トロピカル〜ジュ!プリキュア PICARO   作:シロX

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前回の話がまなつsideとすれば、今回の話はローラsideです

ではスタート!


次期女王・ローラの一日

「…しまったわ。行き詰まった」

 

自室に篭って自習勉強をするローラがそう口を開いた

 

「この問題を解決するにはどのようにして、グランオーシャン皆んなの力を合わせてするか…」

 

ローラが勉強しているのは、次期女王としてのこと。

あとまわしの魔女の時と同じような事が、もしかしたらこの先あるかも知れない。

その時に備えて、被害を最小限に留めてどう皆んなを誘導させるか

 

そういった勉強をしているのだが、ローラはそれに頭を悩ませていた

 

「くるるん貴方なら──」

 

横目でくるるんに案を求めようと呼び掛けたが、くるるんはスヤスヤと眠っていた

 

「いつも通りね……外に出ようかしら?」

 

ローラの一日は殆ど次期女王としての勉強で手一杯だった

 

気晴らしに、グランオーシャンを散歩する時もあるが大抵の場合

 

 

「ローラ様!」

 

「こんにちは」

 

 

「今日も良い天気ですね」

 

「えぇそうね」

 

 

「あら、貴女迷子?わたしが送ってあげるわ!」

 

 

外に出れば声を掛けられて休まる時間が余計にない

 

「なんか……休んだ気にならないわ」

 

結局自室に戻る羽目となってしまった

 

「……」

 

ローラはアクアポットを取り出して、シャボンピクチャーでトロピカる部の写真を眺めている

 

丁度その時だった。ドアをノックして入室して来る者が

 

「失礼します」

 

「貴方は」

 

入って来たのは年老いた魚の妖精

 

「少しばかりお話を宜しいでしょうか?」

 

「あ、待って。今何か出すから」

 

「時間は掛けません。一つだけ」

 

準備する手を止めて素直に話を聞く事にした

 

「伝説のプリキュアになり、我が国であるグランオーシャンをも救った。けれど、この平穏な日々が続くと限りますか?」

 

「それはどういう意味?」

 

「地上の生き物によって海は汚れて、生き物も減り続ける一方。貴女が皆に言う様に、人間はそれ程良いものとは思えません」

 

「まなつ達はそんな人間じゃない!」

 

「他はどうですか?」

 

「ッ!」

 

「この先女王として率いるのではあれば、未来の事にも目を配る事を忠告して置きます」

 

言いたい事はそれだけだったらしく、すぐさま部屋から退出して行った

 

ローラはベッドに身を倒して天井を見上げながら考える

 

(確かに人間は魚だって食べることだってある。でもだからって蔑ろには出来ない。これから皆んなと付き合っていきたい。わたしどうすれば…)

 

目を瞑れば少しは楽になると思い閉じて、そのまま深い眠りにつくのだった

 

 

 

 

 

////////

 

「あれ?」

 

ふと目を開けるとそこは海中だった

 

グランオーシャンではなく、ただ青が広がる海の中

 

「これって…」

 

 

「ローラ?」

 

 

聴き覚えのある声がした。そんな馬鹿なと思いつつも期待して振り返ると、今一番会いたい人物がそこには居た

 

「まなつ?」

 

「夢の中でもローラと会えるなんて嬉しいよ!」

 

「あぁ、やっぱりこれ夢なのね」

 

場所が何処だろうと海の中にまなつが居る筈がない。

あおぞら市とグランオーシャンの距離を考えれば夢と思うのが妥当

 

「もう寂しかったよ〜!」

 

「寂しいも何も、つい数ヶ月前に会ったばかりじゃない?」

 

「あははそうだった〜!」

 

距離は遠いが、近くを通り掛かったりした時などは顔を見せてはいる。

実際ローラの言うように、数ヶ月前に顔を合わせては遊んだばかり

 

変わりなく元気そうなまなつだが、濃い時間を過ごしたローラならまなつの表情が少しでも様子がおかしいと感じるのは容易に察せる

 

「まなつ、何か悩みでもあるの?」

 

「え、あ…うんまぁ…わたし、大人になったら何をしたいのかなぁ〜って」

 

「意外ね。まなつなら何でもやりたがるのに」

 

「大人になったらそういうのは出来ないからね。一つを選ばなきゃいけないんだ」

 

「人間も大変なのね」

 

何か悩んでいるのは自分だけではなかった。お気楽なまなつだっていつかは大人になる。今はその成長途中。悩みの一つや二つはあるのは当然

 

そんな事を考えてると、まなつはローラの顔をジッと見ていた。

隠してる事を見透かすように

 

「ローラも元気が無いの?」

 

「え、どうしてよ?」

 

「そう思ったから?」

 

「……わたしの方も色々あってね」

 

こういう時に限ってまなつは鋭い。トロフェスの時でもそうだった。グランオーシャンへ帰るか、それとも人間界に残るか悩んでいる時も既に知っていた

 

本当ならこの悩みをまなつに打ち明けたい。でもそれでどうする。言ったところで慰めの言葉は貰えるだろうが、それでは何の解決策にもなっていない

 

例え言って策があったとしても、それを聞いたまなつはどう思う。どう捉える

 

一番の友達を傷付けたくない。それがとても怖かった

 

「それでも、ローラの今、一番大事だと思うことをやれば良いと思う」

 

「まなつ…」

 

「ローラが何に悩んでるのかまでは聞かないよ。分からないけど、目の前の一つ一つを頑張ってみたらいつかきっと上手く行くよ。だってローラだもん!」

 

そんなまなつの言葉に思わず笑みを浮かべてしまう

 

「どうしたの?」

 

「まなつの相談を聞いていた筈が、わたしの相談の話になっているからよ」

 

「あ、そうだった!」

 

まなつに背中を押してくれた。それはいつだってそうだ。どんなピンチの時でも、その明るい笑顔で皆んなを率いて導いてくれている

 

それは今だってそうだ

 

だから、そんなまなつにお礼ばかりの言葉を返す

 

「…それで良いのよ」

 

「え?」

 

「まなつはまなつらしくいれば良いのよ。まなつの言った通り今、一番大事だと思う事をすれば良い。悩みなんてまなつらしくないわ」

 

「うん、そうだよね。ありがとうローラ!」

 

「わっ!?」

 

まなつはローラに抱きついた。心なしかローラの気持ちは落ち着き、心地良い思いでいっぱいとなる

 

「それじゃあまた今度ね」

 

「待ってるよローラ!」

 

夢の中とはいえ、お互いに充分に満足した時間を過ごせれて立ち直った

 

それからローラは、ようやく目を覚ますのであった

 

 

 

 

 

////////

 

「あれ……まなつ?」

 

ベッドから身を起こして、夢と現実の区別を頭で整理する。

外を見れば朝になっていた

 

仮眠のつもりだったが、いつの間にか日を跨いでいたらしい

 

「まなつ、今も貴女は頑張っているのよね。そして今もトロピカってるのよね……っ!」

 

ローラは勢いよく立ち上がり、机の上に置いてあるリップを手にする

 

そのリップは、グランオーシャンに帰る時にまなつから貰った大切な物。

キャップを取り、気合いのリップを唇に塗る

 

「やってやるわ。誰が何て言おうとわたしは、わたしが思う幸せを女王になって描いてみせるわ!」

 

その志はかつての友人である女王と、愛しき始皇帝と同じものだった

 

「だってわたしは次期女王だもの!」

 

その瞳はどこまでも透き通り、最高の未来を映し出していた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日もトロピカっていくわよ!!」




今の状態ですと、一ヶ月に一投稿ですね。せめて二話分くらいは出したい

ここまでの拝読ありがとうございました!
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