迷宮都市に生きる   作:オミ

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 前話と一つにする予定だったけど余りにも急速に文字数が跳ね上がるので分割しました。
(2022.10.20.後書きに追記)


3話

 

 「もう聞いた話かもしれねぇが、冒険者になるには神が恩恵ーー『神の恩恵(ファルナ)』って呼ばれるヤツを与えた奴じゃなきゃいけねぇ。恩恵を貰った奴らの事を眷族ーー『ファミリア』って呼ぶのさ。……さて着いたぜ」

 

 

 ファミリアについての話をタラニス様に聞きつつ到着したのは明かりの落ちた小さな二階建ての店だった。

 ぼんやりと香りがするし、もしかして薬屋か?

 店名は『日向(ひなた)の庭』というらしい。

 

 

 「おーい!帰ったぞー!」

 

 

 鍵でドアを開けたタラニス様に続いて入ると、薄暗い店の中には回復薬(ポーション)や薬草が並んだ棚があったのでやっぱり薬屋なんだろう。

 

 

 「お帰りータラニスー。もうみんな寝てるから声抑えて〜、……ってそっちのお登りさんは?」

 

 

 そして小さな明かりが灯るカウンターの奥には褐色の肌をした女の人が座っていた。

 ……いやその通りではあるんだがお登りさんって……

 

 

 「こいつは俺のファミリアの最初の眷族になる奴だ!」

 

 「ガイ・シグロって者です!よろしくお願いします!」

 

 「上で寝てる人いるから声抑えてね〜」

 

 「あっ、すみません……」

 

 

 タラニス様も注意されてたのにやっちまったぜ……

 

 

 「注意してくれるならいいよー。アタシの名前はカリエ、よろしくね?」

 

 「よろしくお願いします!(小声)」

 

 「それでタラニスの部屋で契約するって事でいいの?」

 

 「おぅ…「声抑えてって言ったよね……?」…すんません」

 

 

 デカい声出そうとしたタラニス様が黙らされてる……

 

 

 

 

 じゃあ先に部屋片付けるからそこで待っとけよ?と言われて待たされる事になったが……、近くで見るとカリエさんエラい格好してるな……。

 ジャケットの胸元に裂け目入ってるからデカい胸が強調されてるし……

 

 

 「こんくらいの格好オラリオじゃ珍しくないよー?」

 

 

 うおっ、見過ぎてたか……!

 

 

 「あぁっ、すんません!」

 

 「いーよいーよ?うちの新人もこの服見てビックリしてたしさ。……それにアマゾネスとかもっとすごい格好してるよ?」

 

 「マジですか……?」

 

 「マジだよー。あいつら下着!みたいな格好してるからねー?」

 

 「下着、っすか……」

 

 

 マジか……

 

 

 「……あなたは何を教えてるんですか」

 

 

 そう言って奥の扉から入ってきたのは白っぽい色の落ち着いた格好をした女の人だった。

 

 

 「いやー、事実だからしょうがないじゃん?」

 

 「もっと他に教える事があるでしょうに……、あなたがガイさんですね?タラニス様が呼んでましたよ?」

 

 「あっ、ありがとうございます!えーと……」

 

 「フィーオ・コミズ、このベレヌス・ファミリアの団長をしています。よろしくお願いしますね?」

 

 「よろしくお願いします!(小声)」

 

 「ちなみにアタシは副団長ねー?」

 

 「誰も聞いてないでしょう……」

 

 

 カリエさん副団長だったのか……!

 っと呼ばれてるんだった、早く行かねぇと……

 

 

 「この扉を入って廊下の一番奥の部屋がタラニス様の部屋ですよ。二人くらいは寝れますし夜も遅いですから終わったらここで寝ていってくださいね?」

 

 「あっ、ありがとうございます!(小声)」

 

 

 気遣いがあったけぇ……!

 

 

 「いいの〜?男だよ〜?」

 

 「うちにだって男はいるでしょう……。それに夜中の街に放り出して死なれたら寝覚め悪いですし……。……それより交代の時間です、カリエ」

 

 

 はいは〜い、と言って席を立ったカリエさんに続いて扉を通る。

 

 

 「それじゃ、ごゆっくり〜」

 

 「ありがとうございます!(小声)」

 

 

 二階に上がるカリエさんに見送られて廊下の奥に進むと、フィーオさんの言った通り部屋の扉があった。

 ……なんか緊張してきたな……。

 まぁためらってても始まらねぇからな……

 

 

 「失礼しまーす……」

 

 

 ノックの後に部屋に入ると、部屋の中には今までとは雰囲気を変えたタラニス様が待ち構えていた。

 

 

 「来たか。そんじゃ恩恵を刻むから背中見せて座ってくれ」

 

 「は、はい!(小声)」

 

 

 緊張感が高まるぜ……!

 

 

 「あー……、上だけでいいから服脱いでくれるか?」

 

 

 おっとそうか、素肌に刻むんだな……!

 

 

 「これでいいっすか?」

 

 「いいぜー。すぐ終わるから動くなよー?」

 

 

 そう言って背後に立ったタラニス様は、オレの背中に指で何かを書いていく。

 

 

 「……さて、終わったぜ」

 

 

 緊張のせいか、なかなか終わらないように思えたひと時はタラニス様の声で終わりを迎える。

 

 

 「終わり、ましたか……」

 

 「おう、そしてお前の冒険者生活はここから始まるんだぜ?改めて、よろしくな?」

 

 「こちらこそ、よろしくお願いします!」

 

 

 差し出された手を握り返す。

 

 

 団員数は一名。

 新しいファミリアの誕生した瞬間だった。

 

 

 

 




※現在原作より9年前の春頃より変わらず
(アイズさん7歳はもうロキ・ファミリア所属)


タラニス・ファミリア
…今のところ本拠(ホーム)無し。
:ガイ…Lv.1。故郷は田舎町だったので背中丸出しとか腹丸出しとかの服装には縁がなかった。幸か不幸かオラリオへの道中でもそういう格好の女性とは出会わなかった。
:タラニス…雰囲気づくりに気を遣い、見事成功した。


ベレヌス・ファミリア 
本拠(ホーム)は店舗と住居を兼ねた「日向の庭」。主神より任されて団長が命名した。ダンジョンを探索しつつ薬の販売も行っている。

(追記・原作に名前のみ『ベレヌス・ファミリア』が登場する事を確認……。……よって本作品の『ベレヌス・ファミリア』は恐らく原作とは異なるオリジナルファミリアと化してしまいます。ご了承ください)

:フィーオ・コミズ
…ファミリアの団長。Lv.3。薬師かつ治療師のヒューマン。名前の由来はウルトラマンシリーズに登場するゾフィーとその関係者。
:カリエ・ベリア
…ファミリアの副団長。Lv.3。攻撃役のヒューマン。製薬や治療に関わる技能は一切持ってない。名前の由来はウルトラマンシリーズに登場するウルトラマンベリアルとその関係者。


 「冒険者の先輩」というワードでオーブに出てくるウルトラマンから名前を取る事を思いついたので主人公の名前がガイになったという経緯があったり。そのうちクロスオーバー(名前)とかのタグがつくかも……

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