ではスタート!
「帝殿、例の試作品が完成致しましたぞ。デュフフ!」
「試作品とはいえ遂に完成しましたか博士」
とある教室。カーテンも閉められて真っ暗な空間の中、二人の影が不適に笑っていた
一人は帝。そしてもう一人は二年生の先輩だ
「我が科学部の最高傑作…まだ試作品だけど、遂に完成した!この『幼児にな〜るくん』を!」
「博士!俺は貴方に一生ついて行きます!!」
「ではどうぞ」
博士と呼ばれる先輩から帝はソレを受け取る
小瓶の中にカラフルなキャンディーが入ってる。ソレが幼児にな〜るくんだ
「コレを皆んなに食べさせれば──」
「興味深い」
「あ、みのりん先輩………え、みのりん先輩!?」
いつの間かすぐ隣に居たみのりに驚いて距離を置く
「一之瀬じゃないか」
「みのりん先輩どうして?」
「教室に入って行くのを見たから気になって」
みのりはその幼児にな〜るくんをマジマジと見る
「ソレ、わたし達に食べさせるつもりだったの?」
「でも興味ありますよね?ね?」
少し怪しむも、確かに効果は見てみたいという好奇心が勝ってしまった
「それじゃあ決まりですね!」
「あ、効き目は二時間程だからね。では!」
「博士もありがとうございます!」
「こちらこそ感謝致す!」
二人は部室に来ていた
「さて、どうやって食べさせるか…」
「普通にキャンディーと偽って食べさせたら?」
「それならみのりん先輩がお願いします。俺だと絶対怪しむ」
「分かった」
みのりは完全に帝側へとついてしまった
二人が企んでると、ローラと桜川が部室に入って来た
「あ、丁度良いところに!二人共、桜川先生の事手伝って欲しいの」
「お願い出来るかしら?」
「良いですよ〜」
「任せて」
帝は小瓶を机の上に置いて、お手伝いする為に部室を一旦後にした
帝達が部室を去った後、入れ違いでまなつ達が入って来た
「あれ?帝君とローラは?」
「気長に待つか」
「待ってる間に今日の部活決めますか!」
三人が椅子に腰を下ろして待つのだが、机の上に置いてある小瓶に目が移る
「キャンディーだ!」
「キャンディーだな」
「キャンディー?」
三人は顔を見合わせた後、そろりと小瓶に手を入れる
「キャンディーがあるなんて誰のだろう?」
「まぁいいじゃないか?置いてあるのだから、きっと誰でも食べていいと思う」
「わたしは紫の!ぶどう味かな?」
まなつは白、さんごは紫、あすかは赤のキャンディーを口に入れた
「ん、イチゴか。美味しいな」
「わたしはヨーグルト味?」
「あ、やっぱりぶどうだった!」
美味しそうに口の中で転がす三人だった
////////
「ありがとうね二人共!」
「大丈夫」
「さて、さんご達はもう来てるかな?」
用事を済ませた後、三人は部室の中へと足を踏み入れると
「「「……」」」
「「「?」」」
幼稚園児くらいの大きさの子供が居た
「え、何この子達?」
ローラがドン引きする中、帝とみのりはヒソヒソ話してた
「みのりん先輩見て下さい机の上」
「食べたね。実験は成功ってところかしら?」
二人がガッツポーズを取ってると、ローラがそれをこっそり盗み聞きしていた
「貴方達、何か知ってるのかしら〜?」
「科学部で発明した、食べると幼児化する幼児にな〜るくんです!」
「イエイ」
「あ、貴方達────バッカじゃないのォォォ!!」
ローラに全ての事を話した
「一体何を考えてるの!全く…」
「多分この子達まなつ達だと思う」
「そんな事見れば分かるわよ!!」
色々と説明を聞いて疲れ果てたローラは椅子にもたれ掛かる
そんなローラに小さくなったまなつがローラの元へ
「ごめんねまなつ。もう少しだけ我慢してね」
まなつは小さな手でローラに伸ばす
「励ましてくれるのね。ありが──」
しかしまなつは、ローラの鼻を摘んで引き千切ろうとしていた
「いたたたた!!!?」
「あはは〜おもしろい〜!」
「何するのよ!待ちなさい!!」
逃げ回るまなつを追い掛けるローラ
帝とみのりはやれやれと横目で見ていた。
そんな二人にも、それぞれ小さくなったさんご達は寄ってくる
「みかどくん、だっこ〜!」
「え、今?」
「だっこ〜!だっこぉ〜!」
涙目になりながらさんごは抱っこをせがむ。
抱っこされたさんごは、帝の体に張り付いてしまう
「…」
あすかはというと、みのりのスカートを引っ張って呼んでいた
「どうしたの?」
「ふふ!」
和かに笑うあすかにみのりは一瞬固まる
「いい子ね」
みのりが頭を撫でると、更にあすかは笑顔になっていく
そんなこんなで、それぞれ面倒を見る子達が決まったので奮闘する事になった
「ろ〜らおそい!もっとはやくはしって!」
「む、無茶言わないでよ!」
ローラは、まなつをおんぶしながら全力で屋上を走り回っていた
小さくなった子の中で、まなつが一番やんちゃだったのだ
「はいよ〜しるば〜!」
「痛い痛い!髪引っ張らないでお願いだから!」
「あ」
「な、何?今度は何よ?」
「おしっこ」
「なっ!?」
突然そう言われてローラは慌ただしくなる
「トイレ…でも人に見られる訳には…」
「おしっこ!おしっこ!」
「我慢して!」
「うぅ〜……あはぁ〜」
「背中が温かい……まさか、そんなぁ〜!!」
ローラはまなつを降ろして、がっくりと膝を突いて凹んでいた
「うきゃきゃきゃ!」
「さんご、まなつ達と遊ばないの?」
「あそばない。みかどくんがいい」
さんごはさんごで、大人しくはしてるものの恥ずかしがって帝以外の人と交流したくないと言う
「あっちいこぉ!ねぇねぇ!」
「分かった分かった!小さい頃のさんごはパワフルだな」
「──なりました。めでたしめでたし」
「コレよんで」
みのりはあすかに絵本を読ませていた。あすかは絵本というより、みのりが読んでくれる事に嬉しく思いずっとこの状態なのだ
「桃太郎ね。むか〜しむかしあるところに、お爺さんとお婆さんがいました」
幼児にな〜るくんを食べて一時間が経過した
まなつ達は、未だに元気いっぱいで遊んで貰っていた
「ローラ着替えたんだ」
「ええそうよ!貴方達はいいわよね!」
ローラの足元。まなつはげしげしと現在進行形で蹴られていた
「あすか先輩大人しい」
「さんごは恥ずかしがり屋だけだからな」
「ズルいわよ…」
「気にすんなよ。俺とローラは将来結婚するんだから、それの予行練習と思えば?」
「え!?みかどくんけっこんしちゃうの!?」
ローラよりいち早く反応したのはさんごだった
さんごはゆっくりとローラへ寄って
「やっ!」
「あ痛!?」
まなつだけではなく、さんごまで加わりローラの足を蹴り始めた
「みかどくんは、わたしとけっこんするの!とらないでぇ〜!」
泣きながらローラを攻撃して余計困らせる
そこへあすかも参戦して、ローラに指を指してこう言った
「おとなげない。このどろぼうねこ!」
「誰がどろぼう猫よ!!シャー!!」
帝とみのりはふと時計に目を移す。
効果が切れるまで残り30分
「この調子なら」
「そうね。後はローラがどれだけ耐えれるか──」
その時、みのりの声を遮って大きな音が外から聞こえた
「「ヤラネーダ!」」
「こんな時に!?」
三人が部室から出ようとする時、まなつ達が引き止める
「ろ〜ら〜、もっとあそぼ〜!」
「みかどくんいかないで…さびしいよぉ〜…ひっく…」
「かいぶつたいじならまかせろ!」
「「「……」」」
////////
「余り物のゼッタイヤラネーダの素でやりくりしてる私って偉い!!」
一人寂しくやる気パワーを奪うアリス
その彼女の前に帝達が現れる
「ちょっと待ちなさい!」
「あらローラ様……その子は?」
アリスも変わり果てたまなつ達に首を傾げる
「あ〜!帝様と初夜して子供を産んだのですね!次は手土産持って来ますね!」
「違うわ!!」
「まぁ、茶番はそこまで。まなつ様達ですね」
ローラは隣で手を繋ぐまなつに視線を移す
「取り敢えず変身してくれますか?」
いつまで経っても変身しないローラ達に、わざわざアリスから促してくれた
「それ本気で言ってるの?」
ローラは隣を指さす
ローラの隣で手を繋ぐまなつは、ローラと遊びたくて喚き叫んでいた
「ろ〜ら〜ろ〜ら!あそんで!あんなひとほっておいてこうえん!!こうえんであそびたいぃ〜!!」
さんごはコアラの様に帝の脚にしがみ付いていた
「さんご、さんご!お願いだから離れて?」
「いかないであぶないよ〜!うわぁぁん!!」
挙げ句の果てには泣いてしまう始末
「うぉぉぉ!!」
「あすか先輩危ない」
あすかはあすかで、ヤラネーダに単身突撃しようとしていた
「大変ですね。少し待ちましょうか?」
「助かるわ」
「ちょっとだけ待ってなさい!」
気を利かせたアリスに、帝達はまなつ達を宥め始める
「まなつまなつ遊ぶのは後。良いわね?」
「い゛〜や゛〜た゛〜!」
「みかどくんこっち〜!!」
「さんごさんご!?服引っ張らないで!」
「なんでだめなんだ?」
「え、何でって言われても…」
それから数分してようやく離れてくれた
「気を取り直して行くわよ!」
「「プリキュア!トロピカルチェンジ!」」
「「レッツメイク!キャッチ!」」
「ひらめく果実!キュアパパイア!」
「ゆらめく大海原!キュアラメール!」
「エモーショナルスタート!」
『FANTOME!』
「やっとですね!ヤラネーダ!」
「ヤラネーダ!」
「カバーは任せろ!」
帝達がヤラネーダと激突する中、離れた場所でまなつ達は何やら話し合っていた
「あのかいぶつたおしたら、はやくあそべるかな?」
「でもあぶないよ…」
「だからだ!」
まなつとあすかはやる気満々だが、さんごだけは乗り気ではなかった
「こわいよぉ〜…」
「なくな!」
「わたしたちもがんばるから!」
「う、うん…!」
まなつに励まして貰ってさんごも覚悟を決めた
幼児となってしまっているが、それぞれが持つやる気パワーはいつも通り
まなつ達は両手でパクトを持って変身した
「「「ぷりきゅあ!とろぴかるちぇんじ!」」」
「「「れっつめいく!きゃっち!」」」
「ときめくとこなつ!きゅあさま〜!」
「きらめくほうせき!きゅあこ〜らる!」
「はためくつばさ!きゅあふらみんご!」
「「やあぁぁ!」」
変身して早々にパパイアとラメールの間を通り抜けて、サマーとフラミンゴはヤラネーダへ立ち向かって行く
「え!?」
「二人共待って!」
ポカポカと可愛い手でヤラネーダを叩くも、やはり力が全然無い為全く効いてない
「ヤラネーダ?」
ヤラネーダが息を吹き掛けると、コロコロと転がっていった
「ちょっと大丈夫なの!?」
「まだまだぁ〜!」
「だから待ちなさいよ!」
ラメールはサマーを抱いて捕まえた
「大人しくしてなさいよ…ってコラ!何処に登ってるのよ!」
サマーはラメールの手をスルリと抜けて、頭の上に乗っかった
「いけ〜らめ〜る!」
「降りなさいっての!!」
フラミンゴの方は、パパイアに膝枕をされていた
「何処も痛くない?」
「う、うん…」
「それなら良かった。ここはわたし達に任せて欲しいの」
一方でコーラルは
「うぅ…」
怖がって蹲っていた
ヤラネーダが歩いて来てるが気付いてない
「コーラル!」
帝はコーラルを抱き、分身した三人の帝でヤラネーダを後退させる
「コーラル大丈夫!?」
「ん〜!ん〜!」
「あ、おい!」
コーラルは帝の顔に抱きついて半泣き状態だ。
プリキュア に変身しても性格だけは変わらなかった様だ
「これ以上長引いてもコーラル達に振り回されるだけだ!一気に浄化するぞ!」
帝はプリキュア の王杖を出した
『ABSOLUTE!』
「──【地に伏せてろ】!」
帝の言葉でヤラネーダの動きは止まった
「ラメール今だよ!」
「分かってるわ!」
未だに頭の上から離れないサマーを無視したまま、マーメイドアクアパクトを構える
「パフュームシャイニーリング!」
「シャボンフォーム!」
「アクアチャージ!」
「プリキュア!オーシャンバブルシャワー!」
「ビクトリー!」
「今回は面白いものを見せてもらいました!満足たっぷりです!」
////////
「な、何とかなったわ〜……早く頭から降りなさい!」
「パパイア時間は?」
「…あ、丁度二時間経った」
「「え?」」
サマー達の体が光りだした
そしてポンっと拍子抜けた音と同時に、元の大きさに戻った
「ぎゃっ!?」
「重っ!?」
ラメールはサマーを頭の上に乗せていたせいで潰れ、帝はコーラルを抱いていたので急な重量に腰を落としてしまう
パパイアはフラミンゴを膝枕していたので、変な事にはならなかった
「何でプリキュア に変身してるの?それに何でラメール潰れてるの?」
「み、帝君!?何で抱っこなんか!?」
「お、おいパパイア、いつの間に膝枕なんか…」
こうして幼児化問題は終息したのだった
「もう懲り懲りよぉぉぉ!!!」
ネタはまだまだあります。
ここまでの拝読ありがとうございました!