ではスタートです!
「ねぇ皆んな、気になった事言っていいかな?」
部室で突然、あすかがそう呟く
「帝って何であんな性格なの?」
「エッチって事ですか?」
「そう…も知りたいけど違う。何で集中しただけで、あそこまで性格が変わるのかって話」
「「確かに」」
まなつとみのりも、帝についてもっと知りたいと思った
「人間って……何?」
「急に哲学的になるなよ…」
でも実際ローラの言う様に帝の事をあまり知らない。
ていうか知らなさ過ぎる
知ってる事と言えば異常を通り越した変態っていう事くらい
「そもそも帝って変態な事以外何かあるのか?」
「「「さぁ?」」」
まなつ、みのり、ローラの3人は帝の短所は探せても、長所など微塵も無いと思っている
「もしかして、ああいう性格をしてるから副作用で出来たのかも」
「何それ、溜まったもんじゃないな…」
みのりの変な憶測、間に受けては無いがあすかも変な返答する
まなつ達皆んな、帝に対して辛辣な言葉を投げる中で、それに異議を唱える者が一人だけ居た
「皆んな酷いよ!帝君はそんな人じゃ無いよ!」
さんごは、バンっと机を強く叩いて抗議する
「帝君はね、本当はすっごく頼りになって、強くて、カッコ良くて、いつも側に居てくれて、優しいんだよ!!」
「さ、さんご?」
「わたしのちょっとした我儘にも付き合ってくれたり、いつも登下校する時は歩幅を合わせてくれたり──」
「あの〜さんご?」
突然のさんごの熱い帝語り。まなつの声すら届いて無かった
「わたしのちょっとした変化にも気付いたり、まだ小さい頃は一緒に寝てくれたり、おんぶや抱っこだってしてくれた!!」
今にもぶつかりそうな程の距離までまなつに近付く顔
「さ、さんご、帝好きだね」
「うん大好きだよ!」
即答な上、恥じらいも無く言い切った
「そ、そんなさんごに聞くけど、帝っていつからあんな変な感じに性格がコロコロ変わるの?」
「う〜ん…」
腕を組み思い出の中を探ってみる
「よし」
さんごは何か決意したのか、紫の眼鏡を掛けて黒板の前に立つ
「では、帝君との思い出話を少しだけお話ししますね」
全員さんごへと注目する
「え〜と、9年前辺りからかな?」
「「「「9年前!?」」」」
「それまで帝君とはただの知り合いだったの」
////////
まだ3歳のさんごは、母親のみゆきの脚にしがみついてジッと男の子を見ていた
「……」
「どうしたのさんご?」
「あの子」
指を指して示すのは帝だった
「あの子は近くに住んでる皇さん家の帝君よ」
「みかど君?」
「声掛けてみよっか」
「え、まって!」
まだ心の準備が出来てないさんごを置いて行き、みゆきは帝に声を掛ける
「こんにちは帝君」
「こ、こんにちは」
「私、貴方のお母さんと友達なの。良かったら、家の子のさんごとも友達になってくれるかしら?」
帝は物影に隠れてるさんごを見つめる
「ごめんね、少し恥ずかしがり屋なの」
帝はさんごの目の前まで歩いて、手を差し出した
「おれ、すめらぎみかど」
「す、すずむらさんご…」
「あそぼ」
帝は強引にさんごの手を取り、何処かへと連れ出した
「気を付けね」
やって来たのは近くの公園
「わたしとあそんでも面白くないよ」
「そんなの気にしないよ。おれがさんごとあそびたいからあそぶ」
「あ、ありがとう…」
それか2人は夕方まで遊んで過ごした
そしてさんごの家の前
「かえるね」
「あの!」
「なに?」
さんごはもじもじしながら勇気を出して話した
「あしたも、あそんでいい?」
「いいよ!あそぼ!」
////////
「それが帝君との出会いだったの……て、あれ?どうしたの皆んな?」
「あのねさんご、わたし達が聞きたいのはそんな話じゃないの。分かってる?」
ローラは机の上で指でトントンしながら、退屈そうにしていた
「でも、皆んな帝君の事が知りたいって…」
「それはそうだけど、あの豹変する性格について知りたいの!!」
「え?だからその話をこれからするんだよ?」
「え、じゃあさっきのは?」
「本で言うところの冒頭部分です、みのりん先輩」
「なら早く話してくれ」
あすかの言葉に一同首を縦に振る
「でしたら…実は言うと帝君、一度海で行方不明になった事あるの」
「「「「行方不明!?」」」」
「仲良くなってから次の年、8年前の夏です。その日、帝君と海で遊んでいたんですけど、波に逆らえず流されてしまったんです」
「で、どうなったのよ?」
先程退屈そうにしていたローラだったが食い付いた
「1週間後に見つかったんです」
「え!?1週間も行方不明だったの!?」
「奇跡的に外傷も無く、健康そのものの状態で発見されたの。それから少しの間入院したの」
「何も無かったって、いくら人間でもそれは無いわよ。だって海で1週間行方不明よ?有り得ない有り得ない」
ローラの言う様に普通なら死んでもおかしくない
「様子がおかしくなったと言ったらそれからも。帝君、入院してる間いつも外を見て遠い目…わたしと全然違う世界を見てる様に見えたの」
「黄昏てただけじゃないの?」
「かも。その後は何事の無かったから」
「で、で?帝は何か覚えてた?」
「ううん。覚えてたのは溺れる前後しか覚えて無いって。空から紫の光りが降って来て、近くの船が大破した衝撃で呑み込まれたらしいの」
「人間は大変ねぇ〜」
自分には縁の無い事だと思い、ローラは他人事の様に喋っている
「てか、帝の性格の変わり様については?」
まなつが肝心な事に気付いた
「その事なんだけど、わたしもいつから変わったのかは詳しく知らないけど、それを知ったのは小学生の時」
////////
それは帝とさんごが小学2年生の時の頃
2人は開けた場所で花を摘んでいた
「見て帝君!」
不細工な形だけど、さんごは自力で作った花の首飾りを帝に見せていた
「帝君に掛けてあげる!」
優しく花の首飾りを掛けてあげた
「ありがとう可愛いね。なら俺はコレを」
帝は自分で作った花冠を頭に乗せてあげた
「帝君のも可愛い!ありがとう、大切にするね!」
そうやって2人が笑い合ってると、上級生と思われる男の子3人組が近付いて来た
「男が何女と遊んでんだよ?」
「ダッセェ〜!」
「気持ち悪〜!」
ゲラゲラと馬鹿にする様に笑う3人組を見て、当然帝とさんごは不快な気持ちになる
「…行こ、さんご」
「う、うん…」
手を引いてその場を離れようとしたのだが
「う゛ッ!?」
花の首飾りを引っ張り帝を背中から倒した
「帝君!?きゃ!」
今度はさんごの腕を掴み上げた
「い、痛いよ!離して!」
「さんご!」
嫌がるさんごを見た帝は、すぐに飛び付くが他の2人に捕まってしまう
「女子と遊んで何が楽しいんだ?」
「そんなの俺の勝手だろ!」
「うるせぇ!」
帝を地面に押し付けて、殴るや蹴るなど暴力を振るって傷み付ける
「やめてよ!!」
帝の心配をするが、腕を振り解けずどうする事も出来ない
その時、帝から貰った花冠を取られてしまった
「あ!返してよ!」
「こんな物は」
さんごを突き飛ばしたと思ったら
「こうして、こうだ!」
グチャグチャにして、バラバラにした後、止めと言わんばかりに地面に叩き付けて踏み躙った
「帝君から貰った大切なお花が…ひっぐ…」
「さんご……この!!」
2人を振り払い、さんごを泣かした男の子にタックルする
「何すんだよ!」
しかし、結局力負けしてしまい跳ね返された
「行こうぜ」
ぞろぞろと帰ろうとする3人組
「ひっぐ…ひっぐ…」
「ッ!!」
さんごの泣く姿を見て帝は立ち上がって呼び止める
「──謝れ」
「あ?」
「さんごに、謝れ」
「謝るかよバーカ!」
「そうか。なら──」
帝は一瞬で男の子の顔面を殴り、そのまま地面へと叩き付けた
「這い蹲ってろ」
殴った手の甲から血が流れていた。皮が擦り剥けたのだ
「この野郎!」
仕返しにと2人目が殴ろうとするが
「──!」
帝は小さいながら、上級生相手に後方へと1m程投げ飛ばした
「う、うわぁぁ!!」
最後の1人が逃げようとするも、帝がやすやすと見逃す筈も無く襟首を掴んだ
「ご、ごめん!謝るから!!」
「もう必要無い。俺に逆らう奴は容赦はしない」
男の子を掴み上げ、そして背中から思いっきり地面へと叩き付けた
「絶対は俺だ」
動かなくなったのを見て帝は、さんごの手を引いてその場を後にした
街まで歩き、さんごは近くの川で水で浸したハンカチで帝の傷を拭う
「ごめんね、ごめんね…わたしのせいで帝君が……」
「さんごのせいじゃないよ。悪いのはアイツらだよ」
それでも中々泣き止んではくれなかった
「俺、さんごの事絶対に守ってみせる!」
「え?」
「ずっと隣に居たあげる。だから、手を離さないでね!」
「…うん!ありがとう帝君!」
////////
「その時から帝君はわたしの隣に居るの。わたしが風邪を引いた時も、わざわざ学校を休んでずっと見守ってくれてたの」
「くるる〜ん!」
「だからね、皆んなが思う程帝君は悪くないよ」
それを聞いて皆んな押し黙ってしまう
「…その時期から帝は変わっていったのか」
「帝も大変なのね」
「そうだね〜」
あすか、みのり、まなつと感傷に浸ってると
「でも変態なのは同情出来ないわ」
ピシャリとローラが言った
「「「まぁ、それはねぇ…」」」
「帝君がエッチなのは仕方ないよ!」
「仕方ないので済まされるとこっちが大変なのよ!毎日毎日、わたしの胸を触って嫌になるわ!!」
「帝君と触れ合っていて嫌なの!?わたしは羨ましいよ!!」
「さんご貴女、少しおかしくなって来てない!?」
急にヒートアップして来たさんごとローラに、まなつ達3人は唖然としていた
「帝君はわたしだけの帝君なの!盗らないで!!」
((え、今何て言った?))
唖然としてはいるものの、みのりとあすかはそれを聞き逃さなかった
帝についての言い争いはまだまだ続くのであった
////////
「へっくしょん!」
部活をしない帝は公園でブランコに乗って遊んでいた
「誰か噂でもしてるのか?」
ぶらぶらとブランコを漕いでいたら、ある人物を目にした
「…」
帝はブランコから降りて、その人物の前まで歩く
「アリス…」
「神出鬼没で現れるゲリラアリスです。帝様、こんばんはで御座います」
「俺に何か用か?」
「私が貴方の目の前に現れた。聞くまでも無い筈です」
そう言ってアリスは、懐からヤラネーダの素を取り出してた
「さぁ、スタートで御座いま〜す!」
実は幼少の頃から好きになっていたさんご。
どれくらい好きかと言いますと、例えば主人公が半径1m程の円とすれば、さんごはそれを覆い尽くす1000倍です。
胸やパンツ見られた時、嫌々言っていますが「嫌よ嫌よも好きのうち」みたいな感じで接していました
表には出して無いだけで、結構重たい。今回はその一部を見せたって感じです
それでは次回へと続きます