万由里との騒動も終わり、天宮市が平和になり気づくと既に10月シーズンになっていた。
[美九]
「うふふー。ねぇ、だーりん。もっとこっちに来ても良いんですよぉ?ほぉらぁ。」
[カムイ]
「えっとだな……美九?」
本来やることがありフラクシナスに集まっているのだが、この状態なのである。
[美九]
「何ですかー?あ、そうだ。この前美味しいイタリアンのお店を見つけたんですよぉ。今晩って何か予定有りますかぁ?良かったら一緒に行きましょうよぉ。」
[カムイ]
「流石にそれは申し訳ないっていうか……。」
[琴里]
「……そろそろ良いかしら、美九。」
[美九]
「え?そろそろって何がですかぁ?」
[リー]
「美九が駄々こねるから特別室用意してもらったんだろ。」
[美九]
「あぁ、そう言えばそうでしたねー。」
[陽牙]
「……。」ピキピキ
[士道]
「早めに言わないと約一名限界が来てる人いるぞ。」
[琴里]
「……そのようね。それじゃああなたの能力について、天使について、聞きたい事は色々とあるけど……それらはとりあえず後に回しておくわ。まず、確認しておかなければならないのは、あなたを精霊にした存在の事よ。」
[美九]
「……!」
[琴里]
「あなたは生粋の精霊では無く、元は人間だった。それは間違い無いわね?」
[美九]
「……。」
これらの話は士道にも関係がある話だった。かつて士道はその人物に会っており、ほかの精霊たちにも関係があった。美九は自分の過去の話をするのに辛そうな表情をしていた。
[カムイ]
「大丈夫か……?」
[美九]
「……いえ、大丈夫ですよー。私にはだーりんがいます。その過去も全部含めて、前に進むって決めましたから。」
[カムイ]
「そうか……。」
そうして、美九は落ち着きを取り戻しながら、ゆっくりと語った。
[美九]
「ええ……そうですよー。今から数ヶ月前……みんなに裏切られて、心因性の失声症で声を失って、生きる希望を無くした私の前に―――『神様』が現れたんですー。」
[陽牙]
「神ねぇ……。」
[美九]
「『ねぇ、力が欲しくない?世界を変えられる位の、大きな力が欲しくはなぁい?』。『神様』はそう言って私に、キラキラ光る紫色の宝石みたいなものを差し出しました。そして、それを受け取ろうと手を伸ばしたら、その宝石が私の身体の中に溶け込む様に入って来て……次の瞬間には、私は、誰にでも言う事を聞かせる事の出来る、魔性の『声』を手に入れていたんですー。」
[ルナ]
「……魔法少女系か。」
[ルシア]
「……間違ってはないね。大体そんな感じかな。」
[琴里]
「なるほどね……。出来ればなんだけど、その『神様』とやらの事を分かる限り全て話して頂戴。」
[美九]
「全て、と言われましてもぉ……何だか不思議な感じだったんですよねぇ。確かにそこにいるのに、ノイズ掛かった様に姿が認識出来なかったり、確かに声を聞いて、その内容を理解しているのに、どんな声だったか全く分からなかったり━━━何て言うか、存在そのものにモザイクが掛かっている様な感じだったんですー……。」
[士道]
「成程……。」
美九から伝えられた情報は、過去に士道から教えられた情報と一致していた。琴里はもう一つ別の質問をする。
[琴里]
「質問を変えるわ。あなたは精霊の力を手に入れてから、破壊衝動に襲われたり、自我を侵食されたりした事はある?」
[美九]
「破壊衝動……ですかぁ。いえ、あまり思い当たる節は有りませんけどぉ……。」
琴里は「ふぅん……。」と言いながら、書類に何かを書き込んでいた。
[士道]
「それは?」
[琴里]
「もしかしたら私のケースと同じ事が美九にも起きてるのかも、と思って。でも、どういう事かしらね。霊力の種類によって性質が違うのか、個人の適性の問題なのか……もしくは、〈ファントム〉が私の時に、人間に霊力を与えるコツを掴んだとか?はっ、もしそうなら、実験台にされたこっちとしては堪ったものじゃあないけれど。」
そんな風に忌々しげに琴里が呟く。士道も思い当たる事があるのか、複雑に思っていたのだ。士道や琴里、美九にも会ったファントムという存在。
[ビアンカ]
「……今の話を聞いて、やはりそのファントムに近い存在なのは、凜祢さんや万由里さんということがわかりました。」
このメンツの中で一番頭が良いビアンカがそれに気づく。
[陽牙]
「まあそうだろうな。まあだからと言ってそれを聞いたところでわからんだろうけど。」
[美九]
「私を無視してみんなで考え込まないで下さいよぉ。」
[カムイ]
「あ、ああ……悪い。」
[琴里]
「ごめんなさいね。でも安心して。事情聴取はまだ始まったばかりよ。これからもしっかり詳細な話を聞いてあげる。〈ファントム〉に記憶操作をされてる可能性も捨て切れないから、ちょっと脳波を見る為に頭に電極貼りましょうねー?」
琴里がニコニコと笑顔で見ていたが、美九は嫌そうな顔をするのであった。結局美九が解放されたのは、夕方になっていた時だった。フラクシナスで転送された時の美九は既に満身創痍位のレベルになっていた。
[カムイ]
「大丈夫か?」
[美九]
「つ、疲れましたぁ……何かもう、今日は真っ直ぐおうちに帰ってお布団にダイブしたい気分ですー……だーりん、ごめんなさいなんですけど、例のお店はまた今度でも良いですかぁ?」
[カムイ]
「流石に疲れただろ、問題ないぞ。」
[美九]
「その代わり━━━」
ムギュッ
美九はカムイに向けて体を押し付ける。それに対してカムイは赤くなってしまう。
[美九]
「一緒に行きませんか……?」
[カムイ]
「行きます!」
カムイは美九の誘いに対して一瞬で反応する。そして二人は美九の家まで歩ていった。
琴里は、士道達を地上へ送った後、執務室で一人作業していた。そして目の前の画面には、録音した美九の音声を文章データに起こしたものが表示されていた。色々と考え、琴里自身にも関係のするこの相手に関して熱心に挑んでいた。
これには他の機関員にも協力をしてもらわず、一人で黙々と行っていた。
[琴里]
「美九に与えられた紫色の霊結晶……ファントムは一体幾つの霊結晶を持っているのかしら……もし無尽蔵にそれを創り出せるとしたら━━━」
そう言って考えていた所、不意に冷たいものが押し出され琴里は甲高い声を発した。
[琴里]
「ひゃっ!?な、何よ一体……!」
[真那]
「熱心なのはいーですけど、ちょっとばかし根を詰め過ぎじゃねーですか?」
と、真那が軽く微笑みながら言った。真那から渡されたコーヒーを琴里は受け取った。
[琴里]
「……言われなくても分かってるわよ。」
[真那]
「それで、どうだったんですか?何か進展は?」
[琴里]
「……残念ながら。五年前、私達の前に現れた〈ファントム〉と、美九に接触して来た『何か』が、恐らく同一の存在だろうって事が分かっただけだし……。」
[真那]
「そうでやがりますか……。」
そんな会話をしていると、扉が開きそこからルナが入ってきた。
[ルナ]
「あまり遅く仕事しちゃダメよ。貴方達はまだ若いんだから。」
[琴里]
「ルナ……ありがとう。」
[ルナ]
「兄さんが言ってたわ。『琴里は絶対にやってるだろうから、まずは寝かせとけ。じゃねえとナイスな女にはなれねえぜ?女は肌に気をつけろよ。』ってさ。」
[琴里]
「うわ……てか陽牙は男でしょうが……。」
[ルナ]
「そこは気にしちゃだめよ。真那も早く帰りなよ?明日姉さんと訓練なんでしょ?」
[真那]
「そうですね。それじゃあ退出させてもらいますんで。」
そういって真那は扉から出ていった。それと同時に通信機から連絡が入ってくる。
[通信機]
『―――五河司令。本部から通信が入っています。実は、ウッドマン卿が―――』
[ルナ]
「はぁ……私も同席するわ。今のあなたは心配だもの。」
通信機から連絡を受け、琴里は真面目モードに入りそれをみたルナはため息をつきながら同席することにした。
一方で、天宮市では10月を迎えていた。この時はハロウィンムードになっていた。なので、陽牙や士道、十香がこの街の雰囲気に馴れようとしていた。
[十香]
「おお……シドー、ヨーガ、あれは何だ?」
[士道]
「ああ、あれはジャック・オー・ランタンだ。カボチャをくり抜いて作っているんだ。でも、あれは本物じゃなくて、プラスチックなんだけどな。」
[十香]
「カボチャ?あのお化けはオレンジ色だぞ?カボチャは緑ではないのか?」
[士道]
「それは日本の場合だな。外国だとああいう色が多いからな。」
[十香]
「何と……あんなに大きいと、煮物と天ぷらスープにしてもまだ余りそうだな。」
食べ物ばかり話すものなので、こっちもちょっとだけお腹が空きそうになる。一方陽牙のほうは……
[陽牙]
「ハロウィン……ハロウィンといえばお菓子……買いだめしとくか。」
[士道]
「てっきりコスプレするのかと思った。」
[陽牙]
「コスプレは面倒くさいからやらない。普通にお菓子配るだけだろうなやるんだったら。」
そんな会話をしていると十香が反対側から来ている人とぶつかりそうだった。
[士道]
「って、おい十香!前見て歩かないと危ないぞ!」
[十香]
「うぬっ!」
ドンッ!
[士道]
「あーあ……言わんこっちゃない……すみません、お怪我とかありませんでしたか?」
[男性]
「いや、こちらこそ済まなかったね。大丈夫かい、お嬢さん。」
[十香]
「うむ、大事無いぞ。」
ぶつかった相手は老人とも思われる大人の男性が車椅子に座っていた。それを押している女性らしき人も見えた。
[男性]
「そうかい、それは良かった。そう言えば、一つ聞きたい事があるんだ。君達、市民病院の場所を知らないかい?」
[陽牙]
「市民病院だっら、今いる場所を上から見下ろして向こうを前にすると左斜め前だ。案内するか?」
[男性]
「済まないが、そこまで案内してくれないかい?」
[陽牙]
「わかった。」
とりあえずその二人を案内することにした士道と陽牙。特に何か予定があるわけでもなく時間にも余裕があったためそうすることにした。
[男性]
「済まないね。日本人は本当に親切だな、感動してしまうよ。」
[陽牙]
「んな大袈裟な事じゃないって。えっと……。」
[ボールドウィン]
「ああ、ボールドウィンとでも呼んでくれ。こちらはカレン。」
[陽牙]
「神領陽牙。よろしく。」
[士道]
「五河士道です。」
[十香]
「私は夜刀神十香だ!」
一人ずつ自己紹介を済ますと、ボールドウィンは上機嫌に頷いた。
[ボールドウィン]
「うむ、異国の地で素晴らしいカップルと美しい少女に出会えた事に神に感謝せねばならないな。」
[士道]
「えっと……実は俺たちカップルではなくてですね……。」
[陽牙]
「俺は女じゃなく男だからな。」
[ボールドウィン]
「本当かい?これは失礼したよ。見た目からして綺麗な少女だと思ってしまったよ。」
[陽牙]
「お世辞として受け取っとくぜ。」
そんな話をしていると……
ウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ―――――!!!!
[士道]
「警報?!」
[陽牙]
「いつも唐突に起こるもんだな。」
[士道]
「ボールドウィンさん!ここは危険です!急いで避難して下さい!」
[ボールドウィン]
「そうするとしよう。しかし、君達はどうするんだい?」
[陽牙]
「用事ができたからな。そこに向かう。」
[ボールドウィン]
「そうかい。意地の悪い質問をしてしてしまった。また会える幸運を願っているよ。頑張ってくれ。精霊を、よろしく頼む。」
[士道/十香]
「っ!?」
[陽牙]
「……。」
最後の言葉に二人は驚いてしまう。カレンとボールドウィンはそのまま避難所へと進んでしまっていた。最後に呟いた精霊という言葉。恐らく裏の関係にある人物だろう。
[士道]
「陽牙、今の言葉……。」
[陽牙]
「そういう風に捉えていいだろうな。」
[十香]
「それにあの後ろにいた女性……どこかで見たことあるようなないような……。」
[陽牙]
「とりあえずそのことは後だ。今はこっちを優先するぞ。」
十香はフラクシナスへ、士道と陽牙は出現した精霊のほうへ歩いて行った。
大変お待たせしました。その割には文字数少ないけど。生存報告含めての更新です。リアルのほうでは車を中古で新しく買ったりなどいろいろなことがありました。
Strinovaのキャラ出した小説作るか(原作はなんでも)
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作る
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作らない