ではスタート!
あとまわしの魔女との戦いが終わり、トロピカる部の面々に穏やかな日常が訪れる。
そして今はトロフェスの準備の真最中なのだが、その途中でローラは帝を呼び出していた
部室から少し離れた場所で、帝は呼び出された事に首を傾げていた。
変な事は特にしてはないが、先日またも敵対した事についての言及なのかと思ってもいた
しかし、ローラが口にしたのはそうではなかった
「あの時の約束覚えてる?」
「あの時?あの時あの時……あ、もしかして俺が告白したアレ?」
「色々間違ったやり方もあったけど、根本的には変わりなかったのよね。帝がどれだけわたし達の事を想ってやってくれたこと」
ローラは柵にもたれながら、髪を弄って独り言の様に喋る
「そんな貴方に少しずつ惹かれてた。まなつ達とは違う視線を向けてくれる、わたしだけに向ける態度。全部、全部……フフ///」
「なんか…変」
「変って何よ!?」
「だってローラが異常に優し過ぎる!!」
「わ、わたしはいつだって優しわよ!!」
帝の態度に軽く怒ると、すぐさま呆れ、そして柔らかな表情に変わる
「もう……一度しか言わないからちゃんと聞きなさいよ」
ローラは何度も深呼吸をして心の準備をして気持ちを整える
「帝、わたし貴方の事が───」
「ローラ、俺と付き合って下さい!!!」
「ちょっとおぉぉぉぉおお!!」
「え?何か間違ってたか?」
一世一代の大勝負のローラに被せて帝は言ったのだが、本人は壮大なやらかしをした事に気付いていなかった
「わたしが大事な話をしようとするのに何で被せるの!?」
「いやだって、あの日の約束覚えてるって言われたから」
「あ……」
『──その時になっても、まだわたしの事を好きでいてくれるなら、また告白でもなんでもしなさい』
覚えてはいた。なのだが、少々気持ちが前のめりになっており仕方なかった
「で、返事は?」
「え…?」
「本当はローラから言うつもりだったんだろ?なら返事もすぐに返せるよね〜?」
意地悪な言い方に妙に腹が立つ。それに多分、その答えが分かっててわざとしてるのだ
「…い、一度しか言わないからよく聞きなさいよ」
ローラは手招きをして帝を呼び、耳元で小さく呟いた
「わたしも貴方と一緒に居たいから…その……いいわよ///」
帝から離れてその反応を確認すると、意外な反応を示していた
「え、何で泣いてるのよ?」
ポロポロと涙の雫を零していた
「だって、ローラが俺の事を」
「…帝が泣いてるの初めて見た」
ローラはもう一度ゆっくりと近く。今度は耳元ではなく、真っ直ぐ正面唇を重ねようとしていた
「「あ…」」
ガタンと物音が聴こえ視線を向けると、まなつとさんごが物陰から覗き見していた
「「「「……」」」」
お互いに無言が続き、先に口を開いたのはローラだった
「ぎ…」
「「ぎ?」」
「ギァァァァッッ!!!」
発狂してしまうのも無理はない。自分からせがんでしようとするのを見られたからだ
そこからの動揺は激しいものだった
「いいいいいつからみみみ見てたのよ!?」
二人はお互いに見合わせて
「『あの時の約束』」
「『覚えてる?』」
「「辺りかな?」」
「最初から!それ最初からじゃない!!」
ローラが二人に騒ぎ立ててる反対で、帝の両隣りにみのりとあすかが立っていた
「そんな訳でおめでとう帝。あと、劇のネタに使っても良い?」
「おいみのり、そんな事言うとローラが怒るぞ?」
「聞こえてるわよ!!」
「うわ来た!!」
みのりとあすかは走り出してローラが追い掛ける。
帝はそれを横目で見るだけで何もする事はしなかった
「帝も捕まえるの手伝いなさい!」
「ローラ!」
そう言って追い掛けるローラを捕まえた
「わたしじゃないわよ…」
「ずっと一緒にいような」
「フフ、ええ」
「帝もローラもトロピカって来た所で、早速トロフェス最後の追い込みするぞ〜!!」
////////
他の部の面倒を見つつも自分達の準備をするトロピカる部。
劇の方は順調で一通り通しての練習では上手く行った
そして気付けば夕方となっていた
その際に差し入れを貰ったり、学校で寝泊まりする為の寝袋まで用意して貰った
「あすか先輩が居なくなると寂しくなっちゃうね」
「でもまた新入部員が入って来るさ」
「あ、そうしたらわたしも先輩?」
「そうだ。頼んだぞまなつ
「お〜良い響き!」
あすかの卒業も寂しくなるが、それと同時に来るであろう出会いに想像を膨らませる
「さんご先輩!ローラ先輩!帝先輩!」
「『さんご先輩』。何か良い〜!」
「先輩って言うのも悪くないわね!」
「新しいパンツとの出会いが俺を待っている!」
それを口にした帝は、ローラから肘打ちを貰いその場に崩れ落ちた
「お前馬鹿だろ…」
帝もいつもの調子に戻り、今後変な騒動は起こしはしないと思う面々だった
夜となり、円になって就寝する皆んなだったが、どうにも一人寝相の悪い人が居た
「ぷりきゅぁ〜とろぴかるちぇんじぃ〜…」
寝言を言いながらゴロゴロと床を転がるまなつ。
その先には帝が寝息を立てて、おでこ同士がぶつかり互いに夢から目覚める
「あえ?」
「いったぁ〜…ゆっくり寝れないのか?」
「ごめんごめん…あれローラは?」
部室の外で、ローラがトロピカルハートドレッサーで女王と話していた
「そんな…明日なの?」
「妖精達も元気になり、街の復興に取り組み始めました。グランオーシャンは、これから新しい海へ旅立ちます」
明日、つまりトロフェス当日にグランオーシャンは今の海から移動して、別の場所に大移動するのが明日の朝
それがど言う事なのかローラは分かる
「貴女は本当によく頑張りました。女王候補としての役目を立派に果たし、グランオーシャンを守った。その功績により、貴女を正式にグランオーシャン次期女王に指名します」
「わたしが女王…!正式に」
それはローラが目標にしていたこと。それがようやく叶う時が来た
「ですけどもし」
「もし?」
「もし貴女が、人間の世界の友達とそのまま暮らしたいのならそれも構いません。女王を、辞退してずっと人間界に留まるのも良いでしょう。ローラ、貴女が決める事です」
そんな二人の会話を、後ろで静かに聞いてしまった帝とまなつ
迫られる究極の選択にローラは何を選び、帝とまなつはどうすべきか
最後の最後でゴールインしました!
そして次回は最終回の話を書きますが、三話分に分けてお送りする予定です
ここまでの拝読ありがとうございました!