生徒会の庶務   作:高坂遼

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差し伸べる生徒会③

side 椎名 深夏

 

 あの後、鍵がかかったフ○ンタを吹くために何故かトイレの方に行ったから、今は鍵を抜いた5人で生徒会室で適当に雑談している。まあ、あれだけ走ってたから、相当振ってしまっただろうし、それに気づかずに開けたあたしも悪かったが・・・。でも、これそんなにまずいか?飲んでみたけどニオイはともかく、味はそこまで悪くないような・・・。そう思いながら他の皆にも勧めてみたが、何故か皆焦った表情で断られた。・・・不味くないのになぁ。

あたしが○ァンタを飲んでいると、会長さんが柊に話しかけた。

 

「そう言えば、結局聞いてなかったんだけど、楠木の三者面談ってどんな感じだったの?」

「?何の話題だ、そりゃ?」

 

あたしは会長さんの言ってる事が分からなかったので素直に尋ねた。答えたのは知弦さんだ。

 

「貴女達が面談終わって帰ってくる前に私達の三者面談の様子を話し合ってたのよ。クッキー君の事を聞こうとしたら丁度深夏が帰ってきたから聞いてなかったのだけど・・・」

「ああ、そう言う事ですか」

 

真冬が納得した表情で知弦さんのことを見ている。

一方、話を振られた柊の方は若干困ったような表情になっている。

 

「別に言っても構いませんけど・・・特に面白く無いですよ?そもそも、僕は三者面談やらなかったし・・・」

「え?どうして?」

 

 会長さんが柊に対して質問するが、柊が答える前に知弦さんが「そういえば」と思い出したように呟いた。

 

「クッキー君は、東京の方からこっちに下宿してるんだったわよね」

「そうですね。だから、家族が来れないんですよね。なんで、僕は個人面談になってしまったんですけど・・・」

 

 その言葉を聞いて、皆「ああ」と納得していた。ただ、あたしには少し気になることがあった。それは、柊の表情。その時の表情は、どこか悲しそうな表情だった。今までに一度しか見たことのないその表情。あたしは、その時のことを何となく思い出していた。

あれは・・・去年の秋、だったかな。

 

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「よっと・・・」

 

 あたしは今、大量の荷物を持って図書室から生徒会室へ向かって歩いている。まあ、重量自体は大した事無いけど、ダンボールの数が結構な量だから、運ぶのが正直面倒だった。もう一人位来てくれても・・・と愚痴ってると、いきなり隣から声をかけてきたヤツがいた。

 

「手伝うか?」

 

あたしはその声がした方を見る。そこには、真冬よりも薄い色・・銀髪の男がいた。

 

「誰だ、アンタ」

「酷いなぁ・・・一応、一回会った事あるんだけど。まあ、お互い自己紹介しなかったし、仕方ないか。夏のサッカーの試合の時に、助っ人に行ってただろ?」

「・・・ああ、そんなこともあったな。で?それがどうしたんだよ」

「その時、僕も助っ人として参加してたんだよ。所謂助っ人仲間?的な感じさ」

「・・・へぇ」

 

 そう言われて思い返すと、そんな男が確かにいたような気がした。まあ、だからと言ってなんだという訳でもないが。

 

「それは分かったが、それと今お前があたしを助けるのと何の関係があるんだ?」

「関係?無いよ」

「は?」

「ただ、大変そうにしてて、気になったから助けようと思っただけ」

「・・・余計なお世話だ。あたし一人で大丈夫だし、そもそもお前生徒会の人間じゃないだろ」

「だから?」

「役員でもない人間に手助けされる必要なんて無い・・・って、おい!」

 

 あたしがそいつに向かってそう言ってるあいだに、そいつはあたしが持ってたダンボールをひょいと半分持っていった。

 

「これ、生徒会室に持っていけばいいのか?」

「勝手に持ってくなよ!おい、待て!」

「ほら、さっさと行こうぜ。会議か何かで使うんじゃないのか?」

「いや、だから待てって・・・!」

 

あたしがそう言ったにも関わらず、そいつはダンボールを持ってそのまま階段を上っていった。

あたしはまるで話を聞かないそいつに対し、軽く溜息をついたあと、そいつの後ろを上っていった。

 

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「いやー、しかし大変なんだな、生徒会の仕事って。こんな大量の荷物が必要になんのか」

「そう思うんなら、別に手伝わなくていいからさっさと帰れ」

「ここまで手伝ったんだから、それは無いんじゃないかな」

「別にあたしが手伝って欲しいって頼んだわけじゃねえよ」

「まあそう言うなって」

 

 階段を上りながら会話する。・・・それにしても、コイツの目的は本当に何なんだろう?「気になったから手伝う」とか、どんだけお人好しだよ。そんなの漫画とかでしか見たことが無い。あたしは、直球に尋ねることにした。

 

「お前の目的はなんなんだ?」

「目的って?」

「どういう理由でわざわざあたしを手伝ってんのかって聞いてんだよ」

「どういう理由も何も、最初に言っただろ?「気になったから手伝う」って」

「・・・それ、本気で言ってんのか?」

「ああ、本気だよ」

「・・・お前、変な奴って言われないか」

「よく知ってんな」

 

 ・・・流石に少し笑いたくなった。本当にこんな漫画にしか出ない人間がいたなんて、てな。

あたしはそのままそいつに問いかける。

 

「お前の家族はお前の扱いに苦労してんだろうな、きっと」

 

・・・まあ、この問いはきっとあたしにも言えることだろうなぁ、と思いながら聞いた。

すると、そいつは少し悲しそうな表情をした。

 

「・・・かも、な」

「・・・そう言えばまだ聞いてなかったが、お前、なんて名前なんだ?あ、荷物はここまででいい」

 

 あたしはそいつの表情を見て、質問を変えた。別にそんな心配する必要なんて無かったが、そいつの表情がとても悲しそうだったから、何か聞いてはいけない事を聞いたんじゃないか、と思ったからだった。

まあ、その質問をする頃には生徒会室に着いていて、後は荷物を中に入れる事しかやることは無かったが。

 

「・・・分かった。そういえばまだ名乗ってなかったっけ。僕の名前は、楠木柊。宜しく、椎名さん。それじゃ」

 

 そいつは、そう言うとそのままどこかへ行ってしまった。

 この時はまさか、来年の生徒会で一緒になるとか、今年に限っても、あたしが荷物を運んでいたりするときにまた手伝ったりして貰ったりすることになるとは、知らなかった。

 

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 あたしは回想を終えると、鍵の席を見て、それから柊の方を見る。

 最初に会ったときはまさか去年の春頃に真冬が会ったって言ってた奴だとは思わず、今年の生徒会の初顔合わせの時に真冬がその事を言った時は世間っていうのは意外と狭いな、って感じていた。

 会長さん、知弦さん、真冬、柊、そして今この場に居ない鍵の事を考えて、思う。

 あたしや真冬にとって、今年の生徒会は、とても安らげる場所になった。きっと、これからもそれは変わらないだろう。だから・・・皆に心から感謝しようと思った。

ホントに・・・

 

- - -ガラガラ!

 

ふと、生徒会室のドアが開いた。そっちを見ると、さっき出て行った鍵がいた。そして、その後ろには・・・

 

(か、母さん!?)

 

見間違えるはずもない、あたしの母親だった。真冬も驚いた表情をしている。

二人は何故か頬を赤らめていて・・・

 

「そんな訳で、深夏、真冬ちゃん。今日からは、俺をお父さんと呼びなさい」

「二人とも、ごめんね。私・・・また、恋に落ちてしまったわ」

 

・・・・・・

・・・・

・・

うん。

取り敢えず。

息を思いっきり吸って。

真冬と一緒に。

 

『二人ともいい加減にしろおぉ(してぇ)ーーーーーーーーー!』

 

・・・やっぱり、こいつにだけは感謝するのはダメなような気がした。




ここまでがにじファンで投稿していた分です。次から(といっても4話程度だけど)はすぴばる小説部に投稿した分です。
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