ではスタート!
「時間は丁度良い感じね」
土曜日の放課後、みのりは学校へと足を踏み入れていた
今日はまなつの提案により、トロピカる部最初の部活動はお弁当作り
理由としては、忙しいお母さんの代わりに自分がお弁当を作ると言った事だった
料理を出来るのはあすかのみ。なので、あすかを筆頭にお弁当作りをするのだ
そして今は家庭科室に向かってる途中
「お〜い!みのりん先輩〜!」
遠くだが後ろから帝の声がした
「帝?」
振り返ると帝が居たのだが
「ッ!?」
みのりは一心不乱に帝から逃げ出した
「何で逃げるんだ〜?」
逃げてしまうのも当たり前。何故なら今の帝は
「お〜い!」
みのりはとにかく校舎内を走った
しかしながら体力の関係上捕まるのは目に見えていた
////////
家庭科室では帝とみのり以外皆んな集まっていた
「2人共遅い〜!」
そう文句を言うのはローラ
「まあまあローラ」
まなつが宥めてると、丁度みのりが教室のドアを開けた
「お、遅くなってごめんなさい…」
「いえ、時間はまだ10分前です」
「これで帝君だけだけど…」
「それならもう来てるよ」
「何処だよ?」
既にみのりと一緒に教室に入った筈なのだが、帝が見当たらない
あすかがキョロキョロと探してると
「此処に居るよ!」
急にあすかの背後から力強く抱きしめた
「助けて!!」
だが誰も動こうとはしなかった
「あ、まなつじゃん!」
あすかから手を離すと、今度はまなつへと歩き出す
「うわっ!?」
勿論、帝の後ろ姿を見たあすかは驚いた
「アハハハ!」
笑いながらまなつに抱きついた
「ん゛ん゛!!」
「何で裸!?」
「此処に来る途中で池に落ちたらしいの」
「体操服はどうした…」
そして帝はローラの存在にも気付いた
「…おっと、ローラにも挨拶しないとね」
「嫌だ!」
「いいよなぁ〜?」
「わたしはいいよ!」
「遠慮しないでギュギュッとね!」
アクアポットに逃げ込もとうしたが、先回りされて正面から抱きしめられた
「羽交い締め攻撃か!?」
「違いますよ。あれは帝君のスキンシップですよ」
「わたしは嫌だ!」
「わたしだって嫌ですよ…」
あすかもまなつも、この羽交い締め攻撃ならぬスキンシップはお断りだった
「わたしも校舎内逃げ回ったけど…」
「あぁ…みのりん先輩も捕まってしまったんですね…」
「それよりも…この、素っ裸野郎。早く服を着ろ!」
「はいはい。確か教室に体操服があったから……職員室に行って鍵取って来る」
そして教室を出て行った
「……ちょっと待てい!全員帝を捕まえろ!!」
帝がまだ、パンツ一丁の事をすっかり忘れていた
////////
帝も体操服に着替えてようやく準備万端
「今日は何を作るんですか?」
「くるるん弁当だよ」
「はい!あすか先輩!」
「何帝?」
「俺はカレーが作りたいです!」
「カレーか…」
あすかは考えたが、帝の手には既にカレールーの箱が握られてあった
「しゃあない。それならタッパーにでも入れて作ろうか」
「それならわたしも帝と作る」
意外にもみのりも帝と同意見だった
「それなら二手に分かれて作ろうか。わたしとまなつとさんごで弁当。みのりと帝でカレー作り」
先ずはくるるん弁当作りの人達
「まなつ何してるの?」
「ご飯に桜でんぶを混ぜてくるるんをピンクにしてるんだよ」
「…その緑のモジャモジャ食べ物なの?」
「これはブロッコリーだよ。電子レンジで温めておひたしにするの」
「時間が無い時でも、電子レンジを使えばすぐだからね」
そう言った具合いに弁当班は、危なっかしい場面も多々あったが上手く機能していた
カレー班の2人はというと、トントンと軽快な音を立てて調理する帝とみのり
「2人共どんな感じだ?」
「バッチグーだ!」
「大丈夫。問題無いです」
「そうか。なら任せるよ」
「出来た!」
まなつ達がお弁当を作る途中で、帝のカレーが完成した
「先ずは試食。食ってみろ」
既によそってある器に目を向けたのだが
「「「カレー!!??!」」」
カレーなのだが中身が衝撃的だった
何しろ
ジャガイモ、人参、お肉、その他諸々
(何で丸ごと!?)
(さっきまでのトントンは何?トントンは!?)
「ちょっと帝!さっきまで一体何を切っていたんだ!?」
さんご、まなつ、あすかと信じられない反応する
「まなつ、カレーってこんな食べ物なの?」
「…」
まなつは無言で、ちゃんとした完成品の写真をローラに見せる
「はぁ!?何よコレ!?まるっきり違うじゃないの!?」
「まぁ見た目はアレかも知れないけど、美味しい筈だから食べてみなよ」
「「「「…い、頂きます」」」」
スプーンでカレーを一口食すと全員
((((ま、不味!!?))))
見た目通りの最低な味に驚く
(何このお米…ちゃんと炊いたのかな?少し固い…)
(野菜もシャリシャリしてて食感が……帝君、このお肉火通ってないよ…)
(この茶色のもベトベトネバネバ…さっきらから辛いのと甘いのが行ったり来たり…)
(噛めば噛む程味が変化し続ける…味の大戦争だ!!)
全員スプーンを片手に動かなくなり顔を真っ青にする
「やはりか…とても味見する勇気は無かった」
「しろよ!味見も調理する中で大事な工程だぞ!!」
そんなあすかから雷が落ちた
「そ、そうだ。みのりのカレーを食べよう…」
「どうぞ」
「さて、どんなモノか──」
あすかが寸胴の蓋を開けると
『ダズゲデ──』
パァンッ!と寸胴の蓋で閉じた
「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!!」
あまりの衝撃に耐え切れず、顔に手を当てて呻き声を出した
「よそいますね」
次々と帝も含めまなつ達のカレーをよそう
((マジですか…))
まなつとさんごも、みのりが作ったカレーを見て絶句する
お米はドロドロ、ルーは器に移してる筈なのに未だにブクブクと泡立ち、具材はカレーとは無縁の物ばかり
本来カレーとは茶色の筈。なのに全体的に紫色。しかも香り良い匂いで無く悪臭が漂う
そして止めと言わんばかりの
『ボエェェェ〜……』
謎の呻き声がカレーから聞こえて来る
「何よこの物体Xは!?」
ローラは今にも泣きそうな声で叫ぶ
「大丈夫食べてみて」
「い、嫌よ!」
「大丈夫」
みのりはスプーンで一口サイズ取り、ローラに近付ける
「愛情はたっぷりと入れたから」
そしてみのりは強引にローラの口へと突っ込んだ
その瞬間
「ローラ!?」
ローラは泡を吹きながら失神して倒れてしまった
「愛情はたっぷり入れた」
それを見ていたまなつとさんごは悟った。これは人が食べてはいけない物だと。
食べれば生命の危険だと
「た、多分人魚のローラには口に合わなかったんだよ。さ、食べよう」
帝も一口食すのだが
「ブゥゥゥ!!」
口にした瞬間吐き出した。体が防衛本能全開で反応して受け付けなかったのだ
横ではまなつとさんごも口を押さえていた。女の子もあり、流石に吐き出すのは堪えたらしい
「んじゃコリャァァァァ!!!」
帝もこれには激怒だった
「みのりん先輩一体どんな…ゲホッ、ゲホッ…せめて辛いか甘いかにしてくれよ!最悪不味いにしてくれ!コレ臭えんだよ!!」
「愛情はたっぷりと入れた」
「愛情って一体どんな愛情だよ!?ヤンデレか?ヤンデレな愛情をたっぷりと込めたのか!?」
(帝もあまり人の事言えない味だったけど…)
まなつもそうは言うが、確かに愛情とはかけ離れた味
要するに、この物体Xは見た目通りの最低最悪のカレーなのだ
「ごめんなさい…」
「うっ!」
みのりは俯いてしまった。完全に落ち込んでしまったのだ
帝も言い過ぎた自覚はあり、そんな姿を見て心が痛んでしまう
「〜〜ッ!」
罪の意識に囚われて、帝は無我夢中で口の中へと全て放り投げた
全て完食し切った
「ご馳走様。みのりん先輩、臭い以外は大丈夫なので次からは宜しく。飲み物買って来る」
帝が出て行くと、今度はあすかが口を開けて寸胴の中を見る
「味は個性的だがイケる。確かに愛情たっぷり入ってある。だけど、何処かで作り方間違ってるかもな。もう一回作り直さないか?」
どうやらあすかも完食していた
(流石あすか先輩!カッコいい!!)
「そうだ帝!」
まなつは帝の様子が気になり、教室のドアを開けると
「み、帝!?」
廊下で倒れてる帝を発見した
「だ、誰か、みのりに作り方教えてやってやれ」
「あ、あすか先輩、変な汗が!?」
あすかも我慢して食べたのだろう。顔中、大量の汗が吹き出していた
「だ、だったらさんごが……ってさんご!?」
「ふわぁ〜……」
「くるる〜ん……」
「さんごが召されちゃってるよ〜!?」
口にしたさんごは真っ白になって気絶していた。ちょっと口にしたくるるんも同様だった
「今度は出来ました」
今度はあすかの指導の元で作り上げた
因みに帝、さんご、ローラ、くるるんは復帰不可能な為寝かされている
「「おぉ〜!」」
まなつとあすかは歓喜の声を上げる
見た目はカレーそのもの。物体Xとまではならなかった
「「頂きます」」
香ばしい匂いと共に試食するのだが
「「不味!?」」
「え何で?」
(それはわたしも聞きたいですよ…)
(ちゃんと一緒に作って味見もしたのに…)
見た目は普通のカレー。なのに味は酷い。
みのりの料理下手は人知を域を超えてる。そう思うしかなかった
「よそうまでは良かったのに……まてよ」
そこであすかはある事に気付いた
「みのり、もう一度よそってくれ」
「ええ。先ずご飯、それからルーを掛ける前に…」
スリスリとご飯の上に何かを振り掛けている
「あぁ、隠し味にチーズを掛けているんだ。凝ってるな……て、いや何ソレ!?」
「何って、体に良いサプリメントに煮干し、プロテインのアレやコレやと…」
「「そ、それだ!!」」
今度は余計な隠し味など入れずに食べてみる
「「ふ、普通だ…!」」
普通のカレーに、こんなにまで感動して食べたのは初めてだった
お弁当作りもそろそろ終わりが見えた頃、ローラはイチゴを目にしてキラキラしていた
「赤くてキラキラ〜!コレは何?」
「それはデザートのイチゴ。お弁当の最後に食べるんだよ」
「えぇ〜!一番最初に食べたい!」
「ローラも好きな物は最初に食べる派なんだ!皆んなは?」
「最初に食べる。ブロッコリー」
「わたしも!タコさんウインナーが入ってたら真っ先に食べちゃう!」
「わたしはハンバーグ!あすか先輩と帝は?」
「わたしは最後に食べるかな」
「俺も最後に食べるな」
皆んなが先に食べるか、後に食べるかの話をしている隙に、ローラはイチゴを摘み食いしようとした時
「皆んな〜!調子はどう?」
桜川先生が様子を見に突然乱入した
「ば、バッチリで〜す!」
アクアポットに入れる暇が無かったので、まなつ達はローラを調理用の魚として隠した
桜川先生からは、粋の良い魚が飛び跳ねてる図にしか見えない
「なら良かった。頑張ってね」
ドアを閉めようとしたが突然また開けた
「何か手伝おうかしら?」
「だ、大丈夫です!」
「やる気全開です!」
「あ、ああそうだ!桜川先生、試作のカレーをどうぞ!」
「ありがとう。後で食べるね〜!」
桜川先生はカレーの器を持ってやっと出てってくれた
「帝、確かあのカレーってみのりの…」
「言うな。言うんじゃない」
帝が渡したのは、みのりが最初に作った物体X。咄嗟とはいえ渡した帝の罪は重い
その日夜、桜川先生は激しい腹痛に苛まれる事になった
////////
作り上げたお弁当は外で食べる事となった
「「「「「「頂きま〜す!」」」」」」
「ヤラネーダ!」
お弁当を広げて食べようとするタイミングで、ヤラネーダの声がした
急いで駆け付けた広場の方では、かき氷機型のヤラネーダが人々からやる気パワーを奪っていた
「う〜、よりによってこんなにお腹が空いてる時に〜」
「気合入れて行くぞ!」
「「「「プリキュア!トロピカルチェンジ!」」」」
「「「「レッツメイク!」」」」
「ときめく常夏!キュアサマー!」
「きらめく宝石!キュアコーラル!」
「ひらめく果実!キュアパパイア!」
「はためく翼!キュアフラミンゴ!」
「よく食べよく寝る!」
「「「「トロピカル〜ジュ!プリキュア !」」」」
「エモーショナルスタート!」
『AUTO!』
「ヤラネーダ!」
ヤラネーダが吐き出す大量の氷をジャンプして避けたのだが、攻撃が当たった周辺は氷漬けにされてしまった
「ヤラネーダ!」
空中へ避けたサマーに狙いを定めて雪玉を乱射する
「お腹が…ぎゃふん!」
躱そうとするも、お弁当を食べずじまいなので力が入らず直撃した
「サマー!」
『ぺけ!』
サマーを助けようとシールドを張るも、コーラルもお腹が減って力が出ず、いつもより小さく脆いシールド
何発か受け切っただけでシールドにヒビが入る
「たぁぁ!!」
パパイアが背後から攻撃を仕掛けようとするも
「あれ…?」
「ヤラネーダ!」
「きゃあ!」
空腹で動きが鈍くなり、攻撃の体勢に入る前にヤラネーダのカウンターを食らった
「フラミンゴ俺達も……う゛ッ!?」
「帝……なっ!?待って…」
帝はお腹を抑え込み、フラミンゴはその場に蹲ってしまう
「何でこんなにも腹痛が…」
「もしかして、パパイアが作ったカレーが原因か?」
「ヤラネーダ!」
「ああ!!」
「フラミンゴ!うっぷ!」
帝とフラミンゴは、パパイアが作った物体Xのせいで腹痛を起こしていた。
しかもフラミンゴに至っては、帝が作った丸ごとカレーの反応も合わせての腹痛
フラミンゴは攻撃を受けてしまったが、帝はAUTOの能力もあって自動で回避したものの、自分の意思で動いていない為お腹に負担が掛かる
「このヤラネーダ強い!」
「違うよパパイア」
「わたし達が力を出せて無いんだ」
ここでようやく、自分達が空腹によるせいで力を出せてない事が分かった
ローラもその事に気付いた
「皆んな!わたしに作戦があるの!少しでいいからヤラネーダの動きを止めて!」
「でもどうやって?」
「それなら…」
フラミンゴが帝へと目を向ける
「待って俺?激しい腹痛で動きたくないんだが…」
しかし、サマーとフラミンゴに両腕を掴まれた
「素っ裸で抱きついて来たお返しだ!」
「ええぇぇ!?」
投げ飛ばされた帝に向かって、雪玉が乱射される
「待っ、うっぷ…オェェ……」
もはや自分の意思でどうにも出来ず、自動攻撃と防御でヤラネーダを惹きつける
その隙にサマー達は
「皆んな今よ!」
戦闘中にも関わらず、座ってお弁当を広げた
「作戦ってお弁当?」
「一口でも良いから食べるの!ほら早く!人間がゲロ人間になる前に!」
帝には申し訳なく思いながらも手を合わせる事にした
「「「「頂きま〜す」」」」
「それじゃあ、大好きなハンバーグ!」
「タコさんウインナー可愛い!」
「美味しくて身体に良いなんて野菜って凄い!」
「……わたしは好きなものは最後だ」
それぞれ好物を食して力を付けた。フラミンゴに至っては、好きなものを取って置き代わりのものを食べた
「またお腹が空かない内に倒しちゃおう!」
「「「オーライ!」」」
「お前らだけズルいぞ!!」
「はい人間はこっちよ」
帝はローラからビニール袋を貰い、とうとう吐いてしまった
「ヤラネーダ!」
『ぺけ!』
先程とは打って変わり、コーラルのシールドもいつもの調子に戻った
「「「はぁぁ!!」」」
サマー、パパイア、フラミンゴの同時攻撃でヤラネーダを倒した
「マーメイドアクアポット!サーチ!」
「オレンジ!」
「やる気パワーカムバック!」
「今よ!」
「ハートルージュロッド!」
「プリキュア!ぶっとびフラミンゴスマッシュ!」
「ビクトリー!」
こうしてやる気パワーも奪い返して終わった
////////
気を取り直して、お弁当を食べる事に
「美味しい!やっぱ我慢した甲斐があったよ」
「わたしも好きなもの、最後のお楽しみにしようかなぁ?」
「じゃあ、わたしは最初に食べるよ」
「でもきっと、最初でも最後でも作ってくれた人の優しい気持ちを感じた時が一番美味しいよね!」
みのりも食べようとしたが、箸を止めてしまう
何故なら
「くるるん弁当食べ難い…」
「何で?」
「だって、くるるんが…」
みのりが前へ指差すとそこには、つぶらな瞳でこっち見るくるるんが居た
「くるるんがそこで見てるのに、くるるんを食べるなんて…」
「確かに…」
「気不味い…」
本人の目の前で、本人のキャラ弁を食べるのに躊躇する
だがまなつだけは違った
「でも、くるるんのお目々美味しかったよ。ほら見て、モグモグ……ん〜美味しい!」
「サイコパス!」
「え何で?だって美味しいんだよ!くるるんのお目々〜!」
「俺、カレーから先に食べよ…」
「わたしも…」
「うん…」
「帝に賛成だな…」
こうして、後味の悪い形で終わった最初のトロピカる部だった
今回の小説では、主人公は料理下手にさせました!
次回も料理ネタです。本当はカレーネタも考えていましたが、今回の話に混ぜてみました
ここまでの拝読ありがとうございました!