迷宮都市に生きる   作:オミ

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ダンまち世界って飲酒についてゆるいよなぁ……


2話

 

 

 「それじゃあ冒険者になりに来たはいいけどオラリオの空気にビビって縮こまってたって事か!」

 

 「言い方に遠慮ってもんはねぇんですか⁉︎」

 

 

 ガイの隣のカウンター席に座り込んで「とりあえず乾杯だ!」と飲み交わした神・タラニスは経緯を聞いて遠慮の無い感想を口にした。

 

 

 「まぁオラリオがめちゃくちゃ危ねぇのは事実だけどよぉ、そんなビクビクした態度じゃそれこそいいカモだぜ?」

 

 「それもそうで「まぁそんな事よりもう一杯だ!」話切らねぇでください!あっオレも一杯お願いします!」

 

 

 だが『話せる相手』というのは不安に駆られるガイにとってそれこそ神の救いに等しいものであった。

 

 

 「というか神様って一人で酒場に来るもんなんですね……」

 

 「まぁ俺はまだファミリアも無いから気楽だってのはあるがな!心配症な奴がいるとこだといちいち誰かついてくるらしいぜ?」

 

 「()()()()()()()()()()……?タラニス様オラリオに来てどのくらい経つんです?」

 

 「まぁ一ヵ月ってとこだ!」

 

 「一ヵ月⁉︎」

 

 

 わずか一ヵ月なのにめちゃくちゃ危ないなんて知った風に言えるのか……、……いや考えてみれば何も知らないで来たばっかりのオレでさえ分かるんだから当然か、とガイは思う。

 

 

 「……ん?てか生活はどうしてるんですか?ファミリアも無いのに飲みに行って大丈夫なんすか?」

 

 「あぁ天界時代のダチんとこのファミリアでバイトしてんだよ!」

 

 「バイト⁉︎神様ってバイトするんすか⁉︎」

 

 

 余りにも俗な単語にガイは驚きを見せる。

 

 

 「まぁオラリオだと神も珍しくないからな?ファミリアに入ってくれる奴がいないから働きに出るってのもある話だぜ?」

 

 「マジですか……。あっ親父さん、もう一杯お願いします!」

 

 「俺も一杯!」

 

 

 安い酒を飲み交わしながら、神と人間の雑談は続く。

 

 

 「てかお前こそ田舎町から来たっつってんのに酒なんか頼んで大丈夫なのかよ?」

 

 「あー、実家が小さいけど商店やってんすよ。田舎だから手間賃貰っても使い道が無かったからここに全部持って来たって感じで……」

 

 「マジかよ!じゃあツマミもいけるな!」

 

 「あっ余裕がある訳でも無いんで一番安いやつで……!親父さーん!ナッツ一皿お願いします!」

 

 

 酔いに任せながら話は進む。

 

 

 「神様って退屈だったから天界から降りて来たってホントっすか?」

 

 「ホントホント〜。あそこ娯楽が殺し合いくらいしかねーんだよ〜」

 

 「なら今のオラリオと変わらないっす「まぁ殺し合いが娯楽なのはウソだけどなー!」ウソはやめてくださいよー!」

 

 「悪りぃ悪りぃ〜。マスター追加で二は〜い!」

 

 

 天界より下界に降りた事で『全知零能』と成り果て普通の人間と変わらない身になった神であるタラニスと何杯も飲むのは初めてなガイの酔い加減は似たようなものであり、話もまた転がるように進む。

 帰りたいと思う程悲壮的だったガイの感情もまた上向いていった。

 

 

 「それで兄貴は『お前なんぞ足手纏いにしかならーん』なんて言うんすよ〜⁉︎」

 

 「アッハッハ!似てねー!」

 

 「タラニス様兄貴に会った事無いっすよね〜⁉︎」

 

 「当たり前だろー?」

 

 「ですよねー!」

 

 

 思ったより気が合ったらしい二人は楽しげに会話と杯を重ねるがーー

 

 

 「おーいお二人さん、もう閉店の時間だ」

 

 「「え?」」

 

 

 ーー酒場の店主が店じまいを告げた。

 

 

 

 

 

 

 「オラリオの酒場ってこんな早く閉まるもんすか?」

 

 

 酒場の閉店時間という事で、すっかり暗くなった街に二人追い出されるような形になってしまい、隣を歩くタラニス様に問いかける。

 

 

 「いやーむしろここだって繁華街でもないのに割と遅くまでやってる方だぜ?ほら、今のオラリオは闇派閥(イヴィルス)で危ねぇからよ?」

 

 「そ、そうだった……」

 

 

 今更寒気が……

 

 

 「まーここはギルド側のファミリアの巡回路に近いし、そんな思い出したようにビビらなくても大丈夫だと思うぜ?」

 

 「そっ、そうっすか……」

 

 

 神様ってのは心まで読めるのかよ……

 

 

 「いやまぁ態度に出過ぎだから俺でなくてもバレると思うんだが……まぁそれよりも、だ」

 

 

 どこもかしこも早めに店じまいしたのか薄暗い道の真ん中でタラニス様がオレに向き直る。

 

 

 「なんですか?」

 

 「お前と飲むのは思ったより楽しかったぜ。……だからお前、俺のファミリアの最初の一人にならないか?」

 

 

 ……えっ?……ファミリア?

 ファミリア、って事は神様がオレを誘ってくれている……?

 

 

 「いっ、いいんですか……?」

 

 「おぅいいぜ?実の所一ヵ月もファミリア組んでなかったのはいまいち楽しめそうな奴がいなかったってのが大きかったんだが……、お前は楽しめそうだからな?」

 

 「酒の勢いとかではなく?」

 

 「むしろ勢いつけられるくらい酒飲めるからお前を誘ってるんだぜ?」

 

 

 どうするんだ?と言われたオレはーー

 

 

 「よろしくお願いします!」

 

 

 ーータラニス様の誘いを受ける事にした。

 

 

 「おう、よろしくなガイ!」

 

 

 差し出されたその手は、オラリオに不安を覚えていたオレにとって太陽のように心強く思えるものだった。

 

 

 

 

 




※現在時系列原作より9年程前から変わらず

 「酒場が閉まるのが早い」はオリジナル設定です。

:ガイ…そんなに余裕があるわけでもない(本人談)所持金を飲み代に使っちゃう奴。コップ買って今のオラリオについて教えてくれた商店の人はちゃんと物買った上で情報聞いてきた奴がゴロツキやらに絡まれないか心配して早いとこ神を見つけた方がいいとアドバイスしてくれた。タラニスが眷族に誘わなかったらどうしてたのやら。実家は寂れた田舎町の小さな商店。息子の手伝いにもちゃんと手間賃渡すきっちりした親の元に生まれた。兄一人がいる次男坊。

:タラニス…そんなに余裕がある訳でもない稼ぎを飲み代に使っちゃう奴。まぁ働いていただけ下界暮らし最初期のヘスティア様よりマシであるが。神様を探すのにファミリアの本拠に行くのではなく街中を探すという手段に出て結局見つけられなかったガイにとっての救いの神。てかこの神も楽しめそうな奴が見つからなかったらどうしてたのやら。
 あとこの神ネットで調べただけでも生贄だとか血生臭い性質が出てくるんですけど……


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