トロピカル〜ジュ!プリキュア PICARO   作:シロX

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あと少し!あと少しで最終目標のお気に入り70!精進します

ではスタート!


第72話 失くした記憶と海の指輪、そしてPICAROの兆し

「ぅ…ん…あ…帝?」

 

「気付いたか」

 

「此処は?」

 

まなつが目を覚ました後に続いて、さんご達も目を覚ました

 

「壁が壊れて街の方まで流された」

 

「グランオーシャンを、皆んなをあんな目に合わせるなんて!許せない!!」

 

「本物の女王様を助けないと!」

 

 

 

 

 

何とか城の中へと戻って来たはいいが、帝達は迷子になっていた

 

「ローラ地図とか持ってないの?」

 

「持ってないわよ!こんな場所まで来た事ないから…」

 

取り敢えずは手当たり次第に扉を開けて始める。

その中でも一部屋だけ気になる所があった

 

中は洞窟の様に薄暗いが、壁に埋め込まれてある淡く光る貝が辺りを照らしていた

 

「何だろうコレ?」

 

まなつは淡く光る貝を触れてみた

 

「──ッ!!」

 

「どうしたまなつ?」

 

「これって…」

 

貝を触ってからまなつの様子がおかしくなっている。

不自然と思い、帝達も壁に埋め込まれてる貝に触れてみる

 

「「「「「──ッ!」」」」」

 

触れると頭の中に色んな映像が流れ込んで来る。

その映像には、人魚と人間が共に笑い合って過ごしていた

 

「もしかしてこれって人魚の記憶?」

 

「ヌメリーが言ってた装置を使って、色んな人魚達の記憶が此処にあるのか」

 

「あ…」

 

そして一番大きく強い光を放つ貝を見つけ、全員それに触れて記憶を読み取った

 

今度の記憶は、他の人魚が伝説のプリキュアと何者かが戦ってるのを傍観してる記憶だった

 

「伝説のプリキュアを見つけた人魚の記憶……?」

 

ローラは他にも気になる記憶の貝を見つけた。今気にする事でもなかったが、どうしてもその記憶を覗いて見たかった

 

「……──ッ!?」

 

その貝に触れ、人魚の記憶を見た

 

見を終わったのか貝から手を離すも、全く動こうとしなかった

 

「どうしたローラ、伝説のプリキュアについての記憶が他にもあったのか?」

 

「え、いや何でもない記憶よ…」

 

「そうか。それなら早いとこ此処から出るぞ」

 

「そうね、早く女王様を助けないと」

 

 

 

 

 

////////

 

「ローラ、人間の子達。ありがとうございます」

 

ようやく女王様が捕まっていた部屋へと辿り着き、他の妖精達も解放して落ち着きを取り戻した

 

「改めまして女王様、わたしの名前は夏海まなつ!女王様の名前は?」

 

「私は『メルジーヌ・ミューゼス・ムネモシュネ』。貴女達がローラが見つけた人間なのね」

 

「メルジーヌ女王様、海のリングが奪われちゃったの!」

 

「あとまわしの魔女の目的は何ですか?」

 

「『愚者の棺』を解放する事です。海の世界に伝わる伝説の秘宝。愚者の棺がやる気パワーで満たされる時、不老不死の力が得られると言われています」

 

「その力を得て魔女は何を?」

 

「それは恐らく『永遠のあとまわし』」

 

魔女が企む最後の到達点が永遠のあとまわし。それがやる気パワーを奪う理由と、あとまわしの魔女の計画

 

「やる気パワーにそんな莫大な力が…」

 

「愚者の棺の力を解放した者は居ません。それ故、誰も知らないのです。ですから不老不死も本当に存在するかどうか…」

 

存在しようがしまいが、どちらにしろやる気パワーを奪う事が悪い事は承知。どんな力だろうとそれを阻止しなければならない

 

「私から話すことはこれが全てです。皆さん、魔女の野望を食い止めて下さい」

 

「待って女王様…もう一つ、話してない事無い?」

 

そう言ってローラは、人魚の記憶を見た洞窟の貝を見せる

 

「ッ!?」

 

それに激しく動揺した女王。明らかに何かを隠してバレてしまった時の反応

 

「気付いてしまったのねローラ……」

 

「女王様、コレはわたしの記憶よ。わたしの知らないわたしの記憶」

 

「え、何どういう事?何を見たのローラ?」

 

ローラはその貝をまなつに触れさせて、自分と思われる記憶を見せつけた

 

「──」

 

そこに映っていたのは、南乃島で遊ぶ二人の幼い女の子達の記憶。

一人はローラなのだが、もう一人はまなつだった

 

「これって、あの時のわたし」

 

「まなつは覚えていたの?」

 

「うん、あれがローラだったんだ。まさか人魚だったなんて思わなかった。海が大好きな子で、島の外から遊びに来た子だと思ってた」

 

幼い頃の時、二人は既に面識はあったらしい。しかしローラは記憶を失くしており、まなつもローラどころか人魚という事すら知らずじまいだった

 

それでもその時は楽しく遊んだ。時間を忘れる程まで

 

そして約束したのだ。また次の日も会って遊ぼうと

 

「でも次の日、秘密のビーチに行ってもその子はもう来なくて。わたし、その子の名前も聞かなかった。だから何処の子かも分からなくて」

 

それがきっかけで今のまなつが出来上がった。

後悔しない様に、その時感じた一番大事な事をやる

 

「だからわたし決めたんだ。初めて会った人には最初に名前を聞こうって!いつでも、今一番大事な事をやろうって!」

 

「でも、わたしはそんな事を覚えてない。人間の世界に行った事も、まなつと会って遊んだ事も!どうしてなの……これってどういう事なの女王様!?」

 

「仕方のない事なのですローラ。それが人魚の国の掟。人魚の世界と人間の世界は交わってはいけない。それが古来より決まりごと」

 

人間と関わった者は記憶を消す。女王は冷徹にも、それをずっと隠しては守って来ていた

 

「じゃあ、今わたし達がこうして話してる事も女王様からの記憶から消されちゃうの?」

 

「えぇ、全てが解決した時には」

 

「わたしの記憶も?わたしがまなつやさんご、みのり、あすか、帝と過ごした事も?」

 

「そうです。全てが終わって、ローラがグランオーシャンに戻った時に」

 

「わたしが女王になっても!?」

 

「それが掟ですから」

 

ここまで頑なに掟を守り続ける理由があまりにも不明瞭過ぎる。理不尽過ぎる

 

それが限界を迎え、ローラの中で気持ちが込み上げる

 

「そんなの酷い!わたしは嫌!皆んなの事忘れたくない!そんなの絶対嫌!!」

 

それでも女王の意思は折れる事は無く、首を横に振るだけだった

 

「クッ!!」

 

「なぁ女王様、さっきの愚者の棺で一つ質問がある」

 

「…何でしょう?」

 

「愚者の棺────もし、人間が使えたらどうする?」

 

「帝、お前何を言って…」

 

今、その話をするのがとてもおかしかった

 

それでも帝は平然と話を続けた

 

「ローラの記憶は俺だって消させたくない。それは皆んなだって同じ気持ちだ。だから愚者の棺を俺が使って、この国を支配する」

 

「帝君」

 

「いや考えてみろよ。皆んなが幸せになる事が俺の望みだ。ローラの記憶を消されたら元も子もない。そのついでに魔女達も倒して、地上も支配する。そうすれば皆んな幸せになる」

 

「帝待って…」

 

「あ、そうだ!支配した後は人魚達にも交流の場を設けようよ!そうすれば、トロピカった事が沢山──」

 

「待ってって言ってるでしょ!!」

 

ローラの怒号がグランオーシャン中に響き渡った

 

しかし帝は何に対してローラが怒っているのか理解が出来なかった

 

「ローラ一体何を怒ってる?全てを掌握して、記憶が残ればまた皆んなでトロピカるな事が──」

 

「帝ふざけてるの?こんな時に何を言ってるの?自分が言った事ちゃんと理解してるの?」

 

ローラは首を傾げながら、光の無い瞳で帝の顔を覗き込んでいた

 

「は?だから、俺がグランオーシャンも地上も全て支配して掌握すれば、ローラも記憶を消さずに済んで皆んな幸せ……に………ッ!!?」

 

そこでようやく自分が何を言ったのか理解して、口を思いっきり塞いだ

 

(あれ?俺はこんな時に何を言ってんだ?これじゃあまるで、さんごの時と何も変わって…)

 

激しく動揺する素振りから見て、完全に無意識に言った事なのだろう

 

しかし逆にそれが恐ろしかった

 

「帝、わたしの目をよく見て。そしてその目に映る自分の顔をよく見なさい」

 

「ぁ…」

 

口から手を離すと、口角が上がっており笑みを浮かべていた

 

「何で、笑ってるの?そんなに面白い事なの?他人を犠牲にしてまで掴む幸せが?」

 

心の何処かで、まだあの時との折り合いがついてない。そうローラは感じてしまった

 

その時だった。アクアポットからトロピカルハートドレッサーが現れ、鏡に人間界で暴れる超ゼッタイヤラネーダが映し出された

 

「待ちが大変な事になってる!」

 

「救えるのはわたし達だけ」

 

「ローラ!」

 

「今一番大事なのは皆んなのやる気を守ること!」

 

ローラは女王に睨みつけた後その場を後にする。

けれどローラの腕を帝が掴んだ

 

「…悪い。もうあんな事は言わない」

 

「…お願いね。わたしだって帝とはもう戦いたくないから」

 

最後に仲直りのハグを済ませて急いで人間界へと戻って行った

 

 

 

 

 

////////

 

地上へ出るとドレッサーから見た場所から、移動して浜辺でやる気パワーを奪っていた

 

「待ちなさい!」

 

「おや、随分と渋といですね」

 

「行くよ皆んな!」

 

「「「「「オーライ!」」」」」

 

 

 

「「「「「プリキュア!トロピカルチェンジ!」」」」」

 

「「「「「レッツメイク!キャッチ!」」」」」

 

 

「ときめく常夏!キュアサマー!」

 

「きらめく宝石!キュアコーラル!」

 

「ひらめく果実!キュアパパイア!」

 

「はためく翼!キュアフラミンゴ!」

 

「ゆらめく大海原!キュアラメール!」

 

 

「今日も本気だ!」

 

「「「「「トロピカル〜ジュ!プリキュア !」」」」」

 

 

「プリキュア の王杖!」

 

『ABSOLUTE!』

 

 

 

「ヤラネーダ!」

 

触手で襲って来るも全員何とか対処してやり過ごせた。

しかし触手でも攻撃が効かないと見るや否や、墨を吐いて来た

 

『ぺけ!』

 

コーラルが防御をしてくれたが、防いだ事によって墨が辺りに散ってしまい自分達の視界を封じてしまった

 

「見えない…うわっ!」

 

「フラミンゴ!?キャアァァ!!」

 

視界を奪われた中で、フラミンゴとラメールに容赦の無い攻撃が襲う

 

「皆んな何処に居るの?」

 

「コーラルあまり動くな!俺が何とかする──【開け】」

 

言葉を発した瞬間、墨は周りへと弾けて視界が開いた

 

「ヤラネーダ!!」

 

それを読んでいたか、視界が自由になった瞬間の隙を突いて触手が襲って来る

 

「二度目は無い!!【止まれ】!!」

 

ヤラネーダの動きが止まったが、それでも尚帝は言葉を発し続ける

 

「【動くな】【留まれ】【停止】【静止】しろ!」

 

思いつく限りの言葉を発して守りに徹する

 

これだけの言霊を一度に浴びれば、もう動く事は無いとそう思った

 

思っていた

 

「ヤラ……ネーダ!!」

 

「何!?」

 

だがそれさえも振り切って、触手が帝に直撃した

 

「グッ…!」

 

油断から来た不意打ちとはいえ、後ずさる程度で済みはした

 

しかしそれ以上に問題なのは

 

(ABSOLUTEが…俺の絶対が通用しない!俺の力が劣ってと言うのか…?)

 

帝が持つ最強で絶対の力のプリキュアの王杖、ABSOLUTEがここへ来て全く通用しなくなった

 

それ程まで生き物を使ってのヤラネーダは強いのだ

 

「諦めちゃダメよ帝!」

 

「いいえ諦めるしかありません。生き物から作ったヤラネーダは、海のリング無しでは倒せませんよ?それにステッキの力でも、もうどうする事も出来ません」

 

「倒して見せる!」

 

「ここで諦めたら!」

 

「皆んなのやる気が!」

 

「わたし達が守らないと!」

 

「絶対に負けない!」

 

絶望的な状況でもサマー達はまだ諦めてなどない。希望の光を向かって走り続けている

 

それに応えたのがトロピカルハートドレッサー。

ドレッサーが青く輝き、鏡の中から奪われた筈の海のリングが現れたのだ

 

「海のリング…!」

 

サマーがドレッサーを手に持つと、鏡から伝説のプリキュアの姿が映し出され呼び掛ける

 

『後は、頼みましたよ』

 

「ラメール!」

 

「オーライ!」

 

 

「マーメイドアクアポット!」

 

「やる気パワーカムバック!」

 

 

「行くわよ!」

 

 

 

「マリンハートクルリング!」

 

「「「「「おめかしアップ!」」」」」

 

「「「「「エクセレン・トロピカルスタイル!」」」」」

 

「「「「「5つの力!海に轟け!」」」」」

 

「「「「「プリキュア!マリンビート・ダイナミック!」」」」」

 

 

「「「「「ビクトリー!」」」」」

 

 

 

 

 

新たな力で強力なヤラネーダを浄化する事が出来た。

しかし、帝達の表情からは喜びは無かった

 

「また伝説のプリキュアに助けられたな」

 

「えぇ」

 

「これからどうなるんだろう…?」

 

「そんなの決まってる。いつだって、どんな時だって、今一番大事な事をやるだけ」

 

 

 

 

 

////////

 

その日の夜

 

(全く何も出来なかった…それにローラの記憶も……)

 

帝はローラと初めて出会った岩場に足を運んでいた。

そこで今日起きた出来事を整理しつつ考えていた

 

だがどう考えても理想の答えが見つからなかった

 

「どうすればいいんだ……」

 

「お悩み相談でしたら私が承りますよ?」

 

いつも突然現れるアリスだが、帝は眉一つ動かさなかった

 

「愚者の棺、アレを手にすれば俺は強くなれるか?」

 

「それだけではありません。この地球全て掌握出来ます。そうすればきっと、ローラ様の記憶も消さずに済みますよ?ですが……」

 

アリスは一通の手紙を帝に差し出した

 

「先ずは、生き物で作ったヤラネーダよりも強くなる必要があります。この招待状を持ってある場所へと向かって下さい」

 

「招待状?」

 

「『サンシャニティー』。別名太陽の国と呼ばれる国へ赴けば手に入ります────"三つ目のリング"が」

 

「それって、大地のリングと海のリングの他にも指輪があるって事か?」

 

「そうです。大地を見守り、海すらも包み込み、何者にもに囚われない包容のあるリング。それが───"空のリング"」

 

「その、サンシャニティーって場所に行けば空のリングが手に入るのか?」

 

「断言は出来ませんが、そこに指輪がある事は確かです」

 

招待状を手に取ればその指輪が手に入る。しかしこれはなんとも言えぬもの

 

プリキュアのパワーアップを目的ではなく、自分の為に出向くこと。

まなつ達には何も言わず、必要なら嘘をつかなければならない

 

それもまた

 

さんごでいざこざした件は反省したつもり。けれど強くなるには必要な行動

 

「如何なされますか?」

 

「今、俺の思う一番大事な事は」

 

帝はその招待状を受け取った

 

「──どんな手段を使ってでもそこへ辿り着く。これは絶対だ。意思は、揺るがない」

 

「フフ、では私はこれで」

 

軽く後ろへ下がるとアリスは雲のように消え去った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして帝はまた、誤った道のスタート地点に立ってしまった




もうダメだこの主人公〜。迷惑掛ける未来しか見えぬ

次回からは4、5話使ってオリストに入ります

ここまでの拝読ありがとうございました〜!
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