NTRと主人公に思われたくないけど、童貞は捨てたい転生者   作:鳩は平和

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これで一巻しゅーりょーです!!

リクエスト全般に関しては、感想で言うのではなくメッセージ等でお願いします。

また私自身活動報告等でも、『こんな作品書くけど、どんなのがいいかなあ』と投げますので、そちらの方でよろしくお願いします。

祝ルーキー日間6位!!ありがとうございます!!


雨降って地固まらない

俺はとりあえず、名前を聞いて頭を抱えた、ケルト神話の魔神の次は日本神話最大の問題神がいま、俺の中にいる。どう考えても、普通はこんなことは起きないだろう。

 

「とにかく帰ろう……もし、魔族と勇者にこのことが知られたら絶対に警戒される」

 

そう誰もいない廊下にて決心するが、この剣重たいし………どうやって、持てばいいんだよ。引きずったら廊下に傷跡つけるし……早く消えて!!

 

そういうと剣は光の粒子となり細かく消えていった。うーん、これも俺の武器になるんだろうか?

 

『おいおい、帰るのかよ〜これから良いところだったのによ〜』

 

(オレ)は強者と戦えればそれで構わない』

 

二人が同時に話し俺の脳内に響かせた。俺は思わず頭を押さえた。

 

「うるさい、いっぺんに話すな……頭が痛くなる」

 

こんなところ1秒でも早く逃げたい……あの五体の影だって、スサノオが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

俺は三階から一階へ戻るために階段を降りる…………しかし、いつまで経っても一階にたどり着くことは無かった。

 

「あれ?」

 

階段近くにあるプレートを見れば三階と書いてある………

 

「なんでだよ!?俺はたしかに、降りたはずなのに………どうして」

 

俺は悩み焦る……このままずっと立ち往生しているわけにはいかない、かと言って何か対抗する方法もない。

 

『ウヒヒ、俺サマに身体を開け渡せばこんなのすぐに破壊出来るぜ』

 

「それだけは絶対にない」

 

『そうかよ………つまんねえな』

 

そしてバロールは興味を無くしたのか、その声を出すことがなかった。

 

『ん?……小僧、(オレ)天羽々斬(アマノハバキリ)を出してみろ』

 

スサノオが何かに気づいたのかオレに提案してきた。

 

「出してみろって言われても………どうやって?」

 

『はぁ………念じてみろ』

 

スサノオに深いため息を無視した……いいよ、俺はすぐに理解出来ない凡人だからなっ!!

 

「出てこい……出てこい……出てこいっ!!」

 

どうやって出せばいいのかわからなかった俺はただひたすらと念を口に出しながら送った。

 

その時光の粒子が集まり、さっきの武器へと形成した。

 

『それをその振り下ろせ』

 

「あのね、スサノオ……そう簡単に振り下ろせって言うけどこんな重いもの『なんだ、まさか持つことすら出来ない軟弱者なのか』……」

 

スサノオの言葉に俺は久々にキレちまったぜ……上等じゃねえか、やってやらぁぁ!!

 

「やっぱり重い……だけど、なんのこれしき!!」

 

ゆっくりと上にあげる、もしこれで足を滑らせたら多分俺が死ぬと思う。

 

「どっせい!!」

 

重さを利用し、大上段から一気に振り下ろした。瞬間、その剣は何もない()()()()()()。空間はひび割れ砕けちり、そこにあったよは光すら飲み込むブラックホールらしきものが存在していた。

 

「えっ!?」

 

『なんだ、何かを幻覚で覆っていたののか』

 

俺が驚く中、スサノオはこともなげに呟いた。さっきまでそこには何もなかったはずなのに……スサノオはどうやって気づいたんだ。

 

『──ふーん、これまた厄介な()だな」

 

バロールがまた起き出し、発した言葉に首を傾ける。

 

「──剣?」

 

『ああ、おそらくだが、幻に気付いたのはその剣が()()()()()()()()

 

バロールがそう言い、俺は両手に持つ先端の欠けた剣を見つめる。スサノオといえば、日本最大の怪物八岐大蛇を倒した偉業が有名……そして……

 

「そうか、思い出した!」

 

『何かわかったのかよ、その剣の正体が?』

 

「多分、これは日本神話最古の火伏せの剣。スサノオの愛剣だった天羽々斬だよ」

 

日本で有名な剣の一つであり、その先端はスサノオの尾を斬った時に欠けた。

 

「けど、それがどうして?火伏せは火災を防ぐという意味だけど?」

 

『火っていうのは、文明の象徴のほかに死を……つまり終わりを象徴させるものなんだよ、それが転じて災厄を防ぐという意味があるだろう?』

 

バロールの言葉に納得した、災厄を撒き散らす八岐大蛇を退治したこの剣は、極めて強力な魔を払うどういうことかな?

 

つまり、魔族が作り出した幻術は魔に属するからこの剣が反応し、それを払ったということ……これ、下手したら魔族や勇者に即座に始末案件か監禁案件なのでは!?

 

「よし、帰ろう……今すぐに……」

 

『ウヒヒ、ラノベだとこういう場合その剣で魔族を狩り女を魅了するものなんだけどな』

 

うるさい、俺は少年誌、努力で成り上がる主人公に共感を持つんだよ。無双系はあんまり好かん!!

 

「この隙間……あれ?」

 

いつのまにか……俺の声が……まさかっ!?

 

俺はスマホを取り出し、カメラを内カメラに変換して鏡代わりにすると………女の子の顔になってた。

 

 

「つまりは……うわっ!!」

 

胸もしっかりと女の子だよと主張していた……なんでだよ……これはどういうことだよ。

 

「けど……このまま帰れば関係ないか……うう、ズボンが違和感しかない」

 

剣を出し入れを慣れたのか、すぐに剣を消して俺はブラックホールギリギリを攻めようと思う。

 

「あっ……」

 

これが偶然なのか……それともどこにいるかわからない神の仕業なのか、俺は足を滑らせて、そのブラックホールの中に入ってしまった。

 

ー○●○ー

 

成瀬澪は自身が使える魔法を白画面に叩き込み、燃え盛る炎を荒い息を吐きながら見ていた。

 

「はぁはぁ………これで…」

 

「これで気が済んだかな?」

 

炎の中から声がし、ヒュゴォォォっという風のような音と共に炎が掻き消さられる。服すらもダメージなく白仮面が動かずに佇んでいた。

 

「そんな……」

 

「何を驚いているんだい? 相手が先にいる場所に何も用意なしにうんっ?」

 

白仮面は何かに気づき上空を見上げた、成瀬も空を見ると夜空に一つの穴が出現し、一つの影が二人の間に落ちてきた。

 

「イタタ………ついてない」

 

月明かりが影の正体を知らせた……銀色の髪に蒼い瞳をした少女だった。少女はゆっくりと立ち上がり………周りを見て騒然とした。

 

「……まじかよ、おい」

 

ー○●○ー

 

どうやら俺は……成瀬澪と魔族が対決している間に落ちてしまった……いやいや、おかしいでしょう、普通落ちるとしたら、学園のはずなのに………なんでだ?

 

『おそらくだけど、なんらかの想いが反映したんじゃねえか?』

 

なるほど、つまり犯人はお前だな、バロール。

 

『おいおい、すぐに決めつけるのは良くねえぜ……それに俺ならもう少し上手くやるぜ』

 

よし、お前はくっそ性格悪い魔神だな。

 

『ふむ、ならばここに着いたのは(オレ)だろう』

 

スサノオがそう言った……なんだと、この原因はおまえがっ!?どうしてだっ!!

 

(オレ)が求めるのは強者との戦い。相手の数も技も獲物も関係ない。その全てを我が力で叩き潰してくれる。その道に強者がいるならそこに向かうまでよ』

 

俺は頭を抱えた、ある意味でスサノオもバロールと同類だ。バロールが享楽と堕落を破滅を楽しむように、スサノオは闘争を愉しんでいるんだ。

 

「ああ、ここで……本当にあの学園でゆっくりしておいたら何もしていなかったのに……成瀬銀」  

 

「……銀、もしかしてあなた……」

 

ここでこの姿をばらすとか本当に魔神といい魔族といい本当にいい性格をしている……

 

「うっさい……本当に俺は……ついてないけど、俺は決めたんだよ、お前の顔面を殴るって!!」

 

スサノオの剣である天羽々斬を呼び出した………正直にいうと勝てる気がしないけどね。オレ……勇者の子じゃないし、ただの人間。

 

「はあ、ここまでしないなら殺す気はなかったんだけどなぁ、一つ言っておくと後ろにいるの僕と同じ魔族だぜ?それも、無関係なら放っておくのがセオリーだと思うけどなあ」

 

白仮面の魔族はやれやれとため息を吐いていた。

 

「たしかに、俺だってここに来なかったら助けに来なかった…………けど、少しでも彼女のように善人が平等を享受出来るようなら、俺は………不平等に人を助ける」

 

俺は即座に魔眼を発動させるのと同時に白仮面の体が動かなくなったを確認したのと同時に………彼女を抱えて森の奥へと走った。

 

ー○●○ー

 

「はぁはぁ………重たかった」

 

「ちょっと!!重いって何よ!!」

 

つい呟いた言葉に成瀬澪が抗議した……やべえつい本音を言ってしまった。

 

「どうして、逃げたのよ……」

 

まあ、成瀬澪の言いたいことは何となくわかった、バロールの魔眼で動かなくした………その隙を狙って彼に一撃喰らわすことも出来たかもしれないが……俺は剣を握り、振るのは初めてだ。大した一撃にもならない筈だ。

 

この十字架を外してスサノオに身体を明け渡せば、なんとかなるかもしれないが、それはまた俺の身体が戻ってくるのかはわからない。

 

「正直にいうなら、俺たち二人の手には負えないし………このまま逃げ続けて応援来るのを待とうかなって………」

 

「それなら……あなた一人で逃げたらよかったのよ……私は……」

 

「なあ、澪さん、俺は君のことはよく知らない……けど、それでも……目の前の人を見捨てるほど心は腐ってないんだよ……君はどうしたい?あの魔族に捕まるか……それとも、泥臭く逃げてまた家族と平和に暮らすか……」

 

成瀬澪は考えた……もし、俺がいなければ野中が助けに来たかもしれないが……俺というイレギュラーの存在でどうなるは全くわからない。

 

「ほら、早く出てきてほしいなぁ、出てきてくれないなら配下に命令してみようか?君の火炎魔法とあの家、どっちが綺麗な炎になるか?」

 

「……っ!!」

 

澪さんは立ち上がり、白仮面のところへ向かおうとするが俺が彼女の肩を掴む。

 

「落ち着いて、これは明らかに罠だよ」

 

「でもっ!!家には……万理亜と刃更がっ!!」

 

たしかに配下に連絡されたら、傷が付いている刃更たちは逃げるのに精一杯……成瀬澪もそれはわかっているが、我慢しているのかは唇を噛み締め肩が震えていた。

 

「だったら、俺にいい作戦あるよ……」

 

ー○●○ー

 

白仮面は脅しの警告をするが二人が出てこないことにイラついていた。この森を全て吹き飛ばし、ふたりを回収するのも楽だと感じた白仮面は魔力を手のひらに蓄積するときだった。

 

ガサッと草陰から成瀬澪が出てくる。

 

「卑怯とは思わないでくれよ、責めるならその力を持った自分たちを責めてほしいね」

 

「……アンタの目的は私でしょ。お願い、刃更たちには手を出さないで」

 

「構わないよ。それでこれ以上、余計な手間が増えないので有ればね」

 

成瀬澪はゆっくりと手を出すと、手首に紫色の縄が巻きついた。

 

「それで、成瀬銀は……もしかして逃げた?あんなセリフを言っていたから堂々と戦ってくると思ったけどなぁ」

 

「銀は関係ないわ……どこへ連れて行く気?」

 

戦意は消えない澪に白仮面は答えた。

 

「決まっているじゃないか……魔界だよ。ぼくの主が、君を帰ってくるのを待って───」

 

────ビシッ

 

ガラスが罅割れるように、()()()()()()()()()()()()。やがて全てが幻のように。

 

バギィン………!

 

音を立てて、粉々になっていた。そして目の前にいた成瀬澪もまた粉々になり消えた。

 

「まさかっ!!」

 

白仮面は即座に警戒をし、周りを見たがそこには誰もおらず……

 

「残念上だよっ!!」

 

木の上に隠れていた成瀬銀が再び白仮面に向けて振り下ろされていた。鉄壁を誇っていた白仮面の障壁と成瀬銀の天羽々斬がぶつかり合う。

 

その剣は魔を討滅ばさんとする剣……魔を作り出したものに優位に立つその剣は白仮面の障壁を断ち切った。

 

白仮面はとっさに背後へ飛び退り、かろうじて剣を避けたが、それでも肩から血が滲み出していた。

 

「その剣は本当に危険だなぁ」

 

しかし、成瀬銀の左目からは流血していた、バロールの第三の魔眼『幻象』。

1分の間幻を作り出し、バロールほどの魔神ともなれば限定的には世界を書き換える等しい……しかし、完全に扱えない成瀬銀は二回分を消費していた。

 

「魔を払うだけなら一級品だよ……そして、俺だけに警戒していいのかな?」

 

「まさかっ!!」

 

成瀬銀の言葉に咄嗟に離れると同時に白仮面がいた空間を、斬撃による風の刃にさが切り裂く。

 

それは成瀬銀たちと同じ制服に身を包み、右手には霊刀を携えた野中柚希だった。

 

ー○●○ー

 

『──ウヒャっ、恐れ入ったか白仮面!!』

 

見事に出された白仮面を見て上機嫌になったバロールは人の頭で大笑いしていた。

 

「……銀、あとで話あるから……」

 

俺一発でバレたよ……

 

「は、はい……」

 

野中の否定もできない圧力を感じる……何故、怒っているのか俺にはわかりません。成瀬は…まだ隠れている………だから早く主人公来てくれと懇願するしかなかった。

 

障壁潰した………ならば野中なら一撃を喰らわすことが出来るかもしれないし……すると成瀬澪がこちらに来ていた。

 

「どうしてっ……」

 

「別にあなたを助けるためにじゃない……」

 

野中は淡々と告げ、霊刀を白仮面に向けた。

 

「私は()()()()()()()()()()()()貴方を、絶対に許さない」

 

冷たい殺意や込めて白仮面に言った……あれ?何かがおかしい……けどそれを考える余裕は今の俺にはない。

 

「だったら───これならどうかな?」

 

無数の黒い光球が出現した………無理だ、避けることは出来ない。だったら

 

「二人とも、俺の後ろにっ!!」

 

「銀、あなたがっ……!」

 

ええい!!今は人を心配するほどの余裕はないっ!!俺は彼女たちの有無を言わさずに前に立ち、天羽々斬を地面に突き刺し防御に入る。

 

それが一斉に俺の方へと解き放たれた。

 

「やだ……っ、ダメェェェぇ!!!」

 

『銀よ、今こそ我神武を見せる時だっ!!』

 

スサノオが口に出してきた。どういうことだ?と首を傾ける。それと同時にバロールと似たような頭痛が走る……情報がまたいっぱい入ってくる。

 

「本当に……嫌だなっ!!」

 

俺は天羽々斬で頭上の空間を斬った。あの時と違うのは幻を斬り裂くのではなく、文字通り天を切り裂いた。

 

「我が神武の証を天に奉る!」

 

俺の声と同時に天の裂け目から(いかずち)が落ちる。その衝撃が地面に伝わり、大地を削る。しかしそれは前置きに過ぎなかった。

 

()()()()()()()()()()()()()

 

稲妻と見間違う光から降り注いだのは眩いばかりの白き剣だった。

 

それを手にした瞬間……俺の手のひらが熱かった。熱した鉄板に押し付けられたような熱さと頭に唇を噛み締める。

 

「「「!?」」」

 

3人はその剣を見ただけで、冷や汗を流していた。

 

「お前さんに宿ったもう一柱は………ちっ!!」

 

白仮面は逃げようとするが………もう遅い、すでにこれは発動している。

 

天地を覇する神皇剣(アメノムラクモ)!!」

 

放たれた極大の白い光が、黒い光球も、大地も、目に映る全てを呑み込んだ。

 

ー○●○ー

 

光が消え、俺は目の前の光景を見て唖然とした。

 

何もない。

 

その剣から放たれたその先は抉られた大地以外に何もなかった。空を見上げれば、空間の裂け目があった……たぶん、人に気づかれないために結界張っていたんだろうな。

 

咄嗟にとはいえ……白仮面生きてるかな……生きてくれると嬉しい。何故なら原作が崩壊してしまうから……いや、俺のせいでもしかしたら原作が崩壊しそう。

 

そして自分の手を見ると皮は捲れていた……これは重度の火傷のレベルじゃない………超痛い……やべえよ。後ろの二人がいなかったら俺……俺多分、泣き叫びながら地面に転がっているよ。

 

風に当たっているだけで超痛い……

 

『出来ればまた生きていて欲しいものだな……』

 

「……そうだねぇ」

 

生きることに特化しているから多分大丈夫だろうと願おう。

 

「あの……二人とも大……あれ?」

 

俺は確認しようと二人の方へ顔を向けようとするが、視界が歪み立っていられなかった。

 

鈍器で殴られたような頭痛、心臓の鼓動がバクバクと早く鼓動し、息苦しさ……倒れながらら自分の手を見ると指先が震えていた。

 

『やはり、まだ馴染んでいないから、一日一発が限度か』

 

スサノオの言葉に否定したい、冗談じゃない、こんなのが続くなら俺はもう二度と使わない。

 

「「銀っ!!」」

 

「……っぁ」

 

俺はそのまま静かに気絶した。

 

ー○●○ー

 

一人の女性…… アフレイアが高層マンションから景色を覗いていた時だった……公園の方から光の柱が突然出現したのを確認した。

 

「まさか………いや……あいつなはずがない

 

アフレイアには彼氏がいた、神族同士の戦いで彼氏を失い……今となっては十神の地位さえあった、そして後悔したもっと早くこの地位にいれば血を流さずに済んだかもしれないと……

 

「……ヴィシャよ、私はお前が望む世界に維持していることが出来ているのだろう」

 

返事はない、なぜならそこには誰もいなかったから、アフレイアの声が静かに木霊した。

 

そして、ふと……成瀬銀の事を思い出した……魔神バロールを受肉しながらも、自らの、人の意思を持っていると………

 

アフレイアはそれを見てふと、愛した人と重なってしまった。

 

「いや……ないな、だがまた彼が困っているなら私がまた助ければいい」

 

アフレイアは考えるのをやめ人として過ごす、長谷川養護教諭としてまた歩き出した。

 

ー○●○ー

 

腕痛い…身体が痛い………そして重い。

 

俺はそう思いながら目を開ける……そこは知らない天井だった。長谷川先生の家でも病院でもない場所に俺は疑問を持つ。そして自分の身体がまだ女の子であるが、それは後回しにしよう。

 

「すー……すー」

 

静かな鼻息が聞こえる……ゆっくり視線を落とすとそこにいたのは成瀬澪だった。なるほど、彼女がここにいるから、俺は女の子の身体なんだな。

 

しかし両手を見ると綺麗に包帯が巻かれていた……まさか、成瀬澪が……うう、ありがたい。

 

ここ、彼女がいるということは多分、主人公の家なんだろうな……はあ、がっつり原作に絡んでいるじゃん、怒りに身を任せたとはいえ……やってしまったことはもうしょうがないか。

 

ゆっくりと彼女を起こさないように………俺は体を動かす。部屋を見る限りここは彼女の部屋なんだろう。

 

「うう………お父さん……お母さん……行っちゃ……ヤダ……」

 

成瀬澪が静かに涙を流しながら、寝言を言っていた。多分ゾルキアに両親を殺されて………もし、俺じゃなく他の人ならゾルキアを倒しにいこうとなるだろう。けど……俺はそれをしない。

 

その復讐の権利を奪う理由にはならない……俺には主人公たちのように勇敢に戦うことが出来ない。

 

「俺って……本当にロクデナシだなぁ」

 

だから最初に受肉してきたのがバロールなんだろうな……ここに主人公がいるなら多分、彼女の頭を撫でて落ち着かせていたのだろう。

 

『うひっ、なあなあ、寝落ちプレイというのも中々乙なもんじゃないか』

 

前言撤回、俺はこいつのようにエロくない。

 

ー○●○ー

 

早朝であるために………家のほとんどの人が寝静まる。

 

静か過ぎて廊下の音しか聞こえない。階段を降りてリビングを確認する……と一人の少年が一心に木刀を振っていた。頰に傷がある……少年は真剣な顔つきで木刀を振っていた。

 

流石に、挨拶なしに帰るのは人として失礼だと思った俺は……庭の方へと向かった。

 

「あっ、起きたんだな……両手は大丈夫か?」

 

「お、おう……」

 

東城は木刀をおき、体や顔をタオルで拭いた。リビングに上がり、冷蔵庫から取り出したのはチャージゼリーだった。

 

そして俺と東城は縁側に座るが無言だった………やっぱりきつい、もしかして、俺の彼女に手を出すんじゃねぇ、出したら消すぞってか……やべえ、怖いっ!!

 

「けど懐かしいよな……まさか、お前もこっちにいるなんてな……」

 

「えっ?」

 

「え?」

 

東城の言葉に俺は理解出来なかった………懐かしい?「ほら、親父と幼少期をさ……」

 

「いや、ちょっと待って……頭の整理が追いつかない……俺と東城は知り合い?……え?」

 

頭を抱える俺に東城は悲しそうな顔をしていた。

 

「お前……記憶を無くしているのか?」

 

「いや……うーん、多分……確証はないけど、東城がそういうなら多分、俺は……何か記憶を失っているかもしれない」

 

ー○●○ー

 

放課後、俺は屋上に……早朝で話そうと思ったが一旦落ち着いてから話し合おうと東城と話し、俺は家に帰り、学校を登校するがその時に両手を大怪我し、さらにクラスから孤立したのは気のせいだと思いたい。

 

あれ……おれ、文化祭や体育祭ちゃんと過ごせるかな?

 

『うひっ、そん時は俺様が相手になってやるぜ……メイド喫茶でご奉仕プレイだなぁ』

 

「そん時は、支配の魔眼で寝てもらう」

 

この人でなしっ!!むっつりスケベ!!と脳内で抗議してくるが俺は無視した。そして屋上の扉を開くとそこには滝川が立っていた。

 

多分、昼休みにもいなくなったからそこは原作通りに進んだろうと……はあ、よかったと俺は胸を撫で下ろした。

 

「よお、銀っち、お前も俺に何か用あるのかよ?」

 

手を振ってきた滝川に俺は近づく。俺は笑顔になり口を開く。

 

「いや、生存確認してきただけだ………流石にあれはやりすぎたとは思っているよ魔族穏健派のラース」

 

一瞬固まったのを見逃さない………しかし、滝川は笑顔だった。

 

「何言っているんだよ、怪我のしすぎで頭がおかしくなったのか?」

 

「ああ、ごめん……確か、お前はゾルキアに復讐するために現魔王派との二重の仕事はきついか?お前も幼少の頃大変だったもんな、大事な養父母が「それ以上いうと、俺はお前の首を飛ばすぜ」」

 

話すのをやめ滝川の方を見ると感情が消え、無機質な機械のように表情になっていた。

 

「こっちだって、お前にナイフでお腹を刺されたんだ。覚悟はすでに出来ているんだよ」

 

それを聞いた滝川は頭を掻いて深いため息を吐いた。

 

「はあ、おおかたその魔眼で俺の過去を見たのかよ……本当に万能すぎてめんどくさい相手だなあ。それで何がしたいんだよ」

 

「別に俺は平穏な生活を過ごせるならそれで構わないし、穏健派に提供して保護を約束してもらうのも……いや、現魔王のお姉さんに提供するのもアリかな〜」

 

あちゃぁとと滝川は額を手で押さえた。

 

「マジかよ、そこまで知っているのかよ……お前の魔眼はなんでもありかよ……それをされるのだけはマジで勘弁……なら、お前は勇者の一族も知っているのかよ」

 

「まあ、知っているけど……勇者の一族は基本的に信用出来ない。まあ、ソレらを脅すネタはいくつもある」

 

やれやれ、末恐ろしいぜと呟きながら滝川は苦笑する。

 

「お前は魔神を受肉して、人でありながら魔神でもあるんだ……人のことをどう思う?」

 

滝川が質問してきた。それを聞いて悩む……人をどう思うか

 

「そうだなぁ、個人個人となるとわりと、ほら、まあ、うん、よし!言わぬが花という」

 

「お前結構ロクデナシだな」

 

「多分そうなんだろうな、けどロクデナシだから目の前に困っている人を救わないという理由にはならない」

 

まあ、それは主人公たちには内緒だ……まあ、正直にいうと怖いだけなんだけどな。

 

「まあ、俺としては監視とかそういうのをやってもらえないと嬉しいかな……うん、それが一番」

 

そうすれば、原作崩壊は回避できるし、俺も恋人を作ることに専念出来る。

 

「お前は………成瀬澪と関わりがあるのか?」

 

「いや、無い………とは言い切れない。俺、小さい頃記憶がないからな……」

 

多分東城のお父さん……迅さんなら何か知っていると思うけどあの人多分魔界にいるから無理だろうな。長谷川先生は……どうなんだろう……微妙だなぁ。

 

「そうか、忘れてくれ」

 

「うん、そうする……けどよかった、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

へいへいとそう言いながら手を振ってきた滝川に俺はそのまま屋上を後にする。

 

『なんだよ、ここは俺に身体を明け渡してこの学校にいる無抵抗な奴や女を魔眼で占領しないのかよ……いいもんだぜ足から徐々に石化して、顔が恐怖で染まるのはいつ見てもゾクゾクするぜぇ』

 

バロールの言葉を無視した………帰る、とにかく帰って早く寝たい。

 

 

しかし、その時の俺は知らなかった………運命からは容易に逃げられないと……




刃更さんの登場を奪ってしまった……猛省。

2巻以降はもっと彼らを出すので許して……

やったね成瀬銀!!勇者の一族に完全に警戒されるなっ!!

ぶっちゃけ、R18版書くか悩んでいるのですが、読みたいですか?

長谷川先生の元カレ………どっちにするか迷いました……

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