トロピカル〜ジュ!プリキュア PICARO   作:シロX

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アニメ最終回は泣けた!

ではスタート!


第88話 トロピカる部 〜えがおのままで〜

「では!トロピカる部も劇の準備だ!」

 

トロフェスは何事もなく再開し、トロピカる部も劇の準備に入るのだが、その直前でローラからとある提案があった

 

「一つ提案があるの。ラストシーン、プリンセスは皆んなと仲良く暮しましたってじゃなくて、女王になる為に自分の国に帰ったってラストに変更したいの」

 

「それってローラ…」

 

「えぇそうよ帝」

 

ラストシーンの突然の変更は何も問題は無かった。けれどその変更後の内容は、悩んでいたローラの答えそのものにも聞こえた

 

「ローラが決めた事なら!」

 

それを察して尚まなつはその変更を受け入れ、急遽台本を変更するのであった

 

 

 

 

 

////////

 

『間もなくトロピカる部の演劇が始まります!』

 

 

「沢山集まってる」

 

「緊張して来た…」

 

「そんな時は『人』って字を手の平に書いて飲み込むと良いぞ」

 

「良い事聞いたわ。ちょっとやってみようかしら?」

 

舞台裏ではいつでも準備完了の帝達が待機していた。

そしてまなつは、気合を入れる為にリップを唇に塗る

 

「皆んな、六人全員での最後の部活だ。気合い入れて行くぞ!」

 

「トロピカってこ〜!」

 

「「「「「「お〜!」」」」」」

 

 

 

 

 

最初はまなつとローラが初めて出会った時の話を基に作られたやり取り

 

「わたしはナッチー!貴女の名前は?」

 

「わたしはロザリア!遠い異国からやって来たの!ところでお腹空いたわね。貴女何か持ってないかしら?」

 

「お饅頭があるよ!」

 

 

 

次は帝。みのりも帝となると台本を考えるのに苦難していた。

その結果、オブラートに包み込んだものとなった

 

「貴方がこの国の王子かしら?」

 

「ロザリア、貴女に一目惚れした。俺と一緒に城に来てくれ!」

 

「違う!え、今完全に色々飛ばしたわよね?」

 

「一目惚れってそういうもんだろ?」

 

「だからっていきなりアドリブはビックリよ…」

 

 

 

その次はさんご。さんごとの始まりは、自分の好きを真っ直ぐに正直な事を心信じる事をだった

 

「お勧めの色はどれ?」

 

「わたしは紫が好きなんだけど、今町で人気なのは──」

 

「わたしは貴女のお勧めのが欲しいの」

 

「ならやっぱり紫で!」

 

 

 

それからみのり。みのりとも様々な事が起きた。

人魚という存在を現実に感じ、一度は入れ替わった事だってあった

 

「へぇ〜貴女作家なの?」

 

「でも今スランプなの」

 

 

「ムム!ロザリアは何処に居る?」

 

 

「追われてるのね。わたしと服を取り替えて逃げましょう」

 

「え?また貴女の少女なポエムが読めるのね」

 

「黙れ」

 

 

 

最後の出会いはあすか。あすかとは良くも悪くもというコンビだった。少々ローラに強い当たりで話す事も多かったが、今となっては全てが良い思い出

 

「ふぅ〜ん、わたしの用心棒になる気は無いね」

 

「あぁ、わたしは仲間など信じない!」

 

「別に仲間じゃなくても良いのよ。強ければ」

 

「なんじゃそれりゃ!?」

 

 

 

 

 

劇は順調に進み、これまで体験した事をこの劇に全て詰め込んだ。

一つ一つが自分達の思い出の1ページ

 

そしてラストシーン直前となった

 

「いよいよだ」

 

「変更したラストシーン」

 

「一応台詞はバッチリだけど」

 

「忘れても自分の言葉で話せばいい。それがわたし達の物語だから」

 

「行こう」

 

帝達全員で表舞台へ行くと、ローラが真剣な表情で待っていた

 

そしてまなつのローラは、心の準備が出来てお互いに小さく頷いてラストシーンが始まる

 

「本当の事言うわ。実はわたしがこの町に来たのは女王になる為なの!」

 

「「「「「女王?」」」」」

 

「そう、わたしの国では実力で選ばれてるの。だからわたしは手柄を上げなきゃいけなかった。そして遂に伝説の灯台を見つけた。これでわたしは女王になれる!」

 

「それじゃロザリアは、わたし達と一緒に暮らせないんだね…?」

 

「えぇ。女王になる為この町に来て、皆んなと仲良くなって、毎日すっごく楽しくて、ずっと一緒に居たいと思って。だけど…だけどわたしは帰らなきゃ。わたしの夢を叶える為に帰らなきゃ!」

 

その台詞は第三者から聴けば本当に出来たものと思える。

しかしこれはローラとのお別れの言葉なのだ

 

戻るか留まるかの二択を迫られ、悩んだ末がこの答えなのだ。女王になることは最初からいつも言っていた

 

「皆んなとの仲良しの思い出を胸に」

 

「そうか」

 

「残念だけど」

 

「女王様だなんて凄いね」

 

「自分で決めた事なら応援するしかないな」

 

帝達も気持ちを噛み締め、最後はまなつの台詞なのだが

 

「うん、トロピカ……トロピカってる…」

 

いつも自分を背中を押してくれた魔法のリップは、その瞬間だけ唇から剥がれ落ちてしまった

 

「ありがとう。ねぇ、最後に皆んな──」

 

リップが落ちると、蓋をしていた想いが爆発してまなつはローラへと飛び込んだ

 

「行かないで!!」

 

今まで散々我慢していたものが、次々と押し寄せて全て吐き出した

 

「行かないでよローラぁ!帰るなんて言わないでよぉ…また一緒にトロピカろうよ…っ!」

 

涙を流し、鼻水で顔がぐちゃぐちゃになるがそんなのは気にしてはない。

ただ単純に「大切な友達と別れたくない」その一心だけ

 

この広い世界で出会えた奇跡に

 

「一緒に部活して、一緒勉強…しなくていいけど、夜は一緒のベッドで寝て、朝は一緒にご飯を食べて、お昼は皆んなでトロピカルメロンパン食べてぇ…っ!」

 

「ぁ……」

 

「わたし、ローラが一番大事なことして欲しくて応援するって決めたのに……っ!」

 

「…ありがとうまなつ」

 

そして本当の最後。最後は、話し合いで決めたグランオーシャンの歌「なかよしのうた」で締めくくり閉幕

 

「さぁ、最後に皆んなで歌いましょう!」

 

 

『ひとりで うたうより』

 

『ともだちと うたおう』

 

 

まなつも心を落ち着かせて歌おうとしたのだが、その際にハリボテに寄り掛かってしまい倒してしまった

 

「うぎゃっ!?」

 

その倒れた先にはローラが居て下敷きになってしまった

 

「だ、大丈夫!?よっこら…あ」

 

「うがっ!?」

 

まなつは持ち上げとうとしたが、手を滑らせてまたもローラの頭にハリボテが打ち付ける

 

「何すんのよ!わたし女王なのよ!!」

 

「ごめんローラ!」

 

「ロザリアだっつーの!」

 

「ローラが怒った〜!」

 

「プッ…!」

 

みのりが思わず吹き出すと、それに釣られて観客達にも笑いが伝染して巻き起こった

 

「ちょっと冗談じゃないわよ!感動のシーンなのに笑いが巻き起こってしまったじゃない!」

 

「問題ない。これがわたし達の物語だから」

 

「変に悲しむよりこっちの方が良いんじゃないのか?」

 

「はぁ!?」

 

「プッ…フフ、アハハ!」

 

最終的には回りに回ってまなつ自身も笑い出した。

そんなまなつを見て、ローラは仕方ないっていう表情をする

 

「オーライ。ここから立て直しましょう」

 

「うん、六人でな」

 

「さん、はい!」

 

 

『ひとりで うたうより』

 

『ともだちと うたおう』

 

『いっしょに うたうと』

 

『むねが ぽかぽか』

 

『あったかい』

 

 

それからは何とか上手く立て直して、最後まで乗り切り劇は拍手喝采で閉幕となった

 

「わたし達ずっと友達よ!」

 

「うん!」

 

「いつまでも!」

 

「ずっとずっと!」

 

「友達だ!」

 

「何があってもな!」

 

そして最後にローラは観客の皆んなに大事な話をする

 

「聞いて、話があるの!わたしの本当の名前は、ローラ・アポロドーロス・ヒュギーヌス・ラメール!」

 

ローラはそう言って姿を変え始めて、この大勢の前で元の人魚の姿を晒そうとしていた

 

「おい!?」

 

「人魚の国からやって来た人魚よ!」

 

ローラの本当の姿を見ると、全員が固まってしまった

 

「そう、ローラは人魚!大好きな友達!」

 

「わたしも大好きよ。だから最後に貴方達にも大サービス!尾鰭に触っても良いわよ〜?」

 

それに食い付いたのは、人魚騒ぎを起こした事もあった風紀員長の正美がいち早く確認する

 

「やっぱり幻のではなかった…本物の人魚よ〜〜!!」

 

その瞬間会場の熱は一気に跳ね上がり人魚コールが起きる始末

 

ローラも調子に乗ってヘッドスピンをやったりとしていた

 

こうして、六人でのトロピカる部最後の部活動は大成功で幕を閉じるのであった

 

 

 

 

 

////////

 

トロフェスが終わってその夕方。そのままローラとの最後のお別れに直行した

 

「あれで良かったの?」

 

「だってわたし人魚だし。隠したままお別れなんて嫌だもの」

 

「えぇ…俺達の苦労は一体なんだったのだろう」

 

ローラはあすかに歩み寄り握手を交わす

 

「あすか。わたしは明日の卒業式には出られないけど、卒業おめでとう」

 

「ありがとう」

 

「高校に行ったらテニス頑張って」

 

「ローラも女王になっても元気でな」

 

次は帝へと向かい合って、その胸に顔を埋める

 

「貴方と離れたくない。ずっと一緒に居たい。これからも…っ」

 

「もう無理して言わなくてもいい。そうじゃないと、お前に着いて行きそうになる。そうなったら絶対ローラに迷惑を掛ける。それだけは嫌だ…」

 

「帝…あ」

 

顔を上げると、帝は大粒の雫を落として泣いていた。

だけど笑顔で保って言う

 

「大好きだよ」

 

「わたしも大好きよ」

 

もうお別れかと思うと、ローラも我慢していたものが瞳から溢れ出る

 

「ローラ、こういう時こそリップで気合いだよ!」

 

初めて会った時と同じ様にローラにリップを塗ってあげた。

そしてそのリップをまなつはローラに持たせた

 

「コレはローラにあげる。寂しくなったらコレを塗って元気を出して」

 

「皆んなで友達でいた事もわたし忘れちゃうのかな…?」

 

「え?」

 

「人魚の一生は長いんだって。わたしが女王になって長い時間が経って、その頃にはまなつ達はもう居なくなってる。わたしは海の中で独り」

 

例え記憶があっても、長生きする人魚にこの先何百年後は忘れてる可能性もある

 

そしてもう一つの可能性としては

 

「大昔、人間と関わった人魚が寂しさから記憶を消す装置を作ったんだって…」

 

それが例の装置

 

「会えなくなっても、ずっと覚えてるって寂しい事なのかな?」

 

「寂しくない!忘れてしまう方が寂しい!」

 

「忘れてしまったら寂しい事も分からなくなっちゃうよ!」

 

「だからこそ思い出というのは凄く尊いものなんだ。覚えてるからって全部が悪いだけじゃない!」

 

「例え会えなくなってもローラは一番大事な友達だよ!ずっと、ずっと!!」

 

「まなつ、さんご、みのり、あすか、帝。わたしの事忘れない?」

 

思っていても確認したくなる。でも、だからこそ皆んなのその声で聴きたい

 

「ああ!」

 

「絶対に!」

 

「忘れない!」

 

「何があっても!」

 

「一生覚えてる!」

 

その真っ直ぐな瞳を見てローラは安心した

 

「ありがとう────また会いましょう!」

 

人魚の姿へと戻り、涙を流しながら海へと飛び込んで行った

 

「ローラ!!」

 

すると最後にローラは大きく海から飛び跳ねて姿を現した。

これがローラにとってお別れの挨拶

 

もうその瞳には涙なんてない。あるのは胸いっぱいの、皆んなと過ごした楽しい思い出

 

「ローーラーーー!!絶対!また会おうねぇぇぇ!!!」

 

 

 

 

 

その日の夜は全員が、ローラとの思い出に浸りながら眠りについた

 

ローラと共に過ごした楽しい体験、喧嘩したりもあった、驚く事もあった。笑って、泣いて、苦難を乗り越えて

 

そんな大事な記憶は、ローラが残していった思い出の品と共に静かに、ゆっくりと消えていく

 

唯一の繋がりであるハートクルリングとオーシャンステッキも、皆んなの手の中から消えていった

 

そして皆んなの記憶からも、ローラとの思い出の記憶だけ切り取られて夜は続いていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「おやすみ、ローラ」」」」」




次回で最終回です

ここまでの拝読ありがとうございました!
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