魔法戦記リリカルなのは New Generation 作:日月 咲
遡ること一週間前。
高町なのはと娘のヴィヴィオ、そして、長期休暇中のフェイト・T・ハラオウンは揃って夕食を摂っていた。
「お母さん、何か良いことあった?」
ヴィヴィオが、テーブルの向かいに座るなのはに問い掛ける。
成長に伴って、中等部に入学する頃から『ママ』から『お母さん』へ自然と変わっていった。
声を掛けられたなのはは、いつも以上に笑顔だった。
「ん、ちょっとね」
「仕事の関係?」
「そう、だから詳しく話せないんだけど、来週から担当する新人の中に面白そうな子がいるの」
「お母さん、悪い顔になってる」
ヴィヴィオの指摘通り、新しいおもちゃを見つけた子どものような顔をする。
「私と同じ地球出身なんだけど、二人ともすごく変わってるの」
「なのはよりも?」
食器の片付けを終えたフェイトが、楽しそうに横から口を挟む。
「んー、同じくらいかなぁ。あ、でも何か大きい事件に巻き込まれたとか、そんなんじゃなくて」
ここで言葉を止めると、食器を持って立ち上がる。それにならってヴィヴィオも食器を持つ。
「地球出身なのに、実技も筆記も試験結果が優秀なの」
「不屈のエースオブエース様が言っても、説得力が全然ないよ」
フェイトの言葉に、からかわないでとなのは。
なのはの言葉はあながち間違いではなく、実技は実戦で鍛えられたものの、筆記は一から。
得意科目が数学であったために魔法学はなんとかなったものの、ミッドチルダの歴史や法律関係は苦手で、一般試験は苦労していた。
「フェイトママも昔は試験勉強大変だったんでしょ?」
「ヴィヴィオ、思い出させないで……」
ヴィヴィオの言う試験勉強とは、執務官試験のことを指している。二回も落ちればトラウマにもなろう。
かなり高度な試験であることには間違いないのだが、優秀過ぎる義兄が感覚を歪めている。
ちなみにフェイトが未だに『ママ』なのは、子離れ出来ていないフェイトの所為である。
他の二人の、精神的な成熟が早かった反動なのかもしれないが。
「ヴィヴィオは学校の勉強、どうなの?」
「中等部に上がってから難しくなったけど、しっかり勉強してる」
ヴィヴィオは初等部の頃から成績優秀。無類の本好きで無限書庫の司書資格を持っている。性格も好奇心旺盛なため、未知のものはヴィヴィオにとって宝物だ。
「さ、二人は明日も早いから、ちゃんと寝ること」
フェイトに促されて、はーいと部屋に向かっていく。
血のつながりは全くないのに、後ろ姿は瓜二つなのが可笑しく、フェイトは少し笑った。