生徒会の庶務   作:高坂遼

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変身する生徒会②

「さて、次は誰が何役をやるかね」

 

会長の言葉に、深夏さんがいち早く反応する

 

「そんじゃ、まずリーダーたるレッドはあたしだな!」

 

僕達は妥当なところだと思ったのだが、思いもよらない障害が。

 

「ちょっと待ちなさい!レッドは生徒会長たる私でしょう!常識的に考えて!」

 

 元々乗り気じゃなかったくせに、こういうところで無駄に出張る会長である。別に「レッド=リーダー」って図式は今じゃもう必ずしも成り立つものじゃないいだし、構わないような気もするが・・・。

 

「えー。会長さんより、絶対あたしの方がレッドの器じゃねーかー」

「いいえ!リーダーよ、リーダー!この生徒会のリーダーといえば、この私でしょう!」

「ちっこいレッドなんてアンバランスだろー」

「身長関係ないでしょ!」

「ほら、キャラ的にもあたしの方が合ってるだろ。熱血のレッド!」

「わ、私だって情熱のレッド!」

「会長はそんな情熱的なキャラじゃないでしょうに・・・」

「柊の言う通りだよなー。それに会長さんはどちらかと言うと『赤ちゃんの赤!』っていう感じだよな。そういう意味では、レッドが似合ってるかもしれねぇけど・・・」

「うっ!な、なんてことを!とーにーかーく!レッドは私!これは譲れないんだから!」

「・・・仕方ねぇなぁ」

 

相変わらず小学生張りにワガママな会長に、深夏さんが折れた。

満足そうにふんぞり返っている会長を横目に見て、他の役員たちのカラー決めにかかる。

 

「じゃあ、他、どうするよ。深夏は赤以外に何やりたいんだ?」

「うーん・・・あたしの中ではレッドしか候補なかったから、よくわかんね。取り敢えず他のメンバーから決めちゃおうぜ」

「んー・・・それじゃあ、真冬ちゃんあたりからでも、決めるとするか?」

 

 僕達はそう言って、真冬ちゃんの方を見る。彼女はボーイズラブ小説を読みながら、一斉に自分の方を見てきた僕達に首を傾げている。・・・それを見た瞬間、僕たちは彼女に一斉に告げた。

 

『ピンク』

 

「ふぇ?ふぇ?ふぇ?」

 

僕達の言葉に混乱する真冬ちゃん。そして、深夏さんが微笑みながら真冬ちゃんに言う。

 

「よし、真冬!お前は、ガクエンジャーピンクだ!」

「え?そ、それはいいけど・・・どうしてピンク?」

「そんなの、当たり前だろ」

「?」

 

深夏さんは一拍おいてから断言する。

 

「常に脳内が桃色だからだ!」

 

「ええ!?」

「そんじゃ、次は・・・」

「ま、待って!そんな不名誉なピンクはイヤ!」

「でも決定したし・・・」

「うぅ・・・で、でも、そんなこと言ったら、杉崎先輩だってピンクじゃないですか!」

「いや、鍵の脳内はピンクとかそんな生易しい色じゃ構成されてないよ?真冬ちゃん」

「どんな色ですか!?」

「とにかく、お前はピンクだ。頑張れ、真冬!」

 

 深夏さんの激励に、真冬ちゃんはまだ納得できてないのか「うぅ・・・」と落ち込んでいる。まあ、分からなくもないが、どう考えてもピンクは真冬ちゃん以外似合わない。一応会長も髪の毛ピンクだし似合わなくもないけど・・・。

 

「じゃあ、次は知弦さん・・・」

「・・・?どうしたの、深夏」

 

 深夏さんは次に紅葉先輩のキャラ設定に移ったが、紅葉先輩の方を見た瞬間に、言葉を止めた。紅葉先輩は不思議そうに深夏を見ている。しかし、僕にはその理由ができたので、「ああ」と納得してしまう。鍵も会長も絶賛落ち込み中の真冬ちゃんも理解できたらしい。

紅葉先輩は未だに首を傾げていたが、深夏さんはさっさと次へ進めようとする。

 

「さて、知弦さんは黒でいいとして・・・」

「ちょっと待ちなさい」

 

深夏さんの発言になぜかつっかかる紅葉先輩。僕は紅葉先輩の言葉に応じる。

 

「どうしたんですか、紅葉先輩?」

「ど、どうしたじゃないわよ!」

「何よ、知弦。さっさと会議進めちゃおうよ」

「アカちゃんまで!いえ、おかしいでしょう、これ!」

「?どこかおかしかったですか、知弦さん」

「別におかしいことはないと真冬も思いますけど・・・」

「・・・貴女達・・・」

 

紅葉先輩はそこでがっくりと項垂れ、ぶつぶつとつぶやき始めた

 

「そう・・・私って、やっぱり、そういうキャラ認識なのね・・・。ふふ・・・いいわよ、別に。自分だって、ピンクやオレンジが似合うなんて思ってるわけじゃないもの。・・・けどね、私だって一応は女の子・・・」

「さて、次は鍵の色だなー」

「・・・」

 

 紅葉先輩がテンションダダ下がりの状態だったが、気にせずに会議を再開する。紅葉先輩は一体何が不満だって言うんだろうか?

深夏さんは鍵に「何か希望あるか?」と訪ねて、鍵は少し考えてから返した。

 

「通常だと・・・残りは青、緑、黄、モノによっては白とかもあるか」

「だな。最近はゴールドとかシルバーとかプラチナとかもたまにあるけど」

「ううむ。なんかこう、意外性のあるのがいいな。注目浴びるのが」

「どんなのだ?」

「『ゼブラ』とか?」

「だせぇよ!シマウマの化身じゃねえかっ!」

「何を言う、深夏。『ゼブラーマン』っていうれっきとしたヒーローもいるんだぞ!」

「あれは俳優が哀○翔だから成り立ったんだよ!お前じゃ絶対無理だろ!」

「ああ、そうか。○川翔よりも俺の方がイケメンだからかえって役不足になっちまうか」

「どんだけ自意識過剰なんだよお前!」

「仕方ないな。じゃあ・・・『レインボー』とか」

「鍵、なんかキモいぞ、その色。どっちかって言うと怪人の色じゃないか、それ?」

「これも駄目か。じゃあ・・・『オレンジ』とか」

「何で戦隊モノシリーズ一マイナーな色をわざわざ選んでんだよ!確かに違う意味で注目浴びそうだけどよ!」

「しかも、あれ一応『黄色』って扱いだからなぁ・・・」

「えー、これもかよ。仕方ないな・・・それじゃあ、とっておきの『スケルトン』なんかどうだ?」

「猥褻物陳列罪だ!」

「カッコイイのに・・・スケルトン。俺、脱いだら凄いんだぜ?」

「この学校の誰がお前の裸体を夏休み前の寸劇で見たがるんだよ」

「じゃあ、スケルトンは深夏に譲るよ」

「いらねぇよ!どさくさにまぎれてあたしを裸にしようとすんな!」

「仕方ない・・・。じゃあ、俺は・・・『ステルス迷彩』とかでいいよ。透明人間化するやつ」

「お前絶対悪用するだろ、そんなの渡したら」

「ちゃんと劇も出るし、メタ○ギアの破壊にも貢献するから」

「出ても客から見えねぇし!メタル○アの破壊はほかの主人公の役目だ!」

「もういいよ。妥協するよ。『南国の澄み切った風を体いっぱいに浴び、打ち寄せる静かな波音をただただ聴いている際の、爽やかな心の色』でいいよ」

「わかんねぇよ!ちゃんと色を指定しろよ!」

「つまり、『鮮血の赤』だな」

「どうやったらその色に到達したんだよ。鮮血要素皆無だろうが・・・。しかも、赤は既に会長が分捕ってるぞ」

「しゃあない・・・じゃ、いいよ、青で。『魅惑の青』で」

「魅惑とかいらねぇから!・・・はぁ。じゃあ、理由はともあれ、鍵はブルーだな」

 

深夏さんが疲れたようにしながら、認定した。

さて、残りは僕と深夏さんか。取り敢えず、僕は深夏さんに聞く。

 

「それで?深夏さんはどうするの?黄とか緑とかそこいらにするの?」

「いや・・・なんつうか、しっくり来ねぇなぁ。地味で」

「スケルトンにすればいいじゃないか、深夏」

「それは選択肢にさせねえよ!・・・しかし、どうすっかなぁ」

「うーん・・・じゃあ深夏、虎柄とかは?」

「なんかそれじゃ大阪のオバちゃんみたいだろうが!」

「それじゃあなんか適当な色でツートンカラーとか?」

「そんなの戦隊シリーズじゃぜってータブーだろ!一人一色しか使えねえよ!」

「そんじゃあ・・・DJ OZ○MAが紅白で使った肌色のボディースーツとか」

「そんなもんスケルトンと対して変わらねぇだろうが!っていうか、それ明らかにお前の私欲が入ってるだろ!」

「馬鹿なことを言うな!自他ともに認める常人より性欲が三倍強い俺がその程度の姿で満足するとでも思っているのか!」

「最低なことを何声高々に宣言してんだよお前は!」

「いつまで脱線する気だよ鍵・・・。まあいいや、そんじゃあ・・・もう甲冑姿とかでいいんじゃないか?」

「なんで一人だけリアル兵士なんだよ!」

「武器は対地ミサイルと手榴弾。敵にミサイル撃って肉塊にしたり、手榴弾投げて肉塊にしたりとか」

「ヒーローの戦い方じゃねえし!敵を必ず肉塊にするヒーローとか怖すぎんだろ!」

「トドメは敵に向かって特大のビームを打ち込んで周りの木々や山共々敵を吹っ飛ばす、その名も必殺『波動○』」

「最早ヒーローの方が悪人じゃねえか!最後のは名前パクりだし!」

「まあ、冗談はこのくらいにするとして。それで、結局どうするのさ、深夏さん」

「・・・そうだなぁ」

 

 深夏さんは腕を組んで深く考える。紅葉先輩は「そんなに悩まなくても・・・」と呆れていたが、彼女の中では大切なことなんだろう。

しばし悩んだあと、深夏さんは結論を出したようで、組んでた腕を元に戻す。

 

「仕方ねぇ。調和を考えて、無難に黄色で行くよ」

「おお、深夏が大人だ」

「まあな。自分で裏設定作ってみて、無理やり納得してみた」

「裏設定?」

 

僕のその問に、深夏さんは意気揚々と語りだす。

 

『長い長い戦いだった。神魔戦争。神と悪魔の間で二千年に亘っていたその戦乱は、ようやく終わりの時を迎えようとしていた。悪魔側の勝利というカタチで。

史上最悪の魔物『グルリエル』。悪魔側の持ち出した最終兵器は、すべての因果を破壊し尽くすほどの、神をも凌駕する『化け物』だった。

もはや神々に、対抗手段はなかった。全ての聖武具は悉く破壊され、全ての英雄は例外なくその顎に噛み砕かれた。

もう、神々は疲弊し尽くしていた。万物の創造を可能とする神をもってしても、圧倒的な『破壊』の暴力を前には、なす術もなかったのだ。

しかし。

そんな世界の終末に、ある、一人の『人間』が立ち上がった。

絶望する神々の目の前で、史上最悪の魔物『グルリエル』を一撃で葬り去った人間。

そう。

 

彼女こそが、『黄の黎明・椎名深夏』。又の名を・・・ガクエンジャーイエロー!』

 

深夏さんはそこまで一気に語ったあと、笑顔で問いかけてくる。

 

「どうだ!」

「どんだけ強ぇんだよ、イエロー!最早イエローの領分じゃねぇよ!レンジャー組まなくても一人で怪人退治できんじゃねぇか!レンジャーにする必要性が全くねぇよ!」

「いいんだ・・・こういう裏設定があると思っておけば、うん。あたしはイエローで満足できる!」

「・・・まあ、深夏さんがそう思ってるなら、それでいいんだけどさ・・・」

 

ほかのメンバーもポカーンとしている。・・・まあ、これで深夏さんも決まった。後は僕か・・・。

 

「んで?柊はどうするんだよ?お前も無難に緑とか白あたりでいくか?」

「・・・そうだなぁ。考えたんだけど・・・僕は、レンジャーの一員じゃなくて、こう、別の役割をやりたいなぁ、なんて思ってるんだよな」

「別の役割?怪人とかか?」

「そうじゃなくってさ。ほら、ヒーローショーって、司会のお姉さんとかいるじゃん?『皆でヒーローたちを呼びましょう!』とか子供たちに声かけたりする役割の人とかさ」

「あー、確かにそういう役割の人っているよな。でも、なんでだよ?」

「ほら、戦隊モノって基本五人で一チームだろう?他にもいたりするけど、そういう奴ってお助けキャラ・・・まあ、所謂臨時メンバー?って扱いが多いじゃん?まあ、要するに、五人の方が、『レンジャー』らしいかな、って思ったからな」

「まあ、わからなくもねぇけど・・・でも、それってどっちかって言うと脇役じゃねえか?」

「そのへんは構わないさ。主役ってキャラでもないし」

「・・・そう言うんなら構わねぇけどよ」

「んじゃ、僕はナレーションってことで」

 

 ・・・本当のところを言うと、被り物を被りたくなかったが故の提案だったんだが・・・通ってよかった。

あと、主役ってキャラじゃないって自分で言っといてなんなんだけど・・・脇役キャラ扱いはちょっと傷つくかも。

まあ、これでほぼ全て決まった。あと残すのは・・・物語の詳細な部分かな?色々カオスな寸劇の最後・・・さて、どうやって綺麗なオチを作るか・・・。

ひとまず、皆で適当に案を出して、後は寸劇のシナリオに合わせて微調整すればいいだろう。

まず最初に鍵が案を出す。

 

「『ガクエンジャーの活躍により、怪人は去った。しかし、油断してはならない。怪人はもしかしたら今も、君達を物陰からこっそり窺っているのかもしれないのだから・・・』・・・END」

「後味悪ぃ!」

 

深夏さんが叫ぶ。確かに今のはちょっとヒーローショーのシメには相応しくないだろう。深夏さん以外の人も苦笑いだ。鍵は、ハッピーエンドになるように方向性を変えて、改めて考えたものを披露する。

 

「『怪人は去った。ガクエンジャーの活躍により、人々の間には笑みが絶えず、争いなどカケラもない、。・・・学園はその後一万年に亘って、ユートピアと呼ばれるようになったのであった』・・・END」

「ガクエンジャーどんだけ活躍してるのよ!」

 

今度は会長からのツッコミ。鍵は口を尖らせる。

 

「これでもかって位にハッピーエンドじゃないですか」

「幸せの上限が高すぎるわ!そこまでする必要はないんじゃないかしら!」

「じゃあ・・・『その後、杉崎鍵は他のガクエンジャー達と結婚し、末永く、幸せに、淫らな日々を送りました』・・・END。・・・うん、人並みの幸せだ!」

「メンバーの幸せ描いてどうするのよ!しかも、それ、私達全く幸せじゃないし!」

「というか、ヒーローショーなんだから個人の名前出すなよ。まあ、生徒全員僕達の名前知ってるだろうけどさ・・・」

「『学園の皆も、淫らな日々を送りました』・・・END」

「ガクエンジャーは一体何を倒したんだよ・・・。怪人倒たら皆が淫らになるって・・・」

「杉崎の中では『幸せ』=『淫ら』なの!?どんだけ歪んでるのよ!」

「幸せの形は人それぞれじゃないですかー。そんなに言うなら、具体的な案出して下さいよ」

「く・・・」

 

鍵の言葉に会長は呻く。まあ、あまり文才に恵まれていないからな、会長。

会長には案がなさそうなので、僕は紅葉先輩に尋ねる。

 

「紅葉先輩は、どういう終わり方が幸せだと思いますか?」

「そうねぇ・・・」

 

紅葉先輩はふっとせつなげに宙を眺める。そして、ぽつりと呟く。

 

「地球滅亡END」

「怪人倒したのにですか!?」

「皆一緒に死ねるなんて・・・幸福よね」

「そんな歪んだヒーローショーがあってたまりますかっ!」

「鍵の言うとおりですよ!そんなヒーローショー見せられませんよ!」

「じゃあ、百歩譲って、融合END。人類が皆・・・ひとつの存在に溶け合ってしまうのよ」

「どの辺に百歩譲った要素があるんですか!?先輩は別に『アク○リ○ン』の操縦者じゃないでしょう!?」

「現実的なのがお好みなら、SMで終わってもいいけど。私が怪人を地下室に閉じ込め、ポタポタと背中に蝋を垂らし続けるっていう・・・」

「どっちが悪人か分かったもんじゃないですね!」

「ああ、あと、怪人を倒して全て終わった日の帰り道、クッキー君が夜道を歩いていると、突然後ろから『ドン!』と刺されて、振り向くとそこには真冬ちゃんがいて・・・『えへへ・・・先輩が悪いんですからね・・・えへ・・・へ』と呟くというのも悪くないわね」

「どこにハッピー要素があるんですか!?というか、なんで鍵じゃなくて僕なんですか!?鍵の方が違和感無いでしょう!」

「地味に酷ぇ!」

「真冬はそんなキャラじゃないですよう!」

 

 メンバー全員引きまくっていた中、紅葉先輩は危ない笑みを浮かべながら語っていた。最後には真冬ちゃんに理不尽なキャラ付けまでしていた。・・・真冬ちゃん、可哀想に。いや、まあ、こういった大人しい子ってゲームだとヤンデレになりやすい傾向があるらしいけどさ・・・。だからといって、そんな理由でこんなキャラ付けされるのはたまったもんじゃないだろう。

 先輩たちに任せておけないと判断したのか、真冬ちゃんは咳払いをした後、ピンと指を立ててから、僕達の方を見る。

 

「そもそも、そんなに凝る必要無いんじゃないですか?普通に怪人倒して、学園に日常が戻って、それでいいじゃないですか。必要以上に幸せにしようとするから、なんか変なことになっちゃうんですよ」

「うぅ・・・すみません」

「んー・・・まあ、そうだな」

 

後輩に諭される鍵と僕。真冬ちゃんは胸を張って続ける

 

「というわけで、エンディングはこうです。『怪人は去った。こうして・・・俺達には日常が戻ってきたんだ。そう・・・中目黒と二人で過ごす、蜜月のような日常が・・・』・・・END」

「中目黒出てきた!」

「真冬ちゃんの中では、まだ続いてたのかそれ・・・」

「場合によっては楠木先輩と杉崎先輩と中目黒先輩との三角関係を作ることもやぶさかではありません!」

「なんか僕も入れられた!」

「だから、寸劇の最後では三人の日常・・・学校の裏庭あたりで三人で絡み合ってる様子が描かれて、ENDです」

「やだよ!そんなのヒーローショーの最後に語るものじゃないよ!完全にR-18だよ!」

「そんなショー見せたら俺達、その直後から女子生徒に冷たい目で見られるだろ!」

「逆ですよ先輩達!女の子はそういうシチュエーション大好物です!ホモが嫌いな女子なんていません!」

「「余計嫌だわ!」」

 

 僕と鍵が同時にハモるくらいない。というか、最後のはパクリじゃないか。

 結局真冬ちゃんも使い物にならないことが判明したので、僕と鍵は仕方なく、二人で台本を作ることにした。ん?まだ深夏さんに聞いてないだろって?・・・深夏さんに劇の台本書かせたら死人がでるような劇になる事が想像するに難くない。まあ、時間はかかるだろうが会長も書けなくはないだろうが、会長に任せたら会長万歳な脚本になるだろうということで、僕たちが雑務の合間に書く事に決めたのだ。

 そんなこんなで、今日の会議は終わった。まあ、劇って言っても5分かそこいらの短い寸劇だし、さして力を入れて取り組むものじゃあないだろう。実際、適当な雑務をやることになった僕達以外の会長他生徒会員たちもあまり真面目に取り組んでいなかった。

 

で。

 

 色々な要素を取り入れて出来上がった寸劇の脚本を、実際に演じた際の客たちの反応、及びナレーションとして外から見ていた僕の感想と一緒に転載する。

 

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「おーい、中目黒ー」

「あ、杉崎君!って、うわぁ!?」

「中目黒!?」

「ふはははは!学園の平和は今日で終わりだー!」

「く・・・」

(ナレーション部分)『大変だ!謎の怪人に中目黒くんが攫われてしまった!このままでは、この学校が大変なことになってしまう!こんな時は・・・彼女たちの出番だ!皆、彼女たちを呼ぶために「ガクエンジャー」って大声で叫んでくれ!せーの、『ガクエンジャー!』』

 

ガクエンジャー!(あらかじめ仕込んだサクラ)

 

『皆、もう少し大きな声で叫んでくれ!もう一回行くぞ!せーの!』

 

ガクエンジャー!(生徒の半数くらいか?結構ノリがいいなー、ウチの生徒って)

 

「そこまでよ、怪人!」

 

その声に反応して、幼い声が舞台に響き渡る!

 

「何物だ!」

 

怪人はその声の方を向く。すると、何故か机の上に立つ真っ赤なスーツの人物。その後ろに、色違いのスーツを着込む三人ほどの人間。

 

「真っ赤な情熱は(ルールとかも)燃やし尽くす!ガクエンジャーレッド!」

「ボーイズラブを邪魔する者は許しません!ガクエンジャーピンク!」

「悪を見つければ、ここぞとばかりにネチネチいたぶる!ガクエンジャーブラック!」

「悪魔や神々をも凌駕する究極の存在!ガクエンジャーイエロー!」

 

この間に、鍵は一度舞台から引き、そして素早くスーツに着替えて再登場する。

 

「そして、美少女のためなら平気で犯罪にも走る!ガクエンジャーブルー!」

『生徒会戦隊ガクエンジャー!ここに参上!』

 

五人が同時に叫ぶと、後ろで爆竹が爆発して派手な演出を作り出す。・・・今更だけど、よくこの演出通ったな。というか、五人のそれぞれの叫びが酷すぎる。(一応)まともなのは会長だけじゃないか。というか、深夏さんのは裏設定じゃなかったのか・・・?

 

『皆!皆のおかげでガクエンジャー達がやってきたぞ!これで怪人もすぐにいなくなるはずだ!』

 

僕は演出の際の大きな音が収まったあとに、ナレーションする。・・・この仕事も結構恥ずかしいな・・・。

 

「ぬぅ!?ガクエンジャーだとぅ!小癪な!やってしまえ、お前たち!」

 

怪人が告げると共に、雑魚エネミー×5が登場。

一人一体ずつ、ガクエンジャーたちが対応して戦闘。

レッドは所謂ポコポコパンチだったが、低身長が功を奏して、敵の股間にヒットして、大ダメージを出す。

ピンクはどうでもいいBL話を相手にして、戦意を低下させる。

ブラックは鞭をペシペシと鳴らしながら、相手に近づき、精神的に宜しくないオーラで敵を圧倒する。

イエローはなにやら世界が違うんじゃないかと思う力を使って敵を舞台の端から端まで吹っ飛ばす。

ブルーはどうでもいい選別眼を利用して、女性エネミーを見抜き、やばそうな呼吸をしながらその少女に迫る。

それぞれがそれぞれの力を利用して、敵を圧倒する。・・・こうやって舞台の外から見てると、どうしようもなく酷いな、これ。こんな脚本書いて満足してたのか、僕達・・・。

そんなこんなで、雑魚エネミー×5は一掃される。

 

『強い!強いぞガクエンジャー!流石僕達の希望!』

 

僕は無意味にテンションを上げてナレーションする。・・・こうでもしてないと、客からの視線に耐えられん。半数近くが(゜д゜)だけど、一部は白い目で舞台見てるし。

 

「く・・・なんてことだ!」

 

怪人は瞬殺されてしまった雑魚たちをみて、たじろぐ。

その間に、レッドが皆を集合させ、それぞれの武器を合体させる。

 

『おおっ!これは!皆、ガクエンジャー達が必殺技を使うぞ!目を離すな!』

「観念しなさい!謎の怪人!」

「く・・・」

「学園の平和は私達が守る!喰らいなさい!スクール・・・キャニオン!」

 

レッドの掛け声と共に、全員で持った砲台から、七色の光線が放射される!・・・あれ、どういう構造で作られてるんだろうな。というか、五人で1チームの戦隊なんだから、別に五色でいいような・・・。

 

「ギエェェェェェ!」

 

怪人、大爆発!

・・・あ、そういえば中目黒が一緒にいたような・・・。まあ、いいか。というか、この怪人、雑魚に戦わせた割には自分は戦わずにあっさり死んだな・・・。

 

「ふぅ・・・危機は去ったわ」

 

満足げに呟くレッド。他のメンバーも、無意味にハイタッチしている。・・・外側にいるとわかるが、今の会場の状況は非常に微妙だ。なにせ、雑魚と少し戦っただけで、怪人が何をしたかったのかすら分からずに死んでいったんだから。

ガクエンジャー達は一度はけたあと、素早く着替えて戻ってくる。僕も適当なタイミングで合流する。

そして、生徒会役員の姿で観客席に呼びかける。

 

「こうして、生徒会は日夜、学園の平和を守っているのよ!」

「悪いことしたら・・・おしおき、するわよ」(鞭を持ちながら)

「もし同性間の恋に悩んだら、生徒会に連絡を!」(鼻息を荒くして)

「我こそは最強という者、いつでも挑戦待ってるぜ!」

「今回の舞台で俺に惚れたという方は、遠慮なく二年B組の杉崎へ!」

「皆さん、お疲れさまでした!」

 

降りてくる幕。

生徒会役員、エキストラの屍を背後に、一礼・・・。

 

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あ、そうだ。更に後日談だが、今回の寸劇はあまり好評じゃなかった。というのも、

 

『顔出してないんじゃ美少女がやってる意味がない!』

 

とのこと。

まあ・・・言われてみれば納得なんだが、劇が終わったあとの彼女たちの・・・特に、深夏さんの笑顔を思い出すと、そんなことどうでもいいと思えてしまった。

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