それなりにストックはありますが、ストック切れたらその先は完全に未定。
……どうしてこうなった?
家の近所にある農業高校を卒業した後、林業関係の仕事に就き、20歳の時に狩猟と猟銃の免許を取ってから10年。
30歳になって、ようやく念願のライフル銃を取得出来たからウキウキで狩猟に出たら……。
化物みたいな大きさのイノシシに遭遇して両足をへし折られ、ライフルの暴発で土手っ腹に大穴が空いて、しかもそんな瀕死の状態で這いずりながら助けを求めていたら突然現れた白い野犬に喉笛を食い千切られて死にました。
……いや、死にましたという言葉は語弊があるな。
実際は気が付いたら何故か赤子になってたし。
ナニコレ!?これが俗に言う転生という奴なのか!?
なんて事を考えていた時から早15年。
俺は昔の日本?で山奥に隠れ住む蝦夷(エミシ)とか言う一族の若長――アシタカヒコとして生きてます。
しかし、どうせ転生するなら魔法があるファンタジーな世界とか知っている漫画やアニメの世界とかが良かったなぁ。
……まぁ、この世界も単なる昔の日本じゃないみたいだけどね。
だって、やたらめったらデカイ獣の化物みたいなのとか、骸骨みたいな小さい妖精?精霊?が普通にいるし。
精霊モドキは無害(いや、たまに死にそうになるイタズラを仕掛けてきたりするけれど)だからいいけど、村をちょくちょく襲撃してくる化物共はなんとかならんのかね。追い払っても傷を癒してまた来るから一々命懸けで倒さないといけないし。
というか、そんな化物とかよりも野盗がウザイ。
この前なんて刀とか槍を持った落武者風の奴らが30人ぐらいで村を襲ってきた上に、俺の婚約者であるカヤを拐いやがったし。
まぁ、すぐに奪還したけど。
ちなみに野盗は弓で射殺しました。
村の場所を知った者は生かして帰してはならぬ!!とか村のジジイ共に言われた事もあって。
一応、他にも仲間が居ないかとか聞く用に捕らえた奴が一人居たけど、色々な事を聞くだけ聞いた後、ジジイ共があっさり殺してた。
この世界は命の価値がとても低いです(棒)
ま、そんな感じで割りと物騒な世界に転生した俺は、前世で培った技能や知識を生かして何とか暮らしている訳です。
「兄様(あにさま)。私は何度も言いましたよね?アヤとサヤに色目を使ってはいけないと」
さてと、現実逃避はこれぐらいにして、今まさに直面している危機をどうするか考えようか。
「兄様?私の話を聞いていますか?」
「はい、聞いてます」
「……何か別の事を考えていませんか?」
「考えてません。すいません」
何でこんな事になってるんだろう。
カヤといつも一緒にいるアヤとサヤとちょっと喋っていただけなのに。
ただそれだけなのに、激おこな婚約者のカヤに説教されている。
というか、カヤの目に光が全くなくて怖い。
誰か、助けて。
ちょっと前までは清純で素直な子だったのに……今ではヤンデレみたいになってるよ。
いや、以前から兄様兄様って子犬みたいに擦り寄ってくる子だったけども。
野盗に拐われた一件の後から、俺に対する執着心や依存心が強くなった気が。
これはどうしたら――
「兄様?やっぱり他の事を考えてますよね」
とりあえず……ごめんなさい。