トロピカル〜ジュ!プリキュア PICARO   作:シロX

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タイトル通りです

ではスタート!


第45話 ドリームパラレルフューチャー inみのり

時は遡り、南乃島に向けて出発の日の前日の夜

 

 

 

 

 

「着替えに水着、後歯ブラシに……そうだ。夏休み中に本を百冊読まないといけないから何冊か」

 

みのりは着々と明日の準備を進める。少々荷物が多い。

重くて持ち歩くのには最適とはいわない。それを後悔するのは明日の朝に気付く

 

「うん、全部揃ってる。ふわぁ〜…そろそろ寝ないと…」

 

みのりはベッドで横になって深い眠りにつくのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

////////

 

「ん…うぅ…」

 

目覚ましが鳴るのを止めて体を起こす

 

「ふわぁ〜…荷物…」

 

眼鏡を掛け、多少寝ぼけながらも昨日準備した荷物を取ろうとしたのだが

 

「あれ無い?リビングだったかな?」

 

少し寝ぼけながらも目を擦りながらリビングへと向かう

 

「おはようみのり」

 

「おはよう帝」

 

台所に居る帝に挨拶をして洗面台へと行く

 

バシャバシャと寝ぼけた顔へと水を掛ける

 

「……」

 

水を掛ける

 

「…」

 

水を

 

「………え?」

 

みのりの手が止まる。そして冷静に考えた後、急いでリビングへと戻る

 

「あ、どうしたそんなに慌てて?」

 

「な、ななな何で帝が家に居るの!?」

 

「何でって、俺()の家じゃないか?」

 

()!?」

 

今度は玄関へと走り出して外へと飛び出した

 

確認するのは表札

 

「『皇』…えぇ!?しかも…」

 

表札は帝の苗字である「皇」が。そして今みのりが出て来た家は、自分が住んでいた住居ではなく一軒家が建っていた

 

まるで悪夢を見てるかの様に、みのりはぐったりして頭を抱えてリビングへと戻る

 

「変な夢でも見たのか?」

 

「今が夢であって欲しいと思う」

 

「??」

 

みのりのおかしな言動に帝は首を傾げるも、朝食を食卓に用意する

 

「あ、ありがとう…」

 

朝食を口にしながらみのりは辺りを見回す

 

最近建てられたと思われる綺麗な家。立てられる写真立てには、自分と帝の姿がハッキリと写っていた。恐らく結婚式での写真だろう

 

そして現状一番気になっていたものを目を移す

 

(2030年…眠ってる間にも9年も過ぎ経ったって言うの?)

 

日付けは9年の時を刻んでいた

 

「ねえ帝、わたし達っていつ結婚したっけ?」

 

「半年経つか経たないかくらいだな。それがどうかしたのか?」

 

「ううん」

 

「それより準備は出来たか?」

 

「準備…トロピカる部の夏合宿?」

 

帝はキョトンとした表情から少し心配になる

 

「みのり、体調が悪いならやめた方がいいじゃないのか?結婚式以来だから、皆んなと集まるのは久し振りだけど」

 

(皆んなと会う…いや寧ろ)

「大丈夫。少し寝ぼけているだけだから」

 

きっとまなつ達も突然の事で困惑してるに違いない。

そう考えて平気を装う

 

 

 

 

 

////////

 

まなつ達と会えば何か分かる筈だと思っていた

 

のだったが

 

皆んなと集まる場所はあおぞら中。

校門前で待っているのを目にしたが

 

「嘘でしょ…」

 

話してみた結果、帝と同じく話が合わないでいた

 

「こうして集まるのはみのりと帝の結婚式以来だな」

 

「そうね」

 

「みのりん先輩!また一段と綺麗になったんじゃないですか?」

 

「まなつ、みのりん先輩困ってるよ」

 

もう何がなんだか訳が分からない。おかしいのは自分だけ

 

「ローラ!!」

 

「わっ!?急に大声出して何よ?」

 

「ローラ、あとまわしの魔女達との戦いっていつ終わったっけ?」

 

「う〜ん…9年?8年前だったかしら?」

 

どうやら、あとまわしの魔女達との戦いは終わっている

 

「ねえねえ!早く部室に入らない?先生から許可は貰ってあるんだ!」

 

まなつはポケットから鍵を取り出した

 

「そうだな。そもそもその為に集まったもんな」

 

元部長であるあすかを先頭に校内へと向かう

 

みのりも渋々入ろうとする時、後ろから激しい地響きが鳴る

 

「ヤラネーダ!!」

 

「何でヤラネーダが!?でも、変身すれば……あれ?」

 

みのりはトロピカルパクトを取り出そうと懐に手を入れるが、何処にも見当たらない。今まで気付かなかったが、ハートクルリングも身に付けていなかった

 

「ローラ、トロピカルパクトは!」

 

「そんな物置いて来たに決まってるじゃない!そもそもヤラネーダが来るなんて知らないわよ!」

 

(一体どういう…)

 

みのりだけでは無い。まなつ達も所持してないのだ

 

「ならオーシャンステッキ!」

 

「パクトを持って来てないのよ。此処にあると思ってるの?」

 

「ヤラネーダ!!」

 

「皆んな校内に!」

 

みのりが校内へと避難する様に促した

 

「ヤラネーダ!」

 

「うわっ!お構い無しだよ!」

 

「もう!ローラがトロピカルパクト忘れるから〜!」

 

「しょうがないじゃない!」

 

「いいから走れ!」

 

ヤラネーダは廊下を走るみのり達を追い掛けながら攻撃する。お陰で振り返れば校舎がぐちゃぐちゃになっている

 

「ヤラネーダ!!」

 

「きゃっ!」

 

「うわっ!」

 

「みのり!帝!」

 

攻撃された衝撃でみのりと帝は吹き飛び、まなつ達と離れてしまった

 

「俺達の事はいいから逃げろ!」

 

「でも帝君達を──」

 

「早く!!」

 

帝が怒鳴ると、まなつ達は振り返りながも走って逃げて行った

 

だが、ヤラネーダは逃げて行ったまなつ達を追い掛ける

 

「チッ!そっちかよ!」

 

帝も追い掛けようとしたが、みのりを置いて行く訳にも行かなかった

 

「帝行って」

 

「だがお前を…」

 

「大丈夫。ヤラネーダは皆んなを追ってるの」

 

「…行ってくる」

 

軽く抱きしめ、帝は走り出した

 

「どうしようか…」

 

帝を行かせたはいいものの、これから自分はどうすれば良いか

 

(待って、そもそも何でわたしは此処に居るの?何か意味が…)

 

みのりはその意味を探す

 

無情にも投げ入れられたこの世界。自分がこの場に存在する理由は

 

(あるとすればおそらく……だけどトロピカルパクトは無い)

 

しかしそれでも

 

「でも、大人しくしていい理由にはならない。わたしが今一番大事な事は!」

 

例えプリキュア に変身出来なくても、皆んなを助けることだ

 

しかし、たかが少女ひとりの力ではどうする事も出来ない

 

それでもみのりのやる気は無くならない。

その意思だけは強く、その想いに応えるかの様に

 

「っ!?」

 

ポケットの中、そして指から光りと熱を感じた

 

ポケットから取り出したソレはトロピカルパクト。指にはハートクルリングが現れた

 

 

 

「プリキュア!トロピカルチェンジ!」

 

「レッツメイク!」

 

「キャッチ!」

 

「チーク!」

 

「リップ!」

 

「ヘアー!」

 

「アイズ!」

 

「ドレス!」

 

 

「ひらめく果実!キュアパパイア!」

 

 

 

 

 

////////

 

「追い込まれたか…」

 

逃げた帝達だが、とうとう追い詰められてしまった

 

「ヤラネーダ!」

 

「皆んな!!」

 

ヤラネーダが帝達へと拳を振り下ろす時、パパイアが邪魔をして当たらなかった

 

「え、何で変身出来てるのよ!?」

 

「説明は後!早く皆んな逃げて!」

 

「ヤラネーダ!」

 

またも襲い掛かって来るが、パパイアは蹴り返す

 

「よし!やあぁぁ!!」

 

上手く怯ませ反撃をしようとしたが

 

「ヤラネーダ!!」

 

「きゃあ!!」

 

逆に返り討ちにあい地面に叩き潰された

 

「ぁ…うぁ……」

 

一撃とはいえ、勢いを利用されてのカウンターなのだ。

大の字で倒れるパパイアに殆ど力は残ってない

 

(皆んなを守れるのはわたしだけ……これくらいの痛みで倒れるには……あ、れ?)

 

立ち上がろうとする時、パパイアは自分の体に異変がある事に気付いた

 

(ちょっと待っておかしい。だったら何であの時…)

 

そしてパパイアはひとつの答えに辿り着いた。

いや、その答えは最初から出ていたのだ

 

「ヤラネーダ!」

 

「みのり危ない!」

 

帝が叫ぶがパパイアは避ける素振りを見せない

 

「違う…これは全部────"夢"!!」

 

攻撃が当たる寸前で、ヤラネーダにノイズが走り消え去った

 

「ッ!」

 

パパイアは高くジャンプしてハートルージュロッドを構える

 

 

 

「ハートルージュロッド!」

 

「プリキュア !ぱんぱかパパイアショット!」

 

 

 

技が地面へと直撃すると、そこから地面から周りの空間に亀裂が生じてガラスの様に砕け散った

 

そんな偽りの世界が壊れると、パパイアは真っ黒な空間に佇んでいた

 

「ブラボーブラボー!」

 

真っ黒な空間に他の人の声が聴こえる

 

「やはり貴女だったのね。アリス」

 

その人物はアリスだった

 

「いつ気付きました?」

 

「ヤラネーダに攻撃を受けた時。体に痛みが無かったから」

 

「あら、私とした事が。少々詰めが甘過ぎた様ですね」

 

「でも幾つか気になる事があるの」

 

「ほうほうどうぞ」

 

「痛みが無い筈だったのに、朝食に出て来た食べ物には味があった。それに物に触れた時にも感覚も」

 

痛覚だけあるのは少し不思議に思った

 

しかし案外それは簡単なものだった

 

「それは先程申し上げました通り、詰めが甘かったとした言いようがありません。単なるミスで御座います」

 

「そう」

 

「そうなのです……おや、どうやらそろそろお目覚めの時間が来てしまいました」

 

真っ黒な空間で甲高い音が鳴り響く。それは目覚まし時計の音だ

 

「最後にもう一つ。パパイア様は確か、これは『夢』と仰いましたが半分不正解です」

 

「半分不正解?どういう事?」

 

「夢である事は間違いないのですが、見せた出来事は未来であり、可能性の一つ」

 

「…もしかしたら、帝と結婚してるかも知れない未来って事?」

 

「バッチリグッチリ正解です。未来は一つではありませんし、可能性も無限です。その事をお忘れずに」

 

 

 

 

 

////////

 

「……」

 

小鳥のさえずりが聴こえる

 

みのりは朝を迎え、ベッドから起き上がる

 

リビングではいつも通りの日常がそこにあった

 

 

 

そして集合場所へ着く。

あの夢を見た後のせいか、少し帝の事を意識してしまう

 

「……」

 

「何みのりん先輩?」

 

「…何でもない」

 

「は、はぁ…」

 

 

 

勿論それはフェリーに乗った後もだった

 

「な、何みのりん先輩?」

 

「帝ってローラが好きなんだよね?」

 

「え?そうですが」

 

それは至極当然の返事が返って来た

 

別に帝に特別な感情は無い

 

ただ何となく聞いてみただけのこと

 

「じゃあ──」

 

みのりは静かに、帝の頬に軽くキスをした

 

「え?どういう事ですか?」

 

「秘密」

 

これも何となくだ

 

帝、さんご、ローラの喧騒を聴きながらみのりは微笑む

 

お互い興味は無いだろうがそれでも

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そういう未来の可能性が有っただけでも知って少し嬉しかった




ちょっとしたIFルートみたいなものです。
みのりん先輩と絡ます話が書きたいな〜と考えた結果が今回の話です

ここまでの拝読ありがとうございました!
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