ではスタート!
「さんご〜!学校遅れるぞ〜!」
珍しくも帝が早く支度を終わらせて、一緒に登校しようも誘っていた
ドタバタと大きな音を立てながら玄関のドアが開いた
「はぁ…はぁ…み、帝君!先に行ってて!」
未だにパジャマ姿で、髪が整っておらず焦るさんご
「え、あぁ分かった。先行って待ってるよ」
それから数十分後
「いってきま〜す!」
「さんご朝ご飯は?」
「食べてたら遅刻しちゃうよ〜!」
みゆきに丁寧に返事をしながらも、さんごは朝ご飯を食べずに慌てて家を出て行った
正直もう遅刻は確定はしている。家を出た時点で10分前なのだ。
どんなに早く走っても遅刻なのだが、それでも大幅に遅れて門を潜るより、少しでも早目に門を潜る方が良いに決まってる
その為全力疾走で街中を駆け抜ける
「はぁ…はぁ…あっ!」
しかし、焦る余り足が追い付かず躓いで転んでしまった
「うぅ…痛っ!」
転んだ拍子に右膝を擦りむいてしまった。
血も出ていて絆創膏でも有れば良かったが、生憎持ち合わせてはいなかった
「どうしよう…」
「大丈夫かさんご?」
「え、何で!?」
顔を上げると、先に学校に行っていた筈の帝が手を差し伸べていた
「何でって言ったろ?『先行って待ってるよ』って」
別にマウント取る為に言ったのではない。只単純に、珍しくさんごが遅れていたので心配でずっと待っていたのだ
「学校遅れちゃうよ!」
「そんな事今更言われても遅刻は免れないぞ」
「帝君は……っ!」
話をしていて忘れていたが、さんご今怪我をしている。擦りむいた傷口が忘れるなよと言わんばかりに痛みを与える
「転けたのか?」
「うん…」
「え〜と…あ、あそこに公園があるから休憩しよう」
「で、でも学校が…ひゃあ!?」
有無を言わさずにさんごを抱っこしてそのまま公園のベンチまで移動したのだ
「絆創膏は持ってないからな。水で濡らしたハンカチ巻いて、後は学校の保健室でちゃんと手当てする。分かったか?」
帝はハンカチをさんごの膝に巻きながらそう説明した
「さて、後はおぶって行くか」
「い、いいよそこまでしなくても!それにわたし重いし…」
「そんなんで歩ける訳ないだろ。それに重いのは前々から知ってる」
「ちょっと今複雑な気持ちがする…」
帝はさんごの前に屈んでおんぶする準備をする
去年まで小学生だったとはいえ今は中学生だ。この年になっておんぶされるというのは少々小恥ずかしいもの
しかし、いつまでもこうしてると遅刻というレベルの問題では無くなる。
学校に来るのが遅いと家に電話をするのは必然。家を出た筈が着いてないとすれば大騒ぎだ
恥ずかしい気持ちを抑えながら、その身を帝に預けて登校したのだった
着いたのは8時も過ぎて20分
帝のお陰で予定よりは早く着けた。
向かうは教室では無く、先ずは保健室だ
「後は保険の先生に任せて、桜川先生に事情を話せば終わりだな。またあとでな」
「ねぇ帝君、ひとつだけ聞いてもいいかな?」
「何?」
「いつも思うんだけど、どうしてこんなにもわたしに優しくしてくれるの?さっきだって、わたしなんか置いて先に学校に行けば遅刻なんてしなかったのに」
いつも当たり前の様に振る舞ってくれる彼の優しさに、ふと気になったのだ。
何か裏があるという考えがではない
昔からいつも、何故一緒に居てくれるのか気になった。
特にコレといった事はした事無い。
寧ろいつも迷惑ばかり掛けている
それなのに
「何変な事言ってるんだ?さんごが
「え、え?意味がよく分からないのだけど…」
「そのまんまだよ。さんごひとりで遅刻させるなんて出来ない。それは、さんごが幸せじゃない」
「??」
「時期に分かる」
軽く頭をクシャ撫でると帝は保健室から出て行った
分からなくて聞いた事なのに、余計にこんがらがって悩む羽目になってしまった。
けれどそれでも納得したのは、帝は相も変わらずさんごにはいつでも優しく、過保護な幼馴染と言うだけ
それだけは変わらない
決して変わる事などないのだ
////////
今日の授業が終わり、揃いも揃ってトロピカる部に集まっていた。
次は何をやろうかと会議してる途中なのだ
「今度の部活何かやりたい人!」
まなつが皆んなに呼び掛けたが、誰も手を挙げるどころか言葉ひとつも漏らさない
「偶にはのんびりと過ごすのもいいんじゃないか?もうすぐ夏休みだし」
「夏だからこそ部活により一層励む!」
「流石『まなつ』だな。俺、夏は絶対お前に近付かないわ」
「なにを〜!こっちから近付いてくれるわ!」
初めて、帝が誰かに追いかけ回されるのを目にした。
しかし、あまりにも狭い部室内で走り回るのであすかが2人を止める
「そういえばさ〜、最近部室の窓で外の様子を見るとヤラネーダが高確率で出現するだよ」
「帝、それはフラグだよ」
「そんな訳で外の様子をチラ見とします」
「あ、わたしも〜!」
「もう2人共……あっ」
みのりに言われるも、帝とまなつは興味本意で外を見ると本当にヤラネーダが現れていた
みのりは何か言いたげな目で2人を見つめ、さんごは何とも言えない表情をしていた
「まっかせないさよ!わたしプリキュアになったのよ。百人力間違いなしよ!!」
「うわビックリ!?ローラ何処から侵入したんだ?」
「失礼ね人間。ちゃんと隠れ……正面から入って来たわよ」
「さっきの間は何?」
「早いとこ片付けるぞ」
あすかを先頭に街まで走って行くのであった
ただそこで、様々な思惑が明かされるのを誰も知らなかった
////////
「ヤラネーダ!!」
「お決まり展開だな」
「プリキュアに変身するわよ!」
「「「「「プリキュア!トロピカルチェンジ!」」」」」
「「「「「レッツメイク!キャッチ!」」」」」
「ときめく常夏!キュアサマー!」
「きらめく宝石!キュアコーラル!」
「ひらめく果実!キュアパパイア!」
「はためく翼!キュアフラミンゴ!」
「フェイス!」
「ネイル!」
「ドレス!」
「ゆらめく大海原!キュアラメール!」
「ルーレットスタート!」
『TECHNIC!』
「フフッ…お待ちしておりおりました。プリキュアの皆様方」
「今度はマジで行くわよぉ〜!」
「高みの見物と行こうか」
嬴政、オッカマー、アリスの3人が揃って遂に現れた
「高みの見物?良い度胸してるじゃないの!」
「アリス、余興の時間だ」
「エイエイオーで頑張ります!ゼンゼンヤラネーダ!」
虫網を媒体としたゼンゼンヤラネーダが、頭である虫網を振り回しながら突撃して来る
「私も──」
「待てオッカマー。余興と言ったろ?一度様子を見るべきだ」
「焦らすわね政ちゃん!」
帝達はと言うと、ラメールを中心に有利に戦況を運ばせていた
「ふふん!大した事ないわね!」
ラメールは縦横無尽に立体でヤラネーダを撹乱しつつ、着実にダメージを与え続けてる。
それと同時に帝やサマーは、ラメールに合わせようと振り回されてばかり
「やっぱラメール凄い!わたしも負けてらんない!!」
ラメールに感化されてサマーまで自由とまではいかないが、単身で動き始める
「オイ2人共勝手に動き回るな!」
「諦めろフラミンゴ。駆け回る犬は止められない」
「「あはは…」」
仕方なしに、帝達も援護してゼンゼンヤラネーダを追い詰める
「さぁトドメよ!」
「プリキュア!くるくるラメールストリーム!」
「ビクトリー!」
ラメールの浄化技で勝負が決まった
「今日は簡単に倒せれたね」
「気を抜いたら駄目だよコーラル。あとまわしの魔女達はまだ残ってる」
パパイアの言う様に、ゼンゼンヤラネーダは浄化されたのにも関わらず不敵な笑みを浮かべて、未だに留まっている
「最後の仕上げだ。アリスは待機。オッカマー付いて来い」
「飛び出すわよ〜!!」
建物の上から地上に居る帝達へと、ひと踏みで飛び出て向かって来る
『『任せろ!』』
分身した帝2人も飛び出して空中でぶつかり合う。
だが一瞬のすれ違いで叩きのめされて、分身2体が消滅した
「突破された!?」
「全然味気ないわよ〜!」
「別れて向かい打つぞ!」
フラミンゴの指示で二手に分かれる
嬴政の相手はサマー、コーラル、ラメール。
オッカマーを帝、パパイア、フラミンゴ
「ウフフッ…乱交パーティーといきましょう!」
「オカマはすっこんでろ!」
「パパイア!」
「やぁ!」
帝が2人のフォローをしつつ、パパイアとフラミンゴがけしかける
パパイアの拳がオッカマーの腹に減り込んだ
「やった!」
「あら、それはどうかしら?」
「ッ!?」
減り込んだ拳をよく見ると、オッカマーの体の肉質が変化していた。
筋肉で固められていた肉体は、ゴムの様に柔らかく物理攻撃のダメージを吸収し外へ逃していた
「パパイア離れて!」
「クッ…!」
「無駄よ。一度飛び付いて来たら絶対離さないわ!!」
瞬時に肉質が変化し、硬く強靭な鋼の肉体へと変わり、パパイアの拳を挟み込んだ
「サンドバッグになって、可愛い悲鳴を聴かせて頂戴!」
『『やらせるか!』』
両側から分身の帝が仕向けるが、オッカマーの両の拳で弾かれた
「帝行くぞ!」
「分かってる!」
分身に気を取られてる一瞬を突いて、正面から帝とフラミンゴが突っ込んだが
「甘いわよ!」
オッカマーはパパイアを掴んで2人へと投げ飛ばした
「パパイア…うわっ!」
止まる事の出来無いフラミンゴはら投げ飛ばされたパパイアに巻き込まれる
「フラミンゴ…しま──」
心配した帝も油断し、オッカマーに脚を掴まれた
「そ〜れッ!」
数回振り回され投げ飛ばされたが、空中で体勢を整え上手く着地した
「コイツ思ったりより強い!」
「帝みたいに只の変態って訳じゃないか」
帝達が苦戦を強いられてる中で、サマー達も翻弄されていた
「攻撃が全部当たらない!」
サマーの攻撃を嬴政は寸前で避けていた
「当たっても受け流されちゃうよ!」
そして時に、拳や足での攻撃を受け止めては簡単にあしらう
「この〜!」
ラメールは休む間も与えさせない様に連続で仕掛ける
右、左のストレートからの軽くジャンプして右足の回し蹴り。
そのコンビネーションも通用しない
「はぁ…はぁ…」
「ラメールどうする?」
「このままじゃわたし達が…」
防御一辺倒で客観的に見たらサマー達が優先にも見えるが、防御に全て割り振っている嬴政が有利になっている
連続で攻撃するあまり、体力だけ奪われ既に3人は肩で息をしている。
対して嬴政は、最小限の動きしかしてない
「もう終わりか?」
「「何を〜!」」
「それならこっちから行くまでだ」
「させない!」
『ぺけ!』
とうとう仕掛けて来た嬴政にコーラルが前に出て防御するが、シールドの目の前でジャンプで避け、そのまま踵落としでサマーに攻撃する
「うっ…!?」
両腕でガードはしたが、その一撃は非常に重く踏ん張った両足は地面に減り込む
そしてそのまま体勢を変えて、防御の薄くなった脇に蹴りを一発放ち、建物へと吹き飛ばした
「サマー!」
コーラルも防御するだけでは勝てないと判断し、攻撃に参加するも
「えっ…?」
そんなコーラルを無視するかなの様に通り抜け、ラメールへと狙いを定める
「ッ!」
コーラルもすぐにターンで方向を変えて、背後から忍び寄るも
コーラルの接近を察知して嬴政は振り返り、コーラルの腰を掴んで適当に放り投げた
(やられる…!)
追撃されると思い、歯を食いしばり次の攻撃に耐えようとするのだが、コーラルには目もくれずラメールへと突き進む
(そんなどうして!?)
嬴政が何故コーラルを攻撃しないのかの真意が分からない
理屈では分からないが感じるものはある
嬴政はコーラルにだけ敵意が全く無い
「正面から来るなんてありがたいわ!」
ラメールは手を伸ばして掴み技に入ろうとしたが、片足を軸にターンで避けられ背後を取られる
「しま──」
気付いた時には既に手遅れ
後頭部を掴まれ、地面へと顔面が叩き込まれた
「ラメール!!」
ピクリとも動かないラメールに駆け寄り、揺するも反応が無い
「…」
嬴政はコーラルを目の前にするが、当然の如く無視して帝達へと足を進ませる
「ッ…駄目!」
コーラルにしてはあまりやらない、手の突きで攻撃した
「ッ!」
嬴政も余裕で寸前で避けるが、少し慢心したのか頭に被ってるフードに攻撃が擦り破けた
「貴方は一体誰なの、顔を見せて!」
嬴政はフードが破れて、顔を俯かせ手で見られまいと隠してるが、コーラルに言われゆっくりと手を退けて顔を上げた
そして嬴政の姿を見たコーラルの表情が、信じられないといった驚きに変わってゆく
「え、何で…その顔って……」
人間と言う生き物は平穏を保つ為に嘘を吐く
何故なら、嘘の無い真実のみしか語れないとなると必ず争いが生まれる
嘘が世界の均衡を保っているのだ
嘘を暴けば良い時もある
しかし、それと同時に悪い事も起きる
彼は大切な人の為に嘘をつき続けていた
そして彼女は今日、その嘘を知る事になる
「帝君、なの?」
次回は主人公大活躍ですよ!
更に半年分の伏線?回収と解説全て曝け出します…多分
あの狂気じみたサブタイ、次回辺りでそれも分かりますはい
ここまでの拝読ありがとうございました