魔法戦記リリカルなのは New Generation   作:日月 咲

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デバイスマイスター

 シャリオはやや興奮気味に話を続けた。

「七年前、デバイス工学会の学術論文発表会にて、ひとつの論文が発表されました」

 その論文のタイトルは、『制御系特化インテリジェントデバイスとブーストデバイスの同時運用によるストレージデバイスの並列運用理論と実現化に向けた実験』である。

「インテリジェントデバイスをはじめとする独立した意思を持つデバイスは、魔法の発動補助や状況に応じた魔法の自動発動など高度な機能を擁しています。一方で扱いがやや難しく、多様な機能を持つがゆえ、ストレージデバイスと比較するやや処理速度が遅いのです。熟練の魔導師と対峙したときに、ストレージデバイスに軍配が上がるのは、クロノ・ハラオウン提督の模擬戦を見ればお分かりいただけるものと存じます」

 若くして中将の地位まで昇りつめた俊英、クロノ・ハラオウン。立場上、前線で姿を見ることはないが、今もなお日々鍛錬しており、本局武装隊のエース級の実力の持ち主である。

 クロノはこのインテリジェントデバイスの処理速度を懸念して、ストレージデバイスを愛用している。魔法の発動補助はほとんど受けられないが、なのはやフェイトといった一線級の魔導師を凌駕していることからも、本人の実力の高さが伺える。

「通常、一人の魔導師が扱うデバイスは、八神司令のような特殊な例を除けば基本的に一つです。それは一人の魔導師の処理能力の限界があるからです。なので、今までは、単体のデバイスの機能をいかに向上させるかというのが研究の主流でした。カートリッジシステムに関する研究や、第五世代デバイスが顕著な例です」

 シャリオはここまで説明すると、軽く咳払いする。

「長くなりました。発表された論文は、各デバイスが抱える問題をすべて解決するものでした。つまりデバイスの分業です。複数扱えるだけの処理能力を補うために、制御機能に特化したインテリジェントデバイスと、魔力の射出をサポートするブーストデバイスを介し、処理が高速なストレージデバイスを操作します。これにより、特定分野に特化した高性能なストレージデバイスを一人の魔導師が複数扱うことができる、というのが論文の要旨です」

 つまり、ユウヤが行っているのはこの論文の内容である。

「非常に内容も優れた論文だったのですが、当時の管理局もデバイス工学会もJS事件を受けて、魔力の結合が阻害された環境下での有用性を高く評価する傾向にあったために日の目を見ずに多くの人に知られることなく消えていきました」

 地上本部に甚大な被害を与えたJS事件。AMF環境下で武装局員は苦戦を強いられてきた過去がある。それに対策するのはむしろ必然と言える。

「その、公に知られていない優れた理論、技術を発表したのは、わずか十歳の少年でした」

「おい、七年前に十歳って、もしかして……」

 ヴィータがあることに気付く。

「ええ。日の目を見ることなく消えたその理論は通称『タカナシ理論』。史上最年少で、最高位であるSSS級デバイスマイスターとなった、ユウヤ・タカナシが提唱した理論です」

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