生徒会の庶務   作:高坂遼

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反省する生徒会

「過去の失敗を糧にしてこそ、我々は前に進めるのよ!」

 

 会長がいつものように小さな胸を張って他人から拝借したであろう名言を披露していた。ホワイトボードにはすでに今日のテーマが書かれている。それは、

 

<第一回 生徒会大反省会>

 

 と書いてあった。・・・鍵にはあまり面白くない話になりそうだ。だけど、やる気満々な会長にあれこれ言える訳も無く。取り敢えず流れに従うことにした。

すると、鍵ではなく何故か深夏さんが不満の声を上げ始めた。

 

「反省たって、まだ二ヶ月ほどしか活動してないじゃねぇかー」

「深夏!貴女は去年から活動してるでしょうがっ!」

「いや、でも、今日のは『現生徒会』ということだろ?だったら・・・」

「何言ってるのよ!そういう生温い考え方が、現生徒会を堕落させているのよ!」

「いや、堕落って・・・」

 

 因みに、深夏さんが反省会を嫌ってるのは、おそらく去年の生徒会に所属していたからであろう。去年の生徒会の事はそこまで知ってる訳ではないが、熱い会議がとにかく多かったらしい。おまけにあの性格も重なってか、深夏さんはあまり敬語を好まない。だからか、真面目な空気の会議をあまり好まないのだろう。

 話を戻すと、今年の生徒会が堕落しているように見えるのはほぼ90%近くが目の前にいるミニマム会長が原因だと思う。紅葉先輩も「この空気の八割はアカちゃんの怠惰のせいだと思うけど・・・」と言っていた。どうやら僕の考えよりも割合が低いようだ。そもそも、堕落しているとか言われるほどこの空気はひどいものだとは感じないが・・・。

 しかし、会長はそんな事を考えていた僕と紅葉先輩を見もせずに、鍵の方を向くと、机を思いっきり叩いた。初見で見たときは子供がだだをこねている様子にしか見えなかったが、多分実際には威圧的に見えるようにやっているものなんだろう。相変わらずやっている事とその結果が伴わない人である。

 

「杉崎なんて反省点だらけじゃない!むしろ、反省点以外が見当たらないじゃない!」

「俺の人格全否定ですか」

「え?どこかに肯定するところあるの?」

「や、あるでしょう。俺にだっていいところ。ねぇ?」

 

鍵が生徒会メンバーに向かって問いかける。・・・鍵を見て取り敢えず思ったことを口にしていく生徒会メンバー達。

 

「反省会・・・すべきかもしれねぇな」

「何その急激な方向転換!」

「真冬も・・・杉崎先輩を見ていると、早急に反省会を開催する必要性を感じました」

「真冬ちゃんって、なにげに結構ひどい事言うよねぇ!」

「キー君は反省するために生まれて来たような子よね。」

「そんな目的で生まれる悲しい子供がいてたまりますかっ!」

「それはひょっとしてギャグで言ってるのか?」

「大真面目に言ってるわ!お前も知弦さんと同じ意見だっていうのか!?」

 

やはり皆の鍵への考えは一緒だったようだ。まあ、鍵だしね。

一方鍵の方は旗色の悪さを感じ取ったからか、あえて開き直りに出るようだ。

 

「ああ、俺は反省点だらけさ!しかし、そんなことは俺が生まれた時からの、今更言うまでもない現実!だからこそ、俺に反省を促すことほど無駄な時間はありません!だったら、今日は俺以外のメンバーが反省するべきでしょう!」

「う・・・なんか説得力あるわね。自分を全否定してるくせに」

「さしあたっては会長!最高責任者たる貴女が率先して反省するべきでしょう!」

「うっ!」

 

 皆から「確かに・・・」といった感じの空気が流れる。会長は「私の反省すべき点・・・?」と考えているようだ。・・・子供ってさ、自分が悪い事してもそれが悪いって思えないんだよね。例えば、コップを割ったとする。大人だったら「ごめんなさい」ってそれの持ち主に謝るだろうけど、子供は「勝手に滑った」とか、「コップが落ちるのが悪い」とか言うじゃん?実際にそんな事起こりうるわけないのに。反省することって、ある程度自我がはっきりしてこないと、経験として生かせないから、子供のころはただ自分がいい思いをしないだけの感情、っていう風に思うからなのかな。

 え?なんでこんなこと言ってるのかって?要するに子供って反省しない生き物だって言いたいんだ。会長のこの後の言葉が僕にはなんとなく想像ついてる。きっと・・・

 

「無いわね」

 

 ほら、やっぱり。反省してるんなら、この生徒会はもう少し真面であると思うんだ、うん。悪いことを「悪い」と思ってるなら、あんなラジオをするために放送室から機材分捕ろうとしないし、そもそもこんな小説を書いて、この生徒会を世に広めようとか考えないと思うんだ。

 しかし、ほかの皆はこんな風には考えなかったらしい。一斉に

 

『どこまで自分に甘ぇんだ(甘いんですか)(甘いのよ)このヤローーーーーーーーーーー!』

「わ、なに!?みんなどうしたのいきなり!カルシウム不足?」

「一番足りてないのはアンタだろうが!何考えてんだアンタ!」

「え、あれ?なんで皆怒ってるの?あ、ああ、私があまりにも完璧人間すぎて、ちょっと嫉妬しちゃったのかなぁ?ごめんね、やっぱり会長に選ばれるくらいだから、私って欠点とか無いんだよねー」

 

 うわぁ、この状況で更に火種を増やしますか、貴女は。火に油を注ぐどころの話じゃないぞ、これ。新しい諺「桜野くりむに反省を促す」とかできそうなくらい怒り追加してるぞ。

 

『そこに正座ーーーーーー!』

「は、はい!」

 

 会長は危険を感じ取ったからか、即座に正座する。椅子の上で正座するとくるくる回ったりすること多いよね。え、どうでもいい?ですよねぇー。

 

「いいですか、会長」

「は、はい・・・」

「過去の失敗を糧にしてこそ、我々は前に進めるんです」

「そ、それ、私の名言・・・」

「だまらっしゃい!」

「ひぅ」

「かの偉人、聖徳太子は言いました。『人間、反省なくして月9出演は有りえない』と」

 

 どんだけ現代人なんだよ聖徳太子。しかも何で月九なんだ。しかし、聖徳太子がドラマを見ているとしたらやっぱり10の番組を同時に見て全部の内容を一度に理解できるのだろうか。意味が分からない?ならスルー推奨。

 

「絶対言ってないと思うけど・・・」

「だまらっしゃい!」

「ひぃ」

「時代考察などどうでもいいんだ!要は『反省しろ!』って事なんですよ!」

「じゃあ最初からそう言おうよ・・・」

「とにかく!会長は反省すべきです!反省なくして会長の未来はありません!」

「そんなに言われるほど酷いかな・・・私」

「酷い!」

「言い切られた!」

「オリ〇ン調べの『反省すべき生徒会長』ランキング、三年連続堂々の一位です!」

「オ〇コン、そんな事まで調べてるの!?」

 

 オリコ○ねえ・・・最近は全く聞かなくなったような気がするな。まあ、CDを買う人が減り始めてるからしょうがないね。

 

「杉崎鍵の中の『抱きたい美少女ランキング』でもダントツの一位ですが」

「そんな情報いらないよ!」

「そんな訳で会長は反省すべきなのです!性的な意味でも!」

「性的な意味でも!?」

「まあ、そこら辺の教育というか調教は後々に回しますが・・・」

「私の未来真っ暗!反省しても私の未来無いじゃない!」

「いえ、会長。一応『鍵の性奴隷になる』というあまりにもバットエンドな感じ漂う未来ならありますよ」

「なんか急に入り込んできたと思ったら何言い出すのよ楠木は!バットエンドどころの騒ぎじゃないわよ!」

「じゃあ、まず・・・。そうですね、真冬ちゃんあたりから、会長の反省点を挙げてもらいましょうか」

「あ、はい」

 

 ・・・真冬ちゃん、あまりにも対応がスムーズ過ぎるよ・・・。この議題ならいくらでもストックあるってことなんだろう・・・。会長も「うわぁ」って落ち込んでんじゃん。

 

「えっと、ですね。会長さんはもう少し考えてから行動した方がいいと思いますよ。」

「うぐ!」

「なんというか、会長さんの行動ってほぼ思い付きというか、思いついて2秒後には口に出してる感じなんですよね・・・」

「うぐぐ・・・」

「かの偉人、エジソンは言いましたよ。『ボスを倒しに行くなら、十分レベルを上げてからにしろ』と」

「や、だから絶対言ってないと思うけど・・・」

「そういう問題じゃないんです!要は、何かするなら、ちゃんと準備しなさいってことなのです!」

「だから、そうならそうと・・・。杉崎といい、真冬ちゃんといい、なんで名言の捏造するの・・・」

 

その質問は会長にブーメランな感じで帰ってくると思われるが・・・

 

「会長さん!ツッコミばかりしてないでちゃんと反省して下さい!」

「ツッコミを必要とする発言をする方にも問題があると思うけど!」

「会長さん・・・。真冬は失望しました。そんなにツッコミが必要ですか」

「必要だよ!流したら完全にカオスじゃない!意味わからないじゃない!」

「ボケを全部、完全に返すのも考え物だと僕は思いますけどね」

「意味が分からないのは貴女です、会長さん」

「絶対杉崎や真冬ちゃんだよ!」

「いや、どっちもどっちかと・・・」

「遂には責任転嫁ですか・・・」

「ただあるべき場所に責任を求めてるだけよ!」

「もういいです。真冬からはもう、何も言う事は有りません・・・」

「え、なにその終わり方!凄く私がわがままみたいじゃない!」

『・・・』

「それはひょっとしてギャグで言ってるんですか?」

「大真面目だよ!同じネタを一回の会議で二回使うのはやめなさい!そして、なんでみんな無言なの!?私結構まともな発言してたわよね!?」

 

んー、まあ・・・。そうですよね、うん。間違ってはないかと思いますが、この空気では残念ながら・・・。

 

「じゃあ、次はあたしから言わせてもらうとするか・・・」

「ねえ、今思ったのだけれど、これって公然としたイジメなんじゃないかしら」

「黙れ会長!そういう『自分以外が全部悪い』って精神が駄目なんだぞ!」

「う・・・って、今納得しかけたけどやっぱり私の方が正義なような・・・」

「黙れこの腐れ会長め!」

「いくらなんでも酷いわよ!いよいよ先輩に対しての態度じゃなくなってきたわね!」

「うるせぇ!反省しない先輩なんて、もう先輩失格なんだ!留年どころか、降年すべきなんだよ!」

「何その新システム!怖いわ!降年、怖いわ!」

「そうなりたくなければ反省しろ!」

「う、うぅ・・・」

 

 余談だけど、降年っていうシステムは日本に本当にある。確か東大辺りがやってたっけか。そっちの方は、自分の意志でやるものだけど、本当に先生から『お前成績悪いから降年な』とか言われたら冷や汗もんだな、真面目な話。会長が降年したら、高校生のままでいられるのか疑問だ。

 

「あたしが会長さんに反省を求める点は、まずその軟弱なお子様容姿だ」

「いきなり理不尽なっ!容姿から入るなんて!」

「肉食べろ、肉!もっとムキムキと屈強な体格を目指せ!生徒会長だろ!」

「会長になったら女を捨てなきゃいけないの!?」

 

体ががっしりとした会長・・・うん、全くと言っていい程想像できない!会長はロリだからこそ「会長」なんだという結論に達する。まあ発言しないけど。

 

「いいか、よく聞け会長さん。かの偉人、楊貴妃はこう言った。『女たるもの、プロテインとジム通いは欠かしてはいけないぜぇっ!』と」

「絶対言ってないし、楊貴妃のキャラおかしすぎるでしょ!」

「黙れ!アンタはツッコミしかすることがねぇのかっ!」

「あなた達がボケまくるからでしょっ!それ以外の事やってる余裕無いのよ!」

「やれやれ・・・こりゃ駄目だ。救いようがねぇ」

「だからなんなのこの空気!アウェーだわ!生徒会長なのに、生徒会室がとてもアウェーだわ!」

 

 まあ、会長に反省する点が多いのは事実なので、会長の味方になることは無いが、別に敵でも無い。なので、この空気は非常に心地悪い。さっさと終わらせる・・・のは残念ながら無理だ。このメンツに単騎で特攻するのは真・三國〇双で赤ゲージの状態で難易度地獄の〇布に突っ込むのに等しい。なので、おとなしくしておく。

 色々考えていたら、とうとう紅葉先輩(真打)が来たようだ。紅葉先輩はサラリとその長い黒髪をかきあげ、すっと目を細めると、会長睨みつけた。・・・なんと言うか、非常に様になっている。別に自分に向けられた訳じゃ無いのにゾクッときた。

 

「アカちゃん・・・貴女には失望したわ」

「ち、知弦まで・・・」

「かの偉人、ベジー〇は、よくこう叫んだものよ。『〇カロットォォォ!』と」

「だからなに!?」

「つまり、アカちゃんは自分の行動をよく省みて、この生徒会及び学校を、よりよい未来へと導くべき、という意味よ」

「無いよ!『カカ〇ットォォォ!』には絶対そんな意味無いよ!」

「遂には〇ジータ全否定するのね・・・」

「別にそういうつもりは無いよ!ベ〇ータは別にどうでもいいよ!というか、これは何の話題なのよ!?」

「〇山明がどれほどの天才かと言う事を語るのでしょう?」

 

 鳥山〇を語る高校生ってどれだけシュールなんだ。しかもそれを語っているのが超がつくほどの美人なんだから尚更だ。時代的にまだ生まれて間もないころに〇ラゴ〇ボー〇終わったはずなんだけど。単行本?僕は見てないので分かりません。

 

「違うわよ!今日の議題は反省会よ!」

「ああ、確かにGTは蛇足という見方もあるわね。しかしあれはあれで・・・」

「ドラ〇ンボ〇ルの反省会じゃないわよ!っていうか何様!?」

「あら、仕方ないわね・・・。そんなにジャ〇プネタが嫌ならマガ〇ン辺りにでもする?」

「少年漫画はもういいよ!今は・・・」

「今は?」

 

「私の反省点を語りなさいよ!」

 

「了解」

「あ」

 

 ・・・怖い。ただ純粋に紅葉先輩が怖い。あんな誘導尋問がこの世にあるなんて・・・。いつもながら思うが、会長の扱いがうますぎます、紅葉先輩。ああいってしまった以上、会長は耳をふさいで紅葉先輩の発言を聞き流すことは無理だろう。・・・明日会長の席に花瓶が置かれてるとか、そういう事無いように。

 

「さて、じゃあ早速行きましょうか、アカちゃん」

「うう・・・」

「まずは・・・そうね、もうちょっと体にメリハリがほしいわね」

「初っ端から理不尽すぎるわよぉぉぉ!」

「生徒会長らしさ、という観点で語ると、アカちゃんの体はすこし威圧感がかけてるのよね。私の趣味的にはむしろ問題ないのだけども」

「貞操の危機を感じるわ!私、その内親友に貞操を奪われそうな気がするわ!」

「そうねぇ・・・。例えば、牛乳を飲んで、転倒して派手に転んで顔から浴びて、カラーイラストになるのよ」

「どさくさに紛れて、なんで妙にエロテッィクな絵を作ろうとしてるのよ!」

「ほら、クッキー君がどこからか早速牛乳を用意してるし、キー君なんて生徒会の備品のビデオカメラを構えてそのシーンの撮影を行おうとしてるわよ」

「無駄に仕事早いわね!というかやらないわよ!」

 

 そういうと、会長は僕の手から牛乳を盗っていき、それから鍵のビデオカメラに牛乳をかけた。それ、生徒会の備品なんですけど・・・。え、それよりもなんで僕が牛乳用意したのかって?・・・僕だって思春期の男だしさ、いいじゃない、夢見たって。白濁にまみれた幼女の絵をリアルに見たいって思ったっていいじゃない。

 

「あらあら、アカちゃん。そんなことしたら・・・ほら、キー君泣いちゃったじゃない」

「男の涙軽いわねっ!」

「僕をその「男」に入れないでください。他に白いもの・・・何かないかな・・・」

「探すなっ!」

「まあ、仕方ないわ。体のメリハリに関しては諦めましょう」

「そもそも、そんな簡単にどうにかできる問題じゃないでしょうに・・・」

「じゃあ、アカちゃん。せめて制服をもっと挑発的なものにしましょうか。某セレブ姉妹が来ていそうなものを・・・」

「そんな恰好で生徒会長が闊歩している学校ってどうなのよ!」

「エキサイティングだわ」

「そんな一言で済ませないでよ!」

「紅葉先輩、それは可哀そうですよ。会長がそんなもの着ても、『子供のコスプレ』以下にしか感じませんし・・・」

「この生徒会には私の味方もういないの!?楠木までいつの間にかみんなの側についてるしさぁ!」

「いえ、僕はただ会長が必要以上に哀れな格好をされたら、僕らの人格まで疑われてしまうのを避けたいだけで・・・」

「私の心配ですらないの!?」

「ほら、キー君が大喜びでアカちゃんに合いそうな制服を知り合いのコスプレ愛好家に連絡取ろうとしてるわよ」

「止めなさい、そこのエロ副会長!」

「あぁー、俺の携帯―!・・・うう、ぐすっ・・・」

「男の涙大安売りねぇ!」

「ふぅ。仕方ないわね。キー君やクッキー君たちへのサービスも兼ねたアカちゃんの反省点を述べてみたのだけれども、この方向性じゃあ、受け入れてくれなさそうねぇ」

「当たり前よ!」

「じゃあ、精神的な方向で行ってみましょうか」

「いや、最初から普通そういうのが・・・」

「アカちゃん。心が子供よ。もっと大人になりなさい」

「いきなり核心ついてきたぁ!今までがギャグだったのに、急にシリアスな感じになったわ!」

 

 なんか、心にグサッ!とくる発言だったんだろうな、会長からしてみれば。まあ、今までのはすぐにどうにかできる問題じゃないし・・・いや、服装の方は服さえあればどうにでもなるけれども・・・

 

「アカちゃんは、やれば出来る子なんだから」

「なんか本格的に教育が始まったわ!同級生から、母性的な目で見られてるわ、私!」

「そのためにはアカちゃん。まずは、その体で社会を感じる必要があるわね」

「しゃ、社会?ああ、アルバイトとかしてみるってこと?なるほど、それは確かに一理あるかも・・・」

「そう?なら早速駅前に行ってスカートを短くして、暇そうに駅前に佇んでみるのよ、アカちゃん。そのうち中年のおじさんが『三万円でどう?』とか声かけてくるでしょうから、あとは黙ってそれに従えば、すぐに大人の階段を・・・」

「そ、そんな!会長はそんな事をしようとする程に欲求不満だったっていうんですか!?くっ、ゆゆしき事態だ!安心して下さい会長!俺がすぐに・・・」

「黙りなさいこのエロ副会長!そして、知弦は本当に私の親友なのよねぇ!?時々私、知弦との友情が全く信じられなくなるのだけれど!どこまでが冗談でどこまでが本当なのかわからなくなるのだけれど!」

「あら、そんなの簡単よ、アカちゃん」

「え?」

「アカちゃんと接しているときの私は、基本的に全部偽りよ」

「絶望したわ!親友の友情が全部嘘だったことに絶望したわ!私、もう他人を信じられないわよ!」

「そう、それよ、アカちゃん!それが社会の厳しさよ!簡単に人を信じたら痛い目にあうという教訓よ!」

 

 え、今のってそんな話だったの?僕はてっきり会長を精神的に虐めて楽しんでいる鬼畜先輩の絵にしか見えなかったんだけど・・・普段でさえあれなんだから、某BLゲーに出てくるメガネかけたらもう紅葉先輩人じゃなくなるんじゃないだろうか?・・・考えるだけでも鳥肌ものだ。

 

「やったわね、アカちゃん!貴女はまた一つ大人になったわよ!」

「え、い、今のが・・・?す、素直に喜べないのだけれど・・・」

「これでアカちゃんの反省点は、残り7951個に減ったわ!」

「もう殺してぇぇ!そんなに私が生徒会長であることに文句があるなら、もう首を刎ねればいいのよぉーーー!」

 

 ・・・しまった、会長が泣いてしまった。このままではリアルに「会長の机の上に花瓶が置かれている」という事態になりかねない。・・・え、なんで僕を見てるの皆?僕は何も悪いことしてないよ?え、「お前発言してないんだから、どうにかして会長を慰めろ」?無茶な・・・。しかし、このまま放っておくわけにもいかない。・・・はぁ、わかったよ、畜生。正直柄だと思わないのだが・・・

 

「会長」

「うう・・・ぐすっ・・・なによぉ」

「会長の欠点の多さについては、僕は否定できません」

「楠木も・・・ぐすっ・・・そういうこと言うの?」

「まあまあ、聞いてください、会長。中国には『欠点のない人があろうか』って諺があるそうです」

「・・・?」

「欠点を持ってない人なんていない、ってことですよ。欠点というのは時として美点に結びつくものがあるんです。例えば・・・そうですね、真冬ちゃんが言いましたけど、会長って物事を考えなさすぎなんですよね。」

「うう・・・」

「でも、それが逆に会長らしさなんだと思いますよ。会長がなんか深刻に物事考えてる所を見たら、皆逆に会長が変なもの食べたとか、頭打ったんじゃないかとか、凄い心配すると思います」

「なんか素直に喜べないのだけれど・・・」

「いいじゃないですか、僕は好きですよ?会長のそういうところは」

「あう・・・」

 

 なんか鍵が「俺の彼女をさりげなく口説くな!」とか言ってるが、気にしないことにする。

 

「それに・・・欠点を持ってない人間と一緒にいるなんて、つまらないと思いませんか?」

「え?」

「性格も見た目も何もかも完璧だと思ってる奴なんて、そんなの馬鹿らしいと思いませんか?欠点が無いと思っているその思想こそが一番の欠点なんです。そんな壊れた思想を持った人間と一緒にいるなんて、無意味でつまらないことだと僕は思います。」

「・・・」

「それに・・・生徒会は会長一人じゃないんです」

「・・・」

「会長がいて、紅葉先輩がいて、深夏さんがいて、鍵がいて、真冬ちゃんがいて、そして僕がいる。皆欠点を持った不完全な人間ですけど、だからこそ、僕らは互いに欠点を認め合い、そして他人と関わって欠点を・・・他人を受け入れていく。そうやって成長していけばいいんですよ。会長も。僕たちも。」

「楠木・・・」

「会長はもっと自信を持って普段から偉そうにしていればいいんですよ。それが僕らの好きな『桜野くりむ』生徒会長なんですから」

「・・・偉そうにしてるんじゃないわよ」

「?」

「偉いのよ、私は!だって私は生徒会長なんだから!」

「・・・はは、そうでしたね。うん、やっぱ会長はそうしている方がずっといいですよ。なあ、皆?」

 

 僕は皆に同意を求める。皆は言葉こそ発しなかったが、同意見のようだ。・・・これで依頼達成かな。

 

「あ、会長」

「何?」

「最初に言いましたけど、反省点多いのは事実ですからね。少しでも減らした方がいいですよ」

「・・・努力します・・・」

 

・・・会長の残りの反省数・・・7590個・・・やっぱ多いよな、これ・・・でも、ま、いっか。

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