オーバーロード二次創作 デミウルゴスで恋愛モノ 作:こりん@
ナザリック地下大墳墓、第九階層にあるバー。
店内には、マスターであるピッキーと戦闘メイドプレアデスの一人、シズがいた。
他に客はいない。
シズは一人、静かにグラスを傾ける。中身は麦茶である。
「いつも、こんなに空いてるの?」
シズは静かに、問いかける。
「そうですね。割りとこんな感じです。」
ピッキーは、愛想よく返す。
「そう。」
シズはそれだけ言って、再び黙る。
やや間が空いて、ピッキーが言う。
「ああ、そういえば。」
シズは、ピッキーを見つめ、次の言葉を待つ。
「最近はよくデミウルゴス様がいらっしゃいます」
それを聞いたシズは胸の高まりを感じる。
「そう。デミウルゴス様が。」
シズはデミウルゴスが好きである。
何故かは自分でも分からない。
「今日はいらっしゃいますかね」
ピッキーはグラスを磨きながら言う。
「噂をすれば何とやらといいますしね」
ピッキーがそう言い終えた、その時。
「やあ、ピッキー。おや、それにシズも。」
影が差した。
耳障りの良い落ち着いた声。
シズは再び鼓動の速くなるのを感じる。
「ご一緒しても?」
デミウルゴスは誰もが好感を持つような優しい声で尋ねる。
「はい。喜んで。」
シズはいつもの平坦な口調と変わらぬ表情で答える。
デミウルゴスはシズの左隣に静かに腰掛ける。
「ここで会うのは初めてだね。」
「はい。今日、初めてここに来ました。」
「ふふ、貴方の初めてに立ち会えるとは。」
デミウルゴスは、ピッキーに視線をやる。
「いつもので、よろしいですか。」
ピッキーは気の利いたマスターである。
「ありがとう、ピッキー」
デミウルゴスはいつもの穏やかな笑みで返す。
「いつものを頼むよ。」
デミウルゴスの前で、琥珀色の液体が注がれたグラスの底が天板を叩く。
「シズの。」
デミウルゴスがおもむろに尋ねる。
「飲んでるいるものは、私と同じかな?」
シズはデミウルゴスのグラスを見つめる。
それからデミウルゴスの反射して、その奥の瞳が見えない眼鏡のレンズを見て答える。
「私のは、麦茶です。」
それを聞いたデミウルゴスは、とくに驚いた風でもなく当然のように頷く。
「ノンアルコール、だね。」
「はい。」
シズは、少し息を吐いてからピッキーの方を見る。
凄く、ドキドキする。
シズは異性愛者だった。
胸の高鳴りに、自分は異性愛者なのだなと実感する。
至高の御方は己をそのように設定されたのだ。
その事実を伝える熱い鼓動、設定の裏付けに、至高の御方の存在を思い出し、ひとしきり胸を温かくする。
至高の御方を思う時、シズは幸福感に包まれる。
それはナザリックに存在する者全てが皆、同じである。