「ちょっと人間いいかしら?」
放課後の帰り道で、ポットの中に居るローラに呼び止められた
「ローラから誘うなんて珍しいね」
「それで何か?」
「……2人だけで話したいんだけど」
「いいよ!!!」
かなり食い気味で帝は返事した。
そして、まなつはポットを帝に預けた
「また夕方に迎えに行くね」
////////
「へいただいま〜!」
帝は靴を脱ぎ捨てて自分の部屋へと駆け込んだ
「で、ローラは何で俺と話をしたいの?もしかして期待しても良かな感じ?」
「そんな話じゃないわよ」
「嗚呼、人間と人魚の結婚……嬉し過ぎる!!」
「だ〜か〜ら〜……」
わなわなと怒りが込み上げて噴火直前で、帝はふざけるのをやめた
「ごめんごめん!結局何の話?」
「……」
ローラは先日の事を思い出していた。一瞬だが、ステッキが帝に反応したのだ
「ローラ?」
「ん…」
ローラはステッキを持ってわざわざポットから出て来た
(やっぱり反応が無い。気のせい…だけどあの時確かに…)
「お〜いローラさ〜ん?」
「う〜ん…」
目の前で手を振っても気付かなくなった
「ロ〜…ラッ!」
「ぴゃあ!?」
正面から胸を掴まれて変な声が出てしまう
「何考え込んでんだ?」
「人間には関係無く…は無いけど……ていうかいつまで触ってんのよ!!」
「あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!」
本気で尾鰭で締め上げられて、ミシミシと骨が悲鳴を上げる
「ふぅ…ふぅ…こ、殺すんですか?」
「そもそも何で胸を触るの?」
「日課だよ!生き甲斐だよ!使命だよ!俺が俺であるが為の行為だよ!!」
「呆れて何も言えないわ…」
「そんな事言うなって!」
「きゃ!」
帝はローラ事ベッドへダイブした
「乗っからないでよ!!」
「良いではないか〜」
頬擦りする帝を退かそうとするも、力で負けて動かせないでいる
「は〜な〜れ〜て〜よ〜!!」
「少しくらいいいだろ?それにな…」
帝は、ローラの腰に手を回して胸の中に蹲る
「なんだか落ち着くんだよ」
「そ、そうなの?そう、なんだ……」
いつもより大人しい帝に戸惑いながらも頭を撫でる
何故か優しくしてあげたくなった。自分でも何でこんな事をしているのか分からなかった
「ローラ…」
「人間……この手は何?」
つまみ上げる指には、衣服の中へと伸ばそうとする帝の手があった
「揉みたい」
「ちょっと人間の事良いかなぁ…と考えていたのに!」
「マジ!?なら子供作ろうよ!此処を俺とローラの愛の巣に!!」
「一回死なないとこの頭は治らないのかし…らっ!」
目潰しを仕掛けて来たが、寸止めで帝が防御した
「うぐぐ〜!!」
「め、目潰しなんて駄目だよ〜」
お互いにプルプルと震える手での攻防
「そういう所が嫌いなのよ!」
「俺は君が好きです!」
「そんなの聞いてないわよ!」
「ローラを嫁にしたい!!」
「ちょっと……もう///」
先にローラが折れて赤面する。もう何がなんだか良く分からなくなって来た
「そんなにアレなら行動で示してやる。これが俺の本気──」
そうして軽くだが、確かにローラと口付けをしたのだ
「〜っ!!??!」
「ドヤ!」
気がつくと、言うが早いかマーメイドアクアポットの角で帝の頭を殴っていた
「ま、まだ…まだまだ殴り足りないわ。覚悟しなさい!!」
「あーー!!ローラ後ろ後ろ!!」
「その手には引っ掛からないわよ!」
「いやマジ後ろ!街が大変な事になってる!!」
怪訝な表情で振り返ると、遠目でやっと見える距離にヤラネーダが暴れていた
「またアイツらね!行くわよ人──」
「はい隙あり頂きます!」
今度は後ろから胸を触る。突き上げる様に触った為、手が衣服の下に潜り込んだ
感触は直に伝わった
「ローラの生おっ──」
////////
「まなつ〜!」
「あ、ローラ!」
街へ行くと、まなつも丁度到着したらしく合流する
「さあまなつ、プリキュアに変身してあとまわしの魔女なんてやっつけちゃって!」
「うん!…っとその前に帝は?」
「…」
ローラはまなつの目の前に投げ出した
「み、帝〜〜!?どぉしちゃっのぉ!?」
まなつが目にしたのは見るも無惨な姿の帝だった
頭から大量の血が流れて血だるま状態だった
「我が人生に悔いなし……ローラの生おっぱ──」
何か言い終わる前に、ローラがのしかかり頭を潰した
「まなつプリキュア」
「え、でも──」
「プリキュア!!」
「は、はい!!」
「プリキュア!トロピカルチェンジ!」
「レッツメイク!」
「ときめく常夏!キュアサマー!」
「ま〜たかったりぃ奴が来たか…」
「開けてビックリアリスで〜す」
「うわぁ…」
「今日はどんな物語を紡いでくれのでしょうか?興奮昂ぶらせてイェイイェイのノリで記録致します」
サマーは相手にするのも面倒になったのか、一直線にヤラネーダへと向かって行く
「今度のヤラネーダは電柱……何で電柱?」
「人間は黙ってなさい」
「やあぁぁ!!」
サマーは一心不乱に飛び出して攻撃するのだが
「ヤラネーダ!」
「うわっ!」
ヤラネーダは体を大きく振り、頭上にある電線を振り回してサマーを鞭打つ
「サマー!」
「だ、大丈…っと!」
体勢を立て直してローラに心配掛けない様にするも、ヤラネーダは攻撃を止めない
嵐の様に続く電線を使っての鞭攻撃を、持ち前の運動神経で避け続ける
「危な!」
しかし、息つく暇も無く避けてる為そう長くは保たない。
少しずつだが、サマーを捉える様になって来てる
「ダメ、全然近付けない!…わっ!?」
着地した場所に足を絡め取られた
「ヤ〜ラネーダ!!」
そのままサマーを投げ飛ばして建物に激突させた
「あとは」
チョンギーレはローラと帝に目を付けた
「かったりぃがやる気パワーを奪えば、もう邪魔される事は無いだろう」
「ヤラネーダ、お願いしましょう」
「俺のヤラネーダだ。やれ!」
「ヤラネーダ!」
「ッ!」
ローラは目を瞑り覚悟を決めたが
「…?」
しかしいつまで経っても何も起きない。目を開けると
「え…人間!?」
「グッ…」
帝がローラを庇い、左腕を差し出して電線に絡めさせていた
「ならお前からやる気パワーを取ってやる!」
「ヤラ!」
ヤラネーダの目が赤く光り帝からやる気パワーを吸い取り始める
「何という事でしょう。これで、私達の負けは確定で御座います。チョンギーレ様、身の程を弁えろ、です」
「はぁ?」
「……確かにそうだな」
帝は力強く右手で電線を掴んだ
「立場を分かっていない」
「に、人間?」
「お前達は何ひとつ、自分達の立場を理解していない」
電線を引いてヤラネーダのバランスを崩した
「ヤラ!?」
(この人間のやる気パワーが吸われてない?)
「『この人間のやる気パワーが吸われてない?』。そう言いたいのか?」
図星を突かれた。しかも一字一句間違えず言い当てられた
「やる気パワーか…そんなもの俺には必要無い」
「何言ってんだ?」
「そのまんま、の意味ですよ?あの方にやる気など存在しません。これまでも、これからも」
帝はローラに手を差し出す
「寄越せ」
「え?」
「ステッキを寄越せ」
「で、でも──」
中々渡してくれないローラに、殺意とも勘違いする程の視線を向ける
「次は無い。寄越せ」
「は、はい…」
震える手でステッキを渡した
「お願いや命令では無い。これは自然な事で当たり前の事だ。森羅万象、未来永劫何事も俺が正しい。俺の行動、言動何もかも全てにおいて間違いなど存在しない」
ギチギチと今にも壊れそうな音を立て、強引にルーレットを回そうとする
「ルーレット如きが指図するな。選ぶのはお前じゃない、俺だ」
「ルーレットが…!」
「──ルーレット……スタート」
ガチャリという音がしてロックが外れた
スピード良く回る盤は次第に速度を落とし始める
『ATTACK!』
ルーレットから音声が鳴り響くと、赤く光り帝の身体能力を向上させた
「ッ!」
腕に絡まる電線を引き千切った
「ヤラネーダ!」
ヤラネーダがパンチしてくるも、帝はそれを片手で受け止めた
「この程度の力で勝てると思っていたのか?」
「只の人間がここまで!?」
「人間…いや、俺は普通の人間では無い。この力で、全てを絶対的に従えさせる。これは何者にも変えられない」
受け止めた拳を地面に叩き付けて、その上をゆっくりと歩いて行く
「ヤラネー…」
「見上げるな」
頭の上まで辿り着いた帝は、ヤラネーダの頭部を踏み付け地面に減り込ませる
「この俺が絶対。この俺こそが、この世界に君臨するのに相応しい人間だ。這い蹲ってろ」
「ヤラネーダがやられーた!思わず自画自賛したくなる程の洒落乙なジョーク。感激の余りに私は泣きそうです」
「サマー起きろ。ローラはやる気パワーを」
「よっと!」
「わ、分かったわ!」
「マーメイドアクアポット!サーチ!」
「やる気パワーは取り戻した!」
「なら終わらせろ」
帝は一旦下がりサマーに浄化を任せた
「ハートルージュロッド!」
「プリキュア!おてんとサマーストライク!」
「ビクトリー!」
無事何とか浄化は完了したのだが、少々空気が重かった
帝はまだピリピリとしていたが、アリスは無防にもそんな帝に近付く
「お目覚めの時の様ですね。私、この時を心待ちにしておりました」
「貴女、前々から思っていたけど人間と知り合いなの?」
「知り合いですか?私は、皆様の旅の案内役兼記録係です。いわゆる放浪の旅人、何処かで知り合っているかも知れませんし、知り合って無いのかも知れません」
「結局どう言う意味よ?」
「それは……」
言葉を溜めて、サマーとローラは息を飲む
「私にも分っかりませ〜ん」
「「ズコッ!」」
サマーとローラは思わずズッコケてしまう
「紛らわしいわね!なら意味深な事言わないでよ!」
「旅とはそういうものなのです。では、そろそろお暇しますね」
アリスの足下から煙が漂い身を包み始める
「では、失礼します」
////////
「あの…人間」
「ローラ」
帝は突然ローラを抱っこした
「ちょ、人間!?」
「まなつ、お前に言いたい事がある」
「何?」
「ローラと結婚するから祝って下さい!!」
「何でよ!!?」
さっきまでの雰囲気の帝では無かった。いつも通りの帝がそこにいた
「おめでと〜!!」
「ありがと〜!」
「何勝手に祝ってるのよ!?わたしは人間なんか大っ嫌いよ!!」
ローラの怒号は街中に響き渡った
「それよりもこのステッキに名前付けてみないか?」
「それなら『オーシャンステッキ』ってのはどう?トロピカってない?」
「採用」
「ちょっと勝手に名前付けないでよ!!」
////////
「かなり面白い事になって参りました……おや?お帰りになりましたのね」
「…」
あとまわしの魔女が居る場所で、アリスは誰かの帰りを歓迎していた
「もう宜しいのですか?」
「いや…まだ様子見と言う感じだ」
「まだ気になる…と考えておられるのですか?彼女達がそれ程の力を持ち合わせている様には存じませんが」
「だからだ。プリキュアに、それにあの謎の力…決め付けるにはまだ早い」
そう言って男は闇の中へと消えて行った
アリスは本を開きページを一枚捲って読み上げる
「PICARO。始まりがあれば終わりもあります。今回の物語の行く末をとくと拝見致しましょう」
凄えだろ?ここまでやっておいてヒロイン未定なんだぜ!
ここまでの拝読ありがとうございました
下記に能力項目があります。参考程度にどうぞ
オーシャンステッキ ディスクを入れ替える事で使える能力の項目が変わる。
能力によってルーレットにオーラが纏う
ATTACK:攻撃力が増加する 赤
DEFENCE:防御力が増加する。盾も生み出せる 青
TECHNIC:分身を可能とする 緑
PERFECT:上記の3つの能力を全て同時に使える 黄