ではスタート
いつもの様にトロピカる部が朝登校すると、校門前で何やら人集りがあった
「生徒会選挙の演説か」
「選挙?演説?」
「新しい生徒会長を決めるの」
「え、今の生徒会長は辞めちゃうの?」
「卒業前に、新しい生徒会長に引き継ぎとかしないといけないし」
「三年生は卒業…引き継ぎって!あすか先輩辞めないで〜!!」
まなつはそう言ってあすかに泣きつく
あすか本人もまだ引退する気は無いと思っている
「いいわね生徒会長!学校版の女王って感じ!決めたわ、わたし生徒会長になる!」
ローラは生徒会長に立候補する為生徒会室に向かっていた
「フフ、イイ予行練習になるわね」
「練習?」
「そう、グランオーシャンの女王になる為のね。この学校を纏める会長になれない様なら、女王になれる筈がない!」
「へぇ〜。あ、そう言う理由なら帝はどうなの?ローラみたいに立候補はしないの?」
「今はトロピカる部で遊びたいからな」
「おお帝!」
「それに、俺ならいつでも上に行けるからな。今のうちに遊べるだけ遊ぶだけ」
「おお…凄い自信…」
生徒会室の前に着き、ローラは勢い良く扉を開けた
「ちょっといいかしら?わたし──」
「大きな声ですもの、聴こえていました。生徒会長立候補の申請ですね」
廊下での会話は全て聴こえてたらしく、生徒会長の百合子は話を進める
丁度そこへ風紀員長の正美がやって来た
「あの、書類書き終わりました」
「あれ風紀員長も生徒会長立候補ですか?」
「ええ、わたしも今回は立候補しますの」
「残念だったわね。生徒会長になるのはわたしだから」
「まぁ、お互いに頑張りましょう」
お互いに火花を散らして、ローラも申請を済ませた
一週間後の最終演説までトロピカる部総出で、選挙活動に勤しむのだった
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「わたし、生徒会長になるローラ・ラメールよ!宜しく!」
しかし、行き交う生徒は止まりさえしなかった
それもその筈。別の場所では、もう一人の候補者である一条の所に集まっているのだ
「一条さんは、白鳥会長の元で生徒会副会長を務めてたから皆んなに支持されてるの。皆んな、一条さんに勝てる筈が無いと思って立候補しない」
「だから立候補は、ローラと風紀員長と一条さんを合わせた三人だけなんだ」
「その分、ライバルが減って良いかもな」
一条について知ったローラに、更に火がついてやる気を上げる
「わたし、ローラ・ラメールよ!!わたしが生徒会長になったら最高なんだから!!」
もっと声を張り上げた結果、一応反応して止まってくれる生徒が増えた
「週に一度は海に行って、海中で学校生活を送る様にするわ!」
「「「「はぁ?」」」」
「生徒会長って名前もどうかと思う……そうね、女王にしましょう。その方がわたしにしっくりくるわ」
「なんじゃそりゃ!?」
「わたしの事、女王と呼んで〜!」
少しはローラに注目するものの、皆んなそれを無視して歩き始めた
「リアクションが薄いわね…」
「海中で学校生活なんて有り得ないだろ。もっと堅実な演説しないと」
休み時間の合間、桜川にもローラが生徒会長立候補した事を話しておいた
「ローラさんが生徒会長ね〜!とっても素敵じゃない!で、トロピカる部はどうするの?」
「当然続けるわ。トロピカる部と生徒会長を両立させるんでご心配無く」
「そっか、白鳥さんも生徒会長とテニス部を両立してたし」
「それは初耳」
「あら聞いてない?滝沢さんがテニス部に居た頃は、ダブルスのチームを組んでたそうなの」
桜川の言葉に全員が反応した。
それもその筈、誰もその事は知らないし本人は何も言ってなかったのだから
「二人共優秀な選手で、地区大会の決勝まで行ったんだから」
「知ってたんですか!?」
お昼休み、桜川と話した内容をみのりに説明するとみのりもその事は知っていた
「本人が言う気も無かったから」
「みのりん先輩、もうちょっとテニス部での事を詳しく──」
「そんな事より、今は生徒会選挙に集中しましょう!良い作戦を思い付いたのよ!」
////////
次の日から、ローラの言う作戦が始まった
「「わたしが会長になったら!」」
「部費を一割上げます!」
「部費を五倍にします!」
「そして、一部厳しい校則の見直しに関して学校と話し合います!」
「わたし校則無くします!」
との具合に、ローラは一条に張り合う形で約束事を言っていた
別の日も
「わたしは休み時間を、皆さんにゆっくり出来る様に校庭のベンチを増やします!」
「休み時間くらいじゃ足りないわ!わたしは学校のお休みを増やします。学校は週三だけ来て、後は部活動をしましょう!」
ローラの張り合いは益々エスカレートして行った
遠くでその様子を見ていた帝、みのり、あすかは遠い目をしていた
「本当にこれでいいのか?」
「さぁ?」
「これはダメだな…」
最終演説の日
あれやこれやと工夫を施すも、ローラに支持する者はほぼいなかった
「こうなったら最終演説に懸けるしかないわ。何かこれってアイディア無いかしら…」
「やっぱりさ、本当にローラがしたい事を言えばいいんじゃない?」
「やりたい事は海の中で学校生活ね」
「いくら何でも実現させるのは無理があるだろう」
「じゃあさ、実現出来る様なアイディアを皆んなで考えようよ」
ひとまずそれで考えることにして、最初に案を出したのはさんごだった
「あの校則の話だけど、少しオシャレしても良いことに出来ないかな?」
「校則を無くす事は出来ないが、内容によっては先生達に相談出来るかもな」
「図書室の本をもっと増やせば、休み時間がもっと楽しくなる」
「古くなった備品、あと花壇なんかを増やすとか?」
「まともだ…!」
「協力しないぞ?」
みのりに帝と、続々とアイディアが出て来始める
「海の中の学校はどうしよう?」
「あ、ダイビングスーツを着るとか?」
「お母さんの知り合いにダイビングスーツ貸してくれる人いるよ。あ、そうだ!ダイビングスーツあるならさ、いっその事スクーバダイビング教えてくれる授業とか良くない?」
「それ良いアイディアかも!他には他には?」
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それからアイディアを出し合い、最終演説に向かうと準備していた時に起こった
街中でヤラネーダが現れたのだ
「よりによってこんな時に!」
「やる事はいつも通りだ。ローラは最終演説頑張れよ」
「え、でも…」
ローラに気を遣って言った事だが、当の本人は少したじろいでいた
「わたし達で考えたアイディアを学校の皆んなに伝えて!ローラ頑張って!」
ヤラネーダが現れた場所に行くと、既にやる気パワーを奪ったあとだった
「選挙カーかよ。世間も選挙真っ只中。ハッ!俺達もこのビッグウェーブに乗れと言うことか!?」
「行くよ!」
「「「うん!」」」
「あすか先輩ツッコんで下さいよ〜!」
「引っ付くな鬱陶しい!!」
「「「「プリキュア!トロピカルチェンジ!」」」」
「「「「レッツメイク!」」」」
「ときめく常夏!キュアサマー!」
「きらめく宝石!キュアコーラル!」
「ひらめく果実!キュアパパイア!」
「はためく翼!キュアフラミンゴ!」
「エモーショナルスタート!」
『FANTOME!』
「ヤラネーダ!」
もう突進するヤラネーダだが、帝は余裕の表情をしていた
「そんな直線的な攻撃が今更効くと思うか?」
ステッキを軽く地面に突くと、サマー達の実態の無い分身を作り出した
ローラが不在の分、撹乱させて戦おうと工夫する予定だったが
「今更そんな小細工が通じるかよ。行け、超ゼッタイヤラネーダ!!」
チョンギーレが指示を出すと、ヤラネーダはドリフトしながら砂埃を撒き散らして分身を全て消し飛ばした
「こいつ…うわっ!」
「帝!」
土煙に紛れて、ヤラネーダは帝を吹き飛ばした
「「きゃあ!」」
「「うぅ…!」」
続いてサマーとコーラル、パパイアとフラミンゴも目に見えないヤラネーダに攻撃される
「この!」
『キングハンド』
『NATURAE!』
『AUTO!』
その後も帝達は奮闘したが、全く歯が立たなかった
「超ゼッタイヤラネーダ…確かに強いがローラが居れば」
「強がりはよせよ。どちらにしろ、もう終わりなんだからよ」
ジリジリと近付くヤラネーダ。追い詰められる帝達に、彼女が颯爽と現れる
「そこまでよ!」
「「ローラ!?」」
「プリキュア!トロピカルチェンジ!」
「レッツメイク!キャッチ!」
「フェイス!」
「ネイル!」
「ドレス!」
「ゆらめく大海原!キュアラメール!」
「ハァッ!」
変身して一撃を負わせて一度距離を取り、体勢を整える
「演説は?上手く行った?」
「ううん、途中で出て来ちゃった」
「何で!?」
「貴女達を放って置いて、楽しい学校にしますだなんて言えないわ」
「ヤラネーダ!!」
「それじゃあ皆んな行くわよ!」
ヤラネーダが話の腰を折るように向かってき、ラメールの合図で全員での蹴りで押し返した
「マーメイドアクアポット!サーチ!」
「黄緑!」
「やる気パワーカムバック!」
「ランドハートクルリング!」
「「「「「おめかしアップ!」」」」」
「「「「「エクセレン・トロピカルスタイル!」」」」」
「「「「「5つの力!大地を照らせ!」」」」」
「「「「「プリキュア!ランドビート・ダイナミック!」」」」」
「「「「「ビクトリー!」」」」」
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「どう言うことよ!?」
学校に帰ってみると既に選挙は終わっており、生徒会長は一条に決まっていた
「演説の途中で抜ければ失格となるのよ」
「そんなの聞いてないわよ!」
「言おうとしたら出て行ったのでしょう」
どうやら正美の話も碌に聞かずに駆け付けていた様だ
「でもこれで良かったんじゃないか?」
「それどう言う意味よ」
「俺達トロピカる部の女王はローラなんだから」
「ふ、ふん!そうやって機嫌取って変なことしようとしても無駄よ!」
そうは言うが、帝に言われて少しは嬉しかったローラであった
ここまでの拝読ありがとうございました