転生した男がイレギュラーとして過ごすお話し。   作:神領千鶴

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皆さんこんにちは作者です。今回も或守インストール編です。てかゲームやってて思ったけど普通に長くね?あ、他の小説の方がめっちゃ見られて驚いてます。これからも頑張って書いていきます(今年就活。)あと今回ニーア組に新しい設定入れます。


第19話

ピンポーン

 

突如家のチャイムが鳴る。この時士道達はデート以外に何か方法はないかと考えていた。

 

ガチャ

 

[リー]

「邪魔する。」

 

チャイムを鳴らした人はリーだった。そのまま士道はリーを家に上げ、陽牙がいるところへ向かう。

 

[陽牙]

「なんだ、お前も来たのか。」

 

[リー]

「ああ、それよりも1つ気になったことがある。」

 

[士道]

「気になること?」

 

リーはさっきまであった出来事を話す。主に黒い或守について。

 

[陽牙]

「同じ外見の奴がいるなら或守って呼べねぇな。新しく考えるか。」

 

[3人]

「んー……。」

 

3人は白い或守をイメージする。純白の服、優しい言葉、大人のような落ち着きなどなど……その結果

 

[陽牙]

「聖母マリアがイメージできたから漢字に直して……鞠亜だな。」

 

[士道]

「よくそんな漢字もできるな。」

 

[リー]

「いいんじゃね?他に思いつかないし。」

 

と、白い或守の名前は鞠亜と雑に決まった。だが3人は思いのほか悪くないと思っていた。

 

[陽牙]

「あとは黒鞠亜か。なんか特徴みたいなのあるか?」

 

[士道]

「もう略されてる……。」

 

[リー]

「そうだな……見下してる感じで、何かを試してる感じだな。」

 

[陽牙]

「何かを試してるか……鞠亜関係なんだろうけど、まだ断定はできないから暫くは保留にしとくか。」

 

一旦この話を区切ることにして、明日からの予定を考える。一様ギャルゲーなので学校に行くかどうするかを考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━次の日の朝━━

 

 

[陽牙]

「と、いう事でお前らには学校に行ってもらう。ここでは俺がルールだ、拒否権はない。これは命令だ。」

 

[士道]

「圧倒的独裁者。」

 

[鞠亜]

「学校……ですか?」

 

鞠亜は突然の事に困惑していた。曰く、学校というのを学んでほしいらしい。9S直ぐに了承した。因みに名前の件は納得してくれた。

 

[陽牙]

「多分お前ら動画とかでしか学んでないだろ?それだと限界があるから実際に体験させたいんよ。」

 

[9S]

「僕は前から気になってたから楽しみだね。」

 

[鞠亜]

「それは私が求める愛に関係あるのですか?」

 

[陽牙]

「まだ愛に関してお前はまだ素人だからな、まずは色んな所から学べ。」

 

そう言いながらも制服に着替える陽牙。リーと士道も直ぐに着替えたかが、9Sと鞠亜の物がなかった為、その場で作り始めた。完成までそんなに時間は掛からなかった。

 

[陽牙]

「今思ったが、そうなるとお前ら転校生って形になるのか。」

 

[士道]

「そうか、俺の記憶で作られてるからいないのか。」

 

現実世界では9Sは学校には行ってない。それは鞠亜も同じである。

 

[鞠亜]

「では、私達はそういう風に書き換えておきます。」

 

トントン拍子で進み、全員で学校へ向かう。

 

そして学校へと到着し、席へと着いたが……

 

[陽牙]

「違和感しかねぇ……。」

 

[士道]

「確かにな……。」

 

[陽牙]

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛。」

 

[リー]

「声が汚い。」

 

そう、このクラスにはいつもいるメンバーが居ないのだ。おそらくだが、ルシア達が学校に入ってくるのが陽牙より遅かったのが関係しているのだろう。まずルシア達はこの世界に入ってきていない、仮にゲームでNPCとして再現するのはおそらく不可能である。コピーがオリジナルに勝てないといわれているが、その言葉の通りで再現するには莫大な人員と時間が必要だろう。まずその前に諦めるだろう。

 

時間になると、2人が入ってくる。

 

[鞠亜]

「或守鞠亜です。よろしくお願いします。」

 

[9S]

「9Sです。よろしくお願いします。」

 

2人とも簡単な自己紹介だった。だが士道はツッコミを入れる。

 

[士道]

「名前そのままでいいのか……?」

 

[陽牙]

「大丈夫だろ。別にみんな反応ないし、あくまでここはギャルゲーの世界だし。」

 

周りを見渡すと誰も不思議と思わず拍手するだけで、そのまま授業に入る。AI二人は初めての授業で戸惑う事があったが、それも段々と馴れて来ると問題も普通に解けるようになってきた。

 

その後は普段の学校生活をしていた。2人は初めてだった為、所々説明などした。

 

 

 

 

━━放課後━━

 

街を歩いてみたいという前提でデートをすることになっていた。なのだが、

 

[陽牙]

「無表情だな。手すら握らんし。」

 

[士道]

「AIだから恋人ってよりも愛って前提で考えるのかな?」

 

[リー]

「早すぎたんだろ。」

 

だがその考えとは逆に、2人は楽しそうに歩いていた。

 

[9S]

「そういえば鞠亜ちゃんは、この世界の全てを知っているんじゃなかったっけ?」

 

[鞠亜]

「いえ。ちゃんと歩いた事が無いので新鮮です。情報としては理解していますが、実際に歩いてみると少し違う印象を受けます。」

 

[9S]

「僕も少し分かるよ、その気持ち。」

 

[鞠亜]

「建物は大きく見えるし、通りはとても賑やかです。」

 

2人は会話を楽しんでいた。ここで鞠亜があることを思い出す。

 

[鞠亜]

「そういえば、9Sはアンドロイドと言っていましたね。貴方の世界ではどういうのがあったのですか?」

 

[9S]

「……今僕がつけてる目隠しあるじゃん?これって実はね、外しちゃダメなんだ。」

 

[鞠亜]

「どうしてですか?」

 

[9S]

「僕達はアンドロイド。感情を表に出すのは禁止されてて、その為につけられたのがこれなんだ。」

 

[鞠亜]

「それが今と関係あるのですか?」

 

[9S]

「僕はその世界でこれを外した。そこで見た景色はあまりにも悲惨だったよ。周りには砂煙、ボロボロの建物しかなかった。その世界では目隠しを外すことは禁忌を犯すと同じ意味を示してた。その結果、僕……いや、僕が所属してた部隊全員追放されたんだ。」

 

[鞠亜]

「そうですか……。」

 

[9S]

「でも後悔はしてない。他人と感情を共有できるし、こんなに綺麗な景色を見ることが出来るからね。それに━━」

 

[9S]

「君と一緒に居て……楽しいと思えてるからね。」

 

[鞠亜]

「そうですね……何故かわかりませんが、私もそう思えています。」

 

少し鞠亜の頬が緩んでいた。それを見た9Sも同じように頬が緩んでいた。それを見ていた陽牙達は嬉しそうだった。(陽牙がこっそり写真を撮っていた。)

 

 

 

 

 

 

 

━━次の日の朝━━

 

この日の朝、陽牙達は朝食を作っていた。それは良いのだが、2人が遅い。なので士道が二人を起こしに行こうとする。

 

ガチャ

 

[鞠亜]

「おはようございます。」

 

[9S]

「……おはようございます。」

 

扉が開き、2人は入ってくる。だが、9Sの顔が赤い。寝起きは目隠しをしていないのでもろに分かる。

 

[リー]

「随分遅かったな。なんかあったのか?」

 

[9S]

「朝起きたら……鞠亜が隣で寝てた。」

 

その言葉で三人はフリーズする。だがすぐに戻ってきた陽牙は9Sに問う。

 

[陽牙]

「朝チュンか?」

 

[9S]

「してないです!!絶対してないから!!」

 

[士道]

「また大胆な行動だな……なんでだ?」

 

[鞠亜]

「デートをする関係……即ち彼氏彼女の関係というものは、日常的に同じベッドで過ごすものと記録されています。今の9Sと私の関係性を考えれば至極当然の事です。」

 

[陽牙]

「ヤバイ方向へ向かってるぞこの子。」

 

[リー]

「それで同じ布団に入ったのか……?」

 

[鞠亜]

「はい。非常に魅力的な夜でした……。」

 

[陽牙]

「真顔で堂々と言ってるよ。てかさ、これ全部見られてるよな。」

 

本日二度目のフリーズ。士道やリーは知っていてわざと言わなかったのだが、陽牙が言ってしまったため9Sは縮こまってしまった。

 

[9S]

「あの二人にも見られちゃった……もう死にたい……。」

 

[リー]

「陽牙……そこは黙っておこうぜ……。」

 

[鞠亜]

「ついでに9Sの顔も見れたので良かったです。すごい綺麗でした。独占欲が少し感じられました。」

 

その言葉に9Sは頭から煙が発生するほど顔が赤くなってしまった。

 

[士道(引き気味)]

「AIってヤンデレなのか……?」

 

と、士道はAIに対して疑問を抱いていた。

 

そのまま学校へ向かい、授業を受け、家に向かって帰ると普段と同じことをした。途中猫と戯れたり、お菓子を買ったり、また街を回ったりした。

 

夜になると晩飯を食べ、時間になるとそれぞれのベットに入る。

 

[リー]

「……よし。ざっとこんなもんだろ。」

 

リーは布団に入らず、何かメッセージを書いていた。これは祐成に送るメッセージである。

 

[リー]

「少し外歩くか。」

 

リーは気分転換に外を散歩する。

 

[リー]

「……もう一度行ってみるか。」

 

目的地、それは公園だった。あの時、黒い或守と会った場所。そこへ向かって足を進める。

 

 

 

 

 

━━公園━━

 

[リー]

「にしても綺麗だな。」

 

[或守?]

「そうだね。夜のデートにピッタリ。」

 

後ろから返答するような声が聞こえる。振り返るとそこにはあの時会った黒い或守だった。

 

[リー]

「なんだ、お前も来たのか。」

 

[或守?]

「ええ。夜の景色を見にね。」

 

[リー]

「本当の理由は?」

 

[或守?]

「……そうね、あの子に伝えてほしいかな。『ちゃんと、あたしに愛を教えてね』って。」

 

[リー]

「えぇ……。」

 

[或守?]

「何でそんな嫌そうなのよ……。」

 

[リー]

「なんかお前のパシリみたいでヤダ。」

 

[或守?()]

「酷くない?!」

[或守?]

「ま、まあいいわ。とりあえずよろしくね。」

 

そのまま黒い或守は立ち去ってしまった。

 

[陽牙]

「あいつが黒或守か。」

 

[リー]

「見てたのかよ……。」

 

[士道]

「確かに似てるけど雰囲気とか喋り方が違うな。」

 

陽牙と士道はリーが外に出て行ったのを知っていた為、後を付ければもう一人の或守を見ることが出来るのではないかと考えストーカー行為をしていた。

 

[陽牙]

「ま、見れただけでも収穫はあった。」

 

[リー]

「一様先生たちが調べてると思うからいずれ分かるだろ。」

 

そのまま三人は家へ帰り、布団へ入り眠りにつく。

 

 

 

 

 

 

━━再び次の日の朝━━

 

[9S]

「ん……もう朝か……一様……。」

 

寝起きで思考がボヤけているが、念のために確認する。布団を少し捲ると、

 

[鞠亜]

「すう……すう……。」

 

案の定鞠亜が寝ていた。それもお互い向き合いながら。9Sは起きてそのままの体制で捲ったので少し下の方にいた。

 

ガチャ

 

[陽牙]

「おーい起きてる……か……。」

 

[9S(絶望)]

「あ……。」

 

9Sは一番見られてほしくない人に見られてしまった為、絶望したような表情をする。

 

[陽牙]

「お前ら等々ヤったのかあぁぁぁぁぁぁぁ?!?!?!?!」

 

[9S(ガビーン)]

「違ぁぁぁぁぁぁぁぁぁう!!」

 

9Sの予想していた事を大声で言われてしまった。

 

[鞠亜]

「ん……おはようございます、陽牙に9S。」

 

[陽牙]

「おうおはよう。」

 

[9S]

「…おはよう鞠亜。」

 

[鞠亜]

「先程大声が聞こえましたが、何かあったのですか?」

 

[9S]

「ううん大丈夫。それじゃあ早く朝食を食べようか。」

 

[鞠亜]

「そうですか。それでは行きましょう。」

 

鞠亜は直ぐに布団から出て、リビングへ向かう。その後ろを陽牙と9Sが着いていく形となった。

 

リビングに着くと士道とリーが既に座っていた。3人も席に座り、いただきますと言って朝食を食べる。その間に、今後の予定について話し合う。

 

[陽牙]

「今日は何も無い日だし、折角だから鞠亜自身何がしたいか用件聞きたいねぇ。」

 

[鞠亜]

「どういう事ですか?学校があるのでは?」

 

[士道]

「土日は学校ないよ。」

 

[鞠亜]

「成程。確かに休日には学校はありませんね。失念していました、すみません。」

 

[リー]

「もしかして学校に興味持ったのか?」

 

[鞠亜]

「そうですね。まだ興味が尽きない事が沢山ありますから。」

 

[陽牙]

「ま、休み終わったらまた学校行けるぞ。とりあえず今日は好きな事したり自由に行動して過ごすしかないな。」

 

[鞠亜]

「好きな事、ですか?」

 

[陽牙]

「そそ。例えばゲームしたり、寝たりとか、まあ自由に過ごすってことだ。何かしたい事とかないのか?」

 

[鞠亜]

「では9Sとデートがしたいです。」

 

[士道]

「ストレートだね……。」

 

[陽牙]

「うーん、それだと前も同じような事やったし、他にないのか?」

 

[鞠亜]

「そうですね……陽牙達と遊びに行ってみたいです。」

 

[陽牙]

「別に構わんよ。」

 

[士道]

「同じく。」

 

[リー]

「逆に断る奴いないだろ。」

 

[鞠亜]

「そうですか。ならばそちらを……と考えましたが、そうすると9Sとデートは出来なくなってしまいます。それならどちらを選ぶべきでしょうか……友人か、9Sか。」

 

その問いに簡単に答える陽牙。

 

[陽牙]

「こういう時は両方だ両方。ちょうどやりたいことあるし。」

 

[鞠亜]

「分かりました。それでは早速行きましょう。」

 

それぞれがデートという名のお出かけの準備をして、目的地へ向かう。

 

 

 

 

 

 

━━ショッピングモール━━

 

やってきたのはショッピングモール。ここだとデートっぽいことも出来るし、陽牙のやりたいことが出来るからである。そのやりたい事とは、

 

[陽牙]

「パジャマはっけーん!!」

 

服探しである。最近陽牙の持ってる服がボロボロになってきているらしいので来ている。それだけなら良いのだが、

 

[士道(引き気味)]

「態々女物じゃなくてもいいだろ。」

 

陽牙が入っていった店は女性ものが多い店だった。まあ見た目が見た目だから仕方ない。

 

[陽牙]

「ついでに9S、鞠亜になんか服選べ。鞠亜は9Sの服選べ。そしてあそこの更衣室でお互いに着せあいっこしろ。」

 

[士道(ガビーン)]

「待て待て待て!!それはいかんやろ!!」

 

[リー]

「地味に犯罪者に仕立て上げようとするなよ……。」

 

[鞠亜]

「9Sはしたいですか///?」

 

[士道(ガビーン)]

「どうしてそんなに乗り気なのぉぉ?!」

 

[9S]

「いや、流石にやめとくよ。服は選ぶけど。」

 

[鞠亜]

「そうですか。では私たちは別で行きましょう。」

 

[陽牙]

「なあこのパジャマよくね?」

 

[士道(諦め)]

「ネグリジェじゃねえか。まあ陽牙は見た目が見た目だしいいんじゃねえか?」

 

陽牙達が何か言ってる最中に、9Sと鞠亜は別の場所へ向かう。

 

[鞠亜]

「では、何にしましょうか。」

 

[9S]

「軽くでもいいから何か選んでおきたいね。お、これいいじゃん似合いそう。」

 

9Sが選んだのはピンク色の服に白色のフリルがついたミニスカートだった。実際に着させてみると似合っていたので鞠亜の分は決定した。対して鞠亜が持ってきたのは軍服と眼鏡だった。9Sの元の服装は軍服に近いためそのイメージを壊さないようにしたらしい。そしてメガネは伊達メガネにしていた。お互いがお互いの選んだ物を気に入り、レジへ直行した。

 

そして買い物が終わり陽牙達の方向へ向かう。集合したとき陽牙に親指を立てられたらしい。

 

この時フラクシナスではいろんな意味で大変なことになっていたらしい。

 

 

 

 

━━夜━━

 

[リー]

「なんか腹減ったな。家に帰ってから食うつもりだったんだが、肉まん食べるか。」

 

買い物を済ませたリーはそのまま家に帰り夕食を食べたのだが、どうしてか小腹がすいたのでコンビニに向かい肉まんを複数個買っていた。

 

[リー]

「……なんか久々に食べた感じがするな。って、ん?」

 

そのまま公園を通り過ぎようとしたが、そこにやると目を向けるとあの黒い或守がおり、目が合ってしまった。

 

[リー]

「こんな所で何してるんだ?」

 

[黒い或守]

「君には関係無い事だよ。それで、何持ってるの?」

 

[リー]

「肉まんだ。折角だし1個やるよ。」

 

袋から肉まんを取り出し、黒或守へ差し出す。

 

[黒い或守]

「……別にいらないけど。」

 

[リー]

「そんな強がらなくたっていいだろ?丁度今寒いし貰っておけ。」

 

[黒い或守]

「……まぁそこまで言うなら貰ってあげる。」

 

黒或守は肉まんを受け取ったが、そのままジーっと見つめていた。

 

[リー]

「そのままだと冷めて美味しくなくなるぞ。」

 

[黒い或守]

「ふーん……はむ。」

 

[リー]

「はむ。んー美味いなやっぱり。」

 

[黒い或守]

「……確かに美味しい。温かくて……じゅわってする。」

 

その後は、黒或守と共に買っていた肉まんを全部食べた。彼女も少し嬉しそうに食べていた。全部食べ終えるとゴミを捨て、家に帰ろうとする。

 

[リー]

「んじゃ、また。」

 

[黒い或守]

「……待って。」

 

帰ろうとした所で黒或守から声を掛けられる。

 

[リー]

「何だ?」

 

[黒い或守]

「ずっと忘れてたんだけど……君の名前は何て言うのかな?」

 

[リー]

「そういえば言ってなかったな。俺は乱数リーだ。漢字だと里って書く。」

 

[鞠奈]

「リーね……分かった。なら私の事も鞠奈って呼んで。」

 

[リー]

「鞠奈か……いい名前だな。」

 

[鞠奈]

「っ?!じゃあね!!」

 

少し顔を赤くしながら走り去って行った。だがその顔には少し笑顔が見えた。リーはもう1人の或守の名前を知ったが、あえてその事を他の人に黙っておく事にした。

 

 

 

 

 

━━次の日━━

 

[士道]

「えーと今日は……遊園地に行くんだっけ。」

 

次の日も同じ様にデートプランに着いて考えていた。ただ違うとするなら今回陽牙がいない事だ。曰く、『ちょっとやりたい事が出来た』らしい。なので今いるのは士道、リー、9S、鞠亜だった。

 

[リー]

「鞠亜は遊園地ってどんな場所か知ってるのか?」

 

[鞠亜]

「はい、情報としては認識しています。ですが、実際に行くのは初めてですね。」

 

[リー]

「てか俺も初めてだな。陽牙達もだけど。」

 

[9S]

「そうなんですか。てっきり行ったことがあると思ってました。」

 

[リー]

「俺達とは無縁の関係だったしな。バイト三昧万歳。」

 

[士道]

「それは喜んでいいのか?」

 

そんな事を言いながらも朝食を食べる。食べ終えると各々がちょっとした準備をする。それが終わると早速外へ出る。扉を開けると目の前には黒のハイエースが止まっており、陽牙が事前に用意してくれた車だった。それに乗り、遊園地へ向かう。因みに運転するのはリーである。

 

[士道]

「鞠亜は何か乗りたい乗り物とかあるのか?」

 

[鞠亜]

「……幾つか候補を考えたのですが、これで決定というまでには行きませんでした。強いて言うならば……そうですね、全部です。」

 

[士道]

「ぜ、全部か。でもそれだと時間が足りなくなるかもしれないぞ?人数とかの関係で。」

 

[鞠亜]

「遊園地は人が多く、混むものだと認識しています。これを何とかしてしまって遊園地を楽しめるのでしょうか。それに、今のままでも問題ありません。」

 

[士道]

「そ、そうか。」

 

[9S]

「……こんな日が続けばいいな……。」ボソッ

 

士道と鞠亜が話している時に、何か考えながらボソッっと口にする9S。それを聞いていたリーも同じ事を思っていた。だがあの黒い或守━━鞠奈の事が気になって仕方がなかった。だが今はその事を後回しにして車を走らせる。

 

 

 

━━遊園地━━

 

[鞠亜]

「ここが……遊園地……。」

 

[リー]

「某ネズミのアトラクションが出てきそうな場所もあるな。」

 

[士道]

「細かい事は気にしちゃいけませーん。」

 

[鞠亜]

「人が沢山いてとても賑やかですね。沢山の笑顔が溢れていて、私も笑顔になってしまいそうです。」

 

[士道]

「それが普通なんだよ。誰かを喜ばせるには、自分が喜ぶことなんだ。」

 

[鞠亜]

「では、沢山笑った方が皆さんにとって良い事なんですね。」

 

[リー]

「まあそうだな。よし、それじゃあ遊ぶか。」

 

全員で話し合う。その結果最初に行く事になったのはホラーハウスとなった。

 

[9S]

「だったらこのマスク外すか。」

 

[鞠亜]

「どうしてですか?」

 

[9S]

「これ付けてると情報が沢山入ってくるからね。やっぱり新鮮さを味わいたいからね。」

 

そう言いながらも向かっていく。そして中に入ったのだが、

 

[鞠亜]

「ホラーハウスというだけありますね。室内の光度と温度を下げ、恐怖を演出している様です。」

 

と、言う感じに鞠亜が実況している感じになっている為最初から恐怖が半減されている。

 

[9S]

「待って無理無理無理無理無理無理無理無理!!!!」

 

[士道]

「落ち着けぇ!!」

 

が、9Sはすごい怖がっている。何故?

 

[鞠亜]

「大丈夫ですか?」

 

[9S]

「幽霊無理!!」

 

[鞠亜]

「大丈夫ですよ9S。私がついていますから。」

 

[士道]

「聖母マリアだなやっぱり。」

 

[リー]

「とりあえず別の場所行くか。9Sがおかしくなってる。」

 

[鞠亜]

「そうですね。ではコーヒーカップに行きましょう。」

 

鞠亜に言われコーヒーカップのある場所へ向かう。9Sと鞠亜は同じ場所に座り、一緒にテーブルを回していた。

 

[鞠亜]

「床が音楽に合わせて回っていて……まるで、踊っている様ですね。楽しいです。」

 

[9S]

「そうだね。僕も初めてだから楽しいよ。」

 

まるで恋人みたいな感じの雰囲気を漂わせる二人。そのまま次のアトラクションに乗ったり、食べ物を買ったりとして、数時間が過ぎていた。

 

[鞠亜]

「ふふ、楽しかったですね。」

 

[9S]

「ホラーハウスは苦手だけどね……。」

 

[鞠亜]

「とても良い経験でした。遠慮なく声を出せる場所……カラオケとはまた違う感じで、新鮮でした。」

 

その言葉にピンとくる士道と、リー。すかさず士道が言葉を掛ける。

 

[士道]

「もしかして二人きりでカラオケ行ったのか?」ニヤニヤ

 

その言葉でハッと我に返る鞠亜。9Sは顔が真っ赤になっていた。

 

パシャ

 

[リー]

「ちゃんと写真は撮ったぞ。後で記念にやるぞ。」

 

[9S]

「あ、有難うございます。」顔真っ赤

 

その後も日が暮れるまで遊園地で遊んでいた。

 

 

 

 

 

 

[鞠亜]

「ふふ、今日は楽しかったです。」

 

時間は既に5時を過ぎており、日が沈みかけている。そのまま家に帰るつもりだったが、天宮駅で一旦解散となっていた。理由は単純に晩飯を買うためである。

 

[鞠亜]

「少し整理したいことがあります。いいですか?」

 

[9S]

「いいよ。でも遅くならないでね。」

 

[鞠亜]

「分かりました。では、また。」

 

[士道]

「じゃあね。」

 

そう言って、それぞれの用事を軽く済ますこととなった。士道と9Sはお互いに今日の晩飯を買うためにデパートに向かって行った。リーは車の中で待っていた。

 

[リー]

「ん?」

 

車の中で待っていたリーは、あるものを目撃する。

 

[リー]

「鞠奈?こんなとこで何してるんだ?」

 

リーが見たもの、それは鞠奈の姿だった。暫くして、信号が青になると鞠奈が歩き出す。

 

[リー]

「ゲームの世界でもこういうのはしっかりしてるんだな……ってうん?」

 

再びリーは何かに気付く。それは一人の御婆さんだった。歩いている途中に、荷物が重かったのか途中で歩くのをやめていた。

 

[鞠奈]

「━━━。」

 

[リー]

「何言ってんだアイツ。」

 

車の中なので鞠奈が何を言っていたのかはわからないが、少し不機嫌そうだった。そのまま鞠奈は御婆さんの方へ近寄り、勝手に荷物を持って行ってしまった。

 

[リー]

「ありゃまるで泥棒じゃねえか。てか婆さんあのままだと轢かれるじゃん。」

 

直ぐに車を降り、御婆さんの方へ走る。そのまま御婆さんの手を引き、歩道を渡る。

 

渡りきると御婆さんはお礼をして歩いて行った。

 

[リー]

「荷物持ちながらでもいいから婆さんも連れて行けよ。てか、礼言われてんのにそんな不機嫌なんだよ。」

 

[鞠奈]

「……別にリーには関係ないわ。」

 

[リー]

「えぇ……。」

 

凄いツンツンしてる鞠奈嬢。そのまま何か言葉を掛けようとしたが中々出てこない。その間に鞠奈は走り去ってしまった。だがその時に見えた顔に違和感を感じたリーはあることを推測する。

 

[リー]

(多分アイツは……何かを背負ってる感じがするな……。一様気にしとくか。)

 

[士道]

「随分不機嫌そうだったな。」

 

[リー]

「見てたのか……。多分アイツは何か背負ってる感じがするんだよな。」

 

さっき推測したことを帰ってきていた士道と9Sに言う。

 

[9S]

「だから御婆さんの荷物持った時も不機嫌そうだったのかな……つらい過去なのかな。」

 

[リー]

「まだわからんが、おそらくはそうだと思う。そろそろ陽牙の準備も終わるだろうしな。」

 

この後の予定を考えながら、三人は車にのり、家に向かって行った。

 




皆さんこんにちは作者です。今回はここまでにして、次で或守インストール編最後です。今まで書いた中で一番大変だったと思う。次書く小説はウマ娘です。

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