]

「おいそれ俺の台詞。」

 

[ルシア]

「いいじゃないの別に。上条さんだって連続で『そげぶ』を連続で言ってるし。別に変わらないんじゃないの?」

 

[アン(引き気味)]

「ここは空気を読みましょうよ……。」

 

シリアス?んなもんは知らないね。

 

[凜祢]

「本当に……信じていいの?」

 

[士道]

「当然だ。お前が消えたり、魂となってこの世から去ったとしても、俺達が必ず連れ戻す。」

 

[凜祢]

「……そっか。それじゃあそうしようか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『無へと帰━━(パラダイス・ロス━━)』っんむ?!」

 

凜祢が言う前に陽牙が凜祢の口に指を当てる。

 

[陽牙]

「『無へと帰す者(パラダイス・ロスト)』は使わせねえぞ。なんでさっき言ったことをすぐに消そうとするのかな。アン頼む。」

 

[アン]

「わかりました。『ブリッツアロー』!!」

 

パスンッ!! ドゴォォォォォン!!!

 

[凜祢]

「なっ?!『無へと帰す者(パラダイス・ロスト)』が破壊された?!」

 

[陽牙]

「今の俺には全てわかるぞ。これから何が起きるかも。」

 

[凜祢]

「……私から凶禍楽園の制御が完全に離れた。もうすぐ、暴走が始まる。そうなってしまえば、この世界はどうなるか……。」

 

[陽牙]

「さてあとは士道、頼んだ。」

 

[士道]

「任せろ。凜祢、今からお前を封印する。だが1つ約束してくれ。」

 

[凜祢]

「約束……?」

 

[士道]

「封印したらお前が消えるのは明確だ。だが俺達が絶対に助けに行く。それまで強く願っていて欲しい。今までの思い出も、出来事も全て。」

 

[凜祢]

「うん……わかった。」

 

[士道]

「ああそうだ。これだけは言っておかないとな。1回しか言わないぞ。」

 

[凜祢]

「うん……なあに?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『凜祢、お前を……愛している。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[凜祢]

「……っ!!」

 

[士道]

「嘘偽りの日常だったかもしれない。存在しない幼馴染だったかもしれない。だけど俺はお前を精霊として、人間として、そして1人の女性として好きだ。」

 

[凜祢]

「本当……なの?」

 

[士道]

「こんな事で嘘言ってどうするんだよ。告白に偽りは必要か?」

 

[凜祢]

「ううん……いらない…いらないよ……嬉しい……私も士道の事が好き……!」

 

そして2人は……

 

ズキュゥゥゥン!!

 

キスをした。

 

[ルシア]

「やった!!」

 

[陽牙]

「さすが士道!俺達に出来ない事を平然とやってのけるッ!そこにシビれる!あこがれるゥ!」

 

[アン]

「カシャカシャカシャカシャカシャカシャ。」

 

だが外野が五月蝿くてそれどころじゃない。アンも悪ノリで写真を撮ってる。

 

[凜祢]

「あはは……見られちゃったね……あ……。」

 

キスをした瞬間、凜祢の体が消え始める。

 

[ルシア]

「そういえば、どうしてRewriteを使わなかったの?」

 

[陽牙]

「Rewriteを使ったらこの世界が残ったままだ。それに魂は消えない。必ずどこかにさ迷うからな。」

 

[凜祢]

「みんな…ありがとう……今まで私の都合で付き合ってくれて……。」

 

[陽牙]

「気にすんな。俺も楽しかったし。」

 

[士道]

「約束、絶対忘れんなよ?」

 

[凜祢]

「うん……それじゃあ……みんなさようなら……。」

 

[陽牙]

「おいおいさようならは別れの言葉だぞ。『またね』だ覚えろ。」

 

[凜祢]

「そうだね……みんな……またね。」

 

[陽牙]

「おう。」

 

[士道]

「またな凜祢。」

 

[アン]

「帰ってきたら写真あげますよ~。」

 

[ルシア(ガビーン)]

「どうしてそこで言っちゃうのアンちゃん!!」

 

シリアスなんてモノは無かった。いいね?

 

 

 

 

 

 

 

━━新天宮タワー前━━

 

[魁斗]

「旋風鉄斬拳!!」

 

[裕成]

「流水岩砕拳!!」

 

[美琴]

「超電磁砲!!」

 

ドガドガドガドガッ!!!! バァァァァァン!!

 

こちらは天使と交戦中。大体敵を倒し終えたようだ。

 

[魁斗]

「流石にキチィな。」

 

[裕成]

「その割には楽しそうだね。」

 

[美琴]

「多分あれのせいでしょうね。」

 

視線を向けるとそこにはカムイとアクセラレータがいた。

 

[カムイ]

「お前ら全員、粉々にしてやるぜ!!」

 

[アクセラレータ]

「アヒャひャひャひャひャ!!」

 

[ルナ(引き気味)]

「狂ってるわね……。」

 

[リー(引き気味)]

「気にしたら負けだぞ……。」

 

[美琴]

「戦闘狂が集まるとああなるのね……。」

 

[魁斗]

「いやー生徒達が成長して俺は嬉しいよ。」

 

[裕成]

「うーんなんか複雑だな。」

 

[美琴]

「でも数が多いね……あれ?」

 

[リーフ]

「どうしました……お?」

 

[魁斗]

「みんなー!!空を見ろー!!」

 

全員が一斉に空を見上げる。すると赤かった空が元に戻っていき、天使達が消えていく。

 

[裕成]

「どうやら終わったっぽいね。」

 

[ルナ]

「ちょっと疲れたわね。」

 

[十香]

「みんなー!!」

 

[リーフ]

「皆さん帰ってきましたね。」

 

上を見ると十香達精霊組がいた。その奥には陽牙達がいた。こうして、今回起きた出来事の幕を閉じた。

 

 

 

[ルシア]

「それじゃあ皆さん集まって下さい。」

 

この世界が終わる数分前。今彼らは記憶処理を施そうとしていた。世界が終わると同時に記憶を失うのがこの世界の法則。ある程度の記憶は残しておこうとしていた。

 

[令音]

「……シン、今回の事についてだが━━━」

 

[士道]

「いえ令音さん、今回の事は全て理解してます。」

 

[令音]

「……そうかね、では私は戻るとしよう。」

 

そう言って、令音はフラクシナスへと戻って行った。記憶を施された全員も何とか無事に元の場所へと戻る事にした。

 

[リーフ]

「陽牙さん、みんなの記憶処理終わりました。とりあえず折紙は今回の出来事を忘れるようにして、精霊組は幼馴染という設定だけ残しました。」

 

[陽牙]

「ありがとうリーフ。てかその敬語とか何とかならないか?」

 

[リーフ]

「いえ、私が好きでやってるので。」

 

[陽牙]

「そうか。」

 

[ルシア]

「……そろそろね。」

 

ゴゴゴゴゴゴッ……

 

[陽牙]

「……戻ったのか?」

 

気づくとメンバーは来禅高校の屋上に居た。

 

[士道]

「外は……夜明けか。」

 

[ルシア]

「みんな、記憶は?」

 

[アン]

「私達が今話しているので、失ってはいません。」

 

[陽牙]

「よし、それじゃあ最後の仕上げと行こうじゃないか。」

 

[裕成]

「これから何をするのかな?」

 

気づくと学校の先生2人がいた。

 

[陽牙]

「あ、先生。今から凜祢を迎えに行きます。」

 

[魁斗]

「だと思ったぜ。まあアンタ等の事だ、準備は出来てるんだろ?」

 

[陽牙]

「勿論。]

 

[裕成]

「わかった。それじゃあ僕達は僕達で家とか学校とか手配しておくよ。」

 

[魁斗]

「絶対成功させろよ!!」

 

[陽牙]

「有難うございます。リーフ、いけるか?」

 

[リーフ]

「結界の解析終了。現在地特定。異常無し。行けます!!」

 

[陽牙]

「よし!!ルナ、頼んだ。」

 

[ルナ]

「了解。」

 

サァァァァァ……

 

ルナが空間に切れ込みを入れるとそこから謎の空間につながる。

 

[陽牙]

「それじゃあみんな、行ってくる。」

 

[士道]

「待ってろ凜祢!!」

 

[ルシア]

「絶対に成功させるのよ!!」

 

そう言って、2人は切れ目から空間に入っていった。

 

 

 

 

 

 

━━━???━━━

 

[凜祢]

「みんな……今頃……忘れてる……いや、無かったことになってるのかな……。世界から……私というイレギュラーがいなくなって……元通り……これで良かったんだよね……。」

 

とある空間、そこには凜祢が浮かんでいた。

 

[凜祢]

「やっぱり……悲しいなぁ……みんなともっと……一緒に居たかったよ……。」

 

[???]

「お疲れ様。」

 

暫く浮かんでいると、何処からか声が聞こえた。

 

[凜祢]

「君か…。」

 

[???]

「あなたの役目は終わったわ……後は、ゆっくり眠りなさい。」

 

そういうと凜祢の頭に手を伸ばす。だがそれを凜祢が弾く。

 

[???]

「……どういうつもりだい?」

 

[凜祢]

「寝ちゃダメなの……彼らは絶対に来てくれる……初めて私を認めてくれた彼らは……絶対に来てくれる……私はそう信じる。」

 

[???]

「そう……でもそれは不可能なの。ここにいられるのはあなたと私だけ。誰かが来るなんて事は『ありえない』の。」

 

[凜祢]

「ふふ……確かにそうかもね。でもね、陽牙は言っていたよ。」

 

 

 

 

 

 

 

『ありえないなんて事はねえんだよ』

 

 

 

 

 

 

[凜祢]

「それを実際にやってのけたからね……彼は絶対に来るわ。」

 

[???]

「残念だけどそんな事は━━━」

 

『どこだ凜祢ええええええええええ!!!』

 

その時、遠くから強い声が響いた。同時に響くのは何かが飛来している音。

 

[凜祢]

「ふふ……ほらね。」

 

[???]

「そんな……ありえない?!」

 

[凜祢]

「だから言ったでしょ?『ありえない』なんてことはないって。」

 

視線をやった先には士道と陽牙がいた。

 

[士道]

「凜祢えええええええ!!!」

 

[陽牙]

「残念だったモザイク野郎!!まだ俺のバトルフェーズは終了してないぜ!!」

 

[凜祢]

「士道が……陽牙が……私を呼んでる……。」

 

凜祢が手を伸ばそうとした時

 

パキィン!!

 

[士道]

「なっ?!」

 

凜祢を守る壁の様なものが塞ぐ。頑丈で一筋縄では行きなさそうだ。

 

[陽牙]

「任せろ士道。」

 

息を吸い、集中力を高める。

 

[陽牙]

『深淵の業火ですべて終わらせてあげる。』

 

キンキンキンキンキンキン、キンッ!! ドゴォォォォォン!!

 

パキッ!!

 

一点に亀裂が入る。

 

[???]

「そんなっ?!」

 

[士道]

「凜祢は俺の家族だ!!邪魔する物はぶっ壊す!!オラオラオラオラオラオラオラァ!!」

 

剣で斬ったり、拳で殴ったり、亀裂が入った所を重点的に攻める。

 

[???]

「亀裂が入ったところで、これを壊すことは不可━━」

 

[士道/陽牙]

「「黙ってろォ!!」」

 

[???]

「?!」

 

彼らの気迫に驚く何か。

 

[士道]

「まだだああああああああああ!!」

 

パキッ!!

 

[???]

「うおおおおおおおおお!!」

 

パキッ!!

 

何処からかまた声が聞こえた。それもよく知っている声と同じだった。

 

[士道]

「遅いぞ向こうの俺!!」

 

[士道(並行)]

「待たせたなこっちの俺!!」

 

[陽牙]

「フッ……そういう事か。」

 

そこには五河士道、否並行世界の五河士道がいた。

 

[士道(並行)]

「ここまでこの世界の俺が頑張って来たんだ!俺も全力で応えてやるよ!」

 

[士道]

「待ってろ凜祢!!今助けてやる!!」

 

[陽牙]

「いい加減……壊れろおおおおおおおおお!!」

 

パキッ!!

 

例えそれが無駄な足掻きだとしても、諦めない。失いたくないから。

 

[士道]

「はああああああああ!!」

 

パキパキッ!!

 

[士道(並行)]

「負けねええええええええ!!」

 

パキパキパキッ!!

 

[陽牙]

「これで……シメーだァァァァァァァァァァ!!」

 

バキバキバキバキバキッ!!バリンッ!!

 

[???]

「そんな?!」

 

[士道]

「凜祢ええええええええ!!」

 

[士道(並行)]

「捕まれえええええええ!!」

 

[凜祢]

「うん!!」

 

ガシッ!!

 

凜祢は士道と並行世界の士道の手を両手で繋ぐ。ようやく凜祢を助ける事が出来たのだ。

 

[士道]

「お待たせ凜祢。」

 

[士道(並行)]

「良かったな………っと、もう時間か。」

 

少しずつ平行世界の士道の体が消えていく。

 

[士道(並行)]

「えっと……確か陽牙だっけ?」

 

[陽牙]

「そうだが。」

 

[士道(並行)]

「ありがとう、君のおかげで凜祢を助ける事が出来たよ。」

 

[陽牙]

「気にすんな。っと、これ。」

 

陽牙は士道に携帯のようなものを渡す。

 

[士道(並行)]

「これは?」

 

[陽牙]

「俺の連絡先だ。一様念の為に持って置いてくれ。」

 

[士道(並行)]

「ありがとう。士道、凜祢を頼んだ。」

 

[士道]

「任せろ。そっちの士道も元気でな。」

 

並行世界の士道は言い終えると、この空間から消えていった。

 

[???]

「………本当に常識を覆しましたね。」

 

[陽牙]

「俺らの力舐めんなよ。そろそろ空間の維持がもたなくなるから帰らせてもらうぜ。」

 

そう言い、士道と陽牙は凜祢の手を握る。

 

[凜祢]

「士道、陽牙━━」

 

[士道]

「ん?」

 

[陽牙]

「なんだ?」

 

満面の笑みでこう告げる。

 

[凜祢]

「ただいま!!」

 

[士道/陽牙]

「「おかえり!!」」

 

こうして、本当の意味で騒動は終わった。

 




皆さんこんにちは作者です。凜祢ユートピア編終了しました!!(*゚▽゚ノノ゙☆パチパチ

[陽牙]
「いぇーい!!」

[凜祢/士道]
「「ウェーーーーーーーイ!!」」

[作者]
「という事で次は後日談的な何かになります。」


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